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♪♪♪♪♪♪♪♪♪ しゃべるならベトナム語 ♪♪♪♪♪♪♪♪♪
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♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪  第十一号  ♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
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【しゃべるならベトナム語】Vol.11 6/2/98 by べベット
     153人のしゃべったらベトナム人の方にお送りしています。

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新茶を隔晩!“しゃべるならベトナム語”の時間です。

この時間は大阪淀川区東中島のアジア図書館語学センターのベトナ
ム語受講生がお送りいたします。
ご意見、ご感想、ご質問等、あるいは間違いがございましたら、ご
連絡、ご指摘していただけるとたいへん嬉しいです。

             ♪ ♪ ♪

この一週間というもの、暖かくぐっすり眠ることはあまりなかった。
野沢温泉で泊まった河ー屋旅館(仮名)では、純和風の温もりを感
じさせるパンフレットの写真にはどうしても収まりきれなかった旧
館の、情緒を感じさせるすきま風の沁みわたる大部屋で、薄いのに
普通のであれば五、六枚を重ねたような重みのある水っぽく冷んや
りした布団に、恒星間旅行でもするかのように身体の細胞の代謝を
下げて眠るのは、まったくVRな体験だった。それで2泊。そのス
キーに行くためのバス泊が2泊と東京出張に行くバス泊が2泊。そ
れでもバスはずっとましだった。そんなスケジュールも、結局は僕
が自分で招いたことなんだから厭になるよね。
前にそんな風に思ったのはハノイ Ha` No.i からフエ Hue^' に向か
うミニバスに乗り込んで半時間も経っていないときだった。
そもそもハノイからハロン湾 Vi.nh Ha. Long への一泊付きミニバ
スツアーに行ったときで、悪路で酷使されてサスペンションがいっ
ちゃってるミニバスの快適さがどの程度かなんて判ってはいたんだ
けど、幹線道を行くミニバスがそれよりもひどいなんて、そんな想
像力があったら霞を食ってたって死なないんじゃないかな。でもハ
ノイ旧市街でシンカフェ SINH CAFE という看板を上げている小っ
ちゃな食堂兼ツアーオフィスの表のデスクにちょこんと座っていた
コケットな女の子 une fille coquette に手招きされて、ほんと、
手招きされてのこのこ行くんじゃないよって思いながらも、抗うこ
となんて並みのY染色体保持者なら難しい手招きだよなあって心の
どこかでナレーションを入れながらその娘の前の丸椅子に座った。
二十歳になるかならないかくらいなのに、すごくしなをつくってく
るせいで、通りに面したところなのに bia o^m にいるかのような錯
覚を絶えず振り払わなければならなかった。bia o^m って女の子だ
かおばさんだかよく判らない横に座った女の人の肩を抱き o^m 寄せ
つつ市価の5倍のビール bia を飲むところらしいから、ここじゃミ
ニバス料金も5倍か?なんて警戒しちゃうんだよね、かえって。フ
エまでのミニバス料金て定価みたいなのがあって、安いところでは
30ドル(、多分)の定価から2ドル引いてくれるんだけど、その
ことを言ってもその女の子は(名前なんだったっけ?>広田君)全
然、引いてくれないんだ。

O+? va(n pho`ng kha'c, 
おぉヴァンphone. かっく?
at    office    other
別のオフィスでは、
        ve'     tu+` dda^y dde^'n Hue^' re?    ho+n .
    ヴェエ?トゥ。だい 出ん? フエ?ゥレェ ハンヌ
        ticket  from here  to (city name) cheap more
    ここからフエまでのチケットはもっと安かった。

彼女の魔の力に頭がくらくらしてきて、ひとまずそこまでで退散し
た。次の日、狭い街だからどうしても同じところをうろうろするこ
とになるんだけど、今度は純情路線のまるで無垢な笑顔にしか見え
ない笑顔に引っ張りこまれてしまった。するとやっぱりなって感じ
で、そこにはどうも彼女にまいっちゃってるらしい、半分、目が虚
ろになっている日本のあんちゃんが座っていた。彼は別に食事をす
るわけでもなく、ツアーの申し込みをするでもなく日がな座ってい
るようだった。女の子がその食堂兼ツアーオフィスのオーナーの大
学生の娘で二十歳前だってことは彼から聞いた。

Only for you, I'll discount one dollar.

と彼女は言う。僕はそこで間違った方向に考えを巡らせてしまった。

Xe buy't     dde^'n Hue^' to^'t kho^ng ?
セービュイッ デン   フエ?トー?こん
フエ行きのバスはいいバスですか?

