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リンクの張り方・張られ方

0.はじめに 3.参考文献
1.著作権とリンク   (3a) W3C
  (1a) リンク   (3b) リンクの神話
  (1b) 参照   (3c) 著作権法
  (1c) 引用   (3d) 個人情報保護法(案)
  (1d) 転載   (3e) 『リンクは自由である!』
2.リンクに関する注意書   (3f) 『海外ファンサイト事情』
  (2a)『無断リンク禁止』 4.総論
  (2b)『リンクフリー』   (4a)『無断リンク禁止』のススメ
  (2c)『ディープリンク』   (4b)『リンクフリー』のススメ
  (2d) 隠しページとアクセス制限   (4c)『NGワード』
  (2e) コメント 5.最後に
  (2f) 理解不能



0.はじめに

(0a) この文書に関して

この文書は、この文書の内容に同意される方のみ、自由に転載して使用する事を許可します。同意できる部分が特定箇所のみである場合でも、その部分を抜き出して使用していただいても構いません。ただし、転載した箇所についての責任は、転載者自身がとらねばなりません(内容に賛同できるのならば、それは可能である筈)。〜がこう言っているから、〜と言う考え方は正しい、と言う様な引用・転載の仕方は、私は望んではいません。同じ内容の文書を転載者が自分の言葉で記述しなおす手間を省略できるように、転載を許可している事を忘れないで下さい。

(0b) 法律とその解釈について

この文書中では、著作権法を始めとして、いくつかの法律についても議論を行なっています。しかしながら、私は法曹関係者ではなく、法学部の出身ですらありません。私の法解釈について誤りがある可能性もありますので、もしそうでしたら遠慮無くご指摘下されば非常にありがたいです。また、引用・転載を行なう際には、その辺もあらかじめ考慮して下さるよう、お願いします。(批判の時に手加減しろ、と言う意味ではなく、私の法解釈は参考程度にとどめ、自分の判断で正しい物を取捨選択してください、と言う事)。またW3CやTim Berners-Leeの文書を翻訳している部分に関しても、私は専門の翻訳家ではないので、誤訳や勘違いがあるかもしれません。そういう箇所がありましたらすぐに修正したいと思いますので、ししゃものエースまで是非ご連絡下さい。

あ、いい忘れてましたけど、このページはリンクフリーです。ご自由に参照してください。事後のリンク報告も不要です。事後・事前に関らず、メールをいただいても返事をだしませんのであしからず。




1.著作権とリンク

(1a) リンク

ウェブの仕組みは大変便利なものです。文法に従って、文書中に適当にアドレスを書けば、そこをクリックする事によってそのアドレスにある他の文書(や画像)を呼び出して表示することができます。あらためて言う間でもない事ですが、その仕組みを総括して、リンクと呼びます。

ハイパーテキスト中でリンクを張るには色々な方法があります。もっとも一般的なのは、<a>タグを使った方法で普通リンクと言った場合にはこれを差します。また、他にも<img>タグや<embed>タグを使う事もあります(直リンクと呼ばれる事がある)し、<frame>タグを使ったりスクリプトなどで他の文書を取り込んで表示することも可能です。(他にも方法はあると思いますが、だいたいは上記のアナロジーで考えることが可能ですので省略します)

著作権法との関連で考えると、<a>タグを使用したリンクは『参照』にあたります。基本的には、ハイパーテキストを使わずに文書中でアドレスを素で書いた状態と同様に扱われます。クリックすれば相手の文書を表示できると言っても、逆に言うとクリックしなければ相手の文書は表示されず、素のアドレスを書いておけばそれをブラウザ上で打ち込めば同じ事ができます。ただし厳密に言えば、リンクはリンクであって、参照ではありません。リンクは物理的な存在であり参照は行為です。なんの目的で張ってあるのか第三者が理解できないリンクは、参照にはあたりません。

<img>タグを使った時は、ほとんどの場合『転載』になります。<embed>タグも同様です。対象は画像やMIDIなどですので、画像をダウンロードした上で適当に加工して、必要な部分だけを抜き出したりしない限り、『引用』として認められる事はまず無いと考えて良いでしょう。画像のサムネイルも、本文の内容によっては引用になる事はありますが、基本的には『転載』に当たると考えてよいでしょう。

