クロノトリガーというゲームは、堀井雄二氏、坂口博信氏、鳥山明氏の「ドリームプロジェクト」によって作られた夢のゲームである。
・・・・てな感じの事が、トリガー発売時の宣伝文句だったように思う。この効果は絶大で、トリガーが200万本をこえるヒットとなったのもこの3人の名前のおかげだろう。確かにトリガーはいいゲームだけれども。ドリームプロジェクトの名前なしにはそこまでのヒットになったとは思えない。
けれども、僕は前々からず〜〜〜〜っと思っていたことがある。トリガーの最大の売りはこの3人の名前であった。しかし、この3人は実際どのくらいクロノトリガーというゲームの開発に関わっていたのか?
こんなことを思うのにも訳がある。
「堀井雄二氏は、実はクロノトリガーの脚本を(ほとんど)担当してはいない」 からである。
・・・けっこう有名だと思っていたこの事実、ネットでいろんなとこを回ってみるに、まだまだ知らない人はたくさんいる様子。
僕が詳細についてうだうだ説明するよりも、光田康典氏のページにある「お友達」の加藤正人氏の所を読んでもらった方が早い。
それに加えて、正式な名前がわからなくて申し訳ないのだが、集英社のVジャンプのクロノトリガー攻略本というものに、堀井雄二氏・坂口博信氏のインタビューが載っている。それによると
「僕は今回、プロット(あらすじ、下書き)のみの参加だったんですけど・・・(略)」と堀井雄二氏が自ら語っている。
さらにその後で、スクウェアのスタッフの千年祭の作りこみ具合に驚いた、的なことを堀井氏は述べている。つまり、(少なくとも千年祭の部分においては)堀井氏は演出などにも口を出していなかった、ということになる。
以上の情報をまとめると、堀井氏は
「ストーリーのプロット、それも序盤のものを書いたが、それのみの参加であった」 らしいのである。
スタッフロールを見てもわかるように、「ストーリープラン」を行なったのは堀井氏ではなく加藤氏なのだ。
堀井氏でないからクロノクロスはダメ、とか、次回作はまた堀井氏に書いて欲しい、とかの意見をネット上ではよく見かける。でも、そもそも堀井氏はトリガーにおいてほとんど開発には携わっていないんである。
次に坂口氏であるが、この人については、先のVジャンプの攻略本のインタビューで、どうやらモンスターの調整だとか、そーいう仕事をやっていた事は明かにされている。
ストーリー面に関しては、先の光田氏のページの加藤氏の所に
「ストーリーを書いたのは、上の企画の人達(たぶんドリームプロジェクトのこと)ってことにしようか」と、スクウェアの偉い人が言ったと書いてある。
このような発言が出ること自体、坂口氏がストーリーに深く関わっていない事の証明である。
鳥山氏はキャラクターデザインだからいいとしても、他の2人は、少なくとも「これはドリームプロジェクトが”作った”作品だ」といえるほど充分に開発にかかわってはいなかったということになる。
では、トリガー発売時のあの宣伝文句は嘘だったのか? ・・・・と聞かれると、実はそうでもない。
角川書店・マルカツスーパーファミコンの、トリガーが発売された直後の号に、トリガーのプロデューサー・青木氏をはじめとする開発スタッフ座談会のようなものがある。その中で青木氏は
「うちの坂口が堀井・鳥山両氏にお会いして、何かを作ろう、となった所から始まりまして・・(略)」 と言っている。
ということは、クロノトリガーという”企画”を生み出したのは、やはり他ならぬドリームプロジェクトの面々であったわけである。青木氏、加藤氏、光田氏といった開発スタッフが「育ての親」であるなら、ドリームプロジェクトは「生みの親」ということだ。
しかし、トリガーの賛辞が直接ドリームプロジェクトへの賛辞に繋がってしまうのは、自分としては悲しい。別にドリームプロジェクトを批判したいわけじゃないが、本当は違う人達が作ったのに、誉められるのは有名な3人ばかり。
同じ人達が作ったのに、有名な3人がいないという理由でダメだと叩かれる。(もちろんそんな人ばかりじゃない事は理解してますよ)
トリガーを売るためには、ドリームプロジェクトの名前を前面に押し出す必要があった。それはわかる。でもそのしわ寄せは続編のクロスにきてしまっているのではなかろうか。
今回のはただのちょっとした裏話。
スクウェア3大RPGの1角を担う聖剣伝説シリーズ。2002年9月28日現在までに4本の作品が発売されており、GBAでの新作もすでに発表されている。
だがその聖剣シリーズが世に出たという事が、実は偶然の産物であったということをみなさんはご存知であろうか?
