●AIR(全12話+特別編2話) オススメ度:7  全年齢
知識  2005年1月からBS-iにて1クール放送されたTVアニメ作品をDVDで補完。
 また、2005年8月、9月に特別編として「AIR 夏 特別編」が前後編で放送。

 原作:Key/ビジュアルアーツ、監督:石原立也、
 シリーズ構成:志茂文彦、キャラクター原案:樋上いたる (ビジュアルアーツ)
 キャラクターデザイン、総作画監督:荒谷朋恵
 美術監督:鵜ノ口穣二、音響監督:鶴岡陽太 など。

 制作は「フルメタル・パニック!ふもっふ」等の驚異的なクォリティのアニメーションで知られる京都アニメーション。

 公式HPはこちらから。
物語  国崎往人(くにさき ゆきと)は人形使い。
 「法術」と呼ばれる不思議な力で、人々に芸を見せながら旅を続けてきた。
 ある夏の日、いつものように芸を見せる往人。
 だが子供たちにバカにされ全く稼げない。
 空腹のあまり堤防で行き倒れていた往人の前に、観鈴という少女が現れる…。

感想  海沿いの小さな町を舞台に、そこに住む少女たちのひと夏の悲しいエピソードを、謎の「翼人」の伝承に絡めて描いた作品。
 原作は「Kanon」に続く、keyの大ヒット美少女ADVですね。

 きわめて閉鎖的な世界で(町の外に出る描写はひとつとしてなく)、出てくるキャラは美少女ばかりという、ある意味「シスター・プリンセス」のプロミスアイランドみたいな作りですが、作品としての印象はガラッと違います。
 それは、呪われた運命に翻弄されながらも、最後には母と子が愛情で強く結ばれたメインヒロインの観鈴のエピソードをはじめとして、ヒロイン一人一人がとても丁寧に扱われているからであり、一つ一つのエピソードが悲惨すぎるからでもあり(--;
 クライマックスで超絶の映像描写を見せた5話「つばさ〜wing〜」をはじめとして、原作ファンからも「スタッフは神!」と称えられた美少女ゲーム原作アニメの傑作。

 …なんて前評判を聞いて観てはみたものの、原作を知らない私にとっては、いまひとつピンとこないところが多かったり。
 そもそも、「良く出来ている」という先入観をもって観始めたのが良くなかったかもしれません。
 正直、7話くらいまでは観終えたあと、「うーん…?」と首を傾げてしまう内容でした。
 メインストーリーとなる主人公・国崎往人と神尾親子(観鈴と晴子)の会話は何だかいつもちぐはぐだし、サブヒロインたちのエピソードは肝心のオチがファンタジーでボカされてしまうし。
 8話にいたって平安時代かどこかに舞台が移ったときには、風呂敷を畳みきれるのかと不安になってしまったぐらい。
 (あとになって、現代での風呂敷を畳むためにこのエピソードがあると気づきましたが^^;)

 何といっても、メインヒロインの観鈴が抱える「仲良くなると((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブルになって泣き出してしまう」病癖はありだとしても、(ネタバレ)翼人の呪いで連続した夢を見続け、その夢が終わると死んでしまう(ここまで)といった設定が(過去編を観終えたあとでも)受け入れられませんでした。
 結末があまりにシビアすぎて、物語のためにそうされてしまったとしか思えず。

 ただ、10話で現代編に戻って、神尾親子の2人の関係だけに描写が集束すると、メインテーマである「親子の愛」が強烈に胸に迫ってきて、最終話では案の定泣かされてしまいました^^;
 3・4話の霧島佳乃・聖姉妹、5・6話の遠野美凪とみちるのエピソードもよく出来た「家族愛」がテーマのエピソードでしたが、神尾親子は設定が反則的なため、悲しみの瞬間最大風速は過去最大級(謎
 また、ちぐはぐに見えていた関係も、構成の妙で胸にストンと落ちるものになっていたり。

