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サンデープロジェクト

追跡第3弾 がん治療を変えたい!
〜「命の叫び」は行政を動かすか〜議事録
2003年6月8日(日)放送分 9:00〜11:43
番組中、本特集以外の部分は省略しています。
(転記ミスの可能性がありえますのでご了解下さい。2003/6/15更新 ビデオ追加)
2003/6/30 改行等修正。

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司会 島田紳助、宮田佳代子、田原総一朗

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<概要ビデオ1>
三年前、一つの特集が大反響を呼んだ。(電話500本、手紙300通)
平岩正樹医師:「まかせてくださいとは言いませんが、地獄のそこまで一緒に闘うとは言いますよ。」
 世界であたりまえに行われる治療がうけられない。そんな日本のガン治療を変えたいと闘う意思を持った一人の外科医と患者たち。
 「30万人のがん患者が声を上げると、医療も変わってくる。」(2002年2月17日放送)あれから3年。番組は患者たちの戦いを追いつづけた。そして その意思は一つの大きな力となった!
【追跡第3弾】 がん治療を変えたい〜”命の叫び”は行政を動かすか〜命を懸けた3年間の軌跡
・・・・・

(中略)

<スタジオ>
紳助:「そして特集は日本の医療のありかたを問うシリーズ第3弾です。」
宮田:「はい。世界で普通に使われている多くのガン治療薬が日本では承認されていないため、使いたくても使えないという大問題があります。番組では過去2 回、こうした状況をかえようとしている医師と患者たちの戦いを取り上げ、大きな反響を呼んできました。」
紳助:「はい。あれから状況は変わったのでしょうか。昨年の2月に第二弾を放映しまして、あれから1年4ヶ月ぶりのレポートです。」
宮田:「今日の特集『がん治療を変えたい。命の叫びは行政を動かすか』 11時5分頃からの特集です。ご覧下さい。」

(中略)

<概要ビデオ2>
 日本人の2人に1人ががんにかかる時代。今から2年半前番組は、日本にがん治療に真っ向から異議を唱える 医師を取り上げた。
平岩医師:「あるのに使わないのはもったいないじゃないですか。というのが私の主張です。」(サンデープロジェクト 2000年12月10日放送 より)
平岩医師 未承認

 実は、世界で患者に標準的に与えられているがん治療薬が、なぜか日本では承認されておらず、多くの命が失われている現実があった。そこに異議を唱える医 師のもと、命を長らえた患者たち。
患者:「私たちだけでいいのかな、という思いが今一番強い。」

 がんと闘いながら、患者たちは日本のがん治療を変えようと立ち上がった。
 そしてようやく・・・
坂口力厚生労働大臣:「とにかく優秀な薬は半年以内に導入を行う。」
 動かない行政の重い扉を開きかけたそのとき、患者たちを襲った衝撃!
〔「イレッサ」死者124人に〕
患者の父:「とにかく普通の苦しさじゃない。息ができない状態。」

 その間にも、志半ばで倒れていく仲間たち。
「ほんとうによくがんばったね、と。送り出してやりたいと思います。」(注 葬儀にて)

 しかし今、患者たちの戦いは、ついに製薬会社を動かしはじめた。
山崎さん:「申請を出して頂けることになりました。」
 がん治療を変えるため、患者たちが挑み続けた戦い。命を懸けた3年間を追った!
〔追跡第3弾 がん治療を変えたい!〜”命の叫び”は行政を動かすか〜〕


<スタジオ>
紳助:「世界で当たり前のこととして行われているがん治療が、なぜか日本ではできないという現実があります。そうした日本のがん治療を変えようと立ち上 がった患者の戦いを追ったシリーズ第3弾です。」
宮田:「解説はがんの内科治療がご専門の京都大学大学院教授の福島雅典さん、取材は石田(久人)ディレクターです。よろしくお願いします。
福島教授 石田ディレクター ボード

