●人造人間キカイダー THE ANIMATION(TV12話+OVA4話) オススメ度:6  全年齢
知識  2000年10月にCSケーブルTVで放送。
 2003年になって、すべてビデオシリーズで補完。

 原作は1972年に特撮・漫画として発表された、石ノ森章太郎「人造人間キカイダー」。
 アニメでは、TVシリーズとして原作の2/3にあたるダーク壊滅までを全12話で描き、残りのラストまでをOVA4話で描いています。

 TVシリーズの主なスタッフは、監督:岡村天斎、キャラクターデザイン・総作画監督:紺野直幸。
 シリーズ構成:面出明美、脚本:面出明美、大西信介、十川誠志、スーパーバイザー:早瀬マサト(石森プロ)など。

 OVAシリーズのスタッフは、監督:元永慶太郎、キャラクターデザイン:紺野直幸。
 スーパーバイザー:早瀬マサト(石森プロ)、脚本:大西信介、根元歳三など。

 アニメーション制作はRADIX、スタジオOXなど。

 公式HPはここから。
物語  キカイダーは、科学者・光明寺博士が作った人造人間である。
 光明寺博士は、かつてプロフェッサー・ギルを頂点とする秘密結社「ダーク」に所属し、人造人間の開発に携わっていたが、現在は組織への協力を断り、子供2人と暮らしていた。

 そんなある日、博士の研究所が謎の原因から全焼し、博士本人も失踪してしまう。
 娘のミツコに宛てた「ジローを頼む」というメッセージと、良心回路「ジェミニン」の説明書を残して……。
 その後、博士の失踪と入れ違いのように、研究所の焼け跡に一人の少年がやってくる。
 まるであらゆる記憶を失っている、というよりは生まれたばかりのような様子で、ミツコは彼こそが「ジロー」であると確信するのだった。
 そして、研究所に現れた人造人間と戦うため、ミツコの指示通りの手順で、ジローはキカイダーに変身した。

 その日から、ジローの持つ良心回路をめぐって、彼を狙う秘密結社「ダーク」の刺客との戦いの日々が始まるのだった…。

感想  有名な特撮シリーズのアニメ化。
 なんでも、ハワイじゃ現在進行形で国民的人気を呼んでいる作品とかなんとか…。

 キカイダーの最大の特徴は、「良心回路(ジェミニン)」の存在です。
 これは命令の内容を「良い命令」と「悪い命令」に自分で判別し、悪い命令には従わないことができる、という装置。
 すなわち、人が造った機械であるにもかかわらず、主人の命令を受けてからいちいち悩むわけですね。
 その点から、人間に近い要素をもった、不完全な機械という扱いを受けています。
 ただ、「鉄腕アトム」でアトムが持たされた「心」とは、明確な目的があることからして、違うのかなと。

 そもそも良心回路が作られたのは、「ダーク」の手口に疑問をもった光明寺博士が、場合によってはプロフェッサー・ギルの命令すら無視できるだけの機能を、人造人間たちに持たせたかったから。
 したがって、ジェミニンを持たないダークの人造人間たち(というかプロフェッサー・ギル)は、言うことを聞かないキカイダーは邪魔だから、という理屈で襲ってくるわけです。
 キカイダーを開発した時、すでに光明寺博士は組織を離れていたのだから、別にキカイダーはダークのものじゃないはずなんですけど、敵の理屈は「組織の裏切り者」的なものです。

 で、そのへんに関することでもあるのですが、私にはこの作品を見ていて、いつも疑問に思っていたことがあります。
 キカイダーは良心回路を持ってるはずのに、のっけからプロフェッサー・ギルが吹く笛の音によって、敵味方かまわず破壊しまくるようになってしまうのです。
 それこそ、笛の音が聞こえたとたん、目の前にいるミツコさんの首を絞めるとか(笑)。
 1話のプロローグにおいて、光明寺博士は「ダーク」に対抗すべくキカイダーを作ったらしいのに、なんでああも簡単に操られるのかなと。
 敵がそういった攻撃を仕掛けてくることは、組織の内部にいた博士なら予測できただろうに、なぜジローを敵でも簡単に操れるような仕様で作ったのかと。