 この作品、一見すると前述のように「シスプリ」と似たような美少女アニメによくある世界観なのですが、構成がよく練られているというか、手が込んでいるのです。
 視聴者の視点に立った、主人公然とした男性キャラ(国崎往人)は存在するものの、彼は決して美少女たちの一人とラブラブになるわけではなく、むしろ彼女たちを見守る保護者のような立ち位置であり続け、しばらくするといなくなってしまいます(--;

 1・2話でまず往人と女の子たちとの出会いがあって、3・4話は霧島姉妹、5・6話は美凪・みちるのエピソードというように、中盤まではカッチリしているのです。
 ところが、7話で観鈴が倒れるあたりから、他の女の子たちが出てこなくなり、ストーリーが現実なのか夢なのかといった、抽象的なものになります。
 8話になると前述のごとく話が現在の禍根となった大昔に飛んで、10話で再び現代に話が戻ると、なんと時間までもが1話に巻き戻っているのです。
 そこからは往人が転生した(?)と思われるカラス"そら"の視点で(往人も登場しますが顔は描写されず)、観鈴と晴子が、往人の見えないところでどんなことを思っていたのか、行動にどんな意味があったのかが描かれていきます。

 このように10話から11話にかけて7話までのメインストーリーをもう一度別の視点からおさらいしてくれるので、ちぐはぐに見えた関係も、観鈴の大事な決意、あるいは晴子の諦観として否が応でも胸に落ちてきます。
 まあ一言でいって珍しい構成なんですが、とりあえずこれから観る人には7話までで脱落しそうになるけどそこで止めない方が良いということで^^;

 ただ最終話でまとめに入ったあたり、原作由来のものなのかスタッフ独自の表現なのかわかりませんが、「受け継がれていく星の記憶は、永遠に幸せでなければなりません…」とか何とか、ナレーションで話を大きくしすぎているところは少々自己陶酔的で嫌な感じ^^;
 また、往人と観鈴が見ていた砂浜の少年に年齢不詳の意味深なメッセージを残させているのも、あまり気持ちが良くないような。

 まあ、ところどころに気取った演出は見られたものの、典型的な美少女アニメ的作品構造にしては、ほとんどのエピソードで視聴者の感情にストレートに訴える「家族愛」を描いた稀有な作品には違いありません。
 ちょっと内容がシリアスに傾きすぎで重いものになっていた点は、ギャグとシリアスの緩急のつけ方こそアニメに必須な要素と考える私の考え方からすれば問題ありですが、原作ファンには受け入れられていたので、これはこれでありなのでしょう。
 作画的なところは加味せずに、オススメ度はちょっと低めに付けて7。
 原作ファンにとっては、これ以上ないくらい忠実な映像化で、10点付けられる作品なんでしょうけどね。
 夏・海・町・星・風・声・羽など、各話のサブタイトルの要素がたっぷり詰まった、良い雰囲気のアニメでした。

音楽  音楽:折戸伸治、戸越まごめ、麻枝准、音楽制作 : Key
 クレジットではこうなっていましたが、原作のBGMをそのまま使ってるってことなんでしょうか。

 OP/EDに原作の『鳥の詩』『Farewell Song』を持ってきたのは英断でした。
 「Kanon」や「君望」のように、ここぞとばかりに新曲を売りつけることもできたのでしょうが、これに勝る名曲はないでしょう。
 原型をとどめない歌詞のぶつ切りと、歌詞とリンクしすぎのアニメーションはいただけませんでしたが(--;
 やはり、スタッフの中に思い入れが強い人がいたんでしょうか…。

ボイス
国崎往人:小野大輔 神尾観鈴:川上とも子 神尾晴子:久川綾
霧島佳乃:岡本麻見霧島 聖:冬馬由美遠野美凪:柚木涼香みちる:田村ゆかり
神奈備命:西村ちなみ柳也:神奈延年裏葉:井上喜久子ポテト:今野宏美

 川上さんと久川さんは、可愛いとかいう以前にものすごい迫真の演技でビビりました。
 キャラとひとつになっているというか、やはりベテランは違うなぁ…。
 他のどのキャラも、違和感を感じるということは全くありませんでした。

