
プログレッシヴ・ロック
プログレッシヴ・ロックとはどういう音楽形態を指すのでしょう。"進歩的"という言葉を内包しているこのジャ
ンルは、その名前のせいで損している部分があるように思います。
ジャズとロックの融合であるSOFT MACHINEやPFMやARTI + MESTIELIのようなものもあれば、クラシックと
ロックの融合であるENIDやRENAISANCEのようなものもあります。現代のテクノの源流とも言えるようなNEU!や
KRAFTWERKもいれば、HAWKWONDやAMON DULLのようなドロドロのサイケもあります。
ジャンルとしてのプログレッシヴ・ロックの括りで表わされる音楽は異常なほどに広くて、ARTI
+ MESTIELIはプ
ログレに分類されるけど、演奏を見てみれば"ジャズ・ロック"だし、KRAFTWERKは"テクノポップ"。ENIDやRENAI
-SANCEは"シンフォニック・ロック"でしょうか。
現代に与えた影響を考えるならば"すべての音楽がプログレ"なんていう肥大した論理に飛躍し兼ねません。
#"すべての音楽がプログレ"って考え方もあながち間違いではないと思います。音楽のジャンル分けなんて
"音楽性を説明する時にいくつかの手順を省くことが出来る共通言語"でしかないですから。本当は僕は音楽
のジャンル分けって死ぬほどキライなんですよね・・・。でも、ジャンル分けしないと説明できないのも事実なん
で、仕方なく使いつづけていますが。
音楽としてコレと言えるような形態はなく、強いて言えば"1960年代後半から1970年代後半まで欧州を中心に
起こった新しい音楽創造の意志を持ったバンド群とそれによって引き起こされたムーブメント"なんじゃないか、と
いうのが僕の考えです。プログレってのはジャンル名であると同時に"時代"だったんじゃないかなぁ、なんて思っ
たりするんですな。
そう考えれば80年代90年代にデビューしたバンドでもプログレの枠に入ってる連中(MARILLIONとかIT BITES
とか・・・)説明もつきます。MARILLIONとIT
BITESはENIDやRENAISANCEの音楽性を引き継いだ"シンフォニック・
ロック"ですね。プログレッシヴロックはその時代や精神を指す言葉だという定義付けをするならば、個々のバンド
達にはもっと細かい、音楽性に即したジャンルが命名され(例えば”ジャズ・ロック””テクノポップ””サイケデリック
・ロック”)、それらの上にプログレッシヴ・ロックという大きな括りがあるわけですね。
#あ〜もう、なんで簡単な説明ができないんだ!!だからプログレって難しいイメージがあって損してるんだよなぁ。
僕はプログレッシヴロックの括りの中でもサイケデリックロックとジャーマン・エレクトリックが好きなので
その2つの分野に関しては別に項目を作りました。ここで紹介しているバンドは"ジャズ・ロック"系に分類できそうな
ものが多いですが、みんな個性的過ぎてバンド自体がジャンルみたいな連中ですね(笑)。MAGMAなんてまさに唯
一無二の音楽性ですし・・・。
PINK FLOYD / DARKSIDE OF THE MOON

PINK FLOYDはプログレッシヴ・ロックで最も有名なバンドのひとつですが、これほど音楽性を説明しようとすると難しい
バンドもいないでしょう。彼らって別に演奏が技巧的ってわけでもないし、ポップだし馬鹿馬鹿しいくらいにわかり易いとさ
え言えるでしょう。ではなんで彼らがプログレシッヴロックの中でも最も輝きを放つバンドとなっているのか、バンド結成の
頃から順を追って説明する必要があるでしょう。
PINK FLOYDは64年にロンドンの建築学校の学生であったロジャー・ウォータース、ニック・メイスン、リチャード・ライトの
3人がバンド結成を思い立ったことから始まる。SIGMA6と名づけられたそのバンドはTEA SET、MEGADEATHなどと名を
変えながら65年にはキャンバーウェルのアートスクールの学生シド・バレットが加入し、PINK FLOYDと名前を変える。ちな
みにバンド名はシドが飼っていた猫の名前から取ったらしい(諸説あり)。
元々、狂気と正気の狭間をさまよう繊細な芸術家であったシドが作曲やコンセプトメイクの中心となり、67年に1stアル
バム『夜明けの口笛吹き』でデビューする。しかし、この頃からシドが精神のバランスを崩しバンドに居られなくなったた
