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Stevie Ray Vaughan
1990年8月27日。 あらゆるブルースフリークまたはギターフリーク、ミュージックファンは、この日、痛烈な悲しみと直面することになった。 数々の名曲、名演奏、名パフォーマンスを残し、この世の中の誰の手にも届かない世界へ旅立っていったスティーヴィー・レイ・ヴォーン(stevie ray vaughan)。 彼が残していった影響力は計り知れない。 その後に星の数ほど沸いて出ては消えているフォロワー達を見ても、それは想像に難しくないことだろう。
自分の分身でもある長年の友、いや、妻とも呼べるかもしれない「FENDERストラト」を、まるで自分の身体の一部かのように扱い、普通の人が弾いたなら蚊の鳴くような音しか出ないであろう極太弦を「これでもか!」と言わんばかりにプレイし、数曲演奏するとその弦を糸の様に切ってしまうほどのパワフルファットサウンド、 チョーキングすると苦虫をつぶした様な、あたかも自分の身体の芯から魂の響きを絞り上げるような、あの「レイ・ヴォーン・フェイス」、 これらのレイ・ヴォーンの人を引き寄せる魅力を語り出せばキリがない。
本名Stephen Ray Vaughanはテキサス州ダラスに1954年10月3日に生を受ける。
幼少の頃から兄であるジミー・ヴォーンとともにブルースの中にドップリと身を置き、 数々のブルースの巨人達のプレイを吸収しながら、 時には革命的ギタリストであるジミ・ヘンドリックスのギタープレイに心躍らせ、学業そっちのけで、地元テキサスの大から小までのバーやライヴハウスでブルースのライヴステージをこなしてきたレイ・ヴォーン。 地道な努力が認められ、デビッド・ボウイの名作『LET'S DANCE』にゲスト参加。初めてのメジャーな仕事だったが、その後のツアーへの誘いも「自分の本当の道はブルースだ。」と、スターダムにのし上がることより、自らの心に正直に生きてきたのだ。1983年にデビューアルバム『TEXAS FLOOD』でデビューするまでにはスティーヴィーの名は全米各地で囁かれる若手ブルースギタリストとしての地位を既に築いていた。
『COULDN'T STAND THE WEATHER』『SOUL TO SOUL』『LIVE ALIVE』順調に、そして精力的にアルバムを世に送り出し、世間はクラプトンなどの偉大なギタリスト達に肩をならべつつあるこの若者の勢い、そしてブルースという己の信念を貫く姿に、敬服せざるを得なくなってきていた。
多くのビッグネームミュージシャンがそうであったように、彼も又ドラッグとアルコールに溺れ、挫折、転落を、恐怖と不安とともに、嫌と言うほど味わった。 自分を見つめ、立ち上がろうと必死の努力をし、友であり尊敬するエリック・クラプトンらの手助けもあり、数年かかって地獄の底から這い上がってきた彼が、「さあ、ここからがスタートだ。」と心機一転、生まれ変わって制作したアルバム『イン・ステップ』。 「足並みを揃えて」という意味でもあるそのアルバムは、その年のグラミーも受賞。レイ・ヴォーンの人生はここからが本番だったのかもしれない。
そして運命の歯車は回り出す・・・
「ずっと夢だった。」と自ら言っていた、兄であるジミー・ヴォーンとの共作アルバム『ファミリー・スタイル』を最後に残し、別れも告げずスティーヴィー・レイ・ヴォーンは、私たちがたびたび「あの世」と呼ぶ、アルパインヴァレーという天高くそびえ立つ白銀の山に、私たちブルースフリーク・・・いや、全ての音楽ファンの前からそっと静かに旅立って行ってしまったのだ。
「もしも」・・・・・とういのは禁句かも知れない。 強いて言わせてもらいたい。 彼が今もギタリストとしてこの世に残っていたなら、一体どんなことをやっていただろうか? 彼が生きた35年余は様々な音楽的エッセンスに満ちあふれていた。 ブルースギタリストとして知られる彼の作品の中には意外にも、ロックあり、ジャズあり、ポップあり・・・・・常に次の可能性を模索して生きていた。 彼が逝って10余年。 現代の音楽シーンは歴史を繰り返すがごとく変わり続け、また原点に立ち返る時期もそう遠くはないはずだ。 そんな中でも彼は彼の道を進んでいただろうか? 21世紀でもブルースを弾いただろうか? 「死んでから伝説になる」というミュージシャンは多い。 皆さんもご存知の方々だ。 はたしてスティーヴィー・レイも死んだから伝説になったのか? 死んで人々が気づいたのか? それとも死ぬ運命だったのか・・・・・
スティーヴィー・レイ・ヴォーン。 ブルースの世界に燦然と輝いている彼の軌跡は、彼がいなくなって10年余経った今もその輝きには一片の曇りもないという事実は疑う余地もない。 本当の魂からの叫びは人々の心の奥に届き、「心の弦」を 弾き弾く。 本物はいつまで経っても時代がどう変わっても残り続ける。 人々の魂の中に・・・・・

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1954 - 1990
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