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線ですよー
フィスト・オブ・レジェンド 怒りの鉄拳

 「ドラゴン怒りの鉄拳」のリメイクです。 精武門の殴り込み事件というのは実際にあった事件で、 それをもとに作られています。 主演は最近大人気のジェット・リーと、日本で最も美しい女優と(私に)言われている中山忍です。
「ロミオ・マスト・ダイ」と違い、ジェット・リーがマジポンな技を出しまくりやがっており、 私のような格闘マニアや小さいお子さんにはぜひ見ていただきたい作品ですね。 あと日本を代表する美人女優の中山忍の名演技も見ていてすがすがしいですね。

 舞台は1920年前後の京都大学から始まります。 講義中の教室に剣道着を着た集団「黒龍会」がドカドカ入ってきます。 どうでもいいですけど「黒龍会」っていかにも悪いことをしそうな名前です。 なんでわざわざそんな名前つけるんでしょうか? 案の定「シナ野郎は出て行け」とわめきながら、止めに入った教授の眼鏡を踏み潰します。 それに憤慨した男子生徒が「お前ら、図々しいぞ」と食ってかかりますが、 ふんっと投げ飛ばされて気絶します。

そこへ美しい女生徒が美しい毅然とした態度で美しく進み出ます。当然中山忍です。 はいからさんが通るのような袴姿にリボンがまた美しいです。最高。
「アナタタチドウイウツモリヨ、ヒトニランボウスルナンテ」
中山忍の天使のような美しいお声を吹き替えにするなんて人間のやることではないので 常識ではちょっと考えられないのですが、それにしても不自然なしゃべり方です。やはり吹き替えでしょうか? 後半中国語のセリフもありますので、やむを得ず、泣く泣く、断腸の思いで吹き替えにしたのでしょうか。 なんとなく本人の声に似ているような気もするのでよくわかりません。 (どうやら本人の声らしいです)
 さて、黒龍会が中山忍に手を上げようとしたそのとき、 中国からの留学生であるジェット・リーがシュタッと間に割って入ります。 詰め襟の学生服に角刈りが異常に似合いまくりやがりです。 まるで私の学生時代そっくりです。富士額のあたりなんかうり二つですね。 自分をかばおうとした先生や男子生徒がやられていても平然と見ていたくせに、 中山忍が危ないとなるとスッと出てくるという行動パターンにも親近感を覚えます。 しかも役名は「陳真」。ピンインは違いますが、カタカナにすると北京語で「チェンジェン」。 あっ、私の名字の北京語読みと同じですね(当然「田」じゃないですよ)。 シンクロ率高すぎですねー。
 さてその陳真ですが、中山忍に手を出そうとした黒龍会は当然ボコボコにしなければ人間として気が済みません。 13人もいる黒龍会のメンバーを、あっと言う間に全員戦闘不能にしてしまいます。 そこで陳真は合気道っぽい逆技を10回使っています。 全部腰が据わったキレイな技なので、スティーブン・セガールより強そうに見えます。

 そこへ黒龍会の指導者・船越先生がやってきます。倉田保昭です。渋いです。 悪い人ではありません。
「武力じゃ問題は解決できないと言ったのがわからないのかお前らは。誰にやられた?」
「ボクデース」
「アーオジサマ、ワタシノマンネンヒツ、コノヒトタチニコワサレチャッタノヨ。 ベンショウシテクダサイネ」
ちなみに、中山忍と船越先生は親戚という設定です。
「ほんとにあんたお父さんに似てワガママなんだから」
 中山忍の要求はごく当然なもので、これっぽっちもワガママではありません。
 船越先生の話から、陳真が武術を学んだ上海の精武門の館長が、 上海にある黒龍会虹口道場の館長・芥川竜一との試合で殺された事がわかります。 それを聞いた陳真は教室を出ていき、中山忍が後を追います。
「陳真、陳真、ドコニイクノ?」
「中華会館。我要査明師[イ専]是不是真的死了」
「ニホンジンガシタンジャナイワ、キットソウヨ」
二人はこの調子で、お互い日本語と広東語を使いながら器用に会話をします。