 そのへんが引っかかって、なかなか集中して見られなかったんですが、これ、要するに博士が作った時点では、キカイダーの良心回路がまだ未完成だった、ということなんですね。
 キカイダーの良心回路が完成すれば、ギルの笛の音といえども全く受けつけないが、博士が作った時点ではまだ良心回路は完璧ではなかった。
 だから、博士は娘のミツコさんに説明書をのこして、完成させてくれるよう頼んだ、という事情のようなのです。当のミツコさんにはイマイチ伝わってませんでしたが。
 そのへんが最終話付近までずっと伏せて置かれたため(光明寺博士自身は、1話の冒頭でちゃんと「何てことだ、失敗だ!」と言ってたのですが^^;)、ずっと勘違いしていました。
 で、最終話付近になって、ジローの良心回路を完璧にする、しないという問答が出てきて、ようやく腑に落ちたのです。
 このへんは、原作そのままの描写なんですかね?

 こんな風にツッコミどころは多いし、1、2話のつかみも悪く、展開もゆっくりめ、「お前なぜそんな所に!?(笑)」的なご都合主義もバリバリ入ってます。
 必ずしもアニメとして優れた作品ではないのですが、それでも最後まで目が離せません。
 それはやはり、人と機械の境界にあって苦悩するキカイダーの魅力によるところが大きいです。
 人とあまり違わない感受性を持っているのに、人とはあまりにも違う力を持った自分、笛の音によって破壊衝動を抑えられなくなる自分に恐怖するジロー。
 意思を持たされた孤独な人形の苦悩は、発表から30年経った今も色あせることがなく、見る者の心に響いてきます。
 なんてキザなことを書くと、製作会社の宣伝文句みたいで嘘くさくなってしまいますね^^;
 しいて他に理由をあげれば、石ノ森作品の味というか、子供の頃に見た昔懐かしい特撮もののにおいが感じられるからかもしれません。
 これは、たとえば平成の新仮面ライダー(クウガやアギト)を見て育った子供たちでも、感じることなんじゃないかな。
 ということで、特撮ヒーローが好きな人なら、何かしらこの作品から感じるものがあると思います。

 ところで、本作のヒロイン、光明寺ミツコとジローの関係はちょっと変わっていますよね。
 ストーリー上、最初にすごした数日間(もしかしたら丸1日もない?)を除いて、「自分は狂った機械だから、ミツコさんに壊される」と思ったジローは家出し、以降ずーっと(8話くらいまで)家出状態なんですね。
 ところが、そのあとお互いに色んなことを経験したミツコとジローは、それほど接触がないにもかかわらず、勝手にお互いを想う気持ちを強くしていき、いつの間にやらお互いが「大切な存在」にまで高められているのです(笑)。
 つまりはそうなるよう、スタッフによって適宜方向修正が加えられているというか、まるで出てくる登場キャラたちが皆ジローとミツコの軋轢をなくそうと、少しずつ働きかけているかのようです。
 何がいいたいのかといえば、直接的接触はわずかなのに、最後にはえらく強い絆が生まれている、というところにやはりご都合主義を感じてしまったわけですね。
 まあ、このへんは30年前の感覚とのズレが感じさせることなのかな…。

 ちなみに、ここまでがTVシリーズの感想ですが、OVAシリーズの感想も少し。
 要するに、原作の2/3をTVシリーズで描き、残り1/3とラストまでをOVAで描いた、ということなのですが、こちらは明らかに規模に比して尺不足。
 ダークの世界征服と、それを阻止する光明寺博士が開発した人造人間たち、という構図はいいとして、全4話の短さでは、登場するほとんどのキャラが生かされません。
 ジローは新たなキカイダー01、零などの登場に、兄さん兄さん叫んでばっかしの鳥頭だし、ビジンダー、ハカイダー4兄弟といったわけのわからない新キャラも次々と登場しては、さしたるドラマもなく消えていきます。
 ストーリーはいたずらに悲劇性が強調されて、結局最後は何がしたかったのかわからない、と明らかに「駄作」の印象を受けました。