キャラ  実は、過去編の神奈備命(かんなびのみこと)が最萌えキャラ^^
 柳也や裏葉とのやり取りは和みまくりで、お手玉に興じる姿、「〜なのだぞ!」といってスネたり照れたりする姿は可愛すぎ(≧▽≦)
 それだけに、あの結末は痛々しすぎて見ていられませんでした。
 感想では内容に全く触れませんでしたが、過去編も短いながら単発エピソードとして非常に良くまとまっていたと思います。

作中の一言:美凪「そんなあなたに、お米券進呈――」


●ぺとぺとさん(全13話) オススメ度:6  全年齢
知識  2005年7月からUHF系列で1クール視聴。

 原作:木村 航(ファミ通文庫/エンターブレイン社)
 監督:西森 章 シリーズ構成:笹野 恵
 キャラクター原案:YUG キャラクターデザイン&総作画監督:とみなが まり
 美術監督:飯島由樹子

 メインアニメーション制作はXEBEC M2。
 GENCOプロデュース。

 公式HPはこちらから。
物語  日本古来の妖怪が「特定種族」として、人間社会にそれなりに溶け込んでいる現代。
 特定種族たちはその絶対数の少なさゆえに、見かけは人間と大差なくても、人間たちからあまり良い目で見られていない。
 しかし、物語の舞台となる鮎川町のマガ校(大曲垣峠中等教育総合校)では、人間と妖怪の一環教育が実践されていた。

 ある夏の日、そこに通う主人公・シンゴのクラスに、藤村鳩子という女の子が転校してくる。
 明るく素直な性格と愛らしい容姿にシンゴは好感を持つが、鳩子はいとしい物には何でもくっついてしまう「ぺとぺとさん」という特定種族だった…。

感想  「ぺとぺとさん」というタイトルからしてキッズアニメの雰囲気が漂っていますが、内容は第一話を見れば分かるとおり、美少女だらけの萌えアニメです^^
 どうやら、現代における妖怪と人間の共存をテーマに描いた作品のようなのですが、出てくる妖怪たちが(女の子妖怪は)そろって美少女の姿をしているため、慣れ親しんだ水木しげる絵のイメージを想像して観ると、見事に打ち砕かれます。

 "ぬりかべ"のぬりちゃんは壁にもぐれば何にでもコスプレ可能、おでこに文字を出してメッセージを伝える萌えキャラだし、"あかなめ"の赤沢さんは主人公の口の中の汚れを見ると発情してディープキスで綺麗にするエロ委員長だし、"カッパ"の特徴もせいぜい手の爪が伸びるくらい。
 出てくる女の子たちを一列に並べて、知らない人に「この中からカッパの女の子は誰?」と選ばせても、1/人数の確率でしかわからないと思います。

 ただ、それが悪いということは全くなくて、むしろ水木しげる絵全開で描かれていたらそれは単なる「ゲゲゲの鬼太郎」なわけで、美少女でなければ深夜に放送しても私のようなアニオタは食いつかなかったと思います。
 つまり商業的には問題なしというわけで^^;
 作画も最終話まで可愛らしいまま崩れることなく、総作監のとみながまりさんをはじめとして、作画スタッフはグッジョブです。

 本作のタイトルとなっている「ぺとぺとさん」は聞きなれない名前ですが、やはり妖怪です。
 感情が昂ぶると誰とでも「ぺとって」しまう体質を持っており、ヒロインのぺと子は一見すると明るく可愛らしい関西弁の女の子ですが、「ぺとぺとさん」である自らの体質に悩んでいます。
 自分を好きになってくれた人ができても、それは自分に魅力があるからではなく、何にでもくっついてしまう自分の血がそうさせていると考えるわけです。
 「好きやからくっつくのとちゃうねん」「絶滅危惧種やから、効率的な配偶者確保のためにこうなってしまうねん」と自分で理屈をつけて、素直になれない性分です。
 アニメでは、そんなぺと子を好きになってしまったごく普通の中学生・シンゴとぺと子のじれったい恋の行方と、クラスの皆と過ごすひと夏の思い出を、田舎町の風情豊かに描いています。

