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もう十年位前に三洋証券がPASPORTなるものをテレビで盛んに宣伝していたのを覚えている 方も多いとおもいます。今でも東洋一のディーリングルームという宣伝文句が耳に残っています。 私はこれに直ぐ飛びつきました。投資において他人の意見を聞く気もなかったし、電話で注文する のが煩わしいと感じていたからです。 当時(つい最近まで?)のパソコントレードは、PCで発注するとセンターから支店に連絡が行き、担 当者が改めて注文を実行するという半端なものだったようです。 ようするに電話やFaxに代わって「パソコンでも注文できる」ものだったのです。それでも私には、充 分役に立つものでした。値段の離れすぎた「恥ずかしい指値」も平気だし、閉店時間後の注文ができ るのも魅力でした。 その三洋証券が危ないという記事を経済紙に見出したのが倒産の一年ちょっと前だったでしょうか。 私も万一に備えて別の証券会社にシフトしようとしました。 それが以前から口座だけ作ってあった山一證券だったのは、今から思えば笑い話です。 山一では「サンライン」という名称を使っていました。この特徴は、DOS/V機でも使える事でした。 専用のプログラムを使うのですが、PC9801用と二通り用意してあったのです。 三洋は、プログラムが一つだけだったので私はPASPORTを使う為だけに古いPC9801VXを取って 置かなければなりませんでした。 三洋にしても山一にしても違法行為はなかったらしく、全ての資産が(私の場合)ミス一つなく返却さ れました。あれだけの顧客数があって整然と清算処理がなされたのは、当然とはいえ立派だったと 思います。
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山一證券の倒産が発表された日の翌日の午後のテレビ朝日の特番だったと思いますが、野村総 研のリチャード・クー氏、富士総研の高木氏、朝日新聞の山田厚史氏、そして司会は、田原総一郎 氏(多分)が出演していたと記憶しています。 内容はもちろん山一倒産で金融恐慌の危機せまる、というものです。出演者全員概ね政府の日銀 特融には、肯定的でした。特にクー氏は、モラルハザードは好ましくないがそれに囚われ過ぎて日本 発の金融恐慌を発生させては元も子もないと力説していました。 これに対し山田厚史氏は、消極的な肯定という感じで「証券投資は自己責任」「ハイリスクハイ りターン」「30兆円の預り金」という言葉を連発していました。 東京都の信用組合の場合預金者保護の名目で税金が投入されたのは問題だった。非常識な高金 利に釣られた企業の大口預金を元金だけでなくその高金利分まで保護してしまった。 まして本来ハイリスクハイリターンで自己責任が前提の証券投資を保護するのは、いかがなものか 、という論旨です。 私も信組に対しては、その通りだと思います。維持不可能な高金利であることを認識しながら預金 が保護される事を見越して多額な資金を預けた企業の金利まで保証したのは納得が行きません。 しかしながら、後述の点に付いては重大な誤りがあります。山田氏の最大の誤りは、証券投資が自 己責任である事から、投資家が証券会社を選ぶ事まで自己責任であると断じたことにあります。 そもそも証券投資における証券会社は、法律上単なる取次ぎ窓口に他なりません。ハイリス クハイりターンで投資家に自己責任が求められるのは、その商品の選択に付いてなのです。 むしろ銀行預金は、その銀行独自の商品である、つまり各銀行そのものが運用主体であり投 資対象そのものであるという性質があります。 だから預金者は、定期預金の場合、銀行を選んだ段階で(金利が違うのだから)自己責任 でリスクを取ったと見る事もできると思います。 当時は、もちろん株式委託手数料は全て横並びでした。扱う商品からサービスまで殆ど差は無かっ たのです。投資家が証券会社を選ぶ理由は、家に近いとか雰囲気が良いとか取るに足らない事だっ たのです。 当然どこの証券会社は、リスクがあるなどと考えたことはありません。そして法律で分別管理が義 務付けられていますから各社が違法行為さえしなければ確実に投資家の元に預り資産は返還され る仕組みになっています。 政府が投資家保護の為に資金を投入するといったのは、万一違法行為(横領とか詐欺)があって 投資家の預り資産が毀損されていた場合を想定しての事です。そして一番危惧されたのは、預り金 の返還でした。 預かり金というのは、信用取引の委託保証金とか売却した証券のまだ顧客に渡していないお金、 もしくは購入予定の証券に当てる資金を予め預けたもので、山一の場合これは、数百億円だったと 思われます。このお金は、証券会社名義の当座預金に入っている為に倒産した時の債権者に差し押 さえられる可能性が危惧されたのです。 もう一度整理すると預り資産というのは、投資家が証券会社に口座管理料を払い株券や債権等 の証券類を預けたものが主で、銀行で例えれば貸し金庫の中身に匹敵すると思います。 預かり金は、仮に証券会社が預かっている現金で、右から左に通過する資金です。 銀行でいえば、当座預金や先方に渡る寸前の振り込み金のような性格だといえます。つまりこのどち らに対しても、「自己責任」という言葉は当てはまらないのです。 投資家が責任を負うべきは、株や債権の下落リスクであってこれは、子供でも知っています。 しかし預けた株券や証券そのものが遺失した時に、そんな証券会社を利用したお前の責任だという ならば金融秩序など最初から無いも同然です。 彼が、銀行は真面目な一般市民が安全にお金を増やすところで証券会社は一攫千金を狙ったバ クチ打ちが出入りするところという銀行崇拝、証券蔑視の古典的偏見を持つのは自由です。 しかしその結果、銀行の預金を保護するのはともかく、証券の顧客の資産を保護するのは疑問で あるというのは、短絡的な差別です。 山田氏が、投資家の自己責任をあの場面で執拗に強調したのは、番組構成上の役回りだったの か。あるいは、正義の味方をアピールしたかっただけなのかは、判断できません。 預り資産と預かり金を混同したのは、単なるケアレスミスなのか知識がなかったのかも不明です。 テレビで発言する能力というのは、細かいことを気にしないある意味で厚顔無恥さが必須なのでしょう。 いずれにしても彼が、「私がロンドン支局にいた時、丁度シティーではビッグバンが...」と話し始 めたとき 「預り資産と預かり金の区別もできない馬鹿が!知ったかコクナ!!」と私はテレビに向 かって怒鳴っていたのでした。
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