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悪徳ビジネスに用いられる
心理操作の理論的背景


ここでは、悪徳ビジネスに特徴的な心理操作についてお話します。

 「マインドコントロール」という言葉は今では、「世間と考えのずれた危険な人間を作る」もので、それを受けた人間を差別するような意味合いも持つようになってしまいました。しかし、それは誤解です。「マインドコントロール」とは、元々人間の心理が持っている性質を使用して、「これは自分で選択した」と思わせながら、実は「特定の人物や組織の利益に寄与するように選択の方向を操作し行動させる」と言うのがふさわしい定義のようです。(資料が手元にないので正確な引用ではありませんが、意味合いはあっているはずです。)
 マインドコントロールには短時間相手を支配する「一時的マインドコントロール」と年単位で相手を支配し続ける「永続的マインドコントロール」の二種類があります。「一時的マインドコントロール」は、最終的に「永続的マインドコントロール」に結びつけるために行われる場合(宗教カルトへの入信など〕と、単に相手に不利な契約を承諾させて利益を上げる(会員権の電話販売など)に分けられます。


一時的マインドコントロールについて  悪徳治療施設で行われるマインドコントロールは、「一時的」なものに留まる可能性が高いため、 ここではそれを支える理論的背景について説明します。  マインドコントロールの原理の説明は「社会心理学」の立場からのものが有効のようです。社会心 理学は、仮説検証型の科学的立場に立つもので、膨大な成果が上がっていますが、患者さんの観察を 主体とする臨床心理学や精神医学の立場からは取っつきにくく、臨床家でこの知識を持っている人は 少ないようです。臨床家自身も多くの局面でこの原理を経験的に応用していますが、治療技法と結び つけられた論文を寡聞にして私はまだ目にしたことがありません。  社会心理学の立場に立つ研究者によると、一時的マインドコントロールを支える原理としては「希 少性」「コントラスト」「社会的証明・権威」「好意」「返報性」「集団への同調」「一貫性」「情 報のコントロール」などが挙げられるとされています。


希少性
社会的証明・権威
好意
返報性
コントラスト
集団への同調
一貫性とコミットメント

 多少理屈っぽいかもしれませんが、ご笑覧いただければ幸いです。

 私は、ケーススタディに挙げたたとえ話を含めて、この種のお話は「これから傷つかないため」の
知識を広めるというより、「すでに傷ついた方」に向けてしているつもりです。
 私は、この治療者に限らず、悪意を持った自称治療者に意図的に巻き込まれ、傷つけられ、なお何
が起こったかわからず自分を責めている方にはどうしても情報が必要と考えます。何が起きたか理解
し、自分を責める必要がないことを知ることが、絶対に必要だと思うのです。

 なぜなら、このようなやり方で傷つけられると、「信じる力」を傷つけられるからです。何となく
無意識に、常識的に信じていたことに裏切られ、信じる勇気をくじかれるからです。何も信じないで
生きていける人はいません。もう一度、誰かを信じ、助けを求め、安心して話せる人を捜し・・・そ
して、自分の困難と向き合うために何が起こったかきちんと知ることは、そういう方々にとって、と
ても大切なことだと私は考えています。


【参考文献】「影響力の武器」ロバート・B・チャルディーニ著/誠信書房(1991)
      「マインド・コントロールとは何か」西田 公昭著/紀伊国屋書店(1995)


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