 もっとも、どこの世界でも差別はあるようで、「特定種族」も正体を明かすだけで、町のオバちゃんにヒソヒソされてしまうような扱いだったりもします。
 また、ぺと子は極端に貧乏なため、クラスの女子にバカにされるといったイヤな場面も描かれたり。
 シンゴたちの担任である友里先生(アネゴ肌の女性)だけは、人間と特定種族の共存を積極的に進めようと、妖怪をクラスに受け入れているようなのですが…。
 要するに、ほのぼのまったりした会話に癒されるだけの萌えアニメではない、ということですね。

 また、舞台となる鮎川町には生まれる女の子が妹率100%という妙にマニアックな設定が付いていて、通称「にょみの里」(妹=女+未=にょみ)と呼ばれています。
 清貧を絵に描いたような暮らしをしているぺと子が、ミス「にょみの里」の優勝賞金を得るため、「ミにょコン」(ややこしい)に出るといったエピソードも。
 このアニメの雲行きがおかしくなってくるのは、まさにこの「ミにょコン」からで、変にシリアスな場面が挿まれたりして、結局は何が描きたいのかよくわからない作品という印象を持ってしまったのですが…。

 話の大部分は、どのエピソードもさして脈絡のない、日常の延長なんですよね。
 新聞&牛乳配達、朝のラジオ体操、プール授業、キャンプ合宿といった学園生活のエピソードが、のどかな田園風景を背景に描かれるまったり感。
 それに加えて美少女妖怪たちのちょっとHで可愛らしい特性が、本作品の魅力だと思うので、劇的な展開は何も要らないわけです。

 最終回まで見終えて、私は「ぺと子がシンゴのクラス全員に受け入れられるまで」を描いた作品として捉えるのが一番良いかと思うのですが、そう考えると余分な要素が随分と出ていたような気もします。
 ぶっちゃけ、くぐるの妹・ちょちょ丸が出てきて、あり得ない方向に引っかき回し始めたところで、さっさと退場させるべきではなかったかと(笑)
 ラストでぺと子を連れて行ってしまう役割を持たせられたために、余計にそう思うのですが…。
 まあ、これは原作準拠な展開のようなので、仕方ないところでしょうか。続編はOVA?

 ぺと子たちの容姿にひかれて買って観る分には損はないと思いますが、ストーリーにはいろいろ首を傾げるところも多いので、オススメ度は6。

音楽  音楽:栗原正己、音響監督:鶴岡陽太
 音楽制作:Mellow Head
 OP:『知ラナイナイ空』
 ED:『帰り道』
 歌手はともにさねよしいさ子さん。
 まーとても萌えアニソンとはいえない曲ですが、作曲の伊藤真澄さんは「宇宙海賊ミト」とか「恋風」EDとかで見たような。

 ところで、ぺと子が歩くと必ずポッキュンポッキュン音が鳴るという設定は誰が考えたんだろう?
 あれ、すごく可愛いですね。
 ほのぼのユーモラスなBGMと相まって、何ともいえない作品の味になっています。

ボイス
ぺと子:植田佳奈シンゴ:大須賀純沙原くぐる:宮川美保大橋知恵:斎藤千和
ちょちょ丸:猪口有佳知里明日香:雪野五月藤村まる子:金月真美前田カンナ:川澄綾子
赤沢清美:桑谷夏子ジェレミー:谷山紀章関谷:田坂秀樹など。

 ヒロインのぺと子役の植田さんといえば私は「マリア様がみてる」の主人公・祐巳のお姉様に媚びた声が印象に残ってるんですが、ぺと子の元気な関西弁も新鮮でいい感じ。
 「雄しべと雌しべがごっつんこやねん」をはじめとして、迷ゼリフを堪能できます^^;

 女の子妖怪のことばっかり取り上げてましたが、男性妖怪もちゃんといます。
 シンゴのクラスメートの守口ジェレミー(のっぺらぼう)と関谷現右衛門定任(侍ゾンビ)、和賀八郎(座敷童子)など。
 カマっぽいジェレミーと何かと揉め事がある度に腹を切る(マネではなく本当に内臓をぶちまける)関谷のインパクトが強烈。

