South Australia - Victroria - New South Wales探鳥行
1996年7月5日−7月22日

−序章                                                                         

懸念の研究課題をすべて終えた6月、久しぶりに遠出をしたくなった。既にケアンズ、ダ−ウィンに2回ずつ、マウント・アイザに1回出かけていたので、当然ながら目は南に向かった。タスマニア、ヴィクトリア、サウス・オ−ストラリアを回れば30種は増えるだろうと計画を練る。問題は資金と時間であり、7月16日には大阪からK氏やM氏らがシ ドニ−に到着する。最低15日にはシドニ−近郊に戻らねばならない。飛行機ならばすべて回ることも可能だったが、経費がかかり過ぎるため、タスマニアをあきらめる。更に、現地での確実性を期すため、メルボルンに赴任されたTS氏に連絡をとる。 

今回の目的はPink Robinに会うこと、Neophema Parrotを3種以上見ること、Grasswren2種に出会うことだ。Allan Richardsの話では天候があまり良くないということだったので観察を主体に計画を組む。最後に日程を決め、7月5日に家を出ることにする。      


7月5日  Forest Hill - Mama Creek - Warwick - Goondiwindi - Moree - Nyngen

朝6時半、まだ暗いうちに家を出る。Mama Creekあたりで御馴染みのBar-shouldered Doveの群れに会う。車道に出てきて何度も轢きかける。Warwickから西に折れ、Goondiwindiに出る。途中でRed-rumped Parrotが車道を横切る。雄のきれいな個体が入っていた。Moreeまでは天候も良く、Badgerigar, Cockatielらが道路脇から飛ぶのが見られた。ニュ−・サウス・ウェ−ルズ州の中央部に入った頃、低気圧の影響で雨が降り出し た。予定していたWarrenでのSuperb Parrotの観察を取り止める。大雨の中、Black Boxの中からSuperb Parrotの雌が飛び立つ。車道脇からBlue-winged Parrotらしき小群が飛び去るも識別不能。雨が恨めしい。夕方6時過ぎ、Nyngenの町に入る。 


7月6日 Nyngen - Cober - Broken Hill - Peterborough - Port Augusta

移動日二日目。雨はすっかりやみ、朝から晴れ上がる。カンガル−に注意しながら車を西へ走らせる。Coberあたりからmalleeの美しい樹海が目に飛び込む。時折Galahに混じってPink Cockatooの姿が目に留まる。朝の光を浴び、桜色の羽が一層引き立つ。水たまりには色々な鳥が下りており、運転に気を遣う。Spotted Bowerbirdが出た時にはさすがに少し驚かされた。Broken Hillが近づくと、それまでよく出ていたBlue Bonnet に代わり、Mulga Parrotが目につくようになる。Broken Hillは砂漠の中のオアシスのような町だ。spinifexの丘に囲まれたマウント・アイザとは異なった印象を持つ筈だが、 鉱山の町であるためか、町の雰囲気はよく似ている。ただ荒野としか言えないような丘 の上をBlack-breasted Buzzardがゆったりと飛ぶ。

Broken Hillの町を抜け、Peterboroughまでの間に二回休息を取る。サウス・オ−ストラリアに入る手前でWhite-winged Fairy-wrenの群れに出会う。本来はblue bushなどの開けた環境を好むようだ。Chirruping Wedgebillに初めて出会う。じっくり観察したいところだったが、立入禁止の立て札が目に入ったので、すぐに探鳥を止める。サウス・オ−ストラリアに入ってすぐ、Redthroatを見つける。地味な鳥を想像していたのだが、雄 の喉の赤褐色が目につきなかなか印象深い。声もコヨシキリを少しほうふつさせる陽気な声で、明るいところに止まってさえずるので、じっくり観察できた。これがヤブムシクイの仲間とはとても信じがたい。 

Peterboroughを過ぎると山道になった。はげ山に近い樹木のほとんど生えない山々が独特の景観を作り上げている。どうやらFlinders Rangesの南側をかすめて通っているよ うだ。

山道を抜けると突然視野が開けた。目指すPort Augustaは近い。海が見えるのに林が全然ない。海岸沿いはsamphire(サンゴソウの仲間?)が茂り、それからすぐにblue bushが生えている。何とも不思議な景観だ。 

その日の夜はバロッサもののワインとカルボナ−ラで疲れを癒した。


7月7日 Port Augusta - Lake Gillies Conservation Park - Iron Knob - Port Augusta - Hawker - Lyndhurst

天気予報によると晴れるのは今日を含め3日間だけだそうだ。Lake Gillies を目指し、車を飛ばす。Iron Knobを過ぎたあたりからmalleeの林が見えてくるようになった。1時間半ほどでLake Gillies Conservation Parkに到着、すぐに探鳥を開始する。Red WattlebirdとYellow-plumed Honeyeaterが多い。奇妙な声の主はSpiny-cheeked Honeyeaterだろうか、これも多い。どうやらユ−カリが花季を迎えつつあるようだ。Port Lincoln Ringneckが樹間を縫うようにして飛ぶ。声も容姿もMallee Ringneckとはまっ たく異なるのにどうして同種なのだろうか。 「ジ−ッ」という昆虫のような声の主は予想外のPurple-crowned Lorikeetだった。喉から腹にかけての青緑色が美しい。 