 まずはこちらのボードをご覧頂きたいのですが(後記)、これは2年半前のこの番組第一弾のときに、日本では 承認されていない薬、あるいは保険適応が限られていて使づらい薬の中から、すぐにでも承認すべき薬を福島さんに挙げて頂いて、その一部を示したものなので すが、福島さん、ただちに承認すべき抗がん剤、この他にも実はたくさんあるのですね。」
福島教授:「そうですね。当時数えた結果、180に上りました。ここにはほんの一部しか挙げていません。」
宮田:「この中で黄色になっているものがありますが、これは去年2月放送の第二弾の時点で承認されたものを示しています。つまり1年3ヶ月も経っていて、 わずか5つしか承認されていないということになりますが、いまおっしゃった180のうちではいくつになりますか?」
福島教授:「180をその時私は一括承認しないとダメだと申し上げたんですよ。それから遅々として進まなくて、180のうち8つしか現在でも承認されてい るものはないんです。」
紳助:「承認するしないを決めるのは厚生労働省ですね。」
石田:「そうです。その厚生労働省がなかなかそれを承認しないので、患者たちが声をあげて立ち上がったわけです。」
紳助:「はい、3年間の戦いの記録です。ご覧下さい。」

<ビデオ本編>
(2000年10月)
 我々がすい臓ガンを患う新山(しんやま)義昭さん(当時66歳)を尋ねたのは、2000年10月のことだった。新山さんは21世紀は迎えられないと余命 宣告されていた。
新山さん:「私が行っている病院では、内臓には抗がん剤はほとんど効かないという立場でございましたから、他に治療方法はないと。」
 ほんとうにもう治療方法はないのか?新山さんはいくつかの病院を回った。そして平岩正樹医師から、まだ治療方法はまだある、と言われた。
平岩医師:「私が発明した平岩療法ではなくてね、世界のスタンダードといいますか、すい臓がんに効きますよという薬があるわけなんです。」
 すい臓ガンに世界で標準的に使われている抗がん剤があり(注:ジェムザール(R)映像)、しかし当時日本では、この薬は肺ガンにのみ承認され、すい臓が んには保険適応とはなっていなかった。すい臓がんに使うと保険がきかず、病院負担となるため、使われにくい状況となっていた。

 これ以外にも、世界で当たり前に使われている抗がん剤が(映像:ブレオ、エグザール)日本にあるにも係わらず、保険適応されていないため、がん患者たち は薬を使われることなく、亡くなっているのだ。平岩医師:「あるのに使わないのはもったいない。というのが私の主張です。」
 保険が利かない薬を使う平岩医師は、病院に赤字を負わせ、5年前勤め先を辞めざるを得なくなった。現在は複数の病院の空きベッドを借りて世界の標準治療 を続けている。
 地元の医師に余命5ヶ月と言われた新山さんは、平岩医師のもとで標準治療を受けた結果、21世紀を迎えることができた。
新山さん:「恵まれた治療を受けさせて頂いていると思っています。」

 新山さんは、世界の標準治療を、誰もが保険診療で受けられるようにしたいと考え、同じ患者の小林桂子さんに相談した。
小林さん:「(現状を)皆に知っていただくしかない。」
新山さん:「そこに全精力を注ぐことが、案外生きがいになるかもわからんですね。」
 二人は、がんと闘う仲間と共に患者会『癌と共に生きる会』を作った。そして2001年2月、厚生労働大臣宛に、世界の標準治療薬の早期一括承認を求める 請求書を出した。
新山さん(記者団を前に):「多くのがん患者はそういう(世界の標準)
治療法、あるいは薬自体があることを知らずに亡くなられているという実態がある。薬を使えるようにするために、なんとしても厚生省の承認、あるいは保険適 用してもらうことが一番だと私たちは思います。」
 しかし、厚生労働省から積極的な回答は得られなかった。
 そしてその間にも、仲間は次々と志半ばで亡くなっていく。(映像:小林桂子さん死去(享年49))

 焦燥感に駆られている新山さんが心の支えとしていたのは、薬害HIV訴訟で闘った患者たちの姿だった。
 患者が声を上げ、厚生省と和解を勝ち取った結果、現在ではアメリカで認可されたHIV治療薬のほとんどが日本でも使えるようになった。どうしたら厚生労 働省は動くのか。