徳間書店・ファミリーコンピュータマガジンのFF5が出る直前の号あたりで、FF5と聖剣2の特集を組んだ付録があり、その中で聖剣2の開発スタッフへのインタビューがあった。そしてそこにはこう記されていた。
「実はこのゲーム、開発初期は”聖剣伝説2”という名前ではなかったんですよ。もともと違うタイトルのゲームとして開発が進められていたんですが、雑誌に発表しようという頃になって、ある理由でそのタイトルでは発表できなくなってしまったんですよ。そこで急遽、”聖剣伝説2”というタイトルにして発表しようということになったんです。」
つまり、もともと「聖剣伝説2」なんてゲームは開発されていなかったんである。聖剣2の前身となった「あるゲーム」があり、それがたまたま名前を変更しなくてはならなくなったために「聖剣2」になっただけのことである。
もちろん名前が変わってからは、聖剣伝説用にザコが作られたり、ストーリーの変更があったりと、いろいろな変更が加えられたんだろう。そうして「聖剣伝説2」は確かに誕生した。しかしそれは、前作「FF外伝 聖剣伝説」の続編として1から作られたゲームではないのだ。(タイトルから”FF外伝”が抜けたのはこういう事情があったから、てのも理由の1つだろう)
※余談になるが、聖剣2は当初4月発売予定だったのが、7月にまでその発売日を延期している。これは「聖剣伝説2」にタイトルを変更した事による、ストーリーや設定の書き直し・辻褄合わせに時間を取られたためではないか、と僕は予想している。
もしも「あるゲーム」の名前変更がなければ、聖剣伝説シリーズは世の中に存在しなかったかもしれないのだ。聖剣シリーズというものは、まさしく「棚からぼた餅」的な幸運で続いたゲームなんである。
ちょい前に、ゲームメーカーと中古ゲームショップによる裁判があって、そんときは中古側が勝った。まだ続くらしいけど。
で、僕としては、中古はたしかに利用しているんだけども、全面的に賛成ってなわけでもない。その理由を話すには、まず1995年の秋に起こった「ある事件」について知ってもらわなければなりますまい。
1995年・秋。当時絶好調だったスクウェアは、その勢いにのせて人気シリーズの最新作「聖剣伝説3」を発売した。前作「聖剣伝説2」はミリオンを超える大ヒットとなっており、その人気と当時のスクウェアの勢いからすればミリオンは当然・・・とはいわないまでも、ミリオンを超えてもなんら不思議はない状況だった。発売日は9月30日。
そして同じく1995年の秋、ゲーム雑誌で巻頭特集を組まれるほどに注目を浴びていた1つのゲームがあった。その名は「タクティクスオウガ」。人気を博したシミュレーションRPG「伝説のオウガバトル」の続編にあたり、これまた当時の最大注目株の一つであることは疑いようもないゲームであった。その発売日は・・・・・ なんと10月6日!!
上に挙げた2本のゲーム、発売日が日数にして6日しか離れていないんである。大作RPG2本が1週間以内に続けて発売!! どこぞの狂言師もびっくりの大ブッキングだ。
当時のSFCのソフトは1本1万円を越えるか越えないかといった高額商品。2本とも買うのは経済的に厳しい人が大多数で、結果としてこの2本は共倒れに終わった。
聖剣3の推定販売本数は80万本ほどで、結局ミリオンには届かなかった。タクティクスオウガは詳しい販売本数はわからないが、年間売上で聖剣3を下回っていたので80万より少ない事は確かだろう。
両方とも、単独で発売されればミリオン突破していたかもしれないのに、この「ブッキング事件」のせいで両者とも売上を損ねる結果になってしまった。
で、これがどう中古問題と関係があるのか?
このよーなブッキング事件が起こった場合、両方とも買うのが無理ならば、先にどちらか1方を買っておいて、それをクリアしたらもう1方を買う、という流れになるだろう。
ここで出てくるのが中古屋である。たとえば今回の場合、タクティクスオウガを先に買ってクリアし、聖剣3を買おうということになった場合、新品を買うよりも値段の安い中古を買おうということになるだろう。そして中古ソフトは買われても、メーカーに金が入らないし売上としても数えられないだろう。
つまりは、たとえ聖剣3がブッキングしていたとしても、中古販売という概念がなければ、欲しい人は新品を買うほかなく、もっと売上が伸びていたはずだろうと。
ファンの方ならご存知かもしれないが、聖剣伝説は2と3の間が約2年だったのに対し、3とLOMの間は3年と9ヶ月もの開きがある。なぜこんなにも期間があいてしまったかというと
などが考えられるが(2は人から聞いた情報なので真偽は定かではないが。菊田氏は確実だけど)、僕としてはもう一つの理由として
「聖剣シリーズの売上不振」
を挙げたい。この当時のスクウェアは、
FF6:255万本 クロノトリガー:210万本 ロマサガ3:130万本
とミリオン突破を連発する「最盛期」であった。もちろんライブ・ア・ライブ、フロントミッションなどの単発・特殊作品はミリオンには届いていなかったが、聖剣3は人気シリーズの最新作として世に出たものであり、ミリオン突破の可能性は充分にあった。
だが、前述のブッキング事件があったとはいえ、結果は80万本。大作・シリーズものではほとんどミリオンを越えてきたスクウェアの中にぽっかりと穴をあけてしまう形になった。
このような理由があったから、田中氏は聖剣伝説から離れてしまったのではないか? もちろん、これは僕の勝手な予測であり事実とは全然違うかもしれない。
しかしもしも僕が言ったように売上不振が続編の出なかった理由の一つならば、手放しで中古販売を受け入れる気にもならないのである。いや、利用してるんだけどね・・・・
中古店のなかには、利益の1部をメーカーに還元して共存をはかろうとする所もあるのだとか。それが販売本数などにもプラスされるのであれば、できればみんながそのような形で丸く収まってくれるといいと思うんだが