
激しく降り続いた雨も朝方にはすっかりやんでしまっていた。
残ったのはゴミの山、雨によってぬかるんだ一面の泥、
そしてつい昨日までそこにいた40万人から2万5千人までに減ってしまった新たな時代を叫ぶヒッピー達のみ。
伝説が始まる朝は奇妙にも静まり「その人」の登場を朝日と共に待っていた。
1969年8月18日9:00AM・・・ニューヨークの朝を切り裂くかのような演奏が開始された。
それは「ウッドストック」と呼ばれる伝説の最後を飾るステージであり、
激動の60年代をしめくくり、新たなムーヴメントが生まれてきたような「産声」でもあった。
『星条旗よ永遠に』をああいう形で演奏するとは・・・・
聞く者全ての度肝を抜いてきた彼は意外にもデビューは遅かった。
遅かっただけに爆発も激しく、その爆発の勢いは今もなお続いていることは周知の事実。
決して裕福でない幼年時代から、
自分を押さえながらのバックバンド下積み時代、
ようやくデビューし自分を解き放ったが、
ああいう形で終焉を迎えようとは誰が予想できただろうか。
彼のギタープレイ、パフォーマンスには目を見張るものがあった。
フェンダーストラトをあんなに激しく弾きこなす・・・いや、何と表現しよう・・・
弾くというわけでも使うというわけでもない。彼の魔術儀式によって魂を降ろしているのだ。
『ウッドストック』『モンタレー』『ウインターランド』・・・・・
彼のライヴ盤が多いのは、そのパフォーマンスの高さからだった。
一度ライヴが始まればそこはもう魔術儀式の会場と化してしまう。
その魔術の虜になっている世界中の人は何人いるだろうか?
あれだけの魔術師がこれまでにいただろうか?「VOODOO MAGIC」そう呼ぶのが最もしっくりくる。