 だいたい、ダーク(=ギルハカイダー)は世界征服がしたかったのか、人類の大量虐殺がしたかったのか、どっちなんでしょうね。
 組織の構成が示されることは一度もなかったので、さっぱりわかりません。
 ただ巨大ロボットを作って街を破壊し、喜んでいるようでは、そのへんの子供と変わりませんね。
 あと、「良心回路」という曖昧な装置に加えて、「イエスサー」なる服従回路を登場させたのも失敗だったような。
 結局、ジローがラストで(ネタバレ)イエスサーを取り付けられたにもかかわらず、ギルの命令を無視して01、零、続いてギルと次々に殺していったのは、服従回路を付けられたことでより心が強くなったから、みたいなことを言っていたけど、見ていて理解に苦しみました(--;(ここまで)

 ということで、OVAシリーズはTVシリーズよりさらにオススメ度が落ちて、オススメ度:4といったところ。

音楽  音楽:見岳 章(TV版)、和田 薫(OVA版)。
 TV版は抑制の効いた物悲しいメロディーが多く、OVA版は特撮モノらしいハッタリの効いた音楽、という印象。

 OPはインストゥルメンタルで、ED「Distiny」を歌うのは光明寺ミツコ役の堀江由衣さん。

ボイス  TVシリーズは、
ジロー/キカイダー:関智一光明寺ミツコ:堀江由衣光明寺マサル:小林由美子
服部半平:キートン山田猿飛悦子:小桜エツ子プロフェッサー・ギル:小川真司
サブロウ:小杉十郎太光明寺博士:飯塚昭三など。

 OVAシリーズはジローとギルハカイダー以外は前シリーズから登場せず、新たに
イチロー:森久保祥太郎ギルハカイダー:小川真司ビジンダー:堀江美都子
リエ子:大原さやかレッドハカイダー:宇垣秀成シルバーハカイダー:遠近孝一
ブルーハカイダー:鈴木琢磨シャドウナイト:渡部 猛風天和尚:永井一郎
 などが登場。もうこの時点でインフレとなるのが見えてますね^^;

 アフレコ演出は井上和彦氏(本作にも零役で出演)。
 最近は声優さんが音響系の仕事に就く傾向も多いとはいえ、ごく限られた人にしか認められていない、というのが実情じゃないでしょうか。

キャラ  本作のヒロイン、光明寺ミツコさん。
 原作通りのデザインのため、顔が不自然に真ん丸く、ときに女性らしからぬ首の太さと肩幅の広さを持った女性として描かれるのは愛嬌として、けっこう大胆な女性なんですね。
 石ノ森作品のヒロインって、大人しくて優しい、線の細い美しい女性ってイメージがあったんですが、まさかジローに跨って腰を振るとは<そこですか
 なんてところは無視しても、ただ待つだけの女じゃなくて、自分から積極的にジローを探しに行き、そしてあっけなく敵の手に落ちたりするところは、さすが特撮ヒロイン。
 彼に憎しみの目を向けたり愛情の目を向けたり、いろいろと忙しい人だ。

 あと、ジローたちの良き理解者である、探偵の服部さん。
 主人公とヒロイン以外はけっこうトンデモない顔立ちにされることが多い石ノ森作品だけに、やっぱり変な顔^^;
 ミツコさんからの依頼にかかりっきりな様子ばかりじゃなく、他の仕事をしているところも描写してほしかった。
 どうやって食べていけてるんだろう、とか思っちゃいますよ。

作中の一言:キカイダー「電磁・エンドッ!!」


●GANTZ 〜the first stage〜(全11話) オススメ度:4  中・高・大
知識  2004年4月よりフジテレビ深夜枠にて1クール視聴。

 原作:奥 浩哉(週刊ヤングジャンプ連載中)。
 監督:板野一郎、シリーズ構成・脚本:十川誠志。
 キャラデザ:恩田尚之、メカニカルデザイン:中島利洋など。

 アニメーション制作はGONZO DIGIMATION。

 公式HPはここから。
物語  世の中をさめた目で見下していた高校生、玄野計(くろのけい)は、ある日幼なじみの加藤勝(まさる)が人命救助するのを手伝った巻き添えで、地下鉄にはねられて死んでしまう。
 ところが、次に目覚めたとき、玄野は加藤とともに見知らぬマンションの一室にいた。
 しかも、はねられたはずなのに傷一つない姿で…。