 そして上海に帰った陳真は、精武門に向かいます。 現在の館長は、前館長の息子の庭恩になっています。 黒田アーサーのような男前で、陳真とは幼なじみです。
 そこで前館長の仏壇にお参りをすませた陳真は、 みんなが止めるのを無視して虹口道場へ向かいます。

 靴のまま虹口道場に入ってきた陳真を見て、弟子の1人が
「オイマテ、ソトデクツヌイデデナオシテコイ」
と怒ります。これは、当然です。靴を履いたまま道場に入って行くのは非常識です。 いきなりぶっ飛ばされても文句は言えません。陳真が悪い。
 しかし陳真は、その弟子をビンタ一発で張り倒します。 そして向かってくる道場生達を次々と倒していきます。 始めはブルース・リーのような技を使っていますが、 途中からまた合気道も使います。 蹴りのさばき方などは、わかる人が見れば思わず「うまい」と呟くほどうまいです。 ジェット・リーは素早い動きの間にも体の重心が全くずれていません。さすがです。
 ちなみにブルース・リーの「ドラゴン怒りの鉄拳」ではここでヌンチャクを使っていましたが、 ジェット・リーは使いません。
 最後に後ろから襲いかかってきた道場生の股間を後ろ手に鷲掴みにして倒した後 (これはたしかブルース・リーもやっていました)、 竹刀で打ち込んできた相手の竹刀を蹴り折って倒したところで、 館長の芥川がやってきます。そして二人で試合をする事になります。
「これは公平な試合だ。いかなることになろうとも、追求はしない」
芥川館長の正々堂々とした態度に、陳真はやっと靴を脱いで出口にそろえ、芥川館長と向かい合います。 靴を脱ぐのはいいんですが、板張りの道場で靴下は滑りやすいので脱いだ方がよかったですね。 あと学生服も動きづらいので脱いだ方がいいです。 最低でもカラーのホックと第一ボタンぐらいは外せよと思います。 しかし正式な試合に正装で挑むのは正しい態度なので、 京都大学の学生である陳真がこの格好で試合をするのは間違いではないと言えます。

 そして試合が始まりますが、陳真は余裕のよっちゃんで芥川館長を倒してしまいます。 芥川館長の回し蹴りや後ろ回し蹴りはきれいに足が伸びていて、悪くありません。 少なくとも「死亡遊戯」に出てきた巨人ジャバールよりは上手いです。
 ここで陳真は耳引っ張りを、芥川館長は頭突き、目潰しを出します。 このことから、彼らはワル作さんの「けんか道場」を読んでいたことがわかります。 もし彼らがホームページを作っていたら、ぜひ「けんか道場」にリンクしてあげてほしいですね。

 芥川館長の弱さを知った陳真は、こんなやつに師[イ専]が負けるなんておかしいと思い、 師[イ専]の死体を掘り出して肝臓を調べた結果、毒が検出されます。
 精武門では誰が毒を盛ったのか、ヒソヒソと議論が交わされます。 犯人は日本軍と密通している阿祥にそそのかされた料理長の根叔でしたが、 阿祥に殺されてしまいます。

 一方では、日本軍の藤田参謀長官が日本人も対象にした粛清計画を練っています。 この藤田長官はゴリゴリの職業軍人です。中国にとっては敵ですが、 日本のことを第一に考えているだけで、決して悪人とは言えません。ただし手段は選びません。 ターミネーターの様なタフさと妖しい雰囲気を合わせ持っており、見るからに最後の敵です。
 藤田長官は芥川館長を役立たずと見なし、 相手の体を仰向けにして水平に持ち上げ、ヒザに叩きつけて背骨を折る大技で、あっさり芥川館長を殺します。 そして罪を陳真になすりつけます。

