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デスメタル

  なんてたってジャンル名に既にDEATHの文字が入ってるんですよ、いや〜怖いですね恐ろしいですねぇ(笑)。

  さて、皆さんはデスメタルと聴いてどういう印象を持つでしょうか?

    わめき散らすだけのヴォーカル、へたくそな演奏、歌の内容も死体とかばっかり、反キリスト、臭い、汚い・・・

  いくつかは真実です(笑)。デスメタルやってる人達はあまり清潔そうな人は居ませんね・・・・。いやいや、それはともかくと
 して、僕は『へたくそな演奏』だとか思われるのは非常に心外なのです。デスメタルって、実は凄くテクニカルで難しい音楽なの
 ですよ?まず、そこを理解してもらいたいですね。
  少しギターなんかをやってみればわかると思いますが、ギターでリズムを刻むのにデスメタルみたいなスピーディに、しかも正
 確に刻むのって、実は凄く難しいんです。単純にスピードを早くするだけでも恐ろしく熟練を必要とします。つまり、なんにもギター
 を弾いたことない人がいきなりデスメタルを演奏しようったって、できないんですね。やったとしてもへったくそなハーコアパンクにな
 るのが関の山です。

 (注) だからといってハードコアパンクがノーテクでくだらない音楽といっているわけではないです。パンクって音楽性よりアーティ
    チュード(音楽に対する姿勢・想い)ですから。パンクロッカーはその人生にホレるものです。

  彼らは、ちょっとヒネて露悪的なだけで本当は非常に知性的な演奏者であるはずです。デスメタルでよく『死』が符号として用いられ
 るのは逆説的に世界に警告しているんだと思います。デスメタルバンドの人達にインタビューしている記事を読むと、世界情勢に対す
 る怒りとか抑圧された弱者に対する同情といったことをよく口にしています。デスメタルバンドの人達の一部には動物虐殺に反対して
 菜食主義を貫いている人もいるくらいです。

  理性的でなければできないはずの演奏、そして敢えて自分達の"悪"に見せかけるニヒリスト。それがデスメタルバンドの人達の真
 の姿だと思います。まぁ・・・もちろん本当にローテク&ローIQなバンドも少しはいるんですけどね(笑)

  次に、デスメタルを薦めるときにどうしてもネックになってしまうのがあの『デス声』なワケですが、わめき散らすヴォーカルだって、な
 にも歌えないからああやってるワケじゃないんです。速い曲や重っ〜いリズムセクションに対抗するためにはああやって叫ばなければ
 いけないんですよ。普通に歌ったら逆に音楽自体の勢いがスポイルされちゃってつまんなくなっちゃうと思いますね。
  あと、デスメタルではヴォーカルを『楽器の一つ』だと考えてみればいいと思います。非人間的な怒号をインストゥルメントの一部だ
 と思えば、それが実はデスメタルのような激しい音楽にとって、必要不可欠なものであるということが、わかってくると思いますよ。

  そして一度『デス越え』(天城越えじゃないんだから・・・)してしまえば、あなたの前には無限の可能性を秘めた音楽世界が広がる
 はずです。デスメタルは実は最もメタルの中で実験的なアプローチが取られている分野でもあります。例えば、強烈なスピードの中に
 美しいメロディを混ぜたらどうなるのか(メロディアス・デスメタル 通称メロデス)。ケルトやフォークの要素を入れて自己の民族を称えて
 みたらどうなるのか(ヴァイキング・メタル)。スピードを究極までに突き詰めた先になにがあるのか(グラインド・コア)。慟哭の果てには
 なにがあるのか(ゴシックメタル)。ジャズと組み合わさったら?ドラムンベースを組み合わせたら?

  はっきり言ってしまいましょうデスメタルとその先に広がる地平は、現代のプログレッシヴ・ロックそのものです。
 僕がなんでプログレとデスメタルに強く惹かれるのかと言うと、その冒険を恐れぬ実験精神ゆえなのです。形態の凝り固まった音楽に
 も価値はあります。でも、僕はより進歩的な姿勢を大事にする音楽を愛しているのです。だから、デスメタルもより多くの人に聞いて欲し
 いと思うのですよ。

  さて、少しはデスメタルに対する偏見が解けてくれたでしょうか?では次にデスメタル入門を志す人達向けにお話をします。
 昔(90年代初期〜中盤まで)はデスメタル入門への前段階としてスラッシュメタルで慣れておく、ということができたと思います。
 