キャラ  なにげに美少女たちはツンデレキャラぞろい。
 ひたすら可愛らしいぺと子とぬりえ、小ぬりちゃん@マスコットの3人は別として、沙原くぐる、赤沢委員長、宮下カンナ、シンゴの妹と、レギュラーだけでツンツンしたキャラが4人もいるのか^^;
 結局のところツンデレっぷりを堪能できたのはくぐるぐらいしかいないのですが、恋愛アニメとして見るとまともな男性キャラはシンゴぐらいしかおらず、しかもシンゴはぺと子以外は友達という感覚の天然系モテ男なので、全13話では仕方のないところ。

作中の一言:ぺと子「ぺとぺとさんは、エロエロ妖怪やねん」


●英国戀物語エマ(全12話) オススメ度:7  全年齢
知識  2005年4月からUHF深夜枠で1クール視聴。

 原作:森薫『エマ』(月刊コミックビーム連載(エンターブレイン社))
 監督:小林常夫 シリーズ構成:池田眞美子
 キャラクターデザイン:楠本祐子・清水ケイコ
 画面設計:田中比呂人・高岡淳一 美術:櫻井純子・矢野祐子
時代考証:村上リコ など

 メインアニメーション制作はスタジオぴえろ。
 スタッフの顔ぶれからいって、『十二国記』のスタッフが移行してるのかな?

 公式HPはこちらから。
物語  偶然の出会いがもたらした一つの恋。
 流れる時間と共に互いの想いは募り、心の距離は近づいていく。
 けれども、二人の前に立ちはだかる現実――階級という壁。

 19世紀末のイギリス、ロンドンを舞台に、出逢ってしまったメイドとジェントリ上流階級の恋物語。
 清楚で慎ましく、感情をあまり表に出さないエマが、初めて笑顔を見せたウィリアムは、まっすぐで隠し事の出来ない純粋な男性。
 互いに許されない事とは解かっていながらも、惹かれ合い、ゆっくりと二人の時間を積み重ねていく。
 革新の時代の最中、未だ縛られた伝統に立ち向かい、乗り越えようとするエマとウィリアムの恋物語が今始まる。

感想  始まる前は"エマ"という名前のメイドさんの目を通じて、19世紀イギリスの生活風景を丁寧に描いた「世界名作劇場」的作品…とか勝手に想像していたのですが、エマ@メガネっ子メイド×ウィリアム@貴族のお坊ちゃま身分違いの恋を描いたラブロマンスでした^^;
 でも、期待していた近代イギリスの生活描写、背景美術が想像を上回る素晴らしさだったので、その点については裏切られたともいえず。
 っていうか、ラブロマンスだとわからなかったのは、私が「戀(=恋)」って漢字が読めなかっただけなのですが(笑)。

 アニメのストーリーは毎回オーソドックスな恋愛アニメで、貴族の若旦那・ウィリアムが自分の家庭教師として働いていたケリー婦人の雇っているメイド(エマ)を見初めて、なにかと口実をつけて足しげく通い、時にはデートに誘ったりして…といった穏やかな内容。
 全体に、「あの幸せな日々」といった趣きで、毎回偶然を装うため、街の骨董屋でエマを待ち続けるウィリアム、ウィリアムと出会うたびに顔を赤らめるようになるエマ、それを優しく見守るケリーといった構図で、丁寧にキャラクターの心情の動きを描いています。
 ただ、ウィリアムもエマもお互いを好ましく思っているものの、どちらもきわめて奥手であるため、そう簡単に恋人関係には発展しません。
 また、二人の間には大きな障害があり、それはウィリアムがジェントリ(上流階級)で、エマがメイドにすぎないということです。
 途中でエマを見初めるインドの王子とか、ウィリアムを一途に想う貴族の令嬢とかも出てきますが、結局のところそれらのキャラクターが際立たせているのは、本作品のメインテーマである「身分違いの恋」です。