ここでの目当ては3種の西オ−ストラリアの鳥だが、なかなか見つからない。1時間を 過ぎた頃、目の前をtreecreeperらしきものが飛び去る。木に止まったのを見る。赤茶色が目に飛び込んできた。Rufous Treecreeperだ。採餌はもっぱら地上のようで、警 戒すると木の枝に止まる。行動は同属のBrown Treecreeperそっくりだ。Walking Trackをはさんだ反対側のやぶにはwrenが見え隠れする。どうやらBlue-breasted Fairy-wrenらしい。雄のきれいな個体がいないので、識別に手間取る。Variegated Fairy-wrenに酷似するも、灰褐色味が強く、腹部とのコントラストがきつい。声は一層細いようだ。このあたりにはVarigatedは分布していないので、間違いはないはずだが、雄の生殖羽がいないのは物足りない。Whistlerの声をよく耳にするので、Gilbert'sかRufousを想像していたら、出てきたのはGolden Whislterだった。malleeにいるはずがないと思いこんでいたので、予想外の出現に驚かされた。

Port Augustaに戻る途中にIron Knobの草原に立ち寄る。ここは以前にはThick-billed Grasswrenが観察されていた所だ。広大なblue bushの草原が広がり、White-winged Fairy-wrenがあちこちから顔を出す。Redthroatが穂先に出てさえずる。細かい鳥が うろうろしていると思ったら、初顔のSlender-billed Thornbillだった。この仲間はやはりどれも大差がなく、感動も薄い。

Port Augustaで昼食をとり、近くの公園で休息をとる。Silver Gullがやけに沢山集まっているなあと思って双眼鏡を当てると、半分近くはBanded Stiltだった。この鳥は集団 性が強い上、泳ぐのを得意としているらしく、まるでカモメのようにプカプカ水に浮いているのだった。Coorongで見る予定にしていたので、予想外の出現に少し得をした気分になる。

Port AugustaからFlinders Rangesに向けて車を走らせる。 標高は1,000m以上あるのに、周囲にあまり高い木がなく、独特の景観だ。 Hawkerを過ぎたあたりからはいよいよ木を見ることも稀になってきた。殺風景だが雄大な景色が延々と続く。集落ごとに沼や川があり、オアシスがそのまま集落になっている。 

Lyndhurstは舗装路の終点である。ここから先は500km以上舗装路がない。憧れのBirdsville Trackはこの先だが、今回は時間がない。Strtzelecki Trackに少しだけ入って、Thick-billed Grasswren, Chestnut-breasted Whitefaceなどをみつけるのが今回の目的だ。舗装はされていないが、案外道幅が広いのに驚く。規格もCape Yorkの道よりも良いのではないだろうか。もう一日見ておけばEyrean Grasswrenのポイントまで行けたのに、と後悔する。LyndhurstのGrasswrenのポイントは予想以上にわかりにくかった。キロ数を目安に適当な所で止めて鳥を捜す。出てくるのはWhite-winged Fairy-wrenば かりで、grasswrenと紛らわしい。「チ−」という聞き慣れない声に目を向けると、Cinnamon Quail-thrushだった。随分開けた環境に住んでいるものである。町に戻る 途中、小さなため池に寄る。Pink-eared Duck, Pacific Black Duckが慌てて泳ぎ出す。随分内陸にまで入り込んでいるものである。結局この日はgrasswrenに会えずに終わっ た。 

Hotelで夕食のあてに色々なビ−ルを試す。West EndやCoopersなど知らない銘柄のビ−ルが多く、結構楽しめた。Coopersはアルコ−ル度数が6.5%と高く、オ−ストラリアでは 珍しいのではないか。田舎の夜というのは暇である。7時半にはとっとと寝ることにし、ベットに入り込む。

7月8日 Lyndhurst - Port Wakefield

砂漠の朝は寒い。日が昇ると一気に気温も上がる。とたんにhotelの回りで鳥が鳴き出した。その中にHouse Sparrowが混じっていたには、驚かされた。人さえ住んでいればどこにでもいるのだろうか。 

朝一番は前日見逃した鳥たちからやることにする。天気も良く、風もないのに相変わら ずWhite-winged Fairy-wrenくらいしか目につかない。さんざん捜して、ようやっとChestnut-breasted Whitefaceを見つけたが、すぐに飛んでしまう。愛想の悪い奴だ。少し場所を変え、古い鉱山のあるポイントで再度挑戦する。gullyに沿ってblue bushが 随分茂っている。何か細い声を聞いたと思ったら、20m先のblue bushから何か飛び出した。White-winged Fairy-wrenにしては声が細過ぎると思って歩き出すと、茶色い鳥が出てきて、すぐに飛び去った。Thick-billed Grasswrenに間違いない。Grasswrenにしては珍しく、ちゃんと飛ぶようだ。よく耳を澄ますとあちこちで声がする。それにして も見にくい鳥だ。それから1時間近く費やしたが、それっきり姿を見ることはできなか った。 

前日行ったため池にWhite-winged Wrenを撮るために立ち寄る。警戒心が強く、なかなか近寄れない。そうしていると、blue bushの穂先に別の鳥が目に入ってきた。尾羽を立てているのを見て確信する。Rufous Fieldwrenだ。地味でつまらない鳥と思っていたが、なかなか渋くて美しい。さえずる姿も尾羽を上げて格好良い。繁殖期が近いのか、雄らしき鳥が雌らしき個体をしきりに追いかけている。鳴きまねをすると尾羽を立てて近寄って来た。印象としてはScrubwrenの仲間よりもgrasswrenやfairy-wrenに近い。

そうこうしているうちに昼になってしまった。Mareeまで行ってGibber Chatを捜すつもりだったが諦めざるをえないようだ。Lyndhurstへ戻り、南へ下り始める。途中鳥のいそうな所で何度か車を止めるも、今一つぱっとしない。Chirruping Wedgebillが沢山い る所で車を止めたが、それだけで後は何もいなかった。随分沢山いると思っていたら、何個か巣が見つかった。地上からせいぜい2mの所である。天敵もいないのだろう。 