METALLICA、SLAYER、MEGADEATH、ANTHRAX、EXDUS、TESTAMENT・・・いろいろなスラッシュメタルバンドが音楽シーン
 で大きなムーブメントになっていました。でも、今は・・・METALLICAは普通のロックバンドですし、MEGADEATH、ANTHRAXは昔
 程の売上げを達成することは出来ませんし、EXDUSは過去の遺産で食うだけだし、TESTAMENTは今でも面白いことをやっているもの
 のどうしてもマイナー臭いです。唯一、SLAYERだけはコアな音楽性をキープしながら売上げも全盛期を越えているというバケモノバンド
 ですが。
  おっと話がちょっと逸れました。昔はこういったスラッシュメタルバンドを聞いて、それでもまだコアな音楽を聴きたいという人がデスメタル
 に流入していたのですが、今述べたように現在はスラッシュメタルというジャンル自体が崩壊していますから、ちょうどよくデスメタルにステ
 ップアップしていける音楽っていうのがない、と言えるかもしれません。つまり、空洞化が起きているということです。

  そんな状況の中で、どうやってデスメタルに入っていけばいいのか。今まで普通のメタルを聴いていた人限定ですが・・・。
 そういう人は、メロディアスデスメタルから入りましょう。オススメは
IN FLAMES『WHORACLE』です。彼らはハッキリいって普通のメタル
 にデス声を乗っけたような音楽性ですんで、すんなり入っていけるかと思います。

 #だからといってデスである意味がないわけではない、やはり激しさの中での叙情性の対比がさらなる美を生み出しているから

  あとはもう古典とも言えるかもしれませんが
CARCASS『HEARTWORK』。この2作品を聴いて『ダメだ、こんなの聴けない』という方は、
 もうちょっと修練を積んで(?)また臨むか、もうデスメタルとは一生縁がないと思って諦めましょう(笑)。

  この2作品についてはメロディアスデスメタルのコーナーで詳しく述べているので、まずそちらをどうぞ。メロデスって、昔でいうところのスラッ
 シュメタルみたいな役割を果たしてると思うんですよね。
  やっぱり、音楽って段階を踏んできっちり入っていたほうがいいと思います。僕が思うに世の中の主流になっている音楽であるポップス (僕も
 好きですよ) っていうのは、何の音楽的素養がなくても耳を惹くからこそメジャーなんでしょうね。そんな風に耳を惹くメロディとか音楽性を作れる
 人って言うのも、ある意味尊敬に値するかと。

  さて、このコーナーはいわゆる"古典的な"デスメタルバンドのコーナーです。メロデスよりも聴きづらいバンドが目白押しです。では僕がおすす
 めの作品を紹介していきましょう。引かないで下さいね・・・


CANNIBAL CORPSE / TOMB OF THE MUTILATED

        

  いきなり衝撃的なジャケットで申し訳ない(確信犯ですが)。彼らこそデスメタルの中のデスメタルと言えるでしょう!なにしろバンド名自体
 『食人死体』って意味ですからね。音もいい感じでグチョグチョしててジャケットそのままです。ただし、よく聴けばわかりますが、ベーシストな
 んかは恐ろしくテクニカルですけど。

  音楽性ひとことで言えば『より発狂したSLAYER』です。ギターソロなんかには非常に素直にSLAYERに対する敬愛が見て取れます。
 彼らの独自な部分といえば、なんといっても
クリス・バーンズのヴォーカルでしょう。彼は"ほんとにアンタ人間か?"というような非常に低く
 ディープな声をしていて、まさにピュア・デスメタルの理想形と言えるものです。まぁ、それがかえって彼らをとっつきづらくしてるんですけどね。
 非人間的な怒号と激しいリズムチェンジに彩られた朱の飛沫溢れる音楽、それがCANNIBAL CORPSEです。

  しまった!これを一番最初に紹介しちゃったらダメじゃん。めっちゃコアだよ・・・(汗)


VADER / DE PROFUNDIS

        


  これを最初に紹介すればいいんですな(笑)。彼らはメタル不毛の地と思われたポーランドからいきなり現れたデスメタルバンド。
 とにかくドラムの
ドクの技術に舌を巻きます。彼は普通に速く叩けるだけじゃなく、聞き手をスウィングするようなジャズのモードを駆使した
 テクニカルな演奏を得意とします。そういったテクを隠し味として入れていますが、全体としては正統派のデスメタル。やっぱりSLAYERの
 影響を強く感じさせますね。ヴォーカルは軽くディストーションがかかっていますが非常にクリアで聴きやすいです。音造りも非常にクリアで
 すね。初心者にオススメです。


