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●Fate/stay night(全話) オススメ度:6〜7  全年齢
知識  UHF系列で2006年1月から2クール視聴。

 原作:奈須きのこ/ TYPE-MOON、
 監督:山口祐司、構成原案:奈須きのこ
 シリーズ構成:佐藤卓哉、キャラクター原案、監修:武内崇
 キャラクターデザイン:石原恵

 メインアニメーション制作はスタジオディーン。

 公式HPはこちらから。

物語  街を焼き尽くす程の大災害があった。
 炎の中、全てを失った幼い衛宮士郎(えみや・しろう)は魔術師、衛宮切嗣(きりつぐ)に助けられ、その養子となる。

 あれから十年。
 衛宮士郎は今は亡き養父、切嗣との約束"正義の味方"に成るべく、日々魔術の鍛錬を続けていた。
 そんなある日、ふとしたきっかけから"聖杯戦争"と呼ばれる魔術師同士の戦いに巻き込まれ、サーヴァントの一人、セイバーと契約する。

 聖杯戦争、それは手にした者の願いを叶えるという聖杯を手に入れるため、七人の魔術師(マスター)が与えられた、七騎士の使い魔(サーヴァント)と共に殺し合う争奪戦。
 そして衛宮士郎は、十年前の大災害が聖杯戦争によるものだと知り、あの惨劇を繰り返さない為に、戦いに身を投じる事をになる。

感想  手にした者の願いを何でもかなえるという"聖杯"をめぐって、7人の"英霊"と"魔術師"がコンビを組んで、バトルロイヤルを繰り広げる伝奇アクション。
 美少女ゲーム原作だけに、ハーレムというかラブロマンスというかな展開もあり。

 主人公の士郎は偉大な魔術師の義父を持つものの、ろくな魔術が使えないへっぽこ高校生。
 こう書くと軽薄なキャラを想像しがちですが、本人は「正義の味方」を志す、いたって真面目な熱血漢。
 居残り掃除をしていた夕暮れの校舎の中で、サーバントと呼ばれる英霊たちの戦いを目撃したことから命を狙われ、はずみで自身もサーバント"セイバー"を召還してしまい、「聖杯戦争」と呼ばれるゲームに巻き込まれます。

 聖杯戦争とは、7人のサーバントとそのマスターが殺し合い、生き残ったサーバントとマスターが"聖杯"を手に入れ、願いを叶えられるという…何だか現代を舞台にするには沿わない設定ですが、サーバントの設定はもっとふるってます。
 サーバント=本編では使い魔という意味ですが、その正体は人間を超越した偉大な英霊、アーサー王ギルガメスヘラクレス佐々木小次郎など(…え?)の魂を持っており、そのバトルが何の変哲もない現代の町で繰り広げられるのは、スケールが小さいんだか大きいんだかわかりません。いや、ある意味おもしろいですけど。

 このアニメの感想を書くに当たって、原作ゲームのことは忘れました。
 というか、私自身は未プレイですから、せいぜいセイバーや凛といったキャラクターの顔ぐらいしか知らない程度だったわけですが、それでもこのゲームが圧倒的な支持を得ていることは事実として知っています。

 ではアニメはどうだったかというと、ジャンプ原作のアクション漫画かと思えるような熱血+魔法バトルのストーリーを、常軌を逸した膨大なセリフ量で展開していたおかげで、ひどく散漫なテンポにしてしまった印象があります。
 実は、12話くらいまで観て、2ヶ月くらい視聴をやめていたのです。
 というのも、毎回毎回登場人物がペラペラと良く喋るだけで、話自体はちっとも進まないため、あとでまとめて見た方が良いと思われたからです。
 実際は、13話あたりからなし崩し的に登場キャラが死んで(消えて)いくハードな展開になり、別に観るのを止めなくても良かった気はしますが。
 ただ、前半が登場キャラの心情を掘り下げる期間だったかといえばそうではなく、どうもゲームの設定を消化するのにスタッフが必死だったという感じ。

 また、ライダー、バーサーカーとの戦いまでをシリーズ前半ととらえるなら、後半にスピード感が上がって見えたのは、後半の戦いが反則的というか、ルール破りな展開になるためでもありますね。
 それまでは令呪や魔力の供給といったゲームのルールが徹底されていて(逆に言えばキャラの行動が縛られていて)、戦いはお互いサーバント1・マスター1のガチ魔法&剣バトルで進んでいました。
 それが、後半になるとサーバントがサーバントを召還したり、既に前回の聖杯戦争で従えていたサーバントに加えて他人のサーバントを従えたマスターが出てくることで、1対1の構図が崩れ、主人公たちが圧倒的に不利になります。

 ただ、緊迫した状況自体は序盤からあったわけですが、この作品を冗長な展開にしていた最たる原因は、戦士としての力はほとんどないにもかかわらず、セイバーの護衛も受けずにフラフラと出歩き、しょっちゅう他のマスターやサーヴァントに拉致される衛宮士郎を始めとした、登場キャラの間抜けさ加減にある気がします^^;

