Broadbill -Birdwatcher's site
春の渡り鳥
春の渡りは3月からはじまります。冬鳥たちが旅支度を整える頃、ツバメが渡来します。ツバメは昔から日本人になじみの深い鳥で、農家では虫を食べる益鳥として保護してきました。今でも旧家の軒先にツバメが巣をかけやすいよう、板を打ち付けている家が多く見られます。
4月20日から5月10日にかけて、私は毎朝5時過ぎに起き、家の近くの林に出かけたものでした。ねらい目は雨が降った翌日。決まったように、夏鳥の渡来を目にすることができました。センダイムシクイやコサメビタキは比較的早くから渡ってきます。新緑とほぼ同時期に見られるため、動きの速いムシクイでも比較的容易に目にすることができます。連休前になると、オオルリ(写真下左)、キビタキ、コルリ、コマドリ、エゾムシクイ(写真下右)、ヤブサメ、ノジコという鳥たちが美声を響かせ、里山を高原か深山の趣きに一瞬変えてくれます。
ベテランバードウォッチャーには、春の渡りの時期になると、日本海側の島を目指す人たちがいます。
日本海側の島々は大陸に近いため、本土を通過しない鳥が多く見られます。以前は私もそのようにして、日本海側の島々を訪ねたものでした。印象深かったのは1993年の5月で、石川県の舳倉島という小さな島で、一週間で160種あまりの鳥を見ることができました。この中には、アカアシチョウゲンボウ、セグロカッコウ、ヒメコウテンシ、ヒメイソヒヨ(写真右)、ムジセッカ、カラフトムジセッカ、オジロビタキ、マミジロキビタキ、シマノジコ、シロハラホオジロ、キマユホオジロといった普段はめったに見られない鳥も入っていました。しかし、いつもいつもこのように沢山の鳥が見られるわけではなく、晴天が続くと鳥たちは小さな島には見向きもせずに通過していきます。つまり、行ってみない限りはなにも分からないわけで、そのリスク性の高さがバードウォッチャーをひきつける要因になっているかもしれません。
春の渡りも終わりに近づくと、渡りの主役は北海道で繁殖する種に変わってきます。シマセンニュウ、エゾセンニュウなどといった小鳥たちは5月下旬ですら目にすることがあります。この時期、オオルリやセンダイムシクイは山に入って繁殖を始めています。遅めに渡来する北海道の鳥たちの中では、ノゴマ(写真左)は比較的早く渡来し、連休頃にも姿を見られます。山の小鳥の渡りは6月上旬に渡来するホトトギスの到着により、全てが出揃います。
場所は変わって海岸線。干潟や河口では、シギやチドリといった鳥たちが美しい羽色で群れています。ハマシギの上面は赤茶色になり、腹は黒くアクセントが出て、灰褐色の冬羽とは大きく印象を変えます。オオハシシギは長い嘴を持ったシギで、この時期には橙褐色の美しい羽色をしています。また、小型のトウネン(写真右)ですら
、赤茶色の美しい羽に衣替えし、水田や蓮田にも多くのシギやチドリが見られます。黄色っぽく、ずんぐりとしたウズラシギ、ウズラシギをそのまま小さくしたようなヒバリシギ、真っ黒な体に赤い脚、長くまっすぐの嘴が印象的なツルシギ、甲高い声で鳴き交わすタカブシギなどが常連です。しかし、こういう環境もすっかり減ってきて、最近ではツルシギやウズラシギの姿もめっきり見る機会がなくなりました。
春は気候的にも良く、バードウォッチングを始めるには良い時期です。花見やハイキングに行く折、ついでに双眼鏡を持ち出してみて下さい。渓流沿いの杉の木で囀るオオルリや、砂浜に群れ集うハマシギたちに出会えるはずですから。
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