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Report Date  2001/08/20

  付加価値の提供が最大目的−アフィリエイトインタビュー
リチャード・チェン氏(趣味サイトでAmazon.comプログラムに参加)

「ある日、家に帰ったら小切手が届いていた。」と語るチェン氏のサイトは、1ページだけのシンプルなもの。そのサイトに日々多くのユーザが訪れ、「ビール代で消えちゃう」くらいのコミッションをもたらす。さて、その内容は・・・。


+ + +


「へー、このCMのバッグミュージックいいなあ。なんて曲なんだろう。」

後で調べてみよう、そう思いつつ結局そのままという体験をお持ちの方は少なくないでしょう。日本では曲名やシンガー名が表示されることが多いのですが、アメリカではまずでないそうです。 そうなると、企業サイトを訪問するか(でも載っているとは限らない)、広報担当者に電話して問合せをするか(普通そこまでして調べないよな)。

そんなCMソングが掲示板やコラムで話題になった時に、「このサイトに行けばわかるよ」と紹介されるのが、このサイトです。

Music from TV Commercials (U.S. Broadcasts)

今回は、趣味で作ったCMソングのサイトでAmazon.comのアソシエイト・プログラムに参加しているリチャード・チェン氏にお話を聞いてみました。


  なぜかデジカメ・台所用品まで?    UP

完全にビール代で消えちゃいますよ。これで稼ごうなんて思ったら全然割に合わない仕事です。

   先にレポートメールを見せてもらった。
Amazon.comは「アソシエイト・セントラル」というアソシエイトの専用画面で、期間を指定してリアルタイムのレポートを見ることができるが、それ以外にも、四半期(3ヶ月)毎に、メールで売り上げた商品名とその金額・コミッションを一覧で送ってくる。

商品金額合計US$6,314.66
コミッションUS$318.09
商品数422

このサイト経由でAmazon.comを訪れた人が購入した金額は、日本円で約77万円。
しかしここで取り上げる理由はこの金額ではない。そのレポートに記された商品である。

えっ?なんでキッチン用品?って思いましたよ。デジカメまで売れているし。

   そう、チェン氏のサイトは見てもらえばわかる通り、サイトで取り上げたひとつひとつのCMソングから、「ここで試聴できますよ。」と、サンプル音楽を聞かせるためにAmazon.comにリンクを張っているにすぎない。なのに、全然関係のないものがどんどん売れているのだ。書籍にいたっては、経済学のテキストから小説まで、ジャンルに関係なく購入されている。

書籍79冊(75種類)
音楽CD316個(198種類)
家電製品1個(1種類)
ビデオ25個(25種類)
キッチン用品1個(1種類)


サイトに来た人を常に留めてもうちょっといろいろなものを買い物させる。アマゾンはそこがスゴイのかも。ショッピング・アズ・エンターテイメントみたいなところがありますよね

   まるで付箋紙を貼る感覚で、気軽にショッピングカートに気に入ったものを放り込むことができるのがAmazonの特徴。例えばAmazon.co.jpの場合、その日に購入手続きしなくても、90日間はショッピングカートに残っているので、「一定金額越えれば送料無料だし、とりあえず入れておこう。後で購入する時に、本当に必要なものだけ残せばいいし。」と思えるのだ。(結局、買っちゃうのだが。)


  口コミは「積もっていく」    UP

完全にお遊びのサイト。まだ学生やっていた頃に、CMソングをリサーチしていた。その情報、せっかくだしもったいないんでアップしちゃおうか、と。これで何かしようなんていう考えもないので、いまだにジオシティーズ()です。
※無料ホームページサービス 日本版→ http://www.geocities.co.jp/

   サイトのデザインも凝っているわけでなく、ページは一枚だけ。企業名、CM名、アーティストや作曲家、そして曲前にAmazon.com試聴ページへのリンクが張ってあるというシンプルなもの。しかし、ユニークユーザ数は17000人/月にもなる。

検索エンジンに最初ちょっと登録したくらいで、特に告知活動とかはやっていないですよ。ただ、いろいろメーリングリストに参加していたんで、関連する話題の時には『ああ、それならここに一覧でまとめてあるよ』ってメールで投げていたくらい。

   ところが、無料アクセス解析ソフトで、リファラー(どこからサイトにやってきたのか)を見ると、メジャーサイトのコラムなどで取り上げられ、そこから一日で1000人以上の人がやってきたりしていることも分る。

MSN Slate・・・TVCMの音楽についてとりあげたコラム
Tech TV・・・コンピュータ・インターネット関連の番組を放送するテレビ局のサイト
Plastic

また、ここ最近はgoogleからやってくる人が急激に増えているそうだが、そのgoogleで「commercials(コマーシャル)」と検索すると、上から3番目に表示される。確かに、ここからだけでも相当なアクセスだろう。
Google「commercials」検索結果

日本の2chもそうだけど、最近は、MLとか掲示板とかコミュニティの発言はちゃんとデータベース化されていて、検索できるでしょ。だから大昔に紹介されたものを、誰かがまた見つけ出して、ブックマークしたり他人に紹介したりする。そういうのが、積もっていっちゃうんだよね。アメリカでは、最近のデファクトはGoogleかAOLなんだけど、そこでリンクが増えトラフィックが発生して、またリンクが増える。そういう積み重ねでアクセスも増えたり、いろいろコラムとかで紹介されたりするようになるね。

   その点では、Googleロジックにより、この傾向はさらに加速されるかもしれない。
Google人気の秘密


  プラスアルファの価値提供が、一番の目的    UP

   さて、アフィリエイト・プログラムに話を戻そう。
そもそも、どうしてAmazon.comのアソシエイト・プログラムに参加したのか?

