銀河漂流バイファム
〜縦割りキャンプin宇宙〜
宇宙植民を巡る異星人ククトとの戦争に巻き込まれ、練習船ジェイナスに取り残された子供13人。子供達はククト人に拉致された自分たちの親に会うため、戦火のなかジェイナスを駆りククト星を目指して旅をする・・・。
リアルタイムで見ていた人々から圧倒的な支持を受けるこの作品。僕は本放送時は小学生。全くこのアニメを見ておらず、この年になって初めて全話見ました。
とても、面白かったです。この作品は僕には「ロボットアニメのビュ−ティフルドリーマー」という風に映りましたねぇ(まあ、ビューティフルドリーマーの方が後ですけど)。戦争と子供というものは、ロボットアニメの必須形式ですが、「ガンダム」などを始めとする多くのアニメは戦争そのものをテーマとし、戦争にまつわる人間の業や戦うことを通じて少年達が感じる苦悩を描いていることが多いです。しかし、バイファムはそういう「戦争」の色が非常に薄く、その設定を利用して「1カ所に閉じこめられた子供達」というシチュエーションを描くことがその目的に思えます。子供達だけで過ごさなくてはならない状況が、たまたま戦争だったという感じですね。
とにかく戦闘が少ない。大人が全員死ぬまではでっかい闘いが続きますが、子供だけになってからは、大規模な戦闘は無くなります。まあ、子供達だけでシリアスな大規模戦闘を勝ち抜ける訳がないので、当然のことなんだけど・・・。その上、ご丁寧にもジェイナスには「ガーディアン」というモノリス状の遺跡が載せられていて、これがあると敵のコンピューターが狂ってしまう。この護符のおかげで子供達は敵の大きな攻撃に全く遭うことなく、旅をすることができるんですねぇ(実は大人達がジェイナスに乗っていた時からあるのだが、子供達だけになってから効き目が現れる。その目的は明らか)。加えてジェイナス号に備え付けのコンピューターは非常に優秀。これだけの助けのもと、子供達は適当に戦争の真似事をするだけで生き残れてしまうのです。目の前に立ちふさがる障害がかなり低い。つまり、子供達はいわゆる「衣食住を保証されたサバイバル」を過ごすことに・・・。
その状況で視聴者が目にするのは、ジェイナス号で延々と続く子供達の群集劇。これが非常に楽しい。リーダーとしての責任の重さに汲々とするスコット、「戦争」が好きでしょうがない無邪気なケンツ、子供のおもりで疲れてヒステリーを起こすクレア、どんな時でもとぼけたことしか言わないシャロン、「敵」であるククトの生まれであることに苦しむカチュア。閉じこめられた艦内では様々な事件が毎回起こります。この「バイファム」の特徴は等身大で年相応の少年達が描かれていることです。「ガンダム」のブライト&ミライと作品内での役割が同じであるスコット&クレアのカップルの描き方の見たらわかりやすいですが、そこでは年の差や性格による差異はあれ、突出した能力を持つたスーパーマンや異様に老成した子供は一人もいず、みんながともに喜び、ともにうろたえ、そして、ともに泣いています。
13人ものキャラを満遍なく扱うってのはなかなか大変だと思うんですが、この作品はほぼ全てのキャラが生きています。これはなかなかすごい。まあ、もちろんそれがこの作品の目的なので、これが描けているのは当然なのですが、にしてもキャラが輝いていますね。特に中盤はキャラドラマとしては非常に良い出来。僕はエヴァンゲリオンでもガンダムでも戦闘の間の何気ないシーンにときめいたりする方だったので、戦闘の合間のシーンこそ本題というバイファムには親和性を非常に感じました。こういう同じ舞台でのキャラドラマは「究極超人あ〜る」のようにまったりしがちで、見る人によっては退屈に映りかねません。しかし、そこで「戦争」というスパイスが効いてる。これが地上の学校の教室で行われたりすると全くナンの変哲もない話になるところ。そこを適度に起こる戦闘と戦争が引き起こすハードなドラマのおかげで緊張感は常に保たれました。戦争を描いていないと言いながら、戦争という設定はしっかりと利用しているというのは巧妙ですな。
そして忘れちゃいけない、その全体に漂うお気楽80年代的なムード。これがたまらん。
