■兜町事件簿(15巻)■

---目次---
  • 2.55億円の不正振り込みの被害届は出されたが・・(修学社)
  • オーナー社長が覚せい剤所持で逮捕(ダイナシティ)
  • 法定広告関係者のインサイダー取引(キヤノンソフトウェア)

  • (2005/8/10)
    2.55億円の不正振り込みの
    被害届は出されたが・・(修学社)

    ・・・修学社の主張によれば、事件の概要は次のとおりです・・・

    8月1日22時30分、何者かが同社の特定のパソコンを使い、みずほ銀行口座から2億5500万円を無関係の口座に振り込む予約をおこないます。 同社では、IDとパスワードを知り、同パソコンを操作する経理担当者は二人しかいないと説明しています。

    この日は、二人ともこの時刻に社内にいなかった。
    8月2日、振込は実行されます。

    同日、振り込み先国内銀行の窓口に口座の名義人が現れ、本人確認手続きの上、2億5500万円を引き出します。 もちろん、この男(たぶん何も知らない下っ端でしょう)は、銀行の監視カメラで撮影されています。

    修学社は8月4日に通帳に記帳した際、不正振り込みに気付きます。
    警察に被害届を提出します。

    ・・・・

    修学社は、内部犯行の可能性は低いと言っていますが、私はそうは思えません。

    修学社は、あのエス・サイエンス系列の学習塾です。

    同社は、10月1日にウィン(エス・サイエンス系列)と合併して、フェリックスと社名変更します。
    両社とも長期間の赤字会社で第三者割り当て増資を繰返す仕手株として、よく知られています。

    一般論を述べると、「こうした会社が増資で得た資金は、消えてなくなる例が多い」という客観的な事実があります。

    (例1)無価値な特許料に消えた志村化工の株価操作事件
    (例2)増資引受人に貸し付けた丸石自転車の架空増資事件
    (例3)価値のない中華料理店を買い取った駿河屋の架空増資事件

    増資資金を実質的には支払わずに、割当株を最終的には売り抜けるというのが、共通した手口です。

    ◆◆もちろん、今回の不正振り込みが内部の犯行と主張するつもりはありません。◆◆

    ◆◆ しかし、捜査当局におかれましては、かかる実例の多さを踏まえ、◆◆
    ◆◆より厳格に捜査していただきたいと思います◆◆

    (参考)日経コンピュータ1

    日経コンピュータ2

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    (2005/6/29)
    オーナー社長が覚せい剤所持で逮捕(ダイナシティ)

    ダイナシティ(JASDAQ)は、都心で単身やDINKS向けのマンションを分譲している企業です。
    次のチャートは、2005年6月28日のダイナシティの株価の動きです。

    後場、大量の成り行き売りを浴び、12時37分、ストップ安(36650円)に張り付きます。

    何故、売られるのか?

    一般の投資家には、分かりませんでした。
    誤発注という噂もあり、6000株の取引が成立。その後は急回復します。出来高は30,401株もありました。

    市場修了後、とんでもないニュースが流れます。

    ダイナシティの中山諭社長(42才)が覚せい剤取締法違反(所持)の現行犯で28日の午後、逮捕された。
    彼は、同社の創業者で、同社の株を148,746株(18.30%)も保有しています。

    つまり、逮捕された直後(若しくは直前?)に、何者かが大量に売っているわけです。報道もされていないのに・・・
    インサイダー取引の疑いが濃厚です。

    この日の日証金のデータです。

    インサイダー取引疑惑の日の日証金データ
    06/28 貸株 融資 差引
    新規 4.148 0.469
    返済 0 5.507
    6.35 30.268 23.918

    4148株も空売りした人を、証券取引等監視委員会は、ぜひ調べていただきたいと思います。

    さて、翌29日、ダイナシティは、社長を解任して、弟・中山豊副社長(38才)を社長に昇格させます。資料1

    しかし、ジャスダックは、ダイナシティを10時46分から取り引き停止としました。

    ロイターによれば、終日取り引き停止になった理由は「開示情報が不明確」ということです。

    その後、同社は、補足説明を公表しています。

    この資料には
    本件に関する行政機関の見解は確認中で、詳細が分かり次第お知らせする」
    って書いてありますね。

    ◆◆上場企業の社長が、覚せい剤所持の現行犯ね。◆◆
    ◆◆ こりゃ、2ちゃんねる風に言えば、「おまつり」ですね。◆◆

    (追補)同社は、顧問弁護士による見解(補足説明2)を公表しました。

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    (2005/6/11)
    法定広告関係者 のインサイダー取引
    (キヤノンソフトウェア)

    株式分割には、法定広告が義務づけられています。
    広告関係者が職業上に得た情報を株取引に悪用したら、どうなるか?
    そんな空想が、具体化したのが今回のお話です。