 新山さんは、大阪HIV訴訟を戦った花井十伍さんを尋ねた。(組織名:ネットワーク医療と人権)
新山さん:「これからどうしていったものだろうか、というのが正直な気持ちなんですよ。」
花井さん:「これ、皆が認識しだすと怒ると思う。声が広がると議員が動き、そして国も動くと思う。患者がやらないとだめだ。」

 一人でも多くの人に、がん治療の現実を知ってもらうことが問題解決に繋がると新山さんは確信し、がんと共に生きる会は、抗がん剤の早期認可を厚生労働省 に求める署名を全国で集め始めた。
署名1 署名2 署名3

 またアメリカのがん患者団体が行政を動かし、薬をスピード承認させていると聞くと、新山さんはアメリカにまで渡った。そこで彼がが見たものは、患者たち が結束し、政治家へ積極的に働きかけていることだった。
アメリカ1 アメリカ2 アメリカ3 アメリカ4

 この頃、日本各地で、世界の標準治療薬の認可を求める声があがりはじめ
た。患者会どうしの結束が必要だと感じた新山さんは、全国でばらばらに活動していた他のがん患者団体に声をかけ、日本がん患者団体協議会(JCPC)を結 成した。(2002年2月)(映像:新山さん、三浦捷一さん、山崎文昭さん、服部順治さんの会合)
 そしてまず政治家に働きかけることを決めた。
 彼らが注目したのは、民主党の仙谷由人(せんごくよしと)衆議院議員だ。(映像:日刊現代2002年3月19日付 仙谷議員「胃がん全摘手術」記事)
仙谷議員1 仙谷議員2
 仙谷議員は胃がんがみつかり、去年1月、胃の全摘手術を受けたと告白した。病気をきっかけに、日本のがん治療問題に目を向けるようになったという。
仙谷議員:「アメリカを中心にこの10年間、ずいぶんがんの治療・研究がどんどん飛躍的に進みつつあるのに、この面でもなんか日本は「失われた10年」を やってしまったのではないかと。」

 仙谷議員が退院すると、新山さんら患者会のメンバーは、議員会館を訪ねた。
仙谷議員:「良い意味での政治的な力も作って、世界標準のところに日本が一日でも早く追いつけるようにしなきゃいかん。」
新山さん:「基本的には患者やその家族が動き立ち上がって、国民みんなの意識を変えていかないと、(日本のがん治療)問題を解決できないと思っている。ひ とつよろしくお願いしたい。」

 仙谷議員の仲介で、患者団体はついに坂口厚生労働大臣との面会を実現した。世界標準の抗がん剤の早期認可を求めるがん患者たちの要請に対して、坂口大臣 が初めて見解を述べた。
坂口大臣1 坂口議員2

坂口力厚生労働大臣:「諸外国にございます優秀な薬の導入につきましても、とにかく優秀な薬につきましては、(申請から)半年以内に導入を行う。」
 なんと医師でもある坂口大臣は、良い薬については半年で認可するという
画期的な発言を行ったのだ。
 これまで役所の壁に阻まれ、なかなか動かなかった重い扉がようやく開きかけたそのとき、患者団体を大きな衝撃が襲った。
〔映像:「イレッサ」死者124人に〕
患者の父:「とにかく普通の苦しさじゃない。息ができない状態。」

 ”優秀な薬なら半年以内に導入する”という坂口大臣の発言から3ヶ月後、まさにその言葉どおり、厚生労働省は肺ガン治療薬「イレッサ」を申請から半年で スピード承認した。国内外で臨床試験を行い、およそ2割の患者のがんが半分以下になり、重い副作用もなかったためだ。しかも、これまで世界の標準治療薬を
なかなか承認してこなかったという批判の汚名を晴らすかのように、なんと世界ではじめて承認したのだ。しかし。。。。

