* 本記事は、「日本聴力障害新聞」のご好意により転載させていただいております。

 なお、元の記事には実名が使われていますが、日本聴力障害新聞とホームページという媒体の性格の違いや、当ホームページの他ページとの統一という観点から、実名は伏せさせて頂きました。
ご了承ください。


日本聴力障害新聞7月号

 (第1面)

ろうあ高齢者に無配慮の大銀行
「連帯保証人」と仕立て上げて請求


 大手都市銀行の第一勧業銀行と三和銀行が、ろうあ高齢者を連帯保証人に仕立て上げて、3年以上にわたる裁判をおこなっています。
 「連帯保証人」に仕立て上げられ、銀行2行から合計2000万円を超える支払いと土地・家屋の明け渡しを求められたのは、東京都に住むろうあ者のKさん(75)です。
 Kさんは生まれつきのろうあ者で、契約書のような文章を読むことも困難といいます。手話できちんと説明されれば理解できますが、銀行側は契約内容の説明、保証意思の確認にあたっては、理解が困難な内容の契約書を示すだけで、手話通訳者もつけないまま、契約書に署名・捺印させていました。
 「このような高齢者・障害者への対応は許せない。契約は無効だ」と、有志による「Kさんの裁判を支援する会」が結成され、大銀行の不当な提訴と闘っています。(関連記事8面)


(第8面)
 保証意思確認せず署名させる
 銀行側、手話通訳もつけないまま
 「契約は無効」主張、Kさん断固闘う決意

 東京都三鷹市のKさん(75)は、妻のN子さんと一緒に洋服の仕立てで収入を得ながら平穏に暮らしていました。
 ところが、1996年2月のある日突然、第一勧業銀行と三和銀行から、Kさんの自宅に内容証明郵便が送付されてきました。その内容は、T工機株式会社の債務に関連するもので、Kさんが連帯保証人になっているとして債務の履行を請求するものでした。
 T工機株式会社という会社は、Kさんの義弟であるYさんが経営していた会社です。当時すでに、T工機株式会社倒産状態にあり、Yさんは「夜逃げ」して所在不明でした。
 Kさんは、連帯保証人になった覚えがなかったので、たいへん驚いて、弁護士に相談しました。
 事情をよく説明し、弁護士を通じて、銀行に対して「連帯保証契約は無効である。根抵当権も無効である」と通知しました。
 その1年後、第一勧業銀行と三和銀行が、KさんやYさんを相手取って、裁判を起こしてきたのです。(下段へ続く)

 

(第8面続き)

 第一勧業銀行の主張は、T工機株式会社が、貸している8060万円を返済しない場合は、Kさんが所有している土地・家屋を売却してお金に換えたい、Kさんの土地・家屋に設定した根抵当権設定登記が有効であると認めてほしい、というもの。また、Kさんは保証契約の意味が分かったうえで署名押印している、と主張しています。
 これに対して、Kさん側は「重要な契約で、相手は文章を読むことが困難な聴覚障害者と分かっているにもかかわらず、銀行側は手話通訳もつけないまま、何もわからないKさんに契約書を示して署名をさせた。このような契約は無効だ」と反論しています。
 「Kさんの裁判を支援する会」のメンバーは5月15日朝、東京都・日比谷にある第一勧業銀行本店前で、出勤する同社社員たちに対してビラをまき、理解と支援を訴えました。
 政府の公的資金投入によって手厚く保護される大銀行ですが、他方ではろうあ高齢者のコミュニケーションの弱点につけこんで、ろうあ高齢者がこれからの社会を生きていくために必要な財産(土地、家屋)まで、容赦なく奪い取ろうとしています。
 田口哲朗弁護士の話 聴覚障害者が連帯保証契約という将来自分の財産がなくなるかもしれないきわめて重要な契約をするにあたって、銀行側に手話通訳をつけて聴覚障害者に対し契約内容の十分な説明をすべき義務があるという極めて当然のことを、裁判所と銀行に認めさせることに意義があります。このことは、聴覚障害者の生活を守る上で極めて重要なことであり、まさに銀行のあくどい債権回収の仕方と、裁判官の人権感覚が問われています。


[PR]アナタのウラ県民性をチェック:こっそり一人で?ワイワイ皆で?診断しょ