<frame>タグを使って自分のサイトのフレーム内に表示させた場合、間違い無く『転載』として扱われます。この場合、上手くサイトを構成していないと『転載』した文書の原著作者等を表示することができませんので、著作権を侵害したとして訴えられる可能性が非常に高いです。また、<a>タグを使ってリンクしていても、フレームを使っているページの場合"Target"属性を指定しないと他人のページがそのままフレーム内に表示されてしまします。単なるミスあるいは不注意であって悪意は無いのだとは思いますが、やはり問題になりますので気をつけて下さい。

(1b) 参照

基本的に、著作権法の範囲においては、参照に関する制限は一切ありません。公開した文書・情報である以上、その文書・情報の存在場所を示すだけの行為である『参照』は、原著作者の許可を得ることなく自由に行って良いものと解釈できます。より正確にいえば、著作権法は原著作者の権利を保護するための法律ですので、原著作者の意志に基づいて公開されている物を参照する事で原著作者の利益が不当に冒される事はあり得ない、と考えられていたと言う事です。リンクの概念は著作権法の成立よりも新しいものなので、この事を以って直ちに全てのリンクは合法であると断じるのは乱暴な話ですが、これに関する法改正の動きもありませんので、現状で問題ないのだと言ってよいでしょう。

また、Webの概念を最初に提唱したティム・バーナーズ・リーと言う人は、その私的文書(と言っても公開されてます)「Myths of Link(リンクの神話)」の中で、

『 The first amendment to the Constitution of the United States, for example, addresses the right to speak. The right to make reference to something is inherent in that right.』
(たとえば、合衆国憲法修正第一条は言論の自由を保障している。何かを参照する権利は、この(言論の自由と言う)権利に既に内在している権利なのである)
と述べていますが、まったくその通りだと思います。

ただし、言論の自由は常に保障されているものではありません。公益に反する時やプライバシーの保護の観点から制限される事はあります。前者は関係ないですが、後者は個人情報保護法が施行された時に、その法解釈しだいでは問題になる可能性がありますので、今後注意が必要です。電話番号は電話帳に公開されていても同法の保護対象ですので、同様の考え方でいけば、メールアドレスは確実に保護対象になりますし、特にJPNICに申請して独自ドメインを取っている相手のURLは個人情報に該当すると言う法解釈が成立する可能性はあるかも知れません。一般的なURLに関しては、おそらく問題ないと思いますが、これも断言はできかねます。電話番号を個人情報と認めるならば、URLアドレスも個人情報であると主張する事は不可能ではありません。いずれにせよ、法の施行を待って、判例が積み上げられるまでは何ともいえません(現時点での国会答弁は参考にはなるが絶対的なものではないです)。

(1c) 引用

論文などで参照を行なう場合、参照する前後の文脈中で必ずその文書の内容についての記述があり、それと本論文の主張との何らかの対比がなされます。場合によっては参照論文から一文(時には数節)抜き出して、本論文中に提示する事もあります。これが引用です。『引用』と『転載』の線引きは、論述全体の中で引用部分と作者自身の主張のどちらが主でどちらが従かで決まります。場合によっては全文引用も認められますし、部分引用でもそれに対する作者の主張が過少ならば転載として扱われます。

普通リンクを張る場合、ただアドレスだけポンと提示してオシマイであることはまずあり得ません。リンク集の場合でも、相手のサイトについての何らかのコメントを付ける事が多いでしょう。これらのコメントは、上記のような引用を行わない限り自由に付ける事ができますし、必要があれば相手サイトの内容を一部引用しても全く問題はありません。

著作権法では、著作物を利用する場合には原則として原著作者の許可が必要であるものの、一定の例外的な場合には著作権者等に許可を得ることなく利用できる事を保障しており、上述の様な引用は、正にこの「例外」に当たります。著作権法ではその第32条1項において『公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない』と定めています。

ここで注意すべきなのは、『引用の目的上正当な範囲内で行われる』と言うくだりでしょう。批評・批判も正当な範囲に含まれますが、無意味な引用やあからさまな悪意を持って行われる様なケースはこれには該当しませんので注意が必要です。また、創作小説の紹介文などで内容を引用するのはおそらくは正当な範囲内ですが、それがネタバレに当たる場合は『公正な慣行』に合致しないんじゃないかと思いますので作者に確認を取った方が良いでしょう。


(1d)  転載

転載にはいかなる形であれ、必ず原著作者の許可が必要です。また出典および原著作者を必ず明示し、それが転載であることが読者に確実に伝わるようにしなければなりません。それを怠った場合、それは盗作であり、法的に処罰の対象となります。許可についてはあらかじめ利用要綱が定められている作品もありますので、注意書等をよく読んで確認したうえで、利用する様にしてください。また「転載は自由に行って下さい」と書いてある場合でも、(日本の法律では)著作権が消滅したわけではありませんので、ただ連絡が不要と言うだけで、転載である事を明示する義務は依然として残ります。