今日の宿泊先をPort Wakefieldに決め、ただ車を走らせる。5時にようやくMoteに到着し、食事を済ませ、すぐにベッドに入った。 

7月9日 Port Wakefield - Port Prime - Port Gowler - Parra Wirra Recreation Park - Outer Harbour - Adelaide - Murray Bridge

 朝から天気がぱっとしない。Port PrimeかPort GowlerでElegant ParrotとRock Parrotを観察するのが今日の目的である。Port Primeまでわずか30分、ハイウェイをそれて、すぐに鳥を探し始める。Adelaide Rosellaが庭先から顔を出す。オレンジの独特の色彩だが、Crimson Rosellaほどの鮮やかさはない。Yellow Rosella同様中途半端な印象を持った。茶系統のインコが2羽道端を横切った。Elegant Parrotを期待して探すと、出 てきたのはBlue Bonnetだった。こんな海岸沿いまで分布しているとは知らなかった。 続いて約15分でPort Gowlerに出る。ここではsamphireの中を歩いてみるが、出てくるのはRed-rumped Parrotばかりである。予定外のBlack-eared CuckooやBlack-tailed Native-henが出るも期待外れである。3種のwren(Superb, Splendid, White-winged)が分布を重ねて住んでいるのはなかなか興味深かったが。干潟では300羽以上はいるであ ろうトウネンと約10羽のサルハマシギが混群を形成していた。彼らの大半は一見冬羽のようであったが、恐らく若い個体なのであろう。

 インコを諦め、Parra Wirraへ向かう。サウス・オ−ストラリアは標識が少なく、道を見 つけるのに一苦労である。さんざん迷って、ようやく到着、すぐに探鳥を始める。植生は大分水嶺山脈西側のopen forestに似ていると思っていたら、Scarlet RobinやWhite-naped Honeyeaterが顔を見せた。鳥もどうやら大分水嶺山脈西側と同じ雰囲気らしい。North Ovalの近くでCrescent Honeyeaterに出会う。 雄は渋い灰青色と黄色の羽が美し い。声は今ひとつさえないが、ミツスイにしては個性が強く、好きになってしまった。Parra Wirraを昼過ぎに出て、Outer Harbourへ立ち寄る。うまく行けば、Parrotに会えると思っていたが、結局出たのはBlack-faced Cormorantくらいであった。 

7月10日 Murray Bridge - Mosquito Point - Victor Harbour - Newland Head  Conservation Park - Murray Bridge - Tailem Bend

  予備の日程をどこで消化するか決めかねていたが、あまりに見たいものが見られていなかったため、この日をもう一日Elegant Parrot探しにあてる。最初に訪ねたのはMosquito PointというLake Alexandrina湖畔の北岸である。周囲の湿地でCape Barren Gooseを見つける。 家畜のシナガチョウやガチョウに混じっていて、野生味がない。 Red-necked AvocetやFairy Ternが採餌に忙しい。

電線に中型の鳥が止まっている。Spotted Turtle-doveだと思って見たら、季節はずれのPallid Cuckooだった。この寒い冬にいったいなぜいるのだろうか。 

Victor Harbourへ抜ける途中、Goldfinchの群れを見かける。一緒に採餌していたのが Red-rumped ParrotとCommon Mynaで、誠にInternationalである。

Newland Head Conservation Parkに着く頃、予想外に空は晴れ上がっていた。晴天の中、海上を眺めると、Black-browed Albatrossが遠くかすんで見えた。砂浜にはCrested Ternの群れが休んでいた。さらに遠くを望遠鏡で追っていると、頭の黒いチドリが目に入ってきた。Hooded Ploverだ。Victoriaで見せてもらうつもりでいたので、少し得をした気分になる。頭の黒に加え、嘴の赤が鮮やかで、印象深い。駐車場に戻ると、heathから飛び立ったRock Parrotのペアを目にする。逆光で色彩がはっきり見えない。HeathのやぶからSinging Honeyeaterが顔を見せる。今回はなぜかどこにでも姿を見せる。もともと南の方が多い鳥なのだろうか。Heathの中を歩いていると、足下からハトが飛び立った。Brush Bronzewingだ。図鑑で見るよりも額の黄色が鮮やかだ。 

色々鳥が出るので、山側のWalking Trackも歩いてみることにする。WattlebirdとNew Holland Honeyeaterがやたらに多い。「ジ−ッ」という声を聞いたので、ユ−カリの樹冠 を注意深く探す。小さめの色鮮やかなインコがじきに見つかった。Purple-crowned  Lorikeetは何度見ても飽きない。じっくり見ようとしたらRed Wattlebirdが追い出してしまった。意地悪な嫌な奴だ。 

Murray Bridgeに出る途中、もう一か所Conservation Parkに立ち寄る。こちらの方は Malleeがずいぶんと茂っている。林の中に2kmほどのWalking Trackがある。malleeの中に入らなくて済むのはありがたい。天気が不安定なため、鳥の出はあまりよくない。Spiny-cheeked Honeyeaterばかりが目につく。聞き慣れないミツスイの声を聞いたので注意深くやぶの中を探す。malleeの中から出てきたのはPurple-gaped Honeyeaterだっ た。Yellow-tuftedやSingingに少し雰囲気が似ている。malleeの遺存種で、花季以外は姿の見にくい鳥らしい。

「ヒ−ッ」という細い声を聞いたので、scrub-robinと思って鳴きまねをしたら、やぶか ら出てきたのはShy Heathwrenだった。 この鳥も尾羽を立てるようで、grasswrenの大型種のような印象だ。名前とは異なり、案外好奇心が強いらしく、鳴きまねによく反応する。 

malleeの中で意外なものも見つけた。wrenの声がするので呼び出してみると、splendidではなく、blue-breastedだった。Eyre Peninsulaあたりが分布の東限のはずなのだが どうしてこんなところにいるのだろう。オ−ストラリアの鳥の分布に関しては、まだまだわからないところが多いのかもしれない。