め、シドの古い友人であるJORKERS WILDのデイヴ・ギルモアを新しいギタリストとして加入させ、バンドを続ける道を選
んだ。
68年には2nd『神秘』を発表。この頃からライトショーと音楽を複合した独自の分野で人気を集める。そう、PINK
FLOYD
はそのエクスペリメンタルなライブ・パフォーマンスで人気を確立したバンドなのだ。彼らはKING CRIMSONやMAGMA程
の音楽的個性がないかわりに、"音色の魔術師"とも言うべき遠近感鋭いサウンドと、そのサウンドに合せたライト・アッ
プというビジュアルイメージが、聞き手に"音を聞いて映像を思い起こさせる"レベルにあることが素晴らしいのである。
69年にはミケランジェロ・アントニオーニの『砂丘』という映画のサントラも担当(作品名『MORE』)。映像に合せた音を作
るフロイド・サウンドは映画の分野で大きく活躍し、72年にも『雲の影』を制作している。
70年にはオーケストラと共演したシンフォニック・ロックの金字塔『原始心母』をリリース。こういったジャンルにこだわらな
い変幻自在の音楽性も、PINK FLOYDを説明するのを難しくさせている。
71年には名曲"Echoes"を含んだ『おせっかい』をリリース。こちらはエフェクトを多用した複合的な音色のロックで、聞き
手を白昼夢のような感覚を与えてくれる。
そして、この『THE DARK SIDE THE MOON』が発表されたのが73年。『原始心母』でオーケストレーションを駆使した荘
厳な音楽を追求し、『おせっかい』ではバンドサウンドで広がりのある空間を作り出したPINK
FLOYDは、それらをすべて総
括するような作品を作り上げた。
ふう、なんとか『THE DARKSIDE OF THE MOON』までの彼らの軌跡はわかっていただけたでしょうか?(長すぎ)
このHPのタイトルはもちろんこの作品の文字りです。名実ともに世界一のプログレッシヴバンドであるPINK
FLOYD
の作り上げたコンセプト・アルバムの金字塔。1曲1曲を抽出しても素晴らしいのに、アルバムトータルとして聞き返し
ても全体のコンセプトと音が完璧に一致しているという奇跡のような完成度を誇る作品です。73年3月に発売され、ア
メリカのビルボードランキングトップ200に88年に圏外に去るまで724週間も居座りつづけたという・・・。なんでも、アナ
ログが擦り切れる程聞きまくった人がまた買い直して売上げが伸びていたっていう話もあるくらい。
作品のテーマは『日常生活における狂気』。これはもちろん決別したシド・バレットを意識してのことでありましょう。
そういったトータル・コンセプト的な部分を前面に出してはいますが、音楽性は非常にわかりやすく親しみやすいもので
す。R&Bやロック、そしてかすかに感じられるジャズ風味。そして誰の心にも響く歌詞と"歌"。
プログレといっても演奏はシンプルでわかり易いです。"マネー"なんかは7拍子という変拍子を使ってますが、演奏と曲
展開にまったく無理がないので自然に聞けてしまいます。こういったちょっと難しいことを簡単に聞かせてしまうところがフ
ロイドの凄いところで、それが今でも売れつづけている理由なんでしょうね。ちなみに"マネー"の最初に鳴っているレジス
ターの音のSEがそのままリズム・トラックにつながるというトリックを使っています。73年という時代を考えると、サンプリン
グという感覚をもう既に取り入れていたフロイドの先鋭性には驚かされるばかりです。ちなみに、そのレジスターの音はマ
ルチ・トラックのテープを輪っかにして再生する(そうすると延々リピートされるから)という手法を取っています。
この作品よりももっと壮大なテーマを扱った『ザ・ウォール』という作品もフロイドは79年に作っていますが、この『THE
DAR
-KSIDE OF THE MOON』はあらゆる聞き手にほぼ均一のイメージを与えるという恐るべき作品です。
たぶん、このHPを読んでる人って20代の人が多いはず(・・・だと思うんだけど)ですが、親御さんに聞いてみて下さい
な。まぁ洋楽に興味があった人なら知ってるはずですから。この作品は僕みたいなちょっと変わった音楽嗜好を持った人
だけじゃなく万人にオススメできる作品ですね。
