[PR]今日のニュースは
「Infoseek モバイル」

Special topic

ノドアカツグミ?観察報告 (Turdus ruficollis) ?

4月上旬、twitcherの友人K君より、ノドアカツグミらしい変なツグミが観察、撮影されたという連絡が入った。土日は多いだろうという推測を立て、週が変わって4月15日に現地の公園へ赴いた。(案の定、土日は100名を超える人が来ていたそうだ)。月曜日にも関わらず、既に50名近い人が集まっており、個体そのものはすぐに見つけることが出来た。以下は同個体に関する私の観察記録である。

大きさ、形状: 本個体は普通種のツグミやシロハラとおおよそ同じ大きさで、体長約25cmと推測された。形状はツグミが地面に比較的水平に立ち、首も尾も比較的短い印象を受けるのと異なり、静止時により立ち姿勢を取り(写真下)、尾羽や首がやや長く見えた。

Svensson et. al (1999),によると、ノドグロツグミが「ノハラツグミに似た形状」をしているのに対し、ツグミは「ウタツグミに似た形状」なのだという。最も、比較対象種自体が日本では稀なので、あまり役に立たない比喩かもしれないが・・・。

識別: 極東アジア産のツグミ類で眉斑のある種は3種(マミジロ、ツグミ、マミチャジナイ)いる。中央アジアの種も含めると、更にノドグロツグミ、ワキアカツグミ、ノハラツグミも該当種に入ってくる。これら6種のうち、マミジロはオスは全身が黒、メスは褐色のうろこ模様で容易に本個体に該当しないことが分かる。マミチャジナイは雌雄共に橙褐色の腹をしており、胸や腹に縦斑や筋が一切入らないのでこれも該当しない。一方、ワキアカツグミは脇が明瞭な赤褐色をしていること、喉、腹、脇に明瞭な暗褐色の縦斑があることなどで、異なる。また、大きさ的にもワキアカツグミにしては大きすぎる。ノハラツグミは褐色の肩羽をしており、脇はうろこ状の斑が明瞭にあることから異なっている。残った2種では、ツグミであれば、亜種ハチジョウツグミ(race naumanni)、ノドグロツグミであれば、亜種ノドアカツグミ (race ruficollis)に絞り込まれる。ハチジョウツグミは喉から下面、脇にかけて赤褐色の範囲が広く、また、上面にも一部赤褐色が見られることがある。写真下の比較写真(右が観察個体、左が前述のつくば市で観察されたハチジョウツグミ)で見られるように、ハチジョウツグミの眉斑は赤褐色で幅広く、顕著である。一方、写真の個体では喉はまだ斑模様に赤褐色が出ているだけで、範囲も狭い。色もハチジョウツグミではもっとさび色がかっているが、本個体では濃い赤褐色である。また、腹から下面はノドアカツグミの特徴通り汚白色で、脇には不明瞭な灰色の筋がみられる。この他の本個体の特徴として、一様に上面が灰褐色であること、眉斑が白く不明瞭なこと、黒褐色の顎線が明瞭なこと、腰が薄い灰褐色であることなどである。また、外側尾羽には赤褐色の部分がほとんど見られず、ハチジョウツグミとは異なった印象をもつ。以上の特徴により、本個体は少なくともノドアカツグミであると推測される。

年齢: 写真から判断するに、少なくとも本個体はオス成鳥ではない。大半のフィールドガイド等で描かれているように、メスでもどうやら赤褐色の眉斑を持つらしい。本個体の眉斑は白、あるいは汚白色であることから、前年生まれの若い個体であると推察された。各図鑑の1年目オス、メスのイラストにはかなりいろいろなものがある。 Robson (2000) and Alström and Colston (1991),によれば、1年目のメスはかなり筋や斑が明瞭だという。一方、一年目オスはメスの成鳥に似るらしい。従って、個人的には1年目メスという見解を持っている。 文一総合出版より出されている「日本の鳥550」に掲載されている若い個体の写真によく似ており(ノドグロツグミの頁一番下の個体)、秋に撮影されている同個体がメスの幼鳥とすれば、半年ほどで喉がある程度赤くなる可能性はあるかもしれない。同じ頁にあるオスの若い個体は本個体以上に赤い部分が目立つため、やはりメスの可能性を示唆している。ただ、資料間の記述に多少ばらつきがあることから、更なる資料集めが必要かもしれない。

Call: 不明。聞かなかった。

本個体は4月18日まで観察された。ノドグロツグミ(ノドアカツグミを含む)は稀な旅鳥か冬鳥で、本記録はおそらく本種西部でのはじめての記録になるのではないか。


 比較のため、以下につくばで観察されたハチジョウツグミ(写真上)の観察記録を添付する。記録は知人のF氏からご好意でいただいた。

 2002年1月25日午前7時から8時までの間及び3月24日午後2時から3時までの間、茨城県つくば市においてハチジョウツグミ(Turdus naumanni naumanni)第一回冬羽(おそらく雌)と思われる個体を観察した。本個体は、知人のI氏が1月23日に発見し、3月下旬まで同所で確認されていた。本個体は、住宅地の芝生と樹木が混在している場所を好み、ツグミ同様、芝生の上によく降りて採餌していた。単独行動をとっていたためツグミとの比較は出来ないが、大きさはツグミと同じか少し大きめ(太め)に見えた。

外観的特徴: 頭から背、腰、翼上面は灰褐色に見え、尾羽上面も灰褐色で外側尾羽は赤褐色であった。また、喉から胸は灰色味がある赤褐色で、白い腹との境界がはっきりしていたためノドアカツグミを想像させた。しかし、雨覆い及び風切り羽根に若干の赤褐色味があり、脇腹にも薄いながら赤褐色の斑点が灰色の斑点と混在してある上、尾羽上面の根元は赤褐色であったためハチジョウツグミと思われる。また、眉斑はノドアカよりもはっきりしていた。

声:鳴き声はあまり聞けなかったが、ツグミと同じような地鳴きを聞いた。


本個体については様々な議論がなされています。皆様の御意見、ご見解をお聞かせください。

参考文献:

Colströn, Peter et.al (1991). A Field Guide to the Rare Birds of Britain and Europe. Harper Collins, U.K.

Grimmet, Richard et. al. (1999). Birds of the Indian Subcontinent. Christopher Helm Ltd., U.K.

Himaru, Iozawa et.al. (?) Nihon-no-tori 550: Sanya-no-tori. Bun-ichi, Tokyo.

Hirozo, Maki & Toshikazu, Onishi (2000). A Photographic Guide to the Birds of Japan. Heibonsha, Tokyo

Jonsson, Lars (1992). Birds of Europe with North Africa and the Middle East. Christopher Helm Ltd., U.K.

MacKinnon, John & Phillipps, Karen (2000). A Field Guide to the Birds of China. Oxford University Press, U.K.

Svensson, Lars, et.al. (1999). Bird Guide: The Most Complete Field Guide to the Birds of Britain and Europe. Harper Collins, U.K.


メニューへ戻る