インド、東南アジアからオーストラリアにかけて分布するイリエワニはワニの中でも最も大きい。長さではアナコンダやニシキヘビの方が上回るが、体重では比較にならない。
 十分に成長したものだと長さ5m、体重590kgに達する(スマトラ産の測定例。頭骨は635mm)。
 だいぶ前のことだが伊豆・熱川のバナナ・ワニ園で見た一頭のイリエワニは巨大だった。4mということだったが一抱え以上もありそうな胴回りは圧倒的で、他のワニが皆子供に見えたほどだった。
 現在、インド東部、オリッサの保護区には7m以上といわれるイリエワニが生息している。さらにもう3頭、6m以上と思われる個体がこの保護区にいる。
 タイのワニ養殖場 Samutprakarn Crocodile Farm and Zoo には長さ6m、体重1114kgもあるワニが飼われている。
 thailandlife.com によれば2000年6月10日にこのワニ、チャオヤイが28歳の誕生日を迎えたとある。ギネスブック(1992)に初めて掲載された時はまだ19歳、成長がかなり早かった。
 2002年6月、アメリカはサウス・カロライナの North Myrtle Beach にある Alligator Adventure にタイから6mもあるワニがやってきた。シャムワニとイリエワニの混血というからこれはチャオヤイなのだろうか(1964年生まれとなっているが)。ここでは UTAN と呼ばれている()。

2004年、Black Hills のreptile-gardens にオーストラリアの動物園から Maniac という名の大きなイリエワニがやってきた(1970年生まれ)。全長4.7m、体重472kg


↑アメリカに向けて10日間の旅が始まる。
(写真は韓国の Kukaka さんから提供されました)
←St. Augustine Alligator Farm の Maximo


は Craig ファミリーの一員 Cassius 5.5m

 1968年にニューギニアの Fly 川で捕らえられ、パプア湾の Daru 島で飼われていた Gomek という名の大きなイリエワニは、1990年にフロリダの St. Augustine Alligator Farm に移ったが長さ5.5mに達した。ギネスブックにも掲載された Gomek は1997年に死亡している。
 現在 St. Augustine Alligator Farm には Maximo という名のイリエワニが飼われている。1971年にケープ・ヨーク半島で採集された卵から孵った1頭で、Cairns Crocodile Farm で養育されていた。長さ4.6m、体重567kg
 またGomekと同じ頃、Daru 島にいた Oscar という名の方は5.5mあった。
 所有者 George Craig は1971年に彼のワニをオーストラリアのグリーンアイランド、Marineland Melanesia に移している。George Craig が生け捕りにした最大のイリエワニは5.9mもあったが残念なことにすぐ死んでしまった。

 オーストラリア動物園で飼われている Acco は全長5m、体重はなんと1tという。72歳のご老体ではあるが、1tは重すぎないだろうか? 同動物園で2番目に大きな Agro4.6m600kgというのだから。
 ワニは老熟すると共に体の伸びは僅かになるが胴回りは大きくなる。老ワニは若い個体に比べて相対的に重いとはいえるのだが

 オーストラリア北部、ウィンダムにある Wyndham Crocodile Park には3000頭以上のワニが飼育されている。右はその中でも最大の個体でこれも長さ5.5mで、体重は900kgもある

 生け捕りにされたワニで最大のものは、キンバリーのクロコダイルハンター、Frank Wyndlham がシドニーのタロンガ動物園に送るために罠にかけたイリエワニかもしれない。
 しかし暴れて罠の口周り部分を壊し、500kgの木材を引きずってケンブリッジ湾に逃げ込んでしまった。罠は20フィート(6.1m)あり、このワニの尾はそれから2m余りもはみ出ていたという (Ion Idriess, 1946)。


 別府の鬼山地獄、別名「ワニ地獄」には世界のワニ約100頭が飼育されている。大正12年に日本で初めて温泉熱を利用し、ワニ飼育を開始した。日本で飼われている最大のワニは熱川・バナナワニ園のイリエワニだと思っていたが、ここには4.5m500kgもあるワニがいる(1949年生まれ)。
 そして1925年にここで生まれ、1996年に死亡したイチロウという名のワニは7mにも達し?世界最大のワニだったという。現在剥製が売店の一角に展示されている(鬼山地獄)。

※ このワニのことは堀江さんから知らせていただきました。

最大のものは10mに達する ?