ウェブ上では良くバナーリンクを見かけると思いますが、これも転載にあたります。<img>タグを使っている場合、相手のサイト上のバナーデータに直接リンクしても、一度自サイトに転送したものを指定しても、どちらでも転載です。もし相手がバナーの使用用件を定めている場合、あなたはそれに従う義務があります。もちろん、バナーを使用せずにリンクを張る場合はこの限りではありません。

Googleのキャッシュやウェブアーカイブの様な物も、法律上は全て転載と言うことになります。著作権に関する犯罪はすべて親告罪なので誰かが訴えない限り問題になりませんし、国内サイトでなければ日本の法律が適用されない(著作権に関する国際協定次第)ので、おそらく彼らは合法の範囲内でサイト運営しているのだと思いますが、個人で同じような事をやろうとするならば注意が必要です。例えば閉鎖したサイトにあった文書・画像を自サイトで公開する様な場合にも必ず著作者の合意が必要になります。著作権法は私的複製および利用の権利を認めていますので、メールに添付してやりとりする程度(メーリングリストは不可)なら合法ですが、ウェブにアップロードする事は(たとえ圧縮や暗号化してあったとしても)犯罪になります。




2.リンクに関する注意書

(2a) 『無断リンク禁止』

前章で述べた様に、リンクはただの参照であり、現行法にはこれを禁止する法律はありません。従って『無断リンク禁止』と書いてあっても、それだけでは無断リンクを禁止する効力とは成りえません。もし本気で無断リンクをやめさせたいのなら、適当なアクセス制限の手段を取る必要があり、あなたの使用しているサーバーがそれに対応しているならば、サーバーを変更する必要があります。

一方で『無断リンク禁止』とサイトに書くこと自体はまったく問題ありません。それもサイトの管理人の自由です。上述の様に、その言葉自体は法的に無効であり、リンクする行為を止めさせる実効力は持ちませんが、それを読んだ相手がリンクを張る前に連絡してくれる可能性は少しだけ高まります。ただし、『無断リンク禁止』と書くとリンクされる事をあなたが嫌っているのか、ただリンクされる時に連絡して欲しいのかはっきりしませんので、もし後者なら「リンクはご自由に。でも連絡してくれると嬉しいです」の様に書いた方が効果的だと思います。また前者については、誰もが納得できる様な理由を明示して「できればリンクしないで下さい」とお願いする程度にとどめた方が良いでしょう。『無断リンク禁止』と強制している様に書くと、W3C原理主義者の様な変な輩が引っかかるおそれもありますし、アクセス制限を導入しない限りリンクする奴は勝手にリンクを張ってしまいますので、どうせなら少しでも理性に訴える方が得策です。また、自分に都合の良いリンクは許可し、そうでないリンクは拒否したい、と言うような考えを持っているのであれば、その考えは捨てて下さい。それは一種の検閲であり、言論の自由に対する冒涜です。あなたは社会には出ないで家に引きこもっている方が良いでしょう。

次にリンクを張る側への注意ですが、『無断リンク禁止』と言う文言が何ら強制力を持たないとしても、そこから相手がリンクを無断で張られることを嫌っている事は簡単に読み取れます。他人が嫌がることは(たとえ正当な権利だとしても)(なるべく)しない、と言うのは一般社会では当たり前のマナーです。相手が嫌がることをあえてするわけですから、それだけの事をする理由・価値があるかどうか、考えてからリンクを張る様にしてください。当然ですが、相手と良好な関係を続けていくことを望むならば、勝手にリンクを張る事があなたの正当な権利だとしても、相手の意志を尊重し一言連絡を入れるべきだと思います。

(2b) 『リンクフリー』

原則的にウェブ上の文書はすべて自由に参照する事ができますので、特に何も書いていない場合はリンクフリーとみなす事ができます。従って、あえて『このサイトはリンクフリーです』と書く必要は本来はありません。それでも『リンクフリー』と書いているサイトが多いと言う現状は、それだけウェブの原則が認知されていないと言うことで、これは単にW3Cの広報努力が不十分なのか、その原則が現実社会の慣習から著しく外れているために人々に受け入れらていない事を示していると考えられます。どちらにせよ、原則を知らない人が多数派を占めているのが現実であるならば、リンクについて何も書かれていないサイトにリンクする時は連絡を入れて確認した方が良いかもしれません。

