選挙系withクレイジー・インザ・ukなど
<著者: 亀頭 顎間接>
(1)JEA
オープニングタイトル、「ニュースソテーション」、中年の男が一礼。
「こんばんわ、米宏です。昨日の参院選では、投票率97.2%という数字が出てしまいました。
日本はどうなちゃってるんでしょうね、酢飢沼さん」
「先進国の中でこれ程高い投票率を出している国は無いですよ。もはや国辱といっても過言ではないと思いますよ。」
〜某都市JEA前〜
近代的な建物の前にオッサンの群がたむろしている。耳に鉛筆、左手に新聞、右手にワンカップないし缶ビール目はいくつも並んだ画面に、口はおのおの絶叫している。
「差せ、馬鹿野郎。」
「逃げろ、逃げろ。」
やがての長丁場のレースは終了し、あるオッサンは狂喜乱舞を、あるオッサンは手元の券を破り捨てるのを、それぞれした。
この制度の歴史はアメリカのある州に始まった。投票率低下に悩むその州で、州知事選で実施されて驚異的な投票率をはじきだして以来、この制度は先進国に徐々に広まっていった。投票率増加、莫大な新規財源、政治的無関心の打破を成し遂げたこの制度だが、知識人の評判はすこぶる悪い。
日本ではJEA(ジャパン・イレクション・アソシエイツ)または日本選挙協会と呼ばれ、JRA(日本中央競馬会)と並ぶ公営ギャンブルとして政府財源を支えている。
(2)ネット民主制
2035年
桐生は仕事を終えて帰宅し、まずネットにアクセスした。ホームページには6件のアクセスがある。「在宅盆栽家の集い」という彼のホームページの一日平均アクセス数は二・四件だから、今日は格段に多いといってよい。桐生はにやにやしながらメールを読んだ。
続いて「ネット民主主義」のページを開いた。本日の議案は1466784件だ。桐生は検索プログラム「金太郎Ver20/22」にそれらをかけた。
検索プログラムが桐生の志向に合わせて、四件の議案を抽出する。
「議案・・・05号 障害者AV規制法。
・・・・・・・号 障害者AV援助法
・・・・・・・・号 対コートジヴォアール共和国宣戦布告決議
・・・・・・・・・・・号 非無機質コンタクトレンズ規制法」
毎日毎日、どこぞの聞いたことのないような国への宣戦布告決議が議案にかけられている。百人の賛同者があれば、議案は提出できるから、キ○ガイのちょっとした思いつきで宣戦布告決議が提出される。しかし可決されたことは一度しかない。・・・・五ヶ月ほど前にカリフォルニア独立地区に宣戦布告をしてしまって大騒ぎになったあの一度だけ。以来検索プログラムは、宣戦布告決議を優先的に検索するように法で義務付けられている。
まったく、あの騒ぎのせいで桐生の勤めるマグロソフト社も大混乱したものだ。検索プログラム最大のシェアを誇る「金太郎」シリーズはマグロソフト社製だからだ。桐生もここ五ヶ月は毎日残業である。
四件にぞんざいな投票を行ってから、桐生は自らの手で百万件の議案からある一件を検索し始めた。この議案はシェア80%を誇る金太郎シリーズには絶対に検索されないようになっている。何故なら桐生達のプロジェクトチームがそのようにプログラミングしたからだ。
長い時間をかけて、桐生はその議案を見つけた。
「議案358902号 マグロソフト社全権委任法」
109対22の大差でこの法案は可決され、マグロソフト社は行政の全権を委任された。
(3)アナーキーインザuk
刺激が強いので今回は割愛。
(4)酒税法改正
「酒税課だ、開けろ。」
税務署員がワーッと入ってきてその家の酒を飲み倒していった。次の家へ押し入っていく。
「煙草税課だ、開けろ。」
税務署員がワーッと入ってきてその家の煙草を吸い倒していった。次の家へ押し入っていく。
「ガソリン税課だ、開けろ。」
税務署員がワーッと入ってきてその家のクルマに乗ると、夜のドライブへ出かけていった。
「住民税課だ、開けろ。」
税務署員がワーッと入ってきてその家の男も女も強姦していった。次の家へ押し入っていく。
「ただいま港区周辺に税務署員が上陸した模様です。付近の住民の皆様は十分に注意をして下さい。」
こうして年度末確定申告の時期には市民は恐れおののくのである。年間400%のギガ・インフレが起こってからすべての税金は税務署員が現物徴収することになっていた。
<了>