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Historical If THE
HISTORY
THERE MAY BE
VM-T "Atlant"
USSR/Russia:heavy transporter
空機は、ものを早く運べる反面、あまり大きなものを運べないという欠点があります。
 胴体の容積に制限のある航空機では、運べる貨物の大きさに制約が出てしまうからであります。
 そこで、通常の航空機では運ぶことの出来ない大型貨物を運ぶため、様々な超大型貨物輸送機が開発されてきました。
 たとえばエアバス・インダストリィが、英仏海峡を越えて航空機部品をやりとりするために開発したA.300-600ST Super Transporter「ベルーガ」(写真左)などはその代表格ありまでしょう。本邦においてもドラクロワの「民衆を導く女神」を運んできて有名になった機体であります(温度や湿度を完全に保てるコンテナは普通の貨物機の貨物室に納まらなかったのだそうです)。
大型輸送機としては、合衆国の大型貨物輸送機「スーパー・グッピー」(写真右)も外すわけには行きません。機首がまるごとヒンジで折れるという豪快極まる設計はアメリカならでは。アポロ計画の際、サターン・ロケットの胴体を運んだことでも有名な機体であります。
 またWikipediaによると、「ベルーガ」導入前はエアバスも航空機部品の輸送を「スーパーグッピー」に依存していたそうで、これを「敵に塩を送る」と武士道的に捉えるか、「資本家は自らの首を括るための縄さえ販売せずにおれない」とマルクスの又聞きで解釈するか・・・

 なお、合衆国は後にC-5やC-17のような大型戦略輸送機を実用化したため、後継機は開発されていません。
て、問題は我等が(誰のだ)ソビエトです。
 1970年代は石油をはじめとする天然資源が国際政治において大きな役割を演じるようになった時代であり、ソ連でもシベリアの油田開発の機運が高まっておりました。このような中、石油プラントの輸送などを目的としてミヤシシェフ設計局はM-4戦略爆撃機をベースとした超大型貨物輸送機の検討を開始。操縦系統の改良によって実現は可能とミヤシシェフ自身が判断しておりました。

 左の写真がベースとなったM-4戦略爆撃機で、本業の爆撃機としてはパっとしなかったものの、同時代のソビエト機と較べると繊細な曲線の美しい飛行機であります。下から見ると主翼付け根あたりをうねうねと這い回るエンジンのダクトも怪しくてキモチワルカッコよいです。

П
ьяница
С
вот
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VM-T「アトラント」と名づけられたこの超大型輸送機(当初は3M-Tとも)には、さらに重要な役割が課せられることになります。
 当時ソ連で進められていた宇宙往還機計画「ブラン」および超大型打ち上げシステム「エネルギヤ」の輸送であります。
 工場で組み立てられた「ブラン」や燃料注入前の「エネルギヤ」の胴体をバイコヌール宇宙基地まで輸送する必要があったのです。なにしろ巨大な「ブラン」や「エネルギヤ」は鉄道輸送できないうえ、内陸にあるバイコヌールへは船舶輸送というわけにもいかなかったのでしょう(そういえば月計画用のN-1はどうしたのでありましょうか)。
 ともかくも、こうしてVM-T計画は動き出しました。
 のですが・・・


何故かこんなことに




そのまんま載っけた。

「一方、ロシア人は鉛筆を使った」という有名なジョークがあります(ご存じない方は検索してみてくださいまし)。
 宇宙船の中で鉛筆を使うと浮遊した粉が短絡の原因になるので、これはあくまでもジョークなのだそうですが、ロシア的合理主義を端的に示した言葉、とも言えましょう。。
 ウェスタッドが述べているように、ソビエトとアメリカは近代が生み出した双子のような存在(このことはT-4MSの項でも触れました)と言えますが、その意味するところを夢に出そうなほど印象的に体現してみせたのが本機である、と言えば我ながら抽象的に過ぎましょうか。すなわちその合理性やテクノロジーへの傾倒具合を示すひとつの好例であると思うのです、VM-Tという飛行機は。

 VM-Tはミヤシシェフの工場に死蔵されていた未使用のM-4爆撃機をベースとして開発され、1980年代に3機が製作された(うち1機は強度試験用)。
 機体背部に貨物を搭載するため垂直尾翼は撤去され、代わりに垂直尾翼端に巨大な垂直安定板が取り付けられました。
 また機体背部の巨大な貨物のために操縦性は著しく低下することが予想されたため、操縦系統にはフライ・バイ・ワイヤが採用されております。
SPEC

■Length : 167 ft 11 in (51.2 m)
■Wingspan : 174 ft 5 in (53.6 m)
■Height : 34 ft 9 in (10.6 m)
■Weights:
  *Empty : 166,975 lb (75,740 kg)
  *Max T/O : 423,208 lb (192,000 kg)
■Max Speed : 310 mph (500 km/h)
■Range : 810 nm (1,500 km)
■Powerplant : RKBM/Koliesov VD-7MD turbojets×4
  *Thrust: 94,800 lb (421.6 kN)
■Payload: 110,320 lb (50,000 kg)
かし、あれほど空力特性に注意を払って設計されたベルーガでさえ、操縦特性は大幅に悪化しているといいます。
 まして爆撃機の背中にむき出しで貨物を搭載したVM-Tは、いかにFBWを使用しているとはいえ、いかに大ミヤシシェフのお墨付きとはいえ、ちゃんと飛べるのでありましょうか。
 
 それが飛ぶのです。


この通り



VM-T
Flying!


行機が空を飛ぶ。
 自動車が地面を走るのと同じくらいに当たり前のことであるはずなのです。
 それが何故にかくも理不尽に映るのか。
 もうその事実そのものが理不尽。

 そんな理不尽さを意にも介さずVM-Tは飛び続け、後継のAn-225へと途を譲ったのであります・・・
が、VM-T伝説はここでは終わらなかったのです。結果的にはAn-225が選ばれることとなった後継機計画の裏側は、さらにいろいろととんでもないことになっていたのであります・・・(剋目して待テ)

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回の項を書くにあたって参考にさせていただいた書籍を左にご紹介いたします。
 お馴染みイェフィム・ゴードン氏の筆になる『ソビエトXプレーン』と本文中で触れたウェスタッドの"The Global Cold War"。
 後者は米ソの第三世界干渉政策を「近代」という非常に大きな視点から考察した快作で、何と申しますか、「知的興奮」というあの手垢にまみれた言葉が指示するところのものを存分に味わわせてくれること請け合い。
Historical If
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