 それぞれの理由で死んでから、謎の黒い球体「ガンツ」のある部屋へ呼ばれた男女数名。
 彼らは、球体の指示で命がけの「宇宙人狩り」ゲームをさせられることになる。
 いったい、誰が、何の目的でこんなことをさせているのか…。

感想  ヤングジャンプに連載中の同名人気コミックのアニメ化。
 タイトルに「first stage」とあるのは、関連ソフトの売上次第でシリーズ化していく、という最近よく見られる手法ですね。
 ……その重要な第一歩を、こんな駄作にしてしまうとは。
 スタッフの人選を誤ったとしか思えません。

 作画やアクション、構図など絵的な問題に関しては、これで十分だと思うんですけど…何よりテンポが悪すぎ
 シリーズ構成・脚本に「十川誠司」の名前を見つけたときから、嫌な予感がしていたのですが、やっぱり今回もかと。
 氏が携わる作品は、ことごとく作品のテンポが悪いのです。
 物語的なクライマックスに向かうまでの展開がとにかくかったるく、それでいてクライマックスに至ったら、そこはサッと流してしまう。
 何でそんなことをするのかな、と思えるくらい無駄なエピソードに枚数を費させる。
 真下耕一監督が「真下節」と呼ばれる、深い意味があるようでない、カッコつけただけの演出ばかりするのと同じですね^^;

 この「GANTZ」という作品は、原作を読んだことがない私でさえも、ものすごく面白い設定・展開だなぁと、設定に想像力を働かせ、次にどんな展開がくるのか楽しみに思える作品でした。
 しかし、10話かけてようやく原作の4巻分が終わる、といったスロー展開では、いくら先の展開に興味があっても、「んなことしてないで早く先行けよ」的な苛立ちが前に来てしまいます。
 登場キャラにしつこいくらいモノローグをさせたり、長口上をたれさせたりして、見ているこちらの焦燥感を煽り、作品に緊張感を出すつもりだったのかもしれませんが、一言でいってウザいです。

 で、「GANTZ」アニメ版はこの第一期で切ることに決めて、原作(既刊分)を読んでみることにしました
 普段はそんなことしないのですが(比較ばかりの感想を書いてしまうから)、もうアニメ版には付き合うまいと決めたので^^;
 以下は、いちおうまだアニメだけに付き合おうという人のため、先のネタバレは避けて書きますね。

 なるほど、アニメ版が「改悪」されている、と原作ファンに叩かれるのがよくわかりました。
 その場にいないはずのキャラを居合わせさせたり、キャラに不必要なくらい長口上をさせたり、キャラの性格設定そのものを変えたりしています。
 具体的には、玄野と岸本が「ネギ星人と加藤の対峙」に居合わせて、加藤に鬱陶しく野次を飛ばすシーンとか、2回目の召集で西が集まった全員に説教をたれるシーンとか、暴走族のリーダーの性格が家族思いになっているところとか。
 原作を知らずにアニメを視聴していた人でも、たいていの人はこのへんの描写で、「そんなことはいいから、さっさと進めろ」と思ったはずです。
 で、実際にこれが、原作の持っている「有無を言わせず読ませる勢い」をことごとく減殺してしまっているんですよね。
 実にもったいないです。

 私の中では、この展開をうんだ元凶はシリーズ構成の十川氏で間違いない、と確信しているのですが(笑)、もしかしたら名だたるアニメーターである板野氏の、監督としての力量不足が原因なのかも?
 ともあれ、アニメ化スタッフに恵まれなかったなぁと、原作者には深く同情します。

 あと原作を読んで思ったのは、アニメだとほとんどの残虐描写がカットされてしまっているということ。
 まあ、商品化したときはちゃんと入っているかもしれないので、このへんはフジテレビのヘタレた放送姿勢がそうさせたのかもしれず^^;
 午前3時近くなんてド深夜もいいところなんだから、少しくらい派手に血飛沫が飛んだってかまわないと思うんですけどね。