7月11日 Tailem Bend - Lameroo - Billiatt Conservation Park - Lameroo - Ouyen- Hattah/Kulkyne National Park - Ouyen

朝から天気がすっきりしない。 今日は未舗装路を多く走るので、不安が残る。 

Lamerooで道を北に折れ、未舗装路を上がる。予想より良いと思っていたら、すぐにベ トベトのぬかるみのような道に変わった。路肩に注意して車を止める。malleeの中からYellow-rumped PardaloteやYellow-plumed Honeyeaterが姿を見せる。spinifexが案外多く、grasswrenやemu-wrenが期待できそうだ。水たまりにMallee RingneckやMulga Parrotが来ている。spinifexの中からはStriated Grasswrenらしき声を聞く。テ−プを流して反応を聞くが、それっきり鳴かない。あきらめて車道に戻る。 

道路脇のやぶから小型のインコが顔を出した。逆光で色がよく見えないが、上面は黄緑らしい。大きさからMulgaやRed-rumpedではないようだが、なんだろう。 そうこうし ているうちに飛んでしまった。 顔が青い、腹部は黄色だ。 こんなパタ−ンを持ったのは2種しかいない。 そのうちの1種、Turquoiseは分布から1,000kmくらい離れている。Scarlet-chested Parrotのようだ。止まってくれることを祈るが、遠く飛び去ってしまった。 雨の後の赤土の道はグリップが全然効かない。横滑りばかりするので、探鳥を中止してLamerooへ戻る。 車は泥だらけだ。 Ouyenに出る途中、ガソリン・スタンドで洗車しようとしてスタンドのオヤジに聞くと、「Ouyenに向かうんだったら、洗うだけ無駄だよ」 と言われ、洗車をあきらめる。 案の定、雨の後で舗装されていても、泥を巻き上げる。迷った末、Hattah/Kulkyneに行くことに決める。 おなじみのMalleeの鳥たちが顔を出すも今一つさえない。 ここで一層車を汚し、ガソリン・スタンドで給油に出てきた女の子にずいぶん汚い車だと、笑われる。 周りを見れば、みんな同じような車ばかりなのだが…。

7月12日 Ouyen - Hattah/Kulkyne National Park - Hope Toun - Wyperfeld National Park - Horsham - Ballarat - Melbourne

Striated Grasswrenに出会える可能性のある最後の日だ。朝一番はHattah/Kulkyneの狭いMalleeの一角に決める。数年前にStriated Grasswrenが観察された場所である。気温の上がる9時前後まで途中で時間をつぶす。国立公園内は昨日同様道が悪い。目的地まで運転に細心の注意を払う。 

到着後、spinifexに沿って歩き始める。1時間程歩いてからだろうか、聞き慣れないwrenの声を聞く。emu-wrenの仲間は濁った声で鳴くし、fairy-wrenは澄んだ細い声で鳴く。Striated Grasswrenに違いない。そう確信して、周囲を注意深く探す。見つからない。しばらくして、ずいぶん離れたところで声がする。約1時間半、そうやって追いかけっこをしていたが、10m以内にいるとわかっていても見つからない。 知人のAndy Andersonがgrasswrenの中で最も見つけにくいと言っていたが、本当にそのようだ。NTのWhite-throated、Queensland州北部のCarpentarianは狭い範囲を出たり入ったりしていたので、難しいなりにも見つけられたが、こいつはさっぱりみつからない。時間があまりなくなってきたので、Wyperfeldにいることを祈ってあきらめる。 

Wyperfeldまで約2時間、Hattah/Kulkyne同様よく整備された国立公園に到着。公園奥 のWalking Track入口まで車で行く。こちらはほとんど雨がなかったのか、道の状態が良い。入口のGum Treeの林から、奥に行くに従って、Malleeが出てくる。 

Walking Trackを歩いていると、「ピピピピピ…」と単調だが、聞き慣れない声がする。 しきりに木の枝先を捜していたが、見つからない。声のする方に近寄ると、足下から羽音がしてChestnut Quail-thrushが出てきた。何羽かいるのでじっとしていると、その うちの一羽が低い枝先に止まってさえずり始めた。普段は地上性なのに、さえずる時だけは枝先に出てくるようだ。道を挟んで反対側のやぶからはSouthern Scrub-robinが顔を出した。鳴きまねをするとすぐに寄ってくる。 好奇心が強いのか、縄張り意識が強いのか、いずれにしても面白い鳥である。近くで見ると尾羽の赤茶色が案外目立つ。2時まで粘ったが、結局grasswrenには会うことができなかった。 

S氏に会う時間から逆算して、時間があまりないので、車をかなり飛ばす。 

Ballaratから先は4車線になり、道も良く、7時にはMelbourneに到着した。 

Melbourneの街中でS氏に会い、久しぶりに焼き鳥をごちそうになった。氏はカナダ のトロントに以前住んでいらっしゃったこともあり、北米の鳥の話をずいぶん聞かせていただいた。 オ−ストラリアでは随分鳥を絞り込んで見ていらっしゃるようで、何を見てもある程度楽しめる私に比べ、余裕を持っていらっしゃるように見えた。日曜日に地元のバ−ダ−の案内でOrange-bellied Parrotを探すことになっているそうなので、明日の メインをPink Robinに置いて、11時に寝床についた。

7月13日 Melbourne - Belgrave - Phillip Island - Churchill National Park -Melbourne

朝の寒さで目が覚めた。今年一番の冷え込みらしい。Belgroveまで約1時間、細い道をどんどん入っていく。 このあたりは現地の人がいないととてもわからない。前の週にS氏は現地の人の案内ですでに御覧になっているようだ。図鑑で見るよりもかなり良い鳥らしい。 