まぁ、せっかく前半で詳しくPINK FLOYDの歴史をつづってしまったので、残りもいっときましょうか。
『DARKSIDE〜』発表後、『炎』『アニマルズ』『ザ・ウォール』と発表しつづけるが、『ザ・ウォール』で、ベースのロジャー・
ウォータースがあまりに自己中心的なコンセプトを押し進めたために、バンド内で軋轢が起こる。と、いうのも『ザ・ウォール』
は"人と人の間に築かれる壁"をテーマにしたものであり、それはロジャーの自叙伝であったからである。
『ザ・ウォール』のコンセプトをロジャーがおもいつく元となったのは、あまりにもビッグに成りすぎた自分達と観客との距離
感であるといわれている。スポットライトを浴びているのに感じる孤立感。それは彼の少年時代からの人生そのものだったの
だ。
#その距離感を強く感じるきっかけになったのは、ライブ中に興奮した観客が網を登ろうとしたので、それをロジャーがたしな
めようとしたが観客は聞かず、ロジャーが唾を吐きかけた・・・という事件であることは有名。
彼は『ザ・ウォール』発表後のツアーで、今までにないライブ・パフォーマンスを計画する。それはステージで演奏中に、自
分達と観客の間に実際に壁を作ってしまい、途中から彼らは壁の後ろで演奏しているというものだった。そして、ステージの
最後にその壁を破壊するという・・・。
#爆破したのはベルリンの壁でやったときでしたね。混同してました>おおたいさおさん指摘感謝
##壁の後ろで本人は演奏していなかったんじゃないか、という話について。一応本人達が否定しているのでノーコメント。
僕も演奏してなくてもわかんねーよな・・・とは思います(汗)。昔ドリアン助川がやってた『金髪先生』でも演奏してなか
ったらしいって言ってましたなぁ。"演奏してない日もあった""最初っから確信犯的に演奏しなかった"(コンセプトとの兼
ね合い)ってのもあり得ますね。ノーコメントとか言いつついっぱい書いてるじゃん。
#もちろん、壁はダンボールを加工したものです。演奏されている曲に合せたアニメーション映像を壁に投影したり、『ザ・ウォ
ール』随一の名ギターソロを聞かせる"Comfortably
Numb"では壁の後ろで弾いているはずのデイヴが、壁の後ろから照らさ
れる照明の効果であたかも壁の上に立って演奏しているかのように見せるなど、フロイドらしい芸術性溢れるエンターテイメ
ントショウでした。
このツアーは集客面では大成功であったが、あまりにも費用が掛かったために大赤字だったらしい(荷物が重すぎたらしい^^;;)。
でも、こんな馬鹿馬鹿しくも壮大なエンターテイメントをやったバンドは世界広しと言えど、PINK
FLOYDしかいない。
ロジャーは、『ザ・ウォール』のツアー後、結成当初のメンバーであるキーボードのリック・ライトは脱退する。他のメンバーも各
々ソロアルバムを作り、PINK FLOYDというバンドに執着していたのはロジャー一人になった。
#デイヴとニックはPINK FLOYDというバンドが生み出す金には興味があったようだが・・・。
ロジャーは『ザ・ウォール』の方向性をさらに押し進めた(つまり、彼の完全な私小説的なコンセプトであった)『ザ・ファイナル・カット』
を作る。このときにロジャーは残り2人を完全に手下のミュージシャン扱いし(まぁ2人もアルバム制作に興味なかったようですけど)、人
間関係の崩壊は決定的となった。ロジャーはフロイドを"封印"させます。
しかし、87年にロジャーを抜きにしたデイヴ・ギルモア、ニック・メイスン、リチャード・ライトの3人が集まり、PINK
FLOYDの封印を勝手に開
いてしまいます。87年に『鬱』を発表(リチャード・ライトはゲスト扱い)。コンセプトが肥大しすぎた『ザ・ファイナル・カット』までの音楽性から、
バンド結成当初の音楽とビジュアルの融合へとベクトルを戻した。デイヴ・ギルモアのブルースを基調としたドラマティックなギターを中心に
して、花火やライト・アップを駆使した派手なパフォーマンス重視したライブで全盛期以上の人気を博し、94年には『対』を制作。今度はリチ
ャード・ライトもバンドに復帰しました。その時のツアー94年のロンドン・エールズコートでのライブを収めた『P・U・L・S・E』という映像作品
があり、そこでは『THE DARKSIDE
OF THE MOON』の完全再現も行っているので、これも必見である。
#反省・・・?