サンプルが試聴できるページにリンクさせられればそれでよかった。CDNowにしなかったのは、当時Amazonのほうが、サンプルで聞ける数が多かったから。
サンプルページへのリンク、僕にとっての一番のメリットは、『訪問者に音楽を試聴してもらえるようにすること』。見つけた曲をすぐに聴いてもらえるという価値の提供が重要なんであって、その後買ってくれるかどうかはどうでもいい。

日本もアメリカもそうだけど、いろんなジャンルでマニアックな人って多いで しょ。僕だって『CMミュージックおたく』みたいなことをやっているわけだし。興味あることについて集めた情報と知識を、ネットという場を使って人に公開していく、その情報はいろいろな人にとって価値が高いものになる。自分でひとつひとつ調べたら大変なはず。そういうリソースをAmazon.comは上手に活用しているんだと思う。悪い言い方をすれば『利用されている』のかもしれないけど、ビール代程度とは言え、お小遣いが入ってくれば嬉しいわけだし、サンプルページへのリンクは自分にとって付加価値だから、Win-Winな関係なんだと思う。


  サイトのアップデートはやっぱり大変    UP

   ところで、どのくらい手がかかるもんなんですか?

今は仕事が忙しくって。8月1日に少しだけ更新したけど、その前は4ヶ月間くらい放っておいたまま。ページ作るのは簡単だけど、ひとつひとつ調べていくのはなかなか骨が折れる作業。ところがいつまでも更新しないでいると、訪問ユーザから届くメールの内容が変わってくるんですよ。

   なんでも「役にたつサイトですね」「これからも頑張ってください」という感謝・激励のメールが、徐々に『あのCMの曲は何か教えて欲しい』といったリクエストメールに変わってくるのだという。その数も半端ではない。

確かにプレッシャーにはなるよね。だからリクエストがあったのだけ集めておいて、一気に更新したりもする。でも、コラムでも紹介されたり、これだけブックマークして来てくれる人がいると、やめますって言えなくなるよ。

   そう、このサイトへの訪問者は圧倒的にブックマークから。使える情報サイトの証かもしれない。


  ECサイトにも付加価値の提供を求める    UP

バナーを張って、クリック何円とか、一登録で1000円っていうのがあるでしょ。条件がいいものを選んで参加したり。アド・ネットワークにも参加したことがあるけど、2年間でやっと600円くらい。これじゃワークしないよね。日本でもアフィリエイトを選んで参加するものがあるけど、クリックしていくらのものが多い。それじゃクリックしたその先に、何もないじゃないですか。サンプルを見たりしてその場で買う。せっかく来てもらったんだからもう少し残ってもらって買い物をしてもらう。そういう形でないと、この仕組みってうまくいかないと思う。

   日本のアフィリエイト・プログラムでは、ECサイトが自社サイトの利用顧客に対して参加を呼びかけるものより、アド・ネットワークの延長上のような認知がされているケースのほうが多い。

それでは、順序が逆。価値のある情報をサイトで公開している人がいて、それを見にくる人がいて、たまたまその先で商業活動が発生したらコミッションを払うよ、アフィリエイトはそういうスキームなんだと思う。

さっき話したような、いろいろなジャンルのちょっとマニアックなくらいの人達の活動を、うまく自分たちのショップとリンクさせて、かつ、ここでお金が発生しますよ、という以外にも、サンプルが聞けます、などプラスアルファのメリットを提供してあげられないと、WinWinな関係にならないと思う。

   そして追加してくれた。

でも、やっぱり自分で実際にサイトを運営したり、アフィリエイトになってみないと、この感覚ってわからないと思うけどね。

   自分のサイトにはどんな人がどんな所から来ているのかな?どんなキーワードをたたいて見つけたんだろう?とアクセスログを分析したり、メールで寄せられた訪問者のナマの声を聞いたりするのと、アフィリエイト・レポートをチェックして、訪問者のその後の動きを調べたりする行為は、すべて一直線上にあるということかもしれないですね。

多くの人がネットの上を目的を持って動いているという事実を、実感としてつかむためにも、まずは自分の個人サイトを作ってみて、いろいろなアフィリエイト・プログラムに参加してみることが肝心。

アフィリエイト・プログラムに関わっているECサイトや仲介サービスの方、いかがですか?


  比例しないページ訪問者と売上げの関係    UP

最後に、サイト訪問者数とAmazon.comの売上げデータを見せてもらった。

 2000年7月2001年7月
サイトページビュー2,69334,973
サイトユニークユーザ数1,58317,539
[A]クリック数1,88222,998
[A]ユニークユーザ数9159,142
[A]売上げ商品数53186
[A]売上げ合計金額$683.10$2,600.82
[A]コミッション金額$34.10$130.05


先月7月の数値と、ちょうど一年前のものを並べてみた。上二行は、無料アクセスログ集計ツールによるWEBサイトのデータ、[A]とついているものは、アマゾンのオンラインレポート。

アマゾンを訪れるユニークユーザ数までは、大体10倍くらいの伸びで比例しているが、売上げ商品数は3.5倍、合計金額は3.8倍にとどまっている。サイトで紹介している音楽の数、アマゾン側の問題、更新頻度・・・など、いろいろな要素があるのだろう、とは思うが、単純に「たくさん人が来てくれれば成果も伸びる」というわけではなさそうだ。


− ◇ − ◇ − ◇ −

ちなみに、今回お話を伺ったリチャード・チェン氏は、
メールマーケティング会社「オプトメール」の代表取締役社長でもあり、普段は大変お忙しい方。

オプトメール
http://www.optomail.co.jp/

「暇で遊んでいるわけではないです!>> 株主の皆様」とのことでした。
どうもありがとうございました。



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