Royal National ParkのLady Carrington Driveの入口を思わせるような高い木々が立ち、ピクニック・グラウンドが整備されている。 榛葉氏によると、Pink Robinはこの林縁部に出てくるという。Little Corellaが林の中から出てきた。どこででもかご抜けして定着しているものだとあきれる。Pink Robinを待つこと1時間、「寒いから、あと5分くらいにしましょう」と話をしていたら、頭の黒い鳥が出てきた。陽の光が胸に当たって美しい。Rose Robinよりも少しPink系の色が強いだろうか。 案外嫌みのないPink系で、なかなか上品な鳥だ。体型は同属のFlame RobinやScarlet Robinに似て、頭が大きく見える。地上採餌型なのか、地面近くまで下りてくる。気温が上がらないせいなのか、しばらくするとまたやぶの中に入ってしまった。 

続いて Phillip Islandへ向かう。途中でPacific Gullに出会う。なんともいかつい嘴の持ち主だ。「あんなの普通種ですよ」と言う話を聞いていたが、なるほど何の変哲も ないような所に出てくる。でもKelp Gullを見ているよりもずっと面白い。 

岬の先端からBlack-faced Cormorantを探す。小雨が降ったりやんだりで落ち着かない空模様だ。Black-faced Cormorantは顔のパタ−ンがLittle Pied Cormorantと少し異なり、黒い部分が大きい。海岸沿いの鳥らしく、他のオ−ストラリアの鵜のように、内陸の湖沼には入ってこない。さんざん探し回ってようやく見つけることができた。 

昼食後、 S氏の提案でChurchill National Parkへ立ち寄る。Melbourneからわずか しか離れていない所に、Western Grey Kangalooが顔を見せたので、違和感を感じる。鳥の方はScarlet Robin, White-naped Honeyeater, Crested Shrike-titなどが出現。 木の丈が低く、鳥が見やすい。White-napeは相変わらず大きな群れを作って、花の蜜を吸うのに忙しい。ほんの一瞬も止まっていないのではなかろうか。Crested Shrike-titはカラ類のように、脚を器用に使って餌を取っている。大きめのミツスイがいると思ったら、White-eared Honeyeaterだった。heathかmalleeの鳥だと思っていたのに、変な所に出るものだ。 

その夜はS氏推薦のtake awayの寿司屋で買い物をして、夕食を取った。Melbourneでは日本食の食材もかなり入っているらしく、刺し身も案外良いものが手に入るようだ。やはりMelbourneの方が移民や駐在員が多いのだろう。中華系の食材を買うのにも苦労している私には少しうらやましく聞こえた。 

7月14日 Melbourne - Barron Head - Swan Island - Melbourne - Albury - Yass

個人で回るのは今日が最終日だ。 最後に取っておいた海鳥、Orange-bellied & Blue-winged Parrotsに会えることを祈って、朝の6時過ぎに出発する。途中で別れて帰るため、S氏の車を追いかけて走る。道が良いため、わずか1時間ちょっとでBarron Head に到着する。 まずは海鳥を探す。すぐにBlack-browed、追ってShy Albatrossがみつかる。Shy Albatrossが出現するのが如何にも南を感じさせる。 

本日の案内人のPeterをピック・アップし、Swan Islandへ向かう。 ゴルフ場の裏!のsamphireにOrange-bellied Parrotは出現するという。写真付きのりっぱな立て看板が立っていて、Playerに注意を促している。結局この日はOrange-belliedもBlue-wingedも出てくれなかった。 どうもNeophema Parrotとは相性が悪いらしい。

榛葉氏とPeterに別れを告げ、あとはひたすら北へ向かって運転するだけだ。 道が良いので、精神的にはあまり疲れないが、前日までの肉体的な疲労のせいで、Yassまで戻った所で 運転をやめ、Moteに入った。 

7月16日 Sydney - Royal National Park (Lady Carrington Drive) - Wollongong Botanic Garden - Wollongong Lighthouse - Wollongong

シドニ−着が8時半と聞いていたら、かなり速く税関を抜けられたらしく、皆様私の到着を待っていらっしゃった。半年ぶりにK氏やM氏に対面する。 話も早々に、レンタ カ−を借り、すぐに走り出す。 オ−ストラリアは初めての方ばかりで、初日ということもあって、イエスズメやホシムクドリにまで歓喜の声を上げていらっしゃる。 私にはただの移入種なのだが。 

Royal National Park着10時半前。トイレ休憩のつもりで止まったピクニック・グラン ドでSulphur-crested CockatooやWilly Wagtailを観察されるのに皆様忙しい。二日も しないうちにあきられてしまうだろう。 

Walking Trackに沿って歩き出す。 時間のせ いか、風のせいか、鳥の出があまり良くない。愛嬌の良いのはThornbillばかりである。 Grey Goshawkが林の上をかすめて飛ぶ。愛想が悪い。一時間ほど歩いて、別のピクニ ック・グラウンドに出る。休息がてらに鳥を見ることにする。Red-browed Firetail,Variegated Fairy-wren,Silvereyeらがようやく出現する。変な声がすると思っていたら、足元の茂みからSuperb Lyrebirdが飛び出した。チラッ、チラッではあるが、やれやれ主役の出現である。 

予定外に時間がかかったため、Curra Mureをとばして、Wollongong Botanic Gardenで普通 種を見てもらうことにする。風が強く、鳥が見にくい。植物園で期待のSatin Bowerbirdは愛想が悪かったものの、Eastern RosellaやRainbow Lorikeetをじっくりと見てもらった。 