父:「とにかく普通の苦しさじゃない。息ができない状態。」
 近澤昭雄さんの次女みつこさんは肺がんを患い、イレッサを飲み始めた。しかし2ヶ月後検診に行くと緊急入院するように言われ、それからわずか2週間後に 亡くなった。(映像:故近澤三津子さん(享年31))死因は間質性肺炎だった。そして、イレッサを飲んだ副作用によって、去年12月中旬までに、124人 もの患者が亡くなったのだ。
イレッサ1 イレッサ2 イレッサ3

 短期間で100人以上もの患者が亡くなったことは、標準治療薬の早期認可を求めてきた患者団体に大きな衝撃を与えた。(映像:今年1月 日本がん患者団 体協議会緊急役員会)
山崎文昭理事長:「良い薬をできるだけ早く審査して欲しいという点からは、今回は良かったわけです。ただ。短ければ良いというと問題ですからね。ですか ら、しっかり審査してくださいと。」
橋本榮介さん:「私は(審査期間は)短くて良いと思う。薬の功罪を明確にすれば。」
三浦捷一さん:「絶対に必要なことは正確な情報。」
緊急役員会

 イレッサの被害が出た原因は、厚生労働省が指導した副作用の危険性の説明が十分でなかったこと。さらに、イレッサが飲み薬であるため、抗がん剤治療に詳 しくない医師が不用意に与えてしまったことなどにあった。
 現に、近澤三津子さんの場合、抗がん剤治療の専門家でない主治医がイレッサを2週間分まとめて処方し、抗がん剤治療ならば行うべき細かい経過チェックを やらなかったのだ。
 しかも、三津子さんが亡くなった後、近澤さんが主治医を尋ねると、こう言われたという。
近澤さん:「副作用のような症状が出てくると、『勉強不足で情報不足だったかな』と素直におっしゃってました。」
 実は、日本には、抗がん剤治療を専門に行う臨床腫瘍医と呼ばれる医師がほとんどいないという状態なのだ。そして、外科医である平岩医師のように、専門外 であっても抗がん剤治療を猛勉強した医師がわずかに例外的にいるだけなのだ。
 日本で数少ない専門医である西條医師はこう指摘する。(国立がんセンター中央病院 西條長宏薬物療法部長)
西條医師:「アメリカには臨床腫瘍医認定制度があり、2万人以上はいると思う。日本には臨床腫瘍医の制度がないので、いわゆる正式にはいない。」

 このまま専門医がいない状況が続けば、”助かるはずの命が失われていく”と西條医師は言う。
西條医師:「(抗がん剤の)毒性への対応が不十分で患者がお亡くなりになるとか。。医者がいないことは一番根本的な問題のような気がする。」

 患者団体も思いは同じだ。
橋本榮介さん:「抗がん剤を外科医が片手間に使っている状況があるような気がする。」
濱本満紀さん:「専門医を増やそうと訴えかけてきたが、その活動に力を入れないといけない。」

 実は、厚生労働省は、去年12月、イレッサは、肺ガン治療の専門医が使用すること、と指導していた。
 厚生労働省のいう専門医は、果たして何人いるのか。
記者:「(肺がん専門医は)日本に何人いるのでしょうか。」
黒川課長:「具体的な人数については承知しておりません。」(厚生労働省医薬局 黒川達夫安全対策課長)
 なんと、厚生労働省は人数すら把握せずに指導していたのだ。
 さらに、厚生労働省などが準備している「第3次 対がん10ヵ年戦略案」でも抗がん剤の専門医である臨床腫瘍医の育成には一言も触れていない。
 実は我々の調べでは、日本の大学の医学部には、臨床腫瘍医を育てる学部は一つもなく、臨床腫瘍学会も今年ようやく創設されたばかりだ。(映像:今年2月  日本臨床腫瘍学会創設)
 ここから専門医が生まれるのは早くて3年後のことだ。

 患者団体はこうアピールを出した。
山崎理事長:「抗がん剤の専門医がどうしても必要なわけです。専門医が少ないことが世界的標準治療を受けられない(理由の)一つとなっている。」

