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古本とPOS


 『日経情報ストラテジー』1999年9月号の記事によれば、ブックオフでは4000万円の費用をかけて、99年6月に試験的にPOSレジシステムを導入したという。また、ブックオフ以外でも、POSレジを導入する古本屋が増えてきている。これまでPOSレジとは無縁のように思われていた古本業界にも、POSレジ化の波が押し寄せてきたようである。
 POSレジ化の動きは遅かったが、商品管理にコンピュータを取り入れている古本屋は以前からあった。
『古本屋ビジネス 大量出版時代の“商い”』(アルメディア 1996年)の、
「文生書院/データベースを駆使して無店舗販売」 永江朗
では、目録販売のデータをコンピュータに入力している例が、
「ニューサンクス/独自のバーコードでPOS管理」 浅野恭平
では、ジャンルと値段のみを管理し、バーコードを貼り付けている例が紹介されている。
 POSの厳密な定義はともかくとして、これらの例は、どちらもいわゆるPOSのイメージとは少し違っており、POSの持つ特徴の一部分だけを取り入れたという印象がある。
 古本屋へのPOSの導入が遅れたのは、問題点が多いからであろう。問題点としては、次のようなものが考えられる。
■アイテム数の膨大さ

扱う可能性のある商品のデータ(書誌データ)を商品マスターとして登録するとすれば、膨大なアイテム数となる。戦後の商業出版物に限ったとしても200万程度になり、しかも毎年数万ずつ増えていく。
さらに、同じ本であっても、本の状態や、初版・重版の区別などによる価格の違いにも対応しなければならない。
ダブリのチェックに重点を置く単純な形のPOSシステムであれば、コードの比較によるチェックだけで、書誌データを必要としない形も考えられる。

■コードがない本の扱い

日本における書籍へのコード導入は次のようになっている。
1970年  書籍コード導入
1981年  日本図書コード導入
 ISBN+分類コード(Cコード)+定価を、スキャナ読取用のOCR-Bフォントで表記
1990年代 バーコード導入
 日本図書コードを、OCR-Bフォントとバーコードで併記

70年の「書籍コード」は、分類コードを除き現在とは別のコードであり、スキャナ読取にも対応していない。したがって、POSシステム上での利用は難しい。
利用できるコードがない本の場合、書名などで検索して入力しなければならない。買取の場合、これは時間的にかなりの問題となる。
あまり古い本を扱わないリサイクル書店などの場合、コードのない本は単品管理をしないことにすれば、この問題は解決する。

■機械化が難しい部分が多い

プレミアの判定など、機械化がむずかしい部分が多い。
プレミアの場合、在庫がだぶついたもののプレミア価格を下げるなど、補助的な使い方はできるが、全面的な機械化は難しい。
リサイクル書店などで、プレミアを扱わないなど業務を単純化している場合、この種の問題も少なくなる。

■在庫補充ができない

新刊書店では売れ筋の平積みができるが(実際は、売れ筋がなかなか入荷しないことも多いが)、古本の場合、平積みできるほど在庫があれば、それは売れ筋のはずがないわけである。
したがって、売れ筋の品切れがわかっても補充は難しいことになる。
古本屋でPOSによる補充を行うとすれば、売れ筋というほどではない定番商品が中心になるだろうが、この場合もどこから補充するかが問題となる。
組合の市は交換的意味が強く、新刊書店における取次とは性格を異にする。したがって、ありふれた本であっても、チェーン店などで倉庫機能が充実している場合を除けば、単品レベルでの補充は難しい。
 このような問題があるにもかかわらず、POSの導入が増えてきたのは、リサイクル書店は業務を単純化しているため機械化がしやすいことや、設備投資に力を入れるだけの余裕のある所が増えた事などが考えられる。
 リサイクル書店におけるPOSレジでは、バーコードのある本が中心となるであろうから、今のところ、絶版本の占める割合は少ない。したがって、客の側からのメリットはそれほどないが、将来バーコードのある本の中にも絶版本が増えれば、それほど珍しくない地味な絶版本は、リサイクル書店のチェーンで探せばすぐ見つかるということになるかもしれない。

 リサイクル書店的ではない、複雑な形の古本POSについては、今後少しずつ考えてみることにしたい。


※現在更新休止中で、最近の状況はフォローしていません。
今のところ、更新予定はありません。
遠い将来には再開したいとは思っています。

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