一方で、リンクフリーだからと言って、リンクする時に連絡してはいけないと言う事もありません(連絡する必要がないだけ)。「リンクする時に連絡は不要です」と明示してあっても連絡してくる人はいるでしょうし、「リンク報告はウザイからやめて下さい」と強調しても、それを止めさせる権限はあなたにはありません。親切に対応し誘導してやっても良いですし、ただ無視しても構わないでしょう。どうせなら「リンク報告のメールをいただいても、お返事はいたしません」と書いておけば後で問題が起きる可能性がより少なくなるでしょう。本当に耐えられないぐらいウザイのであれば、掲示板を外し、メールアドレスをサイトから消して下さい。

(2c) 『ディープリンク』

サイトのトップページではなく、そのコンテンツの一部分であるページにリンクを張る事をディープリンクと呼びます。同じ事を指して『直リンク』と呼ぶ事もありますが、『直リンク』の方は場合によっては他の意味を持ちますので、以下ではなるべくディープリンクと言う言葉を使います。サイトの構成によって、トップページには注意書があってその下にあるメインページにリンクする場合から、コンテンツの一部に過ぎない画像や文書を直接参照する場合もどちらもディープリンクです。

Web上のデータは全て公開されたものであり、またリンクは単なる参照に過ぎませんから、いかなる形でも『ディープリンク禁止』を強制する事はできません。もしディープリンクをされたく無いのであれば、リンクする側の気持ちになって、なるべくディープリンクされないようなサイトの構成を考える様にしてください。具体的に言えば、見通しの良いサイト作り、トップページから目的のコンテンツに迷わずに到達できるような工夫をすべきです。それでディープリンクを完全に防げる訳ではありませんが、少しは減らせるでしょうし、何よりトップページから入った普通の閲覧者に対するユーザビリティの向上と言う効果が得られます(正確にはこちらが主目的で、ディープリンク防止は単なる副次的効果に過ぎないのですが)。

もしあなたがディープリンクを嫌がる理由が、トップページのカウンタを回す事だけにあるのであれば、ディープリンクされる事を最初から考慮して、すべてのページにトップ(あるいは上位)ページに対するリンクを張って置く事は有効な手段でしょう。またアクセス解析により閲覧者がどこから来たのか知りたいのであれば、すべてのページにアクセス解析を置くか、サーバレベルでアクセス解析をしてくれる所に移転すれば良いでしょう。

ディープリンクを防ぐ直截的な方法としては、やはりアクセス制限を導入するしかありません。スクリプトやCGIを用いてリファラではじく程度の事では、データに直接リンクを張られた場合は防ぐことができませんので、手間を惜しまないなら徹底的にやる必要があります。定期的にコンテンツのフォルダ名やファイル名を変更することも、ある程度は効果がありますが、今度は逆にトップページから普通に入ってきた閲覧者に不便を強いる事(たとえばキャッシュが残っている場合)がありますので注意が必要です。

次にディープリンクを張る時には、張り方にも注意が必要です。まずトップページにある注意書を飛ばして、下位のぺージにリンクを張る場合、あなたはリンクの説明に、その注意書に該当する情報を含めなくてはなりません。具体的には18禁ページや、一部の人に不快な情報が含まれるサイトへのリンクを張る時がこれに該当します。これは、リンク先への配慮ではなく、あなたのサイトの閲覧者への果たすべき当然の責任です。

また、コンテンツの一部にリンクを張る場合、その文書・画像に著作者の表記が無い場合には、あなたが代わりにリンクへのコメントとしてそれを明記する必要があります。著作者側としては、トップページから入った場合にだれが原著作者かわかるように示してあれば個々の画像や文書に表示しなくても充分ですので、個々のコンテンツに一々サインを入れてあるとは限りません。また貰い物画像などもありますので、画像を直リンクする場合には注意が必要です。

(2d)  隠しページとアクセス制限

もしあなたが自サイト内にどこからもリンクされていないページを作り、それを特定の友人だけに教えるようにすれば、もっとも簡易的なアクセス制限となりえます。しかし、そのページのURLが誰かに見つかって、どこかでリンクされたとしても、あなたはリンクされた事に対して文句を言うことはできません。あなたが容易に推測しうるようなファイル名でアップしたか、信頼できない友人にURLを教えてしまった事が迂闊であっただけです。

