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後藤斉@東北大の見解についてのコメント


原文は、東北大学大学院文学研究科言語学講座助教授 後藤斉氏の『後藤斉のページ』内、『ウェブページのリンクおよびその他の利用について (リンクは自由である!) 』にあります。

その中において、ディープリンクに関して、氏は

被リンク側の著作者は、「下位のページに直接リンクを張られては自分の意図と違った順番で読まれることになり、それでは困る」と言うかもしれません。しかし、人は本を必ず1ページ目から読まなければならないものでしょうか。実際、私は「あの本は第3章から読むのがいいよ」と言って人に本を薦めたことがあります。これももしかすると、著者の人格を少し軽んじたことになるのかもしれません。しかし、かりにそうであるにしても、それを上回る自由が読者の側に与えられているというべきではないでしょうか。現に、参考文献をあげる際に特定のページまで指定するのは、ごく普通のことです。つまり、印刷・製本された書籍でさえ、著作者が読者に読む順序を押しつけることはできないのです。まして、Hypertextであるウェブページに一定の読む順序を押しつけようとするのは、 Hypertextの定義に反するのであり、著作者の側のエゴとさえ言えるのではないでしょうか 。
と述べているが、彼の用いた比喩は適切ではない。と言うか完全ではない。後半に関して(著作者が読者に読む順序を押しつけることはできない)は同意するが、Webは本や雑誌とは違う。読者は本の特定のページを読むためには、まず本全体を入手する事から始める。それからページをめくって目的のページに達する。Webで言うならば、まずトップページに入り、そこからインデックスを辿って目的のページに至る事に相当する。閲覧者は目的の箇所までスクロールして、必要ないところは読み飛ばす事ができる。つまり通常の論文で行っているような参照行為をリンクに適用した場合、まずサイト名とトップページへのURLおよび制作者名を明示し、トップページから当該箇所への行き方を指示するのが正しい事になる。

ウェブのユーザビリティの観点からしても、必ずサイトのトップページを経由しなければならないという主張こそ、読者に対してむしろ不親切であり、したがって不合理です。読者はトップページから必要な情報のあるページに簡単にたどり着くことができるとは限りません。

これこそ正にユーザビリティの問題をはき違えている議論である。誰もが容易にトップページから目的の情報が取り出せる様にする事が、正しいウェブ上でのユーザビリティのあり方と言えるだろう。現実問題として、そうでないサイトが非常に多い事は事実であるが、ならばなおさら、ディープリンクを推奨するよりもウェブサイトのユーザビリティの向上に力を入れるべきであろう。(氏がユーザビリティの向上に力を入れていないと言うつもりも無い。氏が別ページでそういった事にもきちんと言及している事は知っている)

必要な情報のある下位のページに直接リンクを張って誘導する方が読者に対して親切であることは明らかです。

これはその通りであるから、わかりにくいサイトに対してコンテンツに直接リンクを張ることは便宜的には許されると私も思う。あるいは先に述べたようにトップページを併記して、そこからの到達手順として直リンクを示す、という考え方をするならば、それは理解できる。

もし、直接下位のページに誘導された読者が注意書きなどを読み落とす恐れがあって不都合だ、と考えるのであれば、ウェブサイトの著作者は、各ページが当該サイト全体の中でどういう位置づけにあるかを読者に明示すればいいのですし、必要ならば積極的にそうすべきです。

たとえば<a>タグを使えば、画像に対しても直接リンクする事が可能である。あるいはhtml文書であってもその中に画像が埋めこまれているかも知れない。その時、もしそれが18禁画像であったら、あるいは特殊な趣味の人向けの画像であったらどうであろうか?画像でなく、小説の様なものであっても、ダメージが少ないだけで同じことである。見てしまった後で、注意書を発見しても遅い。ウェブサイトの著作者は、トップページから各コンテンツに読者を誘導する過程で事前に注意を促すことができるが、ディープリンクされる事に対しては無力である。直接リンクを張るならば、そのような注意書を読者に対して提示する責任は、サイトの著作者にあるのではなく、リンクを張った人間にあると考えるのが妥当である。

また、画像への直リンクだと、たとえば小説中のさし絵などにもリンクを張る事ができる。本の場合はさし絵を見ればいやでも周りに本文があり、それがさし絵だと気がつくし、すぐに本文を参照できる。しかし、リンクはそうではない。JPEG画像の中にサイトアドレスを埋めこんどけ(当然ハイパーリンクにはならずコピペもできない)とでも言うのだろうか?当該サイト全体の中でどういう位置づけにあるかを読者に明示する方法とやらを教えて欲しいものだ。

もちろん、サイト内の各ページにトップページへのリンクを埋めこんでおく事は良いことで、むしろ推奨すべき事だとは思う。だが、直リンクで迷いこんできた読者に対する一次的な責任はサイトの制作者ではなく、そこに案内してきたリンクを張った側に本来あるべきものだと思う。

一応念の為に言っておくと、筆者は氏の考えを全否定しているわけではない。大半には同意し、ディープリンクも許されるもの(張られる側に拒否する権利が無い事)だと認めたうえで、リンクを張られた事に対する責任を文書を公開した側が取らされるのは間違いで、リンクを張った側も、張った先の内容について閲覧者に何がしかの責任を負うべきである事を主張しているのである。当然ながらトップページに張っておけば、そこから先は閲覧者とリンク先の制作者との問題になるから、リンクを張った人間はそれ以上何かを負う必要はないわけだが。

という訳で、ディープリンクを張ることは全く問題無いし、張られる事を止める事もできない訳だが、基本的に推奨しないという立場を私は取る。利用者の便宜を考えて、例外的に、ディープリンクを張る事はもちろんあるが、可能な限り上位のページに張るようにすべきだと思う。


文責:ししゃものエース
初出 Feb. 07, 2003
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