    ・・・2004年5月10日・・・

    キヤノンソフトウェアは、2倍分割の法定広告を6月15日に日経新聞に掲載しようと、日本経済広告社の沢中直人第八営業局長に依頼します。

    沢中は、この極秘情報が同社の株価に与える影響を吟味します。
    2倍分割など発表されても、それほど株価が上がるとも思えない・・・

    しかし、1000株単位の株だし、流動性はひくい。発表から権利落ちまで8日間。

    ひょっととすると化けるかもしれない。
    ともかく、役得は生かさねば・・・

    沢中は、5月11日と14日に合計4000株を購入します。

    沢中のインサイダー取引
    日付 始値 高値 安値 終値 出来高 分割調整後終値
    2004年4月21日 850 850 850 850 5,000 425
    2004年4月22日 856 905 855 870 13,000 435
    2004年4月23日 871 895 871 880 14,000 440
    2004年4月26日 900 940 900 940 14,000 470
    2004年4月27日 951 1,000 951 980 29,000 490
    2004年4月28日 966 1,060 966 1,050 43,000 525
    2004年4月30日 1,000 1,050 1,000 1,015 34,000 507
    2004年5月6日 1,050 1,060 1,020 1,060 21,000 530
    2004年5月7日 1,051 1,051 1,030 1,040 25,000 520
    2004年5月10日 法定広告情報入手 1,009 1,009 955 965 24,000 482
    2004年5月11日 沢中購入 865 931 865 930 18,000 465
    2004年5月12日 991 991 990 990 3,000 495
    2004年5月13日 929 929 901 901 6,000 450
    2004年5月14日 沢中購入 940 949 940 949 3,000 474
    2004年5月17日 910 910 900 900 7,000 450
    2004年5月18日 890 890 890 890 1,000 445
    2004年5月19日 890 940 873 890 17,000 445
    2004年5月20日 920 920 900 900 3,000 450
    2004年5月21日 910 910 910 910 1,000 455
    2004年5月24日 912 912 911 912 3,000 456
    2004年5月25日 919 919 890 890 5,000 445
    2004年5月26日 891 900 891 900 2,000 450
    2004年5月27日 905 915 900 915 4,000 457
    2004年5月28日 899 900 899 900 4,000 450
    2004年5月31日 899 899 850 880 9,000 440
    2004年6月1日 884 884 884 884 1,000 442
    2004年6月2日 857 884 855 884 7,000 442
    2004年6月3日 858 880 850 880 5,000 440
    2004年6月4日 851 851 851 851 1,000 425
    2004年6月7日 851 851 851 851 2,000 425
    2004年6月8日 890 890 890 890 2,000 445
    2004年6月9日 862 875 862 875 2,000 437
    2004年6月10日 875 875 875 875 1,000 437
    2004年6月11日 883 898 883 898 6,000 449
    2004年6月14日 市場終了後、分割発表 900 900 890 890 6,000 445
    2004年6月15日 朝刊に法定広告掲載
    990 (ストップ高比例配分なし)
    0 495
    2004年6月16日
    1,090 (ストップ高比例配分なし)
    0 545
    2004年6月17日
    1,290 (ストップ高比例配分なし)
    0 645
    2004年6月18日 沢中、売抜 1,690 1,690 1,580 1,630 279,000 815
    2004年6月21日 1,600 1,600 1,500 1,508 67,000 754
    2004年6月22日 1,500 1,535 1,500 1,501 40,000 750
    2004年6月23日 1,506 1,530 1,501 1,526 36,000 763
    2004年6月24日 分割権利付最終日 1,585 1,585 1,532 1,540 58,000 770
    2004年6月25日 権利落ち日 778 797 770 797 58,000 797
    2004年6月28日 800 830 799 830 42,000 830

    その後、株価は値下がり。沢中の我慢の日は続きます。

    6月14日、市場終了後、2倍分割発表。

    3日連続ストップ高。1000株単位、かつ流動性が乏しいために比例配分もありません。

    沢中の毎日は幸福で輝きます。 18日には高値のストップ幅は、2倍に拡大されます。

    寄り付き1690円!

    このタイミングで買った人は、当然高値づかみです。
    株が上手な沢中は、この日4000株を売却して、280万円も儲けたそうです。

    ・・・一年後の2005年6月10日・・・・

    証券取引等監視委員会は、インサイダー疑惑で沢中を告発します。

    ◆◆日本経済広告社は、同日付で沢中を懲戒解雇。◆◆

    ◆◆ それにしても、一ヶ月以上も前に、広告を依頼したキヤノンソフトウェアの情報管理にも◆◆
    ◆◆問題はなかったのでしょうか? ◆◆

    (参考)日経新聞朝刊(2005年6月11日)を参考に書きました。

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