たとえアクセス制限を導入していても、コンテンツのURLが漏れた時点で、その流出を防ぐことはURLを変更しない限り難しいです。適当なツールを使えばリファラの偽装は非常に簡単ですので、流出したURLを入力すれば事実上誰でも閲覧する事が可能です。漏らした相手を確実に特定できれば、パスワードを教えた時の約定次第では訴える(そして勝訴する)事はできるでしょうが、それを使って閲覧した者を咎める事はできません。

なぜなら、隠しURLのファイルの属性(パーミッション)が“誰でも閲覧可”になっている以上、閲覧されても文句は言えない、と言う考え方の妥当性はどうしても否定できないからです。一方、Webの仕組みとしては、アクセス制限やCGIによるパスワードを導入したとしても、アップロードする時に“誰でも閲覧可”にしておかないと誰も(許可したい相手でも)見ることはできません。これは明らかにWebの欠陥であり、現在Webが商業目的などにも広く使用されている事を考えると是正されてしかるべきことでは無いかとも思います。現状では、Webにアップロードするデータは全て暗号化しておき、CGIでデコードしながら表示させるのが最も確実なアクセス制限じゃないかと思いますが、個人レベルでそこまでする必要性はちょっと思いつきませんね。

(2e) コメント

前章の引用の項で少し触れましたが、普通リンクを張る場合、ただアドレスだけポンと提示してオシマイであることはまずありません。大抵は、そのリンク先にどう言う情報が含まれるのか、コメントが付く事と思います。まったくコメントの無い様なリンクは、たとえ参照だとしても、公正な慣行のに照らして正当であると認めることには抵抗があります。言い方を変えれば、ただちに違法とまでは言えませんが、そのリンクの部分は何かを主張しているわけではないので、言論(あるいは表現)の自由として法律で保障されている物には当たらないと言う事です。

まあ、それは置いておくとして、もしリンクにコメントを付けたならば、そのコメントに対してあなたは責任を負うことになります。従って、もしそのコメントに問題があれば、あなたは速やかに訂正し、謝罪する必要があると言うことです。またリンクされた側としては、そのコメントは自分ないし自分のサイトに関する物である筈なので、問題に対して訂正と謝罪を求める権利を有します。ただし、引用の所にも書きましたが、公開された情報に基づく単なる批評・批判は、言論の自由に保障されている権利なので、あなたが気に入らないコメントでも、ただそれだけでは訂正を求める理由にはなりませんし、また訂正させたとしてもリンクを外させる事はできません。充分な理由になる様な物としては、明白な事実誤認、誹謗中傷に基づく名誉毀損、(内容が変更されて)古くなった情報に対する訂正、などがあげられます。

ただ、面倒くさいことに、訂正・謝罪を求めるのは法律(憲法・基本的人権の尊重)によって認められた権利であるにもかかわらず、この世界に関しては実質的な強制力を全く伴っていないという問題はあります。現在の法理論ではおそらく、Web上の人格のような、個人を特定できない時にその相手を誹謗中傷しても名誉毀損罪が成立するかどうか微妙だと思われます。もちろん、そのサイトの中で管理人が身元を明らかにしていれば話は別ですし、企業サイトであれば単なる名誉毀損に留まらず、最悪、威力業務妨害まで考えられます。まあとにかく、悪いことはしちゃいけないよ、と言うことなんですが。

(2f) 理解不能

一応、私の理解しうる範囲での『無断リンク禁止』についての議論をこれまではしてきたつもりですが、世の中にはそれ以外の論法をする人がいても少しもおかしくありません。例えば、『相互リンク以外のリンクは認めません』とか『リンクしたいのなら〜に加入して下さい』(〜は『なんとか同盟』だったりウェブリングだったりする)とか言う奴です。さらに、コンテンツに対する批評批判を一切認めないやつ(は既に書いたが)もいれば、『更新チェックページに載せるな』と言う輩もいました。この辺まで来ると、もはや正常な議論は望めません。『あなたがあなたのページ内で何を書こうと勝手だが、(必要があれば)私は勝手にリンクするし、リンクできるし、あなたにはそれを止めることは(物理的に)できない。法的にも私は自分が正しいと思っているので、もしそうでないとあなたが考えているのならば、訴えるなりなんなり、好きにして下さい』と言ってオシマイにしたい所です。