 芥川館長殺人事件の裁判は日本側の目撃証言の信憑性が低く、陳真のアリバイも弱くて決め手に欠けていました。 そこへ突然中山忍が現れて、 その夜は一晩中二人で床の中にいて眠りませんでしたとウソのアリバイを証言します。 裁判官は白人ですが、
「この裁判は訳が分かりません。それに私は今からクリケットをしに行くので、閉廷」
と訳の分からない判決を出して、陳真は無罪になります。 喜ぶ陳真に、中山忍がトコトコとかわゆく近づきます。
「ナジェ、ココニ?」
「スベテヲステテキタノ。イッショーメンドウミテネ」
どうでもいいですけど、自立心皆無なものの言い方はやめなさい。
「ウンッ」
あーこらこら、ジェット・リーに抱きつくのはやめなさい。ジェットくんも抱きつくんじゃない。 ワシにぶっ殺されたいのか?オンドレは。まあ、むかつきますが接吻はしなかったので大目に見てやりましょう。 あんまり脅かすとジェットくんが可哀想ですから。

 精武門に戻ると、日本人と結婚なんて言語道断とみんなから責められます。 そして庭恩から
「このままでは精武門はバラバラになってしまう。陳真、今から俺と試合しろ。 お前が勝ったら館長の座を譲る。俺が勝ったらその日本女と別れろ」
と言われてしまいます。当然です。 中山忍をゲットしちゃおうなんて逆賊は、 たとえ相手が幼なじみだったとしても骨の一本や二本へし折ってやるのが友情ってもんです。 見ている人のほとんどは
「庭恩くん、ピストルぐらいなら使ってもいいからジェット・リーに社会のルールというものをキッチリと教えてあげなさい」
と思ったでしょう。
 さて試合が始まりますが、陳真は乗り気ではありません。 しかし庭恩は本気で攻めており、石柱や植木鉢をバコバコ破壊しまくります。 序盤で攻めきっていればあるいは・・・と思われたのですが、 やがて陳真が本気を出し始め、庭恩は手も足も出なくなってしまいます。残念。 しまいには陳真が手首をちょこっとプルプルさせて「なにするんやろ?」と思ったら、 「ドラゴンへの道」のマネでフットワークを使い始めます。 思わず「なにこれ?」と呟いてしまうほどのスーパー不自然なフットワークで、 どっしりと構えていた方がよっぽど強そうです。 しかしなぜか強くなってしまい、 最後には得意の空中二段蹴りや、極真の谷川選手が使った大車輪蹴りで庭恩を倒します。 そして陳真は中山忍を連れて精武門を去ります。

 帰るところの無くなった二人がホテルに泊まろうとすると
「好色的大漢奸」(どすけべ売国奴)
とみんなに言われて追い出されます。 中山忍に抱きついたんだから当然です。私も思わず「ザマ見さらせ」と思いました。 そして二人は山の上にある師[イ専]のお墓の横の小屋で同棲生活を始めます。
「キャー」(中山忍の悲鳴)
「ドシタノ?」
「ネズミ、ネズミヨ」(おびえる顔がかわいい)
「イナイヨ、イッチャッタヨー」
た・・・楽しそう・・・くやしい。 頼むからだれか調子ぶっこいてるジェット・リーに痛い目見さしてやってくれーと思っていると、来ました。 船越先生です。
日本軍の要請で精武館館長の庭恩と決闘するために中国へ来たのですが、 陳真のことが気になって、勝手に決闘に来たのです。
「この人ならジェット・リーのブタ鼻をへし折ることが出来るかも・・・」
私は思いっ切り期待してしまいましたが、 この決闘の内容はそれ以上にマニアックなものでした。