<スタジオ>
紳助:「抗がん剤の専門医が日本にいないというわけなのですが、この番組では3年前からそれを言っていますが、石田さん、3年間変わっていないのです か?」
石田:「はいそうですね。こちらをご覧頂きたいのですが、
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 <日本の臨床腫瘍医の現状> 去年2月 サンデープロジェクト調べ
  医学部・医科大学 81 (1大学のみ未回答)
   臨床腫瘍科の有無
   ・無 70
   ・有 10(おととし開設2)→臨床腫瘍医を養成している:4学部

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大学臨床腫瘍科の有無
去年、日本で臨床腫瘍医を調べる制度があるかどうかを我々が調べたものなのですが、10の大学でそういう科があると答えているのですが、実はほとんど機能 していません。日本はずっとがん治療は外科偏重で来たために、臨床腫瘍医はこちら福島先生を入れましても、数えるほどしかいないんです。で、専門医がいな いために、治療法がないと患者が切り捨てられたり、副作用の抑え方を知らない医師が治療を行って、患者に無用の苦痛を与えたりしていることが多いんで す。」

宮田:「いくら良い薬が承認されたとしても、それを上手に使える専門医がいないと意味がないわけで、人を育てることは福島さん、そんなに難しいのです か?」
福島教授:「いや難しくないですよ。前々から言ってますように、専門医がいないということは20年前から言っているわけです。だけど、一番簡単な方法があ るんです。国家試験に20か30系統的に、抗がん剤の使い方に関する問題を出せば、それで一気に変わるんです。みんなが勉強するから。そんなむずかしいこ とじゃなんいんです。厚生労働省の意識が希薄で、”対がん10ヵ年”とかどうのこうの言っても、根本的に癌を制圧する道を歩んでいないわけです。」
田原:「なんで厚生労働省は消極的じゃないんですか?」
福島教授:「消極的じゃなくて、基本的に進めかたについて、サイエンスのレベルをきっちり踏まえていないということで、アメリカの場合は、がんが減ってき ているんです。たばこをまず止めることが最も重要な政策なんだけども、それを強力にようやく今推進できるように法律でなってきたけれども、今後もっと強力 に予防政策を・・」(話中断→下記ビデオ開始)

<ビデオ>
 すい臓がんを患いながらも、日本のがん治療を変えたいと患者仲間に呼びかけ、運動を引張ってきた新山義昭さん(当時67歳)、新山さんはこの日、大きな 期待を懸けていた。(映像:2001年11月 第39回日本癌治療学会総会)
 厚生労働省が、がんの種類毎にどの抗がん剤が最も効果があるかを記したガイドライン原案を専門家に作成させ、発表したのだ。
発表者:「これはアメリカの例で、この薬は日本では(保険で)使えないが、世界の標準治療薬だから(保険で)使えるようにして欲しい。」

 ここで大きな問題が浮き彫りになった。ガイドラインで効果が高いとされた抗がん剤の多くが日本では保険適応されていないことが明らかになったのだ。保険 適応されなければ、病院か患者の全額負担になってしまうため、治療に使った場合、大変な重荷となる。
 そこで新山さんは、ガイドラインに掲載された抗がん剤は、医師の側からの要求として厚生労働省も保険適応するのではないかと期待を懸けたのだ。(映像: ガイドライン作成委員会 有吉寛委員長(当時))
有吉委員長:「医師がそれが必要と思われたときには、使えるような形にしないと、患者さんが一番害を被るわけですね。これは患者さんの要望に答えるのが私 たちの義務だと思っていますので、一生懸命やらせて頂きます。」
新山さん:「ありがとうございます。よろしくお願いします。」
研究会

 世界の標準治療薬が保険適応され、日本でも使えるようになってほしいと願う新山さん。しかし、厚生労働省は、そういった新山さんらがん患者たちの願いと 正反対のことを行ったのだ。