3.参考文献

(3a) W3C

W3C(WWWC,World Wide Web Consortium)と言う団体があります。要はWebをより便利に使える様に色々な規格を標準化を推進する団体です(正確な実体は私もよく知りません)。HTMLやCSSなどの仕様を決めたのもこの団体です。一応、Webの世界では最も権威ある団体と言えるでしょう。W3Cの勧告には全く強制力はありませんが、Webを使っている以上、W3Cの方針は基本的に尊重すべきです。そうでないと、様々な規格・基準が入り乱れ、Webは非常に使い勝手の悪いものになってしまいます。

その悪い代表例とも言えるのが、かのマイクロソフト社のインターネットエクスプローラの独自仕様と言う奴です。今となっては実質的にIEはブラウザの世界標準になってしまいましたから、ほとんどのWebページはIEで正しく表示される様に設計されている事が多いですが、他のブラウザ(ネスケやオペラなど)では設計者の意図通りに表示されない事もあるわけです。ま、これは必ずしもIE(MS社)のせいだけではありませんが。

そのW3Cは、リンクについてFAQのページで下記のように述べています。

4. May I link to the W3C site?
(W3Cのサイトにリンクを張っても良いでしょうか?と言う良くある質問への回答)
Of course. Links are merely references to other sites. You don't have to ask permission to link to this site - or any other website. See ("link myths" for more on this).
(もちろんです。リンクとは単に他のサイトへの参照に過ぎません。あなたはこのサイトに-あるいは他のどのサイトでも-リンクするのに許可を求める必要はありません。詳しくは"リンクの神話"という文献をお読み下さい)

つまり、いかなるリンクに対しても、自由に行って良いと明確に書いてあります。残念な事に、何故そうなのかと言う理由をきちんと説明はしてはいません。詳しくは以下の文献を読めと言って Tim Berners-Lee と言う一個人の見解をまとめた書簡にリンクしていますが、Tim自身はその書簡の中でこの文書はW3Cとは全く関係が無いと述べています。素人は混乱するばかりです。Timの主張の内容については別項を見ていただくとして、その結論としての『Webが原則的にリンクフリーである』と言う主張には同意できるのですが、この点(公式にわかりやすく説明していない点)にだけは非常に不満が残ります。おそらくは、W3Cとしてはそんな事(リンクフリーの原則)は当然であって改めて言うまでもないことだと思っているのかもしれませんが、そう言う態度だから世間で認知されないんだよ、と言ってやりたくなります。

(3b) 『リンクの神話』

翻訳とは、原文の主張を変換しただけであるのに二次的な著作権が発生するものであり、翻訳物の掲載は単なる転載よりも厳しい制限が付くものだと思います。ただ多くの方はTimの英語を理解するに苦労されるでしょうから、日本語訳があると何かと便利だと思います。そこで、当該文書に対し批評・批判を行なうために原文を引用し、対訳を載せると言う形を取ることにしました。たまたまそれが全文訳となってしまいましたが、これは明らかに公正な慣行に基づく正当な引用および翻訳であり、米国著作権法は知りませんがすくなくとも日本の著作権法に関しては完全に合法だと思います。

『リンクの神話』について

(3c) 著作権法

文化庁のサイトに著作権に関する一連の文献が公開されています。著作権法の原文は難しくて全文を読むのは大変だと言う方は、『著作物が自由に使える場合』を参考にされてはいかがでしょうか?私の理解するところでは、この法律は著作物の原著作者の持つ権利を保護する事を第一義的な目的としています。同時に、公益を守る(あるいは文化の振興を図る)目的に適う時には二次利用する事を認めており、その例外的なケースに相当する事例や使い方を法律で定めたものであると言えます。通常のリンクは引用や転載ではなく参照ですので、この法律と直接の関係はありませんが、他者の画像や文書を利用している人は読んでおいたほうが良いでしょう。

(3d) 個人情報保護法(案)

2002年に国会で審議されて色々と物議をかもした個人情報保護法(案)ですが、その全文総理府首相官邸のサイトにありました。このまますんなり通るかどうかはわかりませんし、かなり抽象的で実際の運用時に行政の裁量が広く認められすぎる悪法だという評もあります。

リンクとの関係で言えば、URLが個人情報に該当するか否かと言う問題で、法案の文面からは判断できません。伝聞ですが、国会答弁でURLは個人情報ではないと明言した大臣がいるらしいですが、過去の実例から必ずしも国会答弁に縛られるわけでもない事は衆知ですので、あてにはできません。私見ですが、一般的なURLやハンドル名はこの法案で言う所の個人情報にはあたらないと思います。ただし実名をハンドル名に使っている場合や、大学などで学籍番号が自動的にURLに割り振られている場合とか、ホスト名から地域が限定される場合とかは、良くわかりません。自分の個人情報を思いっきり暴露しているページへのリンクもどうなんでしょうかね。たとえ自己責任でそうしてるにせよ、第二条で定義されている個人情報に該当すると解釈されるかもしれません。