アルバム名が邦題中心なのは長いタイトルを書くのがメンドイからだったり。『THE
DARKSIDE OF THE MOON』は自分のHPの名前との
絡みで英名に。邦題は『狂気』です。あ〜、あと『ウマグマ』が抜けてますね。『モア』と『原子心母』の間に出たライブ盤(Disk1)とメンバーの
ソロ曲を1曲ずつ収録したDisk2に分かれた作品です。
・・・できるだけ短く説明したかったんだけど、35年以上歴史があるから
無理ってものか。まぁ調べる気になればフロイドは資料がいっぱい
あるから書かなくてもいいかな〜と、オイシイ部分だけ書いて興味だけを掻きたてようと思ったのですが。『壁』なんてプログレのこ難しいイメ
ージを破壊するようなアホな話ですしね。初めの方のバンド結成のあたりを細かく書いたので途中までそれにひっぱられてしまったんでしょう。
『炎』と『アニマルズ』あたりと最近のフロイドの話を書いてないあたりは手抜きしてるのがバレバレですが(汗)、コレに懲りてクリムゾンは1st
だけしか説明しないから短いぞ(笑)
KING CRIMSON / IN THE COURT OF THE CRIMSON
KING

最初はジャズとロックを融合させた典型的なプログレッシヴ・スタイルを求めた正統的バンドであったKING
CRIMSON。彼らは現在
でもジャズ・ロックとしてのプログレッシヴ・ロックの枠をはみ出し、さらに自己進化を続けています。30年という時間を常に進化に充
てている真のプログレッシヴ(進歩的なという意味で!)モンスター、それがKING
CRIMSON。
彼らの諸作の中で敬意を払うべき作品。「太陽と戦慄」、初期の最期を飾る「RED」。新時代の幕開け「DICIPLINE」、6人編成のW.ト
リオというまったく新しい発想で作られた「THRAK」。・・・しかし、その中でもこの1stは特別です。
クラシック・ギターからジャズ・ロックへと興味を移したので、実はブルースは全く弾けないギタリストであるロバート・フリップ、以前からロ
バートと一緒にバンドで演奏していたマイケル・ジャイルス、ヘヴィなロックバンドGODSにいたグレッグ・レイク(彼はロバートと一緒のギタ
ーの先生について勉強していた友人。KING
CRISONではベースとヴォーカルを担当)、そしてサイケデリックな世界観を内包していたキー
ボード&フルートのイアン・マクドナルド、美しいコンセプトメーカーである詩人ピート・シンフィールド・・・それぞれまったく違った音楽性を
持っていた5人がお互いの音楽性を擦り合さず個性をぶつけあった末に偶然、化学反応的にできてしまった歴史的名盤。1969年発表。
まず、1曲目の"21st century schzoid
man"に驚かされます。これがホントに69年の音なのか!と思うはずです。この曲には74年SEX
PISTLESが作り上げるはずのパンクの要素さえ見うけられますし、ノイズ、ジャズ、そして・・・ロックンロールです。2001年に車のCMでこ
の曲が使われてましたが、やっぱり凄いインパクトだった。
かと、思えば2曲目の"風に語りて"はフルートを駆使した牧歌的で美しい曲。3曲目の"エピタフ"はメロトロンという旧式のシンセサイザー
のもの悲しい響きを巧みに使った絶望のバラード。ピート・シンフィールドによる「混乱こそ我が墓銘碑(Confusion
Would Be My Epitaph)」
という歌詞こそこのバンドを象徴する言葉といえますし、4曲目の"Moonchild"は音の隙間を利用して寂寥感を植えつけるインスト、そしてこ
のアルバムの最期は"IN THE COURT OF
THE CRIMSON KING"という荘厳極まりない組曲。40分一瞬たりとも気の抜けぬ名盤中の名
盤なんでつべこべ言わず聞きましょう(笑)。
最終曲には"操り人形の踊り"という曲が含まれているのですが、バンドの影の操り人形師はイアン・マクドナルドでした・・・。彼がこの作品
を最期に脱退したことで、1stアルバムで見られた今にも壊れそうだった力関係は早くも崩壊しました。2nd『ポセイドンのめざめ』がリリースさ
れますが、1stと同じ音楽性を維持しながら同じレベルを維持できなかったのは、イアンが脱退してしまったから、というのは良く言われることで
す。そこからKING CRIMSONは迷走&進化という永遠のメビウスの輪に組み込まれていくのです。結局はそれでよかったんですけどね。もしも
イアンが脱退してなかったら同じような音楽性のアルバムの名盤はいくつか生まれたでしょうが。
ARTI + MESTIELI / Giro di valzer per
domani

イタリアの"芸術家と職人"(ARTI と MESTIELIでなんとなくわかるでしょ)が75年に発表した2ndアルバム。