あまりにも風が強いので、日没前まで灯台でアホウドリを探そうという提案があった。 時間はあまり良くなかったが、立ち寄ってみると、Black-browedが予想外に沢山飛んでいた。30羽以上は目に入ってくる。これだけいるのだから他にもいるだろうと、プロミ ナ−で水面を撫でるように、鳥を探す。ようやくYellow-nosedが一羽目に入った。海上に浮いているため、嘴のパタ−ンがはっきり見える。横でコ−ワの性能の良い望遠鏡 を持ったM氏が飛び上がって喜んでいる。上着を取りに戻っていたK氏が慌てて帰ってきた。人数が多いとこうしてハプニングが色々と起こる。この後も、車の中で寝 ていたM氏が一人Spotted Harrierを見逃したり、少し遠くの鳥を見ていたK氏がSplendid Fairy-wrenを一人見損ねたりと色々あった。 

初日はWollongongに泊まる。 ベトナムかタイのレストランにしようと思っていたら、BYO("Bring your own":アルコール類持込のレストラン)ばかりで、結局中華に落ち着く。そして、この日から5日間、中華料理店通いをすることになった。 


7月17日 Wollongong - Wollongong Lighthouse - Barren Ground - Goulburn - Wagga Wagga - Narrandera  

今回のニュ−・サウス・ウェ−ルズ州内の旅行で最も長距離の移動をする日だ。前日の冷え込みで皆朝が早い。風の影響の残るうちに灯台に向かう。既に風は収まりつつあり、アホウドリたちは昨日ほど近くはない。White-fronted TernがCrested Ternに混ざ って飛ぶ。灯台の真下ではLittle PenguinがSilver Gullにいじめられている。浮いている姿はまるでウミスズメのようだ。 

Barren Groundに向かう途中、Macquarie Passで車に轢かれて瀕死のLyrebirdの雌を見つける。雄なのだろうか、茂みの中から心配そうに見ている。早朝に道路際で餌を採って いてやられたのだろう。羽毛が風に吹かれて舞う。前にもらったLyrebirdの羽を見た時も思ったのだが、何とも軽く、繊細な羽毛である。

Barren Ground着午前9時。 駐車場周辺のBanksiaやユ−カリの花にミツスイたちが忙しく出入りしている。New Holland, White-naped, Yellow-faced Honeyeaterそれに、Red Wattlebird, Eastern Spinebillたちだ。 かなりの数のミツスイが来ているようだ。 ここでの目的はGround ParrotにEmu-wrenだ。遊歩道をゆっくりと歩き始める。ミツスイたちが至る所から顔を出す。遊歩道の上に何か出ている。 双眼鏡で見ると、Eastern Bristlebirdだった。 普段はなかなか見られないのに、採餌に忙しいのか、愛想 が良い。この鳥も尾羽を立てるようだ。恐らくscrubwrenなどに近縁なのだろう。 しばらく餌を採った後、heathの中に消えていった。 

赤い鳥が飛んだ気がしたので、注意しながら歩いていると、やぶから何か出て低い枝に止まった。逆光なので見にくいが、尾羽の赤が良く目立つ。Beautiful Firetailだ。久 しぶりに出会うことができた。この時はすぐに飛び去ったが、後ほど道端で採餌しているのをゆっくり見ることができた。目の周りの青い色が少し不思議な雰囲気をかもしだす。神出鬼没で、おまけに数が少ないので、なかなか会えないが、渋い美しさがあり、個人的には好きな鳥だ。 

さらに歩いて、ユ−カリの林に入る手前でGang-gang Cockatooのペアに会う。人を警戒 する様子がなく、ゆっくり近くで観察できる。雄の赤い冠羽は独特の形をしていて、なかなか美しい。林の丈が高くなったので、Ground ParrotとEmu-wrenを探すため、いったん駐車場の方に向かって歩き出す。やぶからemu-wrenの雌が飛び出すも、風の影響か、枝先に止まってくれない。Ground Parrotに至っては声すらしない。

時間の関係で昼前にBarren Groundでの探鳥を終える。

Narranderraまでの車中、Yellow-tailed Black CockatooやBlack & Brown FalconがHigh Way沿いに出る。Victoriaではほとんど淡色型だったBrown Falconはここでは皆茶色一色である。いつもながら亜種の違いなのか、個体差なのか考えさせられる。皆飛行機での疲れが残っているのか、車中よくお休みである。運転手のK氏と猛禽探しに余念 のないM氏とナビゲ−タ−の私以外は静かになってしまった。 

Narrandera着5時。 明日の午後はいよいよRound Hillだ。 


7月18日 Narrandera - Leeton - Fivebough Swamp - Griffith - Lake Cargelligo −   Round Hill Nature Reserve - Lake Cargelligo

NarranderaのMotelの周りから探鳥を始める。皆様まだまだなんでも珍しいようだ。 

Galah, Red-rumped Parrot, Yellow Rosellaなどが出る。M氏が何か見つけたようなので一緒に見る。随分大きな鳥だ。飛んで横顔が見えた。Blue-faced Honeyeater だった。このあたりではあまり多くないのではないか。 

北へ向かって車を走らせる。Leetonで右に折れ、Fivebough Swampに出る。地図の通りの道が見つからなく、やむを得 ないので隣家に断って、鳥を見させてもらう。Red-necked Avocetがすぐに目に飛び込んできた。なかなか器用に泳いでいる。Pied Stiltに比べると水深の深い所で餌を採っている。期待していたカモの方は今一つだが、Zebra FinchやRestless Flycatcherが予 想外の所に居て、結構楽しめた。 

Griffithの街に入り、空港までPink Cockatooを探しに行く。 Blue BonnetやMallee Ringneckが姿を見せる。続いて市内の貯水池を回る。Hoary-headed Grebeが群れていたが、種類層が貧弱だ。最後に市外のNature Reserveにある沼2か所に立ち寄る。ようやく、Blue-billed Duck, Pink-eared Duckなどが出現する。 対岸の木にはWhite-bellied Sea-eagleが2羽止まっている。多分つがいなのだろう。 