(坂口厚生労働大臣への要望書提出時の映像)
新山さん:「私たちの要望書を持って参りました。読んでいただきたいと思います。」
坂口大臣:「ありがとうございます。頂きます」
 去年4月、新山義昭さんら患者団体は、厚生労働大臣に抗がん剤ガイドラインの作成を要請。日本で保険適応されていない標準治療薬がガイドラインに記載さ れれば、厚生労働省はその薬を承認せざるを得ないと期待したためだ。

 そして一ヶ月後、ガイドライン案は公表されたが、その後の厚生労働省の行動は、新山さんの願いを大きく裏切るものとなった。(映像:「癌と化学療法  2002年6月号」”厚生省(現厚生労働省委託事業による「抗がん剤適正使用のガイドライン」(案)の開示に関して”)

 今年1月、九州大学医学部附属病院で起こった出来事がそれだ。厚生労働省は福岡県とともにこの病院に監査に入った。そして、膀胱がんの治療に保険適応外 の抗がん剤を使い、不正に保険請求をしたとして、指導したのだ。(映像:ランタ、アドリアシン、エクザール、メソトレキセートの各薬剤)
 膀胱がんの世界の標準治療として、4つの抗がん剤を併用する治療が行われている。ところが日本では、このうち2つの抗がん剤(映像:エクザール、メソト レキセート)が日本ではなぜか膀胱がんには保険適応外となっている。

 日本の医療保険制度では、保険適応された薬を使って治療した場合、その薬代とその他の医療行為代を病院が保険請求することができる。しかし、さらに保険 適応外の薬を合わせて使った場合、その薬代を患者に負担させることは原則禁止されている。
 そのため、保険を一切使わず、全額患者が負担するか、適応外の薬代を病院が負担するかのどちらかになる。
 実はこれまで、膀胱がんの治療には、4つの抗がん剤を使った病院が保険請求しても、所轄の自治体は事実上、黙認してきたのである。
保険適応外 保険適応 保険適応外

 今回、厚生労働省がこの不正請求を明らかにしたことは、全国の患者と病院に衝撃を与えた。(映像:九州大学大学院泌尿器科学分野 内藤誠二教授)
内藤教授:「治療する上で、非常に困ったなというのが率直な感想ですね。どうしようかと。」
 そして九大病院では、2つの薬について、病院負担で治療を続けているという。
内藤教授:「いつまでも病院負担を続けるのは難しい問題なので、患者さんを選択して使うという、非常に縮小した治療にならざるをえないだろうと思いま す。」

 実は、保険適応外の2つの抗がん剤については、学会は3年続けて保険適応を厚生労働省に求めてきた。(映像:今年4月 第91回日本泌尿器科学会総会)
 しかし厚生労働省は製薬会社の申請がないことを理由に、保険適応を見送ってきたのだ。こうした厚生労働省の姿勢に、ガイドライン作成に係わった赤座教授 も憤りを隠せない。
赤座教授:「日本を除くアジアできちんと使われているから、アジア人でも安全性は確認されているわけですからね。ですから、なぜ(厚生労働省は)認めてく れないのか。わからないですね。」(筑波大学臨床医学系泌尿器科 赤座英之主任教授)
 しかも、厚生労働省がガイドライン案に記載し、保険適応していない抗がん剤はまだほかにもあるのだ。(映像:エクザール、ブレオ、イホマイド)

 九大病院問題が起こる直前、我々は新山義昭さんが住む広島へ飛んだ。すい臓がんを患いながら(映像:新山義昭さん(当時68歳))2年以上にわたり世界 の標準治療薬の承認を求めて患者団体の運動の先頭に立ってきた新山さんは、病床に伏せていた。しかしその意欲が衰える様子はなかった。
新山さん:「まだまだこれから皆と成果らしきものを上げていきたい。1日でも2日でもできる範囲でやっていきたいなと。」
 しかし、この2週間後、新山さんは静かに息を引き取った。(新山義昭さん死去(享年68))
三女新山みわさん:「今年2月、志を同じくする方々の強力を得て、4つの患者団体からなる日本がん患者団体協議会を生きているうちに実現できたことを非常 によろこんでおりました。最後の顔は、がんと闘ってきた戦士のようでもあり、やさしい父親の顔でもありました。お疲れ様、ほんとうによくがんばったねと、 送り出してやりたいと思います。」