 先ずやる気満々の陳真に船越先生がいろいろと質問したり、 何度も「待て!」と着物を脱いだり準備体操をしたりして陳真の気を外します。
 で、いきなり船越先生の猛攻が始まるのですが、けっこう本気で蹴っています。 撮影中にジェット・リーが「もうちょっとゆるく蹴って」と倉田保昭に言ってきたそうですが、 ジェット・リーをビビらすとはさすがですね。 なんと空中二段蹴りまでかまして陳真をぶっ飛ばしています。 その後陳真の連続パンチ攻撃を手刀受けでかわし、 「さあツッコミ入れてくれ」と言わんばかりの無重力攻撃に翻弄された後、 肘膝の接近攻撃で少し押されます。 次に陳真のフットワークをマネしながら戦っていると、 風が吹いてきて船越先生の目にゴミが入ります。 そこを陳真に攻撃され、何発か食らってしまいますが、船越先生はなんとサンチンで耐えます。 渋い。説明しないと普通の人には分かりません。
 やがて船越先生の目にゴミが入ったことに気付いた陳真は、 公平にいきましょうとお互い目隠しをします。 ここから戦いは、さらに渋くなってきます。 きれいな突き蹴りのさばき合いから、陳真が船越先生の足を踏んだ状態で中段突きをかました後、 船越先生が陳真を一本背負いで投げ飛ばし、そのまま手首を捻ってもう一回投げます。 しかもまだ放さずに今度は肘をとってもう一回投げます。渋すぎ。 次に陳真が船越先生に一本背負いをかけようとすると、 船越先生は陳真のお尻を押さえて投げを殺します。 技のセレクトがあまりにも渋すぎて見落としそうです。 そして間接の取り合いの後、船越先生は絶妙の足払いで陳真に膝をつかせ、 バックを取って陳真の腕を陳真自身の首にまわして一人首絞めをかけます。 コマンドサンボで有名なヴォルグ・ハンがリングスで一回使ったのは記憶してますが、 なんでこんな技まで出てくるのでしょうか? マニア受けを狙っているとしか思えません。 やがてまた間接の取り合いの後、陳真がカニ挟みで船越先生の膝を固め、 船越先生が陳真の首を絞めたところで「もういいだろう」と引き分けます。

はーおもしろかった。

 でもまだ終わってないんですね。ほとんど満足いってますが続けます。
 庭恩が山小屋を訪ねてきて、陳真と仲直りします。 二人の話を聞いていた中山忍は、自分がいると陳真のジャマになると悟り、 黙って日本に帰ります。 そして翌日、庭恩が藤田長官との決闘に行くところに陳真が戻ってきて、 二人で虹口道場へ向かいます。
 虹口道場では、藤田長官が待っています。 そして庭恩をあっさりと倒し、有名な東亜病夫の看板を投げつけますが、 陳真がそれを蹴って破壊します。 そして藤田長官対陳真の決闘になりますが、この藤田長官はターミネーターの様に強いので、 蹴っても蹴っても倒れません。 ジェット・リーお得意の空中連続蹴りまで手で掴んでしまいます。 サマーソルトで返されますが、それでも起きあがってきてパワフル回し蹴りや頭突きで陳真を追い詰めます。 陳真も「けんか道場」を読んで覚えた指の甲による目潰しなどで反撃します。 藤田長官は必殺の持ち上げ背骨折りキックを仕掛けますが、陳真に空中首投げで切り返されます。 その後お互いボコボコ殴り合って、 陳真の空中キリモミ三段蹴りでひっくり返った藤田長官が日本刀で斬り掛かってきて、 それをデビルマンのようにベルトでシバキ回して首を絞めて終わりです。

 これを見終わった後、ブルース・リーの「ドラゴン怒りの鉄拳」と見比べようと思って 「ブルース・リー主演映画VCD5本セット」を開けてみたのですが、 なぜか「ドラゴン怒りの鉄拳」だけが入っていませんでした。 あれ、ちゃんと5本入ってるのにヘンだなと思ってよーく確認すると、 「ドラゴン怒りの鉄拳」の代わりに「死亡の塔」が入っていました。 またダマされました。

 そういえば、私が留学していた天津外語学院には租界時代の古い教会があって、 時々ドラマや映画のロケをやっていますが、私が入学した前の学期に中山忍が来たそうです。 たしかに「ニホンジンガシタンジャナイワ〜」の背景の建物は見覚えがあります。 もうちょい早く留学していれば中山忍に会えたのに、残念です。

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