OBITUARY / DEAD

        

  バンド名からしてなんとなくグチャーっとした語感を持ってますね(笑)。なんてったてオビチュアリーですよ。
 まぁそんなことは置いとくとして、彼らはCANNIBAL CORPSEと同時期に活動を始めたフロリダの老舗デスメタルバンドです。
 これはそんな彼らの初のライブアルバム。ライブなのに"デッド"とはこれやいかに(笑)。

  彼らはアルバムだといつも音が奥に引っ込んでる感じがあって、僕もあまりいい印象がなかったのですが、このライブアルバム
 を聴いて、『うわ、こいつらこんなにいい曲書いてたんだ!』と思いました。ライブだけに音のヌケがよくなってて曲の根幹がよくわかるように
 なってます。昔から『OBITUARYはライブバンドだ』といわれていたんですが、その理由がよくわかりました。

  音楽性の面でいうと、彼らはデスメタルバンドの中ではより"ロックンロール"しているように感じます。メタルっていうよりはロックロール
 なんですね。バンド名のグチャグチャ感とは裏腹に健康的に疾走するデスメタルです。ドラムなんかも結構テクニカルで、叩きまくるってより
 はスパスパと軽やかな感じがして、そこらへんが他のデスメタルバンドと違います。

  ヴォーカルのジョン・ターディの声は無理に機械でディストーションを掛けて作ったようなデス声ではなく、地声を活かした生々しい叫びです。
 そうですね〜イメージでいうと、『血溜まりに転がりながら唸っている』みたいな?・・・まぁ聴けばわかるでしょうそんな感じですよ。


CRYPTOCY / WHISPER SUPREMACY

        

  デスメタルで技術を追求しつづけるとこうなる・・・。プレイヤー全員が超人的な演奏技術を誇ります。彼らの演奏技術向上のために音楽に
 励む姿勢は、ロック・プレイヤーというよりは"芸術家・修行僧"に近いものがあります。

  どこを聞いても演奏は超人的、特にドラムの
フロ・モーニエなんかは「あなた、実は足3本あったりしません?」ってくらい叩きまくってたり。
 ギターも異常なスピードの中で無駄に(オイ)リズムチェンジしまくってて、それでいて破綻しないで曲が成り立ってるから恐ろしいです。しかも、
 ライブでこれを完全に再現するんだから・・・。

  音的には普通のデスメタルよりもさらにスピードにこだわった"グラインドコア"と言われるものです。でも彼らは演奏技術に余裕があるためか、
 他のグラインドコアバンドよりもメロディを重視している節があります。人間の限界近いスピードの中でもメロディを入れる余裕があるくらい技術が
 あるってことですな。音が整理されすぎてて好きじゃないって人もいますが、上質な作品であることは間違いないでしょう。


TERRORIZER / WORLD DOWNFALL

        

  これぞデスメタルの始祖、古典です。彼らはこの1枚で解散しますが、後に
MOBID ANGELNAPALM DEATHという有名なデスメタル
 バンドに分かれることになります。今のデスメタルに用いられている符号のほとんどは、このアルバムで既に完成されていました。音造りこそ
 まだ軽い感じがして、今のデスメタルに慣れた人には物足りないかもしれませんが、素晴らしいリフをいくつもこの作品で生み出しています。
 特に
"Fear Of Napalm"は不朽の名曲。


BRUTAL TRUTH / SOUNDS OF ANIMAL KINGDOM

        

  スピードに魅せられた男達の見た極北・・・それが
BRUTAL TRUTH。その飽くなき姿勢には神々しささえ感じます。
 超人的なスピードナンバーとハイテンションなヴォーカル。そして自然の音を巧みに取り入れ、それをもノイズとして扱い作り上げた驚嘆の音
 世界・・・。とにかく74分間ノイズ、ノイズ、ノイズ!!まともな神経の人にはゴミにしか聞こえないかもしれませんが、段階を踏んでここまでた
 どり着いた人には必ずこの作品の偉大さがわかるはず。僕はこのアルバムをリピートで掛けて聴いてる途中に寝てしまって上の階の住人に
 怒られました(笑)。ノイズも好きになれば子守唄にもなる、ってか。


他にもSUFFOCATIONとかDECIDEとかNAPALM DEATH、ANGEL CORPSE、MOBID ANGEL、DERANGED、DEATH・・・いいバンド多すぎですよ。
デスメタルって。




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