 保守的な貴族のオヤジにしばかれるウィリアム、ウィリアムの暮らしを目にして住む世界が違いすぎると嘆き諦観するエマさん。
 ケリー夫人も(ネタバレ)わりとあっさりお逝きになってしまい(ここまで)、視聴者としては二人が無事に結ばれることができるのかと、続きが心配になります。
 12話というTVシリーズとしては短い作品なので、ひとつのテーマに絞って視聴者をひきつける、というのは成功していたと思います。

 が、結局のところ(ネタバレ)エマさんが追いかけるウィリアムを振り切って、涙にぬれて故郷に帰る(ここまで)って終わり方は、いかがなものかと。
 続編を乞うご期待ってことですか?真のエンディングはOVAで完結とか?
 いちおう(ネタバレ)お互いの手にスズランを握らせて、「もう一度会える」(こここまで)ってことを視聴者にアピールしていたけれども…、これじゃ完結したとは思えませんね。
 ここはオリジナル展開でも、できれば12話でまとめてほしかったんだけどなぁ…。

 究極のメイドアニメとして、また「メガネっ子の正しい描き方」という教本的なアニメとして、3話までは10点、11話までは8〜9点の高得点アニメだったんですが、ラストに納得が行かなかったので7点。
 それにしても、一般向けとして夕方に放送してもおかしくない作品でしたが、HPの秋葉原メイリッシュとのタイアップイベントの開催などからして、深夜アニメで正解という気も…^^;

音楽  音楽:梁邦彦。
 久しぶりの主題歌なし、エンディングも含めてすべてインストのアニメを見たような。

 効果音関係も、暖炉の炭をかき混ぜる音、朝食のスープを煮立たせる音、紅茶を淹れる音、街道を走る馬車の音など、萌えアニメではなかなか聞くことができない趣のある音が新鮮です^^
 OPはアニメーションと音楽がいずれも作品の雰囲気を捉えていて、素晴らしいの一言。

ボイス
エマ:冬馬由美ウィリアム:川島得愛ハキム:うえだゆうじエレノア:小林沙苗
ケリー:中西妙子リチャード:野島昭生グレイス:大原さやかアーサー:宮田幸季
ヴィヴィアン:水橋かおりコリン:下屋則子アル:西村知道スティーブンス:幹本雄之

 ウィリアム、リチャード、グレイス、アーサー、ヴィヴィアン、コリンはジョーンズ一家。
 ハキムはエマを見初めるインドの王子、エレノアはウィリアムに恋する貴族の令嬢。
 アル@飲んだくれはケリーの相談相手、スティーブンスはジョーンズ家の執事。

 キャストの中では、やはりエマさん役の冬馬さんがハマリ役で素晴らしい。
 ヒロインだからといって決してよく喋るわけではなく、むしろ普段から感情を抑えたトーンで話すので、難しいキャラだったと思いますが…。
 控えめだが有能なメイドという設定をよく捉えていたと思います。

キャラ  国民的メガネっ子のエマさんは皆さんにお譲りしますので、エレノア嬢は私がいただきます(ぉ

 いや、「忍ぶ恋」のレベルでいったら、ウィリアムと水晶宮で堂々とデートしていたエマさんと比べると、エレノア嬢の方が上ではないかと。
 ウィリアムに惹かれる契機となったテニスやら舞踏会やらを過ぎてからというもの、そのあまりの不遇っぷりが観ていてかわいそうで(´Д⊂
 彼女が単なるツンケンした我がままお嬢様キャラだったらそれほどでもないんですが、好きな人のために賢明にアピールしようとする、普通に良い子だからなぁ。
 思いつめて食事ものどを通らないのを見ると、ウィリアム逝ってよしというダークな感情がふつふつと沸いてきます(--;
 …まあ、冷静に考えたら、エマとウィリアムの間に立ち塞がる壁に比べたら、エレノア嬢と結ばれるのはいとも簡単なんでしょうけどね。

作中の一言:エマ「住む世界が…違いすぎます」


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