 「原作は読んだけど、アニメはどうなん?」って人も、私のこの感想を読んで、大体の感じはつかめたと思うのですが、いちおう書いておくと、この第一シリーズで描かれるのは、ガンツの2回目の召集、「鈴木星人編」までです。
 私が思ったのは、3回目の召集と戦闘が終わるまでを、1クール13話かけて描くのが、ベストだったんじゃないかなと。
 メチャクチャ欝な第2シリーズへの引きになってしまいますが、欝な終わり方をするアニメは他にもありますからね。
 むしろ、第2シリーズが始まったと思ったら、すさまじいまでの欝展開を見せられて、久しぶりに見たor初めて見た視聴者が引くことのほうが心配です。

 これ以上書いたら余計なネタバレをしそうなので(^^;)、このへんで感想は止めておきます。
 ともあれ、この「GANTZ」アニメ版は、漫画版の勢い・筆力にはるかに及ばない、残念な内容でした。

音楽  OP:「Super Shooter」(RIP SLYME)
 ED:「Last Kiss」(BONNIE PINK)

 OPを歌っているのは、ヒップホップ系のユニットなのかな…?
 スピード感があってカッチョいいです。
 アニメーションが本編の使い回しで構成されているため、曲だけで客の興味を引くという役割は十分に果たしていたと思います。
 OPだけ見ると、面白そうなアニメだと思うんですけどねぇ…(笑)。

 EDのボニーピンクって、たしか「るろ剣」のTVアニメで、作品に全く合ってないEDを歌ってた人たちですよね^^;
 今回も、歌詞を見るかぎり作品の内容を意識してるとは思えません。
 が、殺伐としたアニメの内容に比べて、何やら切ない余韻を残すという、意外とマッチした選曲だったと思います。

ボイス
玄野 計:浪川 大輔加藤 勝:大里 雅史
岸本 恵:生天目 仁美西 丈一郎:矢部 雅史 など。

 もともと玄野は見ていてムカつくガキですが、浪川さんの頼りない感じの演技が加わって、ますますムカつくガキに。
 あの声で「できねえってぇ!」「わっかんねえってぇ!」とか叫ばれると、なんかむしょーに腹が立ってきません?^^;

キャラ  本当に、出てくるのは性格的に鬱陶しい奴らばかり。
 そーいう奴らがエゴ剥き出しでバラバラに行動するから、この作品は不協和音のカタマリ。
 まあ、キャラクター造形がリアルというべきなのかもしれませんが…。
 実際に自分ができることとは限らないけど、「他人に言う前に自分が行動しろ!」と言ってやりたくなります。
 自分の命がかかっているのだから、もう少し緊迫感を持って、冷静に頭を働かせられないものかな…。

 …って、まるでこの作品が好みじゃないみたいに書いてますが、これがすっごく面白いんですよ(^^)。
 漫画を読んでみたら、きっとハマると思います。


●花右京メイド隊 La Verite(全12話) オススメ度:7  アニメオタク
知識  2004年4月より、UHF系列にて1クール視聴。

 原作:もりしげ
 監督:野中卓也、構成・脚本:花田十輝。
 脚本:花田十輝・あおしまたかし・子安秀明。
 キャラクターデザイン:大隈孝晴、メカデザイン:松原一之。
 美術監督・美術設定:青井孝、音響監督:菊田浩巳など。

 アニメーション制作は童夢 (「おねがい☆ツインズ」など)。

 公式HPはここから。
物語  さえない中学三年生、花右京太郎は母の死を契機に、祖父を頼って上京した。
 迎えに現れたマリエルと名乗る少女は、太郎のことをご主人様と呼ぶ。

 そして、ヘリに乗せられて着いた先で太郎が見たものは、向こうが見えないほどの大豪邸と、数え切れないほどのメイドたちだった。
 太郎は大財閥・花右京家を一代で築きあげた、花右京北斎の孫であったのだ。
 いきなり家督を譲られた太郎は、日本を二分する勢力を持つ大財閥、花右京家の当主になる。