すると彼女は質問がよく判らないって顔をしていた。そしてしばら
くして、エアコンがついてるし列車より安いですよ、と英語で答え
た。そう言えばハロン湾に行ったときのバスはエアコンなんてなかっ
たなあ、と僕は考えていた。安宿に出ている張り紙の値段よりは1
ドル高いけど、ハロン湾ツアーを申し込んだ旅行社、といっても食
堂の一角の机一つしかないんだけど、と同じ29ドルになるから、
申し込むならここでまあいいかなって。そんなやり取りのあいだ、
やっぱり目が虚ろなままの兄ちゃんは僕も女の子も突き通した遙か
彼方をぼんやり見つめながら座っていた。
出発前の夕方、彼女の食堂はやっぱり行かずに、別の英語なんて全
然しゃべらないおばちゃんがやってるフォオの店で 3000 ddo^`ng 
のフォオボォ pho+? bo`(牛肉入りきしめん)を食べた。フォオっ
てスープが塩分少なくて旨いんだよね。これはなかなか再現できな
い。それから別のところで皇后麦酒というアルコール度の高い安く
て量の多い(完璧な)中国産のビールをちょっと揚げすぎの春巻き
をあてに飲んだ。
中国をベトナム語ではチュンクうぉック? Trung Quo^'c と言うか
ら、中国のビールを頼むときには、

Xin    cho to^i mo^.t chai  bia   Trung Quo^'c .
  慎重  遠い 藻っ。チャイビアチュンクうぉっく?
please give me   1   bottle beer   chinese

という感じかな。
そしてやっとのことでシンカフェに行く。女の子は他のベトナム人
の女の子と一緒に、日本人の(汚いかっこうの)女の子から日本語
を習っていた。(汚い)彼女の話すベトナム語は週5時間として2
年ものくらいだった。あれくらい話せれば・・・、とか思っている
うちに当然と言えば当然のごとく「自然が僕を呼んでる」または
「姉ちゃん、氷水ー」状態に僕は陥った。

Pho`ng ve^. sinh o+? dda^u ?
フォン ヴェ。シンおぉドウ
トイレはどこですか?

WC ヴェーセーとヴェ。シンって似てるよね。衛生という漢越語らし
いんだけど。
ミニバスはなかなか来ない。日本語の勉強も終わりになって、女の
子たちはニャん?nha~n(龍眼)を食べ始めた。こっちは暇なんだか
らチケットを買ったよしみでもう少し相手してくれてもいいのにな
あ、とやっぱり性には逆らえないでついにそんな気持ちになってし
まった。そのときにいきなり車の音がした。ミニバスが着いたのだっ
た。なんだかいつもより重くなった感じのする荷物を抱え上げると、
いつの間にかその女の子が僕の前に立っていた。そして中に龍眼の
入った白いビニールを高く掲げるように差し出した。

Anh dde^'n dda^y nu+~a  nhe' .
アン 出ん? ダイ ヌあ?にぇー?
you  come  here  again (don't you?)
また来ますよね。

小さな子どもがしゃべるような声音でそんな風に聞こえた。
たぶん。(コォ?レえ? Co' le~.)そう僕は答えた。

ミニバスはハロン湾に行ったのと同じくらいにへたったバスだった。
彼女は正直だったのだ。シートはリクライニングなんていっさいし
ないし狭いし、そもそも何時間も乗るべきものではなかった。でも
僕は彼女にもらった龍眼を手とか顔とかべたべたにしながらぱちん
とはじけるような皮をむいて食べ始めた。バスは舗装された道を走っ
ているのにすごく振動していた。その振動と龍眼の水気でハノイの
町並みが終わらないうちに僕はひどく催した。そのときに思ったの
だった。たいした考えもなしに動くから、結局は自分で招いたこと
なんだって。
前に座っている男女の汚いフランス人カップルのうち女の方が煙草
を吸い始めた。僕はそういう刺激のある臭いが嫌いだ。振動とエン
ジンの唸るなか、僕は唇がくっつきそうなくらいそのフランスな女
の耳に口を近づけて、ノンフュンメ、メースィ、と囁いた。きっと
彼女は漏らしたに違いない。天井横の吹き出し口からは埃っぽい生
温い空気が咳をするように出ていた。窓は泥水が霧状に跳ね上がっ
てみるみる汚れていくのが判るくらいだったけれども、僕は窓を全
開にした。するとしばらくして背中をとんとんと叩かれた。振り向
くと、スペイン人ぽい若者が後ろはすごく風がくるから窓を閉めて
くれと言った。それで僕はじゃあ席を替わろうと言って即座に荷物
を抱え、シートの背を乗り越えて彼の横に収まった。彼は Ok, ok.
と一人で納得するように横の一つシートの席に移った。僕は二人分
の席を得て横になった。それでやっと少しはましな気分になってき
た。それからちょっとして踏切待ちのあいだに当面の最大の課題を
僕は解決することになった。

             ♪ ♪ ♪

長いことお待たせしていた Web版“しゃべるならベトナム語”がよ
うやくできあがりました。URLはここです。
http://bebeto.tripod.co.jp/levietnamien

多分ご覧になると、こんだけのものにそんなにかかるとは、とみな
さんお感じになるでしょうけれど、確かに作り始めるとすぐでした。
いい加減なところとか、間違いとか、もっとましな言い回しなどあ
りましたら、ぜひ指摘してください。 Webのほうで直していきたい
と思います。

それではまた来週。
He.n ga(.p la.i tua^`n sau .

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