 頑固一徹な美少女英雄セイバーとともに、キャラクターがわりと深く掘り下げられていた主人公の士郎ですが、コイツが感情移入できないキャラであるために、物語に魅力が出ないのもやむを得ません。
 何といっても、このアニメでの士郎の描かれ方は、実力もなし、学習能力もなし、あるのは(誰も死なせずに聖杯戦争を終わらせるといった)高い理想のみという、非常に困ったキャラですからね。
 そこに加えて、凛やイリヤをはじめとして襲う側も何かと理由をつけて主人公を殺さない、または主人公が異常ともいえる不死身ぶりで回復するものですから、戦闘も間が抜けているというか…。
 セイバー、凛、イリヤ、桜といったこれでもか!というような美少女たちに囲まれて、冷や汗半分(?)上手く立ち回る士郎の日常シーンの描写の方が、よっぽど手に汗握ります(笑)。

 本当はもっと細かい文句が色々とあるんですが、18話『決戦』あたりからラスト24話『全て遠き理想郷』にいたるまで、オーソドックスに盛り上がって(相変わらずの士郎の迂闊ぶりは健在にしても)、綺麗に収まったエンディングを見ると、そんなに悪い作品じゃなかったというか、むしろ"話としては筋が通っていて面白かった"に評価が転じてしまいそうです^^;
 私はずっと士郎を主人公として観てきましたが、セイバーの背負う過去と、聖杯に望む奇跡の内容はよく分かったし、彼女をメインに据えて観ると、ぐっと入りやすくなる作品だったかもしれませんね。
 ネタバレが怖くて原作ファンの書いた感想は読んでいませんが、ほぼ忠実に原作のセイバーのルートをアニメ化した内容だったのでは、と推測します。
 ただ、凛やイリヤを含めて他のキャラクターが十把一絡げにぞんざいな扱いを受けてしまっているのは、セイバーをメインヒロインとした反動というよりは、明らかにスタッフの手落ちだと思いますが。

 原作フリークスな人たちにとっては、これでも『真月譚 月姫』に比べたら百倍マシ、といえるアニメ化だったと思います(という書き方が適切かどうかはわかりませんが)。
 作画レベルもOVAクラスとは言えないまでも、標準的なクォリティは保っていましたし。
 まあ、セイバーファンなら特攻して問題なし、それ以外の人にはあまりオススメできないかも…。
 評価は前半は5点に近い6点、後半は7点です。

音楽  音楽は『パトレイバー』でおなじみの川井憲次氏。
 コーラス多用で過剰演出という印象も残りますが、押さえるべきツボは押さえた重厚なBGMになっていたと思います。
 予告で使われていた曲がメインテーマなのかな?いかにも"魔術"というテーマに沿った雰囲気の曲調ですね。

 OP:第一期「disillusion」(Vo:タイナカ サチ)
    第二期「きらめく涙は星に」(Vo:タイナカ サチ)
 ED:「あなたがいた森」(Vo:樹海)

 第一期OPは手堅い仕上がり。前半の登場人物に余すことなく見せ場を作って、本編の展開に期待を持たせます。
 それに対して、第二期は本編の使い回しが入ったり、実現しない戦闘シーンが入ったりとヒネくれた作り。曲は良いんですが…。
 EDは草原に颯爽とたたずむセイバーのアニメだけで、セイバーの服が風になびく動きがCGっぽくて面白い以外は何とも^^;

ボイス
衛宮士郎:杉山紀彰セイバー:川澄綾子遠坂凛:植田佳奈
間桐桜:下屋則子藤村大河:伊藤美紀アーチャー:諏訪部順一
言峰綺礼:中田譲治 イリヤ:門脇 舞ライダー:浅川 悠
キャスター:田中敦子間桐慎二:神谷浩史衛宮切嗣:小山力也
柳洞一成:真殿光昭葛木宗一郎:中多和宏など。

 全体的に男性キャラは渋めのトーンか二枚目声に分かれるという印象。
 具体的には、中田譲治・中多和宏・小山力也⇔諏訪部順一・神谷浩史・真殿光昭・関智一といったキャスト。

 っていうか、このアニメってメインとなるキャスト(キャラ)が極端に少ないですよね。
 ライダーやキャスター、ランサーといったサーバントはスポット的に登場するだけだし…。
 まあ、バトルロイヤルだから仕方ないって気もしますが、ラス2なんて5人くらいしかキャストにいませんからね^^;
 だからこそ余計に、同じ声で聞かされるセリフ量の多さが気になったかもしれません。

キャラ  感想でも指摘しましたが、セイバーと士郎以外のキャラの扱いは褒められたものじゃないですね。

 特にアーチャーというキャラは勿体なかったです。
 14話『理想の果て』ですごく格好いい見せ場があるにもかかわらず、それまで全くといっていいほどキャラを掘り下げられていなかったため、ただ格好いいというだけで、感動はいまひとつでした。
 士郎と因縁があるらしい、自分の真名を忘れている、といった意味深な設定はあったものの、意味深なままに放置されましたし、何とも報われないキャラです(ノД`)
 新オープニングで士郎と打ち合っているシーンがありましたが、ゲームでのifをアニメに持ち込まれても…という気がします。

 超人先生とキャスターにしてもそうで、ひたすら戦闘シーンで主人公たちを圧倒する力を見せ付けられたあげく、謎の黄金戦士が現れたら瞬殺されてしまい、合間に断片的な過去の描写だけ見せられても、感動はイマイチどころか勿体ないという印象ばかりが残ります。

 原作を知り尽くしているが故のヒネりやショートカットが目立ちすぎて、スタッフの思惑が明らかに初見の視聴者が見たいものとずれているんですよね。
 うーん、勿体ないなぁ。

作中の一言:士郎「トレース、オン!」


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