Minor Roadを北へ上がる。Rankins Springsでガソリンを入れていると、上空にLittle Eagleが出てきた。飛んでいる姿は結構格好よい。 

未舗装路をさらに北へ上がる。 カンガル−の死体の上に何かいると思ったら、Wedge-tailed Eagleだった。この鳥は遠く飛んでいるのを見るのが一番良い。距離が近いと大きく見え過ぎるし、粗も目立つ。 

Lake Cargelligo近くのsalt bushの草原でBlack-faced WoodswallowとWhite-fronted Chatを加えた後、3時前にようやくRound Hill Nature Reserveに到着した。時間のせいかあまり鳥が出てこないが、それでもSpiny-cheeked Honeyeaterなどのミツスイ類が頻繁 にMalleeを出入りしている。Red-capped RobinやSplendid Fairy-wrenなど見映えのする鳥が今日はほとんど出てこない。あきらめてMoteに向かう。 

今晩の夕食のあてに試したのはToohey's Black Oldという見たことのない銘柄だった。Black Beerなのだが、ビ−ルらしさがなく、不思議な味である。M氏と二人ではまってしまい、6 Packを購入、Motelで引き続き飲むことにした。K氏は長寿星なる星を見つけるため、しばしの星座観察に出かけていった。この日の記録種は約85種で、この旅行中最多記録となった。


7月19日 Lake Cargelligo - Round Hill Nature Reserve - Lake Cargelligo - West Wyalong - Forbes (Gum Swamp) - Parkes

内陸に入って来ているのに天気がさえない。今にも降り出しそうな空模様だ。風も吹き、鳥を見るのにも影響がでそうだ。朝食を済ませて、車に乗り込む。Round Hillまでの行程で、Eastern Grey Kangarooが頻繁に横切る。私には当たり前の光景になってしまったが、M氏たちは歓声をあげている。野生のほ乳類を見る機会の少ない日本の環境 というのはやはり考えものだろう。 

朝の道路沿いをBlue Bonnetが飛ぶ。このインコは道路際で見かけることが多いが、わざわざ危険を冒してまで道路沿いで採餌するメ リットがあるのだろうか。 

そろそろオ−ストラリアに慣れてきたのか、M氏が助手席でGalah, Willyなどとつぶや いている。他に覚えた単語がVBにTaarだそうで、この先どうなることやら。 

Round Hillに着き、前日同様malleeの中を歩く。風のせいか、鳥影は少ない。Yellow-plumed Honeyeaterすらほとんど見かけない。変な声の主をH氏が見つける。この人は恐ろしく目が速く、後にCenntenial Parkで案内のDよりも先にFrogmouthを見つけてしまう。malleeの奥に枝に止まっているのはCrested Bellbirdの雄だ。こいつが鳴いているらしい。 

以前麦畑だったmalleeの二次林の中に入る。White-fronted Honeyeaterが沢山出てくるが、やぶにすぐ潜ってしまい、愛想が悪い。半逆光の光線の中で、Grey-fronted Honeyeaterが休んでいる。ここでは比較的少ない鳥である。 

いつもとは勝手が違い、一般ウケしそうなRed-capped RobinやSplendid Fairy-wrenがあまり出てこない。半日たっぷり時間を割いたのに、結局限られた人しか、これらの鳥に会えなかったようだ。

Lake Cargelligoまで戻り昼食をとった後、West Wyalongへと抜ける。雨がいよいよ本降りになる。Parkesに着く頃には雨になり、夜の探鳥は中止になってしまった。

7月20日 Parkes - Back Yamma State Forest - Forbes - Gum Swamp - Orange -  Lithgow

前日までの雨の影響で、道がぬかるんでないか心配だ。Back Yammaまで30分で到着。

天気はあまり良くないが、鳥の声は多い。Brown TreecreeperやJacky Winterがすぐに顔を見せる。昨日は愛想の悪かったRed-capped Robinも今日は比較的よく出てくれる。赤と黒のパタ−ンに一同かなり盛り上がっていらっしゃる。Red-cappedは数羽いるらしく、やぶから出たり入ったり忙しい。 Red-cappedの中に一羽赤みの強いのが目に入って きた。Scarlet Robinの雄らしい。こちらの方はすぐにやぶに入ってしまい、誠につれない。 

大丈夫だと思っていた林道の状況が突然悪くなる。グリップが突然効かなくなり、スタ ックしてしまった。5人がかりで車を押し、何とか脱出する。人数が多いとこういう 時には結構便利だ。林道の状況がわからないので、それ以上奥へ進むのをやめる。途中何度かスタックしながらも何とか入口まで戻る。 

State Forestの入口でSuperb Fairy-wrenの雄が出る。よく考えれば、きれいなwrenの雄はこの旅行で初めてらしい。日本にはいないタイプのこの鳥の一挙一動に皆歓声をあげている。Splendid, Variegatedは雌タイプか変わりかけの雄のみ、White-wingedは出ず じまいだったのだ。「今日は赤いのも青いのも見せてもらったので、もう帰っても結構ですワ」という声が上がる。 

昼食後、Gum Swampに立ち寄る。Musk Duckが昨日同様目につく。雌と一緒に小さな鳥 が浮いている。生まれて間もない雛らしい。まだ羽毛も産毛のようである。バンの雛のように真っ黒だ。雌は給餌に忙しい。親鳥が浮いてくる度に嘴を開けて、餌をねだる。親鳥はグロテスクな印象が強いが、雛はかわいらしい。 

森山氏が車で居眠りしている間にSpotted Harrierの成鳥が飛ぶ。一番見たがっていた人のみが見逃してしまった。普段は畑や牧場の鳥だから、上空を通過しただけなのだろ う。