 新山さんは亡くなった。しかし新山さんの思いは日本のがん治療を変えたいと運動するメンバーにしっかりと引き継がれている。(映像:癌と共に生きる会  橋本榮介新会長)
山崎理事長:「新山さんが教えてくれたことは、患者自身が声を出してやらなければいけない。あくまでも、患者さんが自分の望む医療を受けられるようにする ことが一番大切だということ。」

 新山さんの意思を継ぐように、残された仲間たちは、再び厚生労働省への働きかけを始めた。特に、製薬会社が薬を申請をしない限り、承認しないという原則 にこだわる厚生労働省を動かすには、製薬会社に申請してもらうしかないと考えたからだ。
 これまで、製薬会社は海外で承認された薬であっても、厚生労働省が国内で新たに臨床試験を行うよう求めてきたため、申請に熱心ではなかった。

 しかし患者団体は厚生労働省の通達(映像:”適応外使用に係わる医療用医薬品の取り扱いについて”)の中に、「外国で承認され、学会からの要望のある薬 については、日本での臨床試験なしでも申請できる」という部分を見つけ出した。それをもって、製薬会社に対して保険適応を申請するよう求めることにした。 その一号が、膀胱がんのあの2つの抗がん剤だ。

 製薬会社を動かすことはできたのか?(映像:製薬会社前)
記者:「話し合いの結果はどうでしたか?」
山崎さん:「申請を出していただけることになりました。やっぱりこれまで何社か回りますと、前向きなところ、前向きではないところ、いろいろあったんです が、患者のほうから希望を伝えると(製薬会社は)真剣に検討してくれる。」
製薬会社前 製薬会社前2

 ついに、患者たちの力で、製薬会社を説得し、大きな扉を開いたのだ。
 今から3年前、21世紀を迎えられないとまで宣告された新山義昭さんが日本のがん治療を変えたいと一人で始めた運動、その小さな声が、同じがん患者仲間 やその家族に広がっていく中で、次第に大きな声となっていった。そして大きくなったその声は、政治家を動かし、厚生労働省を動かし、ついには製薬会社を動 かした。「患者たちが一つになれ、必ず日本のがん治療を変えられる。」それが新山さんの信念だった。
新山さん:「30万人のがん患者が声を上げると、医療も変わってくる。お医者さんが変わる。お医者さんが変われば厚生労働省も変わるだろうと。変わらざる をえんだろうと。」

<スタジオ>
紳助:「患者が製薬会社までまわらないといけないなんてすごい矛盾点を感じますけど、第二弾を放送してから、昨年2月からどれくらい承認されたのでしょう か。」
宮田:「こちらのボード再びです。赤い字(注★)になっている2つしかありまん。つまり3年間でも、これだけある中から7つしか承認されていないというこ とになります。」
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 (注)2000年10月第一弾放送で福島教授がすぐにでも承認すべき薬として挙げた
 180の抗がん剤中の一部リスト 

  :黄色表記 2002年2月放送の第二弾の時点で承認されたもの
  :赤字   2002年2月以降承認項目


(1)保険適応外の薬
 【抗がん薬】
 ・ブレオマイシン   睾丸腫瘍・がん性胸水コントロール
 ・アクチノマイシンD 骨肉腫・軟部組織肉腫・睾丸腫瘍
 ・シタラビン     がん性髄膜症
 ・メトトレキサート  悪性リンパ腫・がん性髄膜症。膀胱がん(申請中)
 ・ドキソルビシン   軟部組織肉腫・多発性骨髄腫
 ・シスプラチン    ●骨肉腫・乳がん・大腸がん
 ・ダカルバジン    ★悪性リンパ腫・軟部組織肉腫
 ・ビンブラスチン   睾丸腫瘍・膀胱がん(申請中)
 ・ゲムシタビン    ●すい臓がん
  (ジェムザール)
 ・イホスファミド   睾丸腫瘍・軟部組織肉腫
 【副作用防止】    
 ・エポエチンアルファ 抗がん薬による貧血
 ・メスナ       シクロホスファミドによる出血性膀胱炎防止
 ・プロフリノール   がんに併発する高尿酸血症