戦争中にもかかわらず、どこかとぼけたそのノリ。第1話で戦闘中に主人公格ロディとフレッドの兄弟が敵の攻撃から逃げているシーン、弟のフレッドが突然座り込んでしまいます。その理由はオシッコをもらして恥ずかしいから逃げるのヤダというもの。そこで兄は弾が雨あられと降るなか、弟のパンツを取りに戻るのでした。1話目でこういうシーンが出てくるところに、「バイファムってこういう感じでやっていきまっせ!」という気概を感じるのです。作中でもシリアスになりきらないように、常に笑いの感触を残しています。「ドクタースランプ」を彷彿とさせる芦田豊雄のキャラクターデザインやここぞという時のエロ本とも相まって、80年代大好きッ子の私にはたまらないムードが・・・。
こんな甘美な世界を作られてしまったら「このまま、お父さんとお母さんが見つからなかったらいいのに・・・」と思ってしまうのは僕だけでしょうか。戦闘すら思い出作り。こんな楽しい林間学校がいつまでも続いてくれないかな!みんなと一緒にいられたらなあ!「母をたずねて三千里」では10話ぐらいでお母さんが見つからんもんかと思ったボクですが、「バイファム」に関してはこのままこの旅がずっとずっと続かないだろうかと思いながら見ていたものです。
しかし、子供達は最後まで親と再会する意欲を失わず、そして、全てが終わった最後の別れ際も非常にすっきりしたものでした。個人的には余りにもスマートなこのラストには少し寂しいモノを感じましたが・・・まあ、これでよかったんでしょうねぇ。むしろ、この終わり方はこの作品の美点で志の高いところと言えるかも知れません。今のテレビ東京のアニメでこういうのをやって、しかも人気が出てしまったりすると、延々とキャラ漫才とドタバタで埋め尽くしていつの間にか物語の収集をつけるのを忘れていた・・・なんてことになってしまいそうなところ。「ナデシコ」みたいにっ。作り手的にも自分たちの作ったキャラをこれだけ動かせたら、延々とキャラドラマだけやっていたい気持ちにとらわれるはず・・・。しかしこの話はキャラドラマも展開しつつ、本筋のストーリーラインもきちんと追い続けて、かつ物語の決着もつけた。前向きな作品だなぁと思いました。結果的に、キャラドラマとストーリー、シリアスとコメディのバランスも非常にいい感じに・・・。
大人が良い奴ばっかり、親子の絆が強い、子供が等身大でかわいげがある、SF考証や専門用語がやたら盛り込んである・・・・同じサンライズロボアニメでも富野作品とはかけ離れた要素ばかりで構成された本作。後半はどうもスポンサー絡みで路線変更があったようで戦闘が必ず入るようになり、大人や別の子供達との絡みが発生したりして、「子供だけの世界」という世界観の徹底度がかなり下がってしまったのは残念でしたが・・・それでもなお、この作品は傑作だと思いますねぇ。明るいキャラと軽さと重さを混在させる80年代的ムードが好きな人なら、誰もが好きになってしまう作品ではないでしょうか。ボクは月刊アウトの特集本をヤフーオークションで落とそうかと思っているぐらいですよ。
おまけ:私のツボ
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ケイト、クレア、ペンチ、カチュア、シャロン、ルチーナとタイプ別に豊富な女性陣を抱えるバイファム。ケイトの水浴びにルチーナの露骨なパンツ見せ等、特に前半にはサービスシーンバリバリなのですが、私が一番ビーンとエロスを感じたのがロディの弟、フレッドの声ってのは一体どういうことなんだろう・・・。フレッドの声優さんは当時モノホンの子供(12才だっけ)で作品放映中に声変わりがあり、1回目と最終話で全く声が違うという珍しい状況になっているのですが、物語中盤以降の変声期のハスキー声がめっちゃ可愛い。特に無茶ばかりする兄ロディを心配して「兄さ〜ん!兄さ〜ん!」と叫ぶフレッドの声は非常に色っぽいのであります。私はおかしいんでしょうか?しかも、ほとんどサービスシーンのない後半にロディとフレッドが一緒に風呂に入るシーンがあるのは、罠じゃないかと思うことしきり。