天候もさえないし、皆様満足しているようなので、予定していたSuperb Parrotを取りやめ、Lithgowまで戻ることにする。Westeryの風が冷たく、旅行中で最も寒い夜になった。

ここでもおなじみのMoteに泊まる。受付に出てきた女の子は高校生になったという。 時間の経つのは早いものである。 


7月21日 Lithgow -Capertee - Glen Davis - Glen Alice - Capertee - Lithgow - Blackheath - Katoomba - Sydney (Randwick)

風の音がすごい。 この調子だとCapertee Valleyでも相当風が強いことだろう。鳥の出が悪くならなければ良いが。 

小一時間の運転後Caperteeに着く。ここはいつ来ても期待感を持たせる所だ。風のせいだろう、鳥の出が案の定良くない。風の通り道を避けて車を止める。 Buff-rumped Thornbillに混じって、Red-browed Treecreeperが目の前の木の幹に止まった。この鳥に初めて会ったのは、オ−ストラリアでバ−ド・ウォッチングを始めてすぐだったろうか。 恐らく2年以上会っていなかったろう。500種を超えた今、改めて見ると赤い眉がワンポイントでなかなか個性的だ。Brown, White-browed, Rufous, Black-tailedは地上に下 りるが、この鳥とWhite-throatedは樹上性だ。どちらもRainforestやその林縁に依存しているが、White-throatedは他の5種と少しグル−プが違うらしい。 

開けた牧場でFinchの群れに出会う。Zebra, Double-barred, Diamondと3種の混群だ。Diamondの赤い尾がいつもながら印象深い。牧柵ではHooded Robinのペアが何か探している。この鳥はいつも神出鬼没で、気がつくと枝先に止まっていたりする。 

Glen AliceでBarking Owlに挑戦するが、見つからない。目の良いH氏が見つけられないのだから、多分この日は留守だったのだろう。代わりにLittle Lorikeetが枯れ木の見やすい枝先に止まる。 

Glen AliceとGlen Davisの間の牧柵にDiamond FiretailやJacky Winterが止まる。今日はrobinが出るはずなのにいないと思っていたら、朱色の鳥が飛んで牧柵に止まった。Flame Robinの雄だ。昨日Red-capped Robinを見られなかった方がいたそうなので、彼の出現に感謝する。相変わらず警戒心は強いが、見通しが良いため、皆ゆっくり観察できたようだ。反対側の牧場ではDiamond Doveが7羽採餌している。この鳥の出現は予期していなかった。こんなに東側まで来ることもあるのだと、一人感心する。 

Lithgowまで戻り、Blue Mountains越えにかかる。途中観光気分で立ち寄ったLook Outで思いがけずCrescent HoneyeaterとWhite-cheeked Honeyeaterに遭遇する。これで風がなければもっと鳥が見られたのに少し残念だ。

Moteには4時に到着。その晩の夕食はVietnameseで盛り上がった。 


7月22日 Sydney - Centennial Park - Royal National Park - Kurnel - Homebush Bay - Sydney

最終日はSydneyの友人のD.S.に任せることにしていた。別の友人A.R.よりは 人当たりの良い性格の持ち主なので、こちらはやりやすい。彼は数日前まで南米に行ってたそうだ。オオハシなど個性的な鳥を見てきたそうだが、飛行機が30年もので、いつ落ちるかわからないものだったらしい。彼は年柄年中どこかで鳥を見ており、今年はすでに南アフリカにも行ったという。南アフリカは案外コストがかからないらしく、20日間でA$4,400だそうだ。900種も鳥がいるそうだし、話を聞いているだけで行きたくなってしまった。最近はオ−ストラリアの鳥も煮詰まってきたことだし(写真の方はまだまだ撮り足りないが)、アメリカでも東南アジアでも、新鮮味の感じるところへ行きたい。

朝一番はCentennial ParkでTawny Frogmouthを探す。二か所のポイントに2羽ずつ止まっていた。Dいわく、Sydneyの近くでは3か所しか確実に見られる場所はないそう だ。

公園の中で季節はずれのFan-tailed Cuckooに出会う。昨年の6月にもRoyal National Parkで何羽かのFan-tailed Cuckooに会ったのだが、渡りをしない個体群もいるのだろう か。 

引き続いてRoyal National Parkに行く。Satin Bowerbirdをまともに見ていないと言ったら、「そりゃ、珍しい」とDに言われた。Dの案内でbowerbirdを探すが出てこない。その間、Azure Kingfisher, Superb Lyrebird, Rose Robin(雌)などが出現する。予定外のsea-eagleまで飛び出したのに、bowerbirdは出てこない。「難しいものばかり見て、簡単なのが出てこないなぁ」とDもしきりに首をかしげる。 

Royal National ParkからKurnelに向かう。emu-wrenを見つける予定だったが、あまりの環境の変化にあきらめて、Homebush Bayでチドリ2種を見てもらうことにする。そのうちの1種、Black-fronted Dottereは簡単に出てくれた。たまにはこういう鳥もいてくれないと案内する側としてはしんどい。私個人としては一緒にいるシギに目を取られる。さんざん迷ったが、近寄ってみてサルハマシギと判明。 

公園の中でゴルフの練習をしているオッサンを見てDが、“Are you ready to be Greg Norman?"などと冗談をとばした。オッサンもなかなかやるもので、「来年を見てなよ」と返した。Red-kneedの方は水が多く入っていたため、結局見当たらなかった。Motelまで戻ってDと別れを告げる。その夜はMotelの中のレストランで打ち上げをやった。M氏は長ぐつのようなステ キに一人文句をつけていた。 

翌朝、M氏たちを見送った後、Wollongongまで車を取りに戻り、約三週間ぶりにQLDのわが家へと向かった。

−完− 


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