モダン・ヘヴィネス

 モダン・ヘヴィネスってなんだ?自分でもほんとのところよくわかりません。多分、世界中で誰もなにが”モダン”でヘヴィなの
かわかんないでしょう。とりあえずこの言葉が意識されるようになったのは先にあげた
METALLICA(またか・・・)が「BLACK
 ALBUM
(本当のタイトルはMETALLICAです)」で打ち出した路線が基本であります。今までスピードを追及していたスラッシュ
メタルバンドであったMETALLICAが重さとグルーヴ感を重視し、このアルバむが全世界で800万枚以上売り上げたことから雨後
の竹の子のごとく似たような方向性のバンドが出てきました。

 #もっとも、当のMETALLICAはさらに大衆化が進んで今ではただのルーズなロックンロールバンドですが・・・

 
PANTERA / OFFICIAL LIVE:100 PROOF

                  

 雨後の竹の子と十把一からげにしてしまいましたが、その中でも”本物”といえるバンドはいくつかいます。METALLICAがヘヴィ
ネスの看板を降ろした今、その旗印を掲げているのはPANTERAであるということは事実でしょう。PANTERAは初期こそごく普通の
HR路線でしたが、ヴォーカルがフィリップ・アンセルモに変わって、所属レコードを移ったことから一気に音楽性を変貌させました。
フィリップ・アンセルモのアンダーグラウンドな音楽性とその強靭な喉によって強暴に生まれ変わったPANTERAは
「COWBOYS FROM
 HELL」「VULGAR DISPLAY OF POWER」「FAR BEYOND DRIVEN」「THE GREAT SOUTHERN TRENDKILL」
と作品を発表し、全米アル
バムチャートで1位を獲得するなどその人気を確固たる物としました。そのPANTERAが満を持して発売したライブアルバム。
 もともと素晴らしいライブバンドである彼ら。彼らが「THE GREAT SOUTHERN TRENDKILL」に伴う100以上の公演の中からベスト演奏
ばかりを集めたのですから素晴らしくないわけがありません。特にダイムバック・ダレルのギターはよくぞここまでバランスの取れた歪みと
重量感を併せ持ちつつ聞きやすい音色を生み出せるな、と思うほど。生生しくかつバンドの魅力がダイレクトにわかる一枚。選曲もベスト。

  
発展
    PANTERA / 「VULGAR DISPLAY OF POWER」

           激しさに同居するギターの繊細なセンスが光るメジャー第2弾。PANTERAの攻撃はこのアルバムから始まった・・・。

 
SLIPKNOT / IOWA

                 

 ロック不毛の地と思われていたアイオワ州デズモントから突然現れた9人の奇怪な病的音楽集団。ギター2人にヴォーカル、ベース、
ドラムの他にパーカッショニストが2人いて、さらにDJとサンプラーもいると言う超大所帯。とりあえずメンバー写真なんぞを

                 

 全員がホラー映画を思わせるマスクをかぶり、統一された上下のつなぎを着てステージを所狭しと暴れまわるライブパフォーマンスで、
1stアルバムをなんと100万枚(!)も売り上げた彼らが3年半のブランクを経て(といっても全世界をツアーにあけくれていたからこんな
にかかってしまったのですが)作り上げた2ndアルバム。
 まず驚かされたのがあまりにも病的なインスト
「515」に続く「PEOLE = SHIT」においてブラストビート(デスメタルバンドが用いる、常軌
を逸したビート)を用いたということです。ヴォーカルも前作に感じられたパンクっぽい要素が薄くなり、ヒステリックでブルータルになりまし
た。これがほんとに100万枚売ったバンドの2ndなのか・・・と呆然とすることしきり。これでわかったことは、彼らは真にメタルを愛し病的な
音楽を世界に広めることが大好きで、売れることなんてこれっぽちも気にしちゃいないということです。その姿勢には感動します。もちろん
作品の質も言わずもがな。2曲目の激烈スラッシュで、そのテンションは
SLAYERを凌駕しているんじゃないかと思うほど。しかも、メンバー
にDJやサンプラーを操る人物がいることから、激しい音楽の中にもレコードのスクラッチノイズやサンプリングされた電子音などが細かくコラ
ージュされていて、並大抵の奥深さじゃありません。病的でかつスタイリッシュ。クゥゥーーーーーーーーーーゥゥル!!

  
発展

    SLIPKNOT / SLIPKNOT

      上にあげた2ndよりもポップな感じで聞きやすい。初めに触れるならこっちの方がいいかも?


SYSTEM OF A DOWN / TOXICITY


       

 アメリカのヘヴィロックグループ3年ぶりの2nd。このバンドの特徴はなんといってもヴォーカルのサージ・タキアン
変幻自在の歌でしょう。

 元々ヘヴィロックという分野では「歌」はあくまでも副次的なものであり、ある程度ガナれればおっけーみたいなとこ
ろがあるので、音楽的には幅の狭いものとなってしまっています。そんな閉塞的な状況を打開するために様々なジャン
ル(ヒップホップやテクノ)といった音楽性を雑多に取り入れて特徴をつけようとやっきになっている類が多いのですが、
この
SYSTEM OF A DOWNは違います。まず初めにサージの歌ありき、そこに付随するかたちで演奏が遂行されます。

(ちなみに、これらの方法論の成功例は
SLIPKNOTMACHINE HEAD、失敗例はINSOLENCECANDILAあたりでしょう)

 
サージは感情の振幅の激しい激情型ヴォーカルでありますが、だからといってKORNSLIPKNOTなどのように内にこ
もるタイプではなく、
あくまでも明るい”躁”なヴォーカルです。しかも1曲の間にヒップホップタイプ・典型的メタル・フレディ
マーキュリー的オペラティックな歌唱など、一転二転三転します。妙に芝居がかった部分などは
元FAITH NO MORE
マイク・パットン(私が最も好きなヴォーカルの一人)を想起させる部分もあります。DOORSっぽさを感じる人もいるかもし
れません。

 さて、3年前の1stではヴォーカル以外も
「ぼくたちちょっとビョーキなんです〜」みたいな感じを押し出してましたが、今
回はそう言ったお遊びの部分はかなり薄くなり、一本芯の通った正統派で攻めております。2ndになって大きく変わった
のは楽器の”止め”の部分が多くなったこととメロディが豊かになったことです。「ヴォーカル+楽器の一斉攻撃 → 停止」
といっためまぐるしいストップ・アンド・ゴーによって独特のグルーヴが生まれています。メロディも他のヘヴィロックバンド
とはケタ違いにフューチャーされてるといえるでしょう。まぁ北欧系の”クサい”メロディとは一線を画す、アメリカ独特のカン
トリー系のメロディではありますが。メンバーがみんな南部のアルメニア・コミュニティ出身なんでそこらへんの要素も強い
かもしれません。
なんとギターソロのある曲まであります!!(最近のアメリカのバンドにゃ珍しい・・・)

 メタル雑誌「BURRN!」の11月号でも「捨て曲なし」と書かれていますが、コンパクトな曲をがんがん繰り出しつつも、それ
ら全てが高クオリティなので一枚を通じて飽きずに聴けます。これは最近のアルバムでは非常に珍しいことです。最近は
どのバンドもアルバムに12〜15曲も入れるので当然クオリティの低い捨て曲も大量に存在してしまうのですが、この
「TOXICITY」に関してはそんなことはありませんでした。安心してオススメできる一枚です。



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