 よく引用されるのが、1840年にインドのベンガルで捕獲されたもので全長10m、胴回り4.2m、推定体重3t もあり、頭骨がロンドンの大英博物館に保存されているとのことだった。
 頭骨の長さ927mm、幅476mmといわれていた。これでもとても10mはないが、A. E. Greer(1974)が再測定したところ長さ655mmしかなかった。本来鼻先から後頭部の端までのところを下顎の後端まで測定されていたようだ。
 また大英博物館には別にもう少し大きな頭骨があり、これはドキュメントが失われているので何もわからないがその長さ715mmから推して全長6m以上あっただろう。
 もうひとつ有名なのが、1823年にフィリピンのルソン島でしとめられた人食いワニ。このワニに殺された知人の仇をとるために Paul de la Gironiere とその一行は数週間の探索の後、小さな川に追い込みさらに6時間以上もの激戦の末にしとめた。恐ろしく巨大なワニで陸に引き上げるのは40人がかりの大仕事だった。全長8.2m、胸囲3.4m。朝食 ? に食べたウマの死骸が胃の中で見つかった。
 このワニの頭骨はボストン博物館に送られ現在はハーバード大学比較動物学博物館に保存されている。長さ991mm、幅483mm。現在種のワニの頭骨としては最大の標本とされていたが、これも測り直してみると674mmだった()。

 1930年頃、ボルネオ島北部でゴム園の経営者が10mはあると思われるイリエワニを目撃している。これは単なる目測ではなく、ワニが日光浴をしていた砂州を測定してのことなので信憑性は高い(Malcolm Penny, 1991)。

 同じ頃、バリ島の西海岸でも砂浜に残る左右の足跡の幅が1.5mもあるワニが目撃され、全長は約10mあっただろうといわれている。


Pawlowski を記念して作られた模型。等身大ということだが…
 確認されている最大のイリエワニは、1957年7月にオーストラリア北部、カーペンタリア湾に注ぐ Norman 川で、Krystina Pawlowski が射殺したもので長さ8.6m、推定体重2t もあった。
 Krystina Pawlowski は5,000頭ものイリエワニを撃ち、逃したのは僅か3頭という。当時、オーストラリアで最も変わった仕事をしている女性として知られ、付けられたあだ名が One Shot Krys
 彼女の夫、Ron はワニの専門家だそうだが、ピストルでもショットガンでも射撃では彼女にかなわなかったと彼は言う(Jordan Baker, 2002)。
 第2次大戦中、戦禍を逃れてポーランドを脱出した夫妻は、後年、ワニの保護に乗り出すが、Krys は2004年3月、残念ながら75歳で他界した。

 Dick Eussen(2001) によれば4.5〜6mクラスのワニは決して稀ではない。彼はオーストラリア北部のアーネムランドやヨーク岬でそれくらいもあるワニを撮影してきたという。そしてアーネムランドの Goyder 川には8m以上もあるイリエワニが生存していると。しかし彼もこの大ワニの撮影にはまだ成功していないようだ。

全長(m)場  所備  考
9.0?インド西部、マラバル海岸(1895)頭骨の長さ88.5cm ?
8.4東インド諸島(1705)Alexander Hamilton による
8.2Staaton River クイーンズランド(1970年代初頭)
7.6オーストラリア・ケアンズ(1929)Claude Le Roy が爆薬で殺した
7.6?カルカッタ(1930)インディアン博物館に保存されている頭骨は75cm
7.4Staaton River クイーンズランド1950年代中頃に Peter Cole がしとめる
7.0ボルネオMajor Moulton による
約6.8クイーンズランド(1975)遊泳中の人を食い殺した直後に捕獲されたが、尾の一部が失われていた
6.7クイーンズランド(1948)George Snow が Albert River で射殺
6.7?シンガポールのラッフルズ博物館所蔵の頭骨は69.8cm
6.4セイロン(1924)頭骨の長さ72.4cm
6.3ニューギニア(1966)胴回り2.7m
6.2ニューギニア(1979)頭骨の長さ72cm
6.2オーストラリア(1974)
6.15オーストラリア北部(1960)頭骨の長さ76cm
6.1オーストラリア北部(1962)体重1097kg。老齢のため家畜を襲うようになり射殺された

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