 そんな太郎が一緒に暮らすこととなったメイド達とは、メイド長のマリエル、警備部・剣コノヱ、技術部・鈴木イクヨ、コンピューターの達人グレースなど、それぞれが特殊技能を持ったスペシャリストメイド集団「花右京メイド隊」
 “当主の太郎にお仕えすること!”を唯一の任務とするメイド達に、翻弄される日々が始まる……。

感想  さえない少年と彼一人に尽くす無数のメイドたちとの、にぎやかな日々を描いたハーレムラブコメ。
 一度同名のタイトルで作られていますが、どういう事情によるのか、また最初からリメイクすることになったようです。

 メイド隊と聞くと、広い屋敷に豪華な食事、自分のためだけに仕える数多くのメイドたちに囲まれ、何一つ不自由のない究極のハーレム生活を送る姿が見えてきそうですが、実際はけっこう主人公がおもちゃにされる描写が多いです^^;
 そりゃあ、もともと太郎は当主としての力量も自覚も不足した凡庸な中学生なわけだし、そんな小者にとって、自分より年上の女性がたくさんいる環境で、四六時中世話をされる生活は、肩身が狭かろうというもの。
 おまけに、メイドたちをまとめる各部署のリーダーたちは、そろって変わり者ぞろいであり、とうてい太郎に御しきれるものではありません。

 彼女たちは「太郎に仕えること」を任務としてはいるものの、別に太郎がいてもいなくても日常に変わりはなさそうだし、太郎への接し方も「可愛い男の子にサービスしてあげる」ぐらいの感覚なわけで。
 (まあ、サービスといって、ソープランドの泡踊りまで含むというのが男の発想ですね^^;)
 そこへきて、ライバルの慈悲王家からお嬢様のリュウカまで転がり込んできては、毎日が太郎をおもちゃにしたお祭り状態になるのも頷けるというものです。

 旧作では、そんな中においても、「太郎は女性に触れられるとジン麻疹が出る女性アレルギーだが、マリエルにだけはそれが出ない」という設定を生かして、ほのぼのしたラブコメを作ることに成功していました。
 今回はその設定自体がありませんが、旧作で描かれなったマリエルの正体について伏線を張りつつ、クライマックス(9〜11話)では、やはりマリエルと太郎の恋愛がメインに描かれます。
 で、それまでは結構やりたい放題のドタバタコメディーが展開。
 それが意外と面白くて、メイド隊が予算争奪戦の野球大会をしたり、コミケで同人誌即売会を開いたり、屋敷の地下迷宮を探検したりと、各話がバラエティーに富んだ内容になっています。

 真面目にシリーズ構成を書くと、まず太郎とメイドたちの出会いを描いた1話があって、リュウカ、シンシア、コノエをメインにした2、3、4話が続き、全キャラが活躍するお祭り回が5、6、7話。
 8話で何やら意味深なことを言う新キャラが登場した後は、9、10、11話で一気にクライマックス展開へなだれこみ、12話はエピローグ、という構成です。
 この中では、シンシアがメインとなる回が唐突な印象であり、後に回しても良さそうなものでしたが、全部終わって振り返ってみると、やはりこの構成が一番妥当だったかなという気もします^^;

 メインとして動くキャラが、太郎、マリエル、コノヱ、八島、シンシア、イクヨ、リュウカ、三つ子など10人くらいにしぼってあるのも正解。
 「無数のメイド」が出てくるからといって構えることなく、気楽に見られます。

 ただ、やはり24話くらいあった方がシリーズとしての愛着も出るわけで、たった12話では物足りなさが残ってしまいます。
 まあ、15分のアニメだったものが30分にリメイクされ、それでいて新鮮な面白さを持つということ自体、珍しい(貴重な)ことではあるわけですが…。
 リメイクものの見本としては、意義のある作品といえるでしょうか。

 くだらないアニメだと切って捨てるのも道理ですが(^^;)、美少女アニメにそれほど抵抗がなければ、見て損はないと思います。
 作画は統一感こそないものの、平均してTVアニメの中ではかなりの高品質ですし、2話、5話、11話などの完成度には目を見張るものがあります。