仮にこの法律においてURLが個人情報だと認定されてしまえば、個人は実際には規制の対象外ですが、民事訴訟などでリンクの差止請求をする根拠となりえます。またコメントなどで個人情報に触れてしまう事もあると思いますので、基本原則(第八条まで)ぐらいは目を通しておいた方が良いかもしれません。ただ現段階ではこれは単なる法案に過ぎず、またURLが個人データであると言う判例や公式答弁もありませんので、今のところはリンクを張ることに対して、この問題を気にする必要はないと思います。

(3e) 『リンクは自由である!』

東北大学大学院文学研究科言語学講座助教授 後藤斉氏の『後藤斉のページ』内、『ウェブページのリンクおよびその他の利用について (リンクは自由である!) 』にリンクについての非常にためになる論文があります。参考文献も充実しておりますので、是非一度読まれる事をお勧めします。ただし、氏のディープリンクについての見解については一部異論があります。長くなりそうだったので別項としました。

後藤斉氏@東北大の見解について

(3f) 『海外ファンサイト事情』

水沢晶氏の水晶宮内にある『海外ファンサイト事情』と言うページがあります。某掲示板でアクセス制限のための参考サイトとして提示されていましたが、それだけでなく、著作権に関する国際的な問題と無断転載への対策等、非常に為になる情報がありました。




4.総論

(4a) 『無断リンク禁止』のススメ

既に書いた様に、あなたが自分のサイトに『無断リンク禁止』と書く事はまったく構いません。原則は『リンクフリー』なのかも知れませんが、それは文字通り単なる原則にしか過ぎませんから、絶対に守らなくてはいけない物ではありません。もし勝手にリンクされると困るとあなたが感じており、制限することで解放する事よりも個人的に大きな利益を得られると判断しているのならば、いつでも原則を無視して『無断リンク禁止』を宣言して良いと思います。

非常に小さなコミュニティ内で『無断リンク禁止』派が多数を占めれば、そのコミュニティ内でそれはローカルルールとして成立し、原則となります。コミュニティの参加者は当然それを守る必要があり、守らなかった場合は追放(除名)される事でしょう。こんな場合にはWebの原則とやらは全く意味を持ちません。もちろんWebは万人に開かれたものであり、コミュニティの外部の人間はそのローカルルールを守る必要は全くありませんし、内部から外部の人間にローカルルールを強制する事はできません。しかし、もしそのコミュニティが魅力的な存在であり、多くの人を惹きつける事ができたならば、コミュニティの成長とともにそのローカルルールは世間に広まり、浸透していくことでしょう。

先にIEの例を出しましたが、結局は多数を占めた物が標準となります。もし『無断リンクは良くない』派が圧倒的多数を占める事に成功したならば、W3Cが何と言おうと『リンクフリー』は原則でも何でもなくなります。そして現状を見るかぎり、少なくとも国内では『リンクする時には連絡した方が良い』と考えている人が多いようですね。海外も含めた統計は私は知りません。知らない時は原則にしたがっておけば間違いないでしょうし、もしある程度信頼できる統計が発表されているならば、多数派に従うのが無難だと誰もが思うでしょう。

『無断リンク禁止』と言う言葉には全く実行力を伴っていない上に善意の相手にすら非常に誤解を与えやすい言葉ですので、もう少し書き方を考えたほうが良いとは思いますが、私はWebが原則としてリンクフリーで無くなったとしても全く困りません。原則には例外が存在することを知っており、また法的な限界も心得ている(と思っている)からです。Webの仕組みがそうなっている限り、法律で規制されない限り、自由にリンクを張ることは誰にも止められないでしょう。

(4b) 『リンクフリー』のススメ

『リンクフリー』の精神はWebを有効に機能させるための一つの原則だと思います。従って、もしそれを知らない人を見かけたら教えてあげるのは親切な事だと思います。ただし、もしあなたが単なるW3Cの信者で無いのでしたら、単に『それがWebの原則だから』とか『W3C(あるいはティム)がそう言っているから』ではなく、何故それが原則として提示されているのか、そしてそれを守ることでどんな利便性があり、守らないといかにWebが不便な物になってしまうかをきちんと説明してあげましょう。世の中には信者とか原理主義者とか言われる偏狭で視野の狭い人種がおりますが、この問題についても例外ではありません。彼らにとって信仰の対象は常に絶対であり、教祖の言葉を保持し布教する事に意味があるのでしょうが、世間では通用しません。