(2)未承認の薬
 【抗がん薬】
 ・カルムスチン    脳腫瘍・悪性リンパ腫
 ・ロムスチン     脳腫瘍・悪性リンパ腫
 ・フルダラビン    脳腫瘍・●慢性リンパ性白血病
 ・クラドリビン    ★悪性リンパ腫
 ・アナストロゾール  ●乳がん
 ・レトロゾール    乳がん
 ・アミノグルテチミド 副腎腫瘍・乳がん
 ・メゲストロール   がんによる悪液質
 ・イソトレチノイン  基底細胞がん
 ・リツキシマブ    ●悪性リンパ腫
 【副作用防止】
 ・アミフェスチン   シスプラチンによる腎毒性軽減
 ・チクスタゾキサン  ドキソルビシンによる心毒性軽減
 ・トロナビノール   抗がん薬による悪心・嘔吐

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ボード

宮田:「なぜ厚生労働省はなかなか承認しないんでしょうか?」
福島教授:「今出てましたように、厚生労働省は行政官庁ですから、申請があった、メーカーから申請されたものだけを審査、承認するという、手続き上の法律 に基づいてやっているだけで、だからどんどんたまっていくわけですよ。」
紳助:「みずから何かしようという意識はないわけですか?」
福島教授:「ない。やろうと思っても、実際には審査課ではできないですよね。ですから、一括承認するしかない。なんらかの法律を作って一括承認するという 手しかないということです。」

紳助:「石田さん、やっぱり患者がひとりづづがんばる、変えていくしかないんですか?原始的なやり方なんですけれども。」
石田:「そうですね。患者たちは、自分のがんが、世界でどのような標準的な治療が行われているか、それがわかっていればですね、自分の受けている治療とど こが違うのか、そういうことを確かめて、医者に確認することができるんですね。実は、そういう世界の標準的治療についてを知る方法が最近生まれたんです。 がんの治療で世界で最も認められているアメリカの国立がん研究所のがん情報が、日本語についに翻訳されまして、この2月からホームページ上で見られるよう になったのです。こちらのURLから入っていって、見ることができます。
 日本がん患者団体協議会(JCPC)
 http://med-npo.com:8080/
 その情報を患者さんがプリントアウトして、主治医のところに持っていくと、でどうして自分の治療は世界の標準治療と違うのか説明してくださいと、という ようなことを皆さんがやるようになれば、医者だって勉強せざるをえなくなる。」
宮田:「まずは正しい知識を患者がもって、そしてまとまって製薬会社に働きかければ何かが変わるということですか。」
石田:「はい。ですから、学会が言っても何も動かなかったのが、患者が一言言えば、立ち上がれば、製薬会社も動かざるを得なくなる。」
紳助:「福島先生、プリントアウトして持って行っても、はっきり言って保険適用外ですから、全額実費になってしまうわけですか?」
福島教授:「個人使用でそれを使うとすれば、場合によっては全額実費になる。解決は一括承認か、もう一つは混合診療ですよ。どっちにしても法律的な問題が あるので、これは国民的な課題だから、
厚生労働省はしっかり現実を見つめて、
解決しないとダメですよ!

まとめ 福島教授2 福島教授3
紳助「混合診療は、一個違うものを実費で使えば、全額実費になってしまうと。。」
田原「混合診療は本当にもう・・(時間切れCM)」

追加情報:「先ほどのがん情報は、サンデープロジェクト
のホームページで紹介しています。

以上番組終了

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テレビ朝日映像データ(右クリックで保存:RealPlayer形式)
第三弾:2003年6月8日放送 約8MB
第一弾:2000年12月10日放送 約4MB
作成:aplekt@yahoo.co.jp
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