『未来のイヴ』ヴィリエ・ド・リラダン、斎藤磯雄訳創元ライブラリ

★★★★★
設計図みたいな装丁がイイ。





1886年仏文学。外見は完璧に美しいが中身は俗っぽい女に恋して、
そのギャップに絶望して自殺を図る貴族青年に、トマス・エジソン博士
が禁断の方法を持ちかける。
恋人の外見だけをコピーしたアンドロイドに、魂を宿らせようとするのです。
そこにたどりつくまで青年の愚痴と博士の誇大妄想で延々数百ページ。長っ!


〜夢の人造人間ハダリー〜
HADALY(古代ペルシャ語で「理想」の意味)の刻印で飾られた、棺の中に
おさめられて眠ること。内部に満たされた水銀の水面の均衡で動いていること。
人類の叡智がすべておさめられていること。
青年が老衰して死ぬときは、ウラニウムで爆破しなけれならないこと。


当時の科学信仰に対する皮肉をこめて書かれたそうだけど、
細かい描写がロボットSFみたいでワクワクした。
ラストの悲劇は、本当に美しいものは、「魂のない」まま手の中にいて
くれるものとは違う、ということなのかなと思った。
結局、理想と心中しちゃった青年。


「ミス・アリシヤの内部にはこの肉体と全く縁もゆかりもない人格
が入ってゐます。『俗物の女神』といふものが考へられるならば、
それが具現化された姿と思つて下さい。」

青年は恋人を通して、自分自身の幻しか見ていなかった。
鏡うつしみたいなものです。


2003.08.14





『蝿の王』ゴールディング、平井 正穂訳 新潮文庫

★★☆☆☆
眼鏡で着火できるのかな?





南太平洋の孤島に不時着した少年達がサバイバル。
「十五少年漂流記」形式だけど内容はこわい。
危機感のなさへの苛立ち、守られない掟、やがて権力争い、略奪、殺人・・
リーダーは二人もいらないもんな。
最後に救助のヘリはやってくるけど、少年はもう元の少年達じゃない。
本当の救いはそこにない。
「蝿の王」とは心の闇と対決する少年に語りかける、黒蝿たかる豚の頭。
小学校の夏休み推薦図書にのってたけど、つらい読書感想文になりそうだ(笑)

2003.07.22

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