他人を説得する言葉には、常に理と利が必要なのです。もしリンクを自由に張れる事の素晴らしさが世間の人に認知されたら、原則だのなんだのを持ち出さなくとも人々はそれを受け入れて従っていくでしょう。もし現状でそうなっていないのだとしたら、自由という物がそれ程素晴らしい物ではないのかも知れません。信者には不可能なことですが、合理的精神は常に懐疑的でなくてはならないのです。結果、単にそれがリンクに対する誤解に基づく物だとわかれば、自分の言葉で相手を説得することもできるかも知れません。

盲信的な信者が増えることは、要するに世間にバカが大勢いることが証明されているようであまり好ましい事ではありませんが、きちんとWWWの理念を理解した上で、それを広めることができたならば、それはとても良いことだと思います。しかし、今も、これからも、私は自分の判断に基づいて、もし必要だと思えばばリンクを張る(張った)事を相手に連絡するでしょう。ネットの世界の向こうには必ず人間が存在しており、相手が自分と同じ考えを持っているとは限らない事を知っているからです。物事をなるべく円滑に事を進めたいと私は考えており、そのために払う労力が過小であるならば、その手間を惜しむつもりはありません。

(4c) 『NGワード』

無断でリンクを張られた時、『ネットマナー』『ネチケット』と言う言葉を持ち出して反論するのは無意味です。それらは相手があなたと同じ感覚を持った集団に属している時にのみ通用します。また、現状でリンクを張る時に許可を得なくてはいけないと言うようなマナーは世間一般には認知されていません。あなたが不快感を覚えた事を表明して相手の感情に訴える事は構いませんが、『人として』『恥ずべき事』などと言っては相手の気持ちを逆なでするのは逆効果です、一面識も無いネット上の他人の心を気遣う義務はありませんし、理性的に話している(話そうとしている)相手に感情論は通用しません。

無断リンクに抗議された時、『インターネットの基本』『ウェブの原則』を持ち出してもそれだけでは意味がありません。基本には応用が、原則には例外が付き物ですので、基本原則を守る義務は誰にもありません。また、相手が感情論を持ちだしてきたら、理性的に説得するのは諦めて放置した方が良いでしょう。どうせ説得はできませんし、疲れますし、相手にはあなたの張ったリンクを止める事もできません。一応、相手が不快感を表明した時には、その不快感の程度に応じて適当な対応を取るのは常識的なマナーだと思います。もちろんその『適当な対応』のレベルはあなたの判断にまかされており、それが相手の希望に沿う形でなくとも非難される筋合いはありません。

感情的になっている相手を理詰めで説得する事は大抵は徒労に終わります。盲目的な信者相手に宗教論争を挑んでも益はありません。もしあなたがヒマな人間ならそれに付き合ってあげるのもいいでしょうが、あなたも相手の感情的な言葉に扇動されて収拾がつかなくなる事は目に見えてます。必要がなければ無視しましょう。




5.最後に

要するに、だ。降り懸かる火の粉を払うのは当然であるが、あえて火中の栗を拾う必要は無い、と言う事だ。『無断リンク禁止』だろうが『リンクフリーが原則』だろうがどっちでもよい。議論をする事で何か自分も得るものがあったと思うから、この文書を書いたことも無駄では無かったと思っているが、私はこれ以上何かをするつもりはない。もちろんネチケットサイトを開いて人々に対して(私の考えた)正しいウェブのあり方を啓蒙する気も無いし、『無断リンク禁止』と書いているサイトに飛び込んで「お前は間違っている!」と騒ぎたてる気も無い。そういうのは、そういう事が好きな人がやれば良い。

ただ、せっかく書いた文書だし、Timの『リンクの神話』の和訳は多くの人の役に立つのではないかと思うので、公開する事にした。間違いが見つかれば謹んで訂正させていただくが、基本的にはこのまま放置するつもりである。もしこの文書に価値があると思えたならば、自由に使用して貰いたい。序章で書いたように、転載や部分転載も(条件付きだが)許可するし、もちろん批評批判だって構わない。この駄文が、少しでもウェブ世界の発展に貢献することができるならば、それはそれでまあ書いた(公表した)価値があったと言うことなので、私としても何がしかの満足というモノを味わえる事だろう。


文責:ししゃものエース
初出 Feb. 07, 2003
最新 Feb. 09, 2003