音楽  音楽:大島ミチル。
 OP:「Voice of heart」(マリエル(田中理恵))
 ED:「お世話します!」(れもん・まろん・めろん)

 OP・EDとも作・編曲:大島ミチル。
 前作はメイド隊が「ご〜ほ〜ぉ〜し〜ご奉〜仕っ」と合唱する、「花右京メイド隊の歌」が凄まじいインパクトを残しましたが、今回はあれに比べれば随分と落ち着いた印象。
 というか、OPは普通にいい曲ですね。まさにマリエルのキャラソンという感じ。
 EDは太郎のベッドに潜む三つ子の色魔(笑)による合唱。
 これもほのぼのしたいい曲で、「まほろまてぃっく」の3人娘による合唱を思い出しました。

ボイス
マリエル:田中理恵花右京太郎:甲斐田ゆき
剣コノヱ:平松晶子早苗八島:渡辺明乃
シンシア:金田朋子鈴木イクヨ:有島モユ慈悲王リュウカ:高橋理恵子
れもん:吉住梢まろん:門脇舞めろん:吉川由弥
紫皇院:山口由里子花右京北斎:立木文彦など。

 ほとんどは旧作から継続。
 原作者のもりしげ氏自身は、もともとマリエルを井上喜久子さんに演じてもらいたかったそうですが、田中理恵さんの演技を聞いてほれ込んだとか。
 実際、素人にはほとんど区別がつかないですよね^^;

 リュウカ役の高橋さんといえば、「∀ガンダム」に登場した月の女王ディアナ様ですが、そのへんの威厳はカケラも感じさせない、庶民的なオバさん声に…。
 ターンAファンからすると、「ディアナ様がいらっしゃる!」的な感動があって許容範囲なのですが、他の人にはどうだったんだろう…。

 あと、忘れちゃならないのは、イクヨちゃんの滑舌の悪さね^^;
 そのプロの声優にあるまじきひどさは、最初こそ不快に思いましたが、何度か回をこなしていくうちに、不思議と味のあるものに…。
 イクヨのキャラが全キャラ中でも1、2を争う変人であり、並大抵の声ではこの役は務まらないと思い直してからは、滑舌の悪さが愛嬌になってしまいました。

キャラ  本作品で一番キャラが立っていたのは、間違いなく警備部のコノヱさんと早苗八島
 コノヱは警備部の責任者として太郎に忠誠を尽くす凛々しい姿と、ときどき見せる女性らしさのギャップが人気のお姉様キャラ。
 八島は太郎やイクヨに「早苗ちゃん」と呼ばれるたびに「八島が名前で、早苗は苗字です!」と怒るのが繰り返しギャグになっている他、コノヱを「コノヱしゃま…」と呼び慕い、しばしば妄想にひたっているという面白い女の子です。
 その百合ネタをイクヨちゃんに同人誌にされて、コミケで売られてたり^^;

 八島というキャラは旧作ではほとんど登場しませんでしたが、本作ではメインキャラの一人として大活躍。
 しかも、この子がボケとして妄想しまくることで、いつも真剣なコノヱが天然のツッコミ役として引き立つという、面白い関係が成り立っています。
 シリアスをやっても二人はいいコンビで、コノヱは世界で一番強くてカッコいいと信じて疑わない八島が、紫皇院を相手に弱気を見せるコノヱの勇気を鼓舞するシーン(11話)は、この作品でも名場面の一つ。

 次点として、慈悲王リュウカもお気に入りのキャラ。
 毎回、イクヨと二人でドツキ漫才ばかりしている印象も受けますが、私はこの子、可愛いと思うんですよ。
 太郎がマリエルと楽しそうにデートしているのを見て、マリエルに半泣きで太郎をゆずるシーンとか、萌え萌えでした。
 メイドという概念が結晶化したかのようなマリエルより、感情豊かにキレまくるリュウカの方が好み…というのはゲテモノ好きなのかな?^^;
 実際、こういうお嬢様も「あり得ない」フィクションなんですが、この変人ぞろいのメイドたちの中にあっては、不思議と一番身近な感じがするんですよね。

作中の一言:マリエル「太郎様のお望みをおっしゃってください」<後半、けっこう怖いセリフに…


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