とにかく全員がテクニシャンですが、特筆すべきはドラムスのフリオ・キリコでしょう。彼の足さばきの細かさ・速さ・正確さは世界
トップクラスです(まぁ手も早いですけど)。この作品が出た当初、あまりの速さに「テープの早回しをしてるんじゃないのか?」とい
う噂も立った程らしいです。1stアルバムでも十分人間離れしていましたが、この2ndの演奏に至っては・・・。
バンドはヴァイオリンやサックスも含んだ7人編成(2ndから専任のヴォーカルが入りました。1stは6人編成)と大所帯で、ジャズ・
フュージョン系の音楽性です。しかし、普通に上手いジャズ・フュージョンだったらここまでARTIがプログレ史上に名を残すバンドに
はならなかったでしょう。彼らのメロディは計算し尽くされた精緻なものですが、それが冷たく聞こえないのは、イタリア独特のメロディ
があるからです。イタリアのバンドは土地柄、カンツォーネの雰囲気もあっておおらかで美しい陽気なメロディを持っていることが多い
ですが、ARTIに限って言えばそれが幾分都会的に聞こえる部分もあるので、イタリア風というイメージを保持しつつも彼らならでは、
といった個性的を発散しています。
この作品を最後に作曲面で中心的な役割を果たしていたギターのジジ・ヴェヴェゴーニが脱退してしまい、3作目からは以前のよ
うな緊張感がなくなってしまい、85年の『CHILDREN’S BLUES』を最後に解散しました。
しかし2000年、彼らはなんと復活してくれちゃいました。もちろんジジ・ヴェヴェゴーニ込みの全盛期の編成で。アルバム『MURALES』
をリリースして精力的にツアーをしています。もしかしたら日本にも来るかもしれませんね!
MAGMA / LIVE

伝説的なジャズ・サックス奏者ジョン・コルトレーンに影響を受けたドラマー、クリスチャン・ヴァンデは1969年に天から
の啓示を受け(?)、その啓示を実践するためにマグマを結成します。初期のマグマはクリスチャンが学生時代に創作した
言語コバイア語で歌われているものの、音楽的にはジャズ・ロックの域を出ないものでした。
しかし、72年クリスチャンが「THEUSZ HAMTAAHK(トゥーザ・ムターク)3部作」を天から受信(笑・・・だって本当に本人が
そう言ってるし)すると、音楽性は急変します。まず女声コーラス陣を導入し、オペラティックな男性ヴォーカルのクラウス・ブ
ラスキスとともに妖しげなコバイア語コーラス・セクションを作り上げます。さらに、驚異の地鳴りベースを響かせる謎のベー
シスト、ヤニック・トップが加入。ここに唯一無二のマグマ・ミュージックが完成します。
#ゼンゼン関係ない話ですが、ヤニック・トップはSLAYERのケリー・キングに見た目がソックリだ。
さて、彼らの音楽を一言で表現するなら『煮えたぎるマグマの上で発狂した交響楽団が楽器を叩きつけている』ような音楽
って感じでしょうか(笑)。。クラシックの格調高さ、ジャズの演奏力、そして驚異のテンションと暴走したイメージの融合。曲の構
成はジャズ。曲の長さはクラシック並(大作になると1曲60分なんてザラです)で、ヴォーカルは男女コーラスでオペラ的。それ
を燃え滾るロックの情熱でギラギラと叩きつける、究極のハイテンション音楽です。こいつらを大音量で聞いてたら絶対にまわ
りの人は引きます(笑)。
さて、今作はヤニック・トップが脱退した穴をやっぱり狂気のベーシストベルナール・パガノッティと、ヴァイオリンを憎んでい
るヴァイオリニストディディエ・ロックウッドの加入によりさらに進化させた究極の状態になったマグマを写し取った、1975年の
ライブの模様を収めたアルバム。
重い地鳴りを響かせるベルナール・パガノッティとアルティ・エ・メルティエリのドラマー、フリオ・キリコに勝るとも劣らない、
細かいパッセージを含んだマグマのようなクリスチャン・ヴァンデの激情ドラムス。
#フリオ・キリコのドラムと比べるとあきらかにクリスチャンの方が生音がデカそう(笑)
この2つが核となり、そこに混声コーラス、ヴァイオリン、ギター、ピアノが絡む。「KOHNTARKOSZ PART I、PART II(コンタルコス)」
、人類の自殺を歌った「MEKANIK DESTRUKTIW
KOMMANDOW(メカニック・デストラクティヴ・コマンドー)」のラストをさらに抽出
した「MEKANIK ZEIN(メカニック・ゼイン)」いう、マグマの誇る超名曲が2曲収録されており、この大曲がクライマックスに到達する
瞬間の演奏テンションは、全てを超越している・・・と思います。
80年代に入ってクリスチャンがドラマーとしてではなくヴォーカリストとしての自分を突き詰めるためにOFFERINGというバンド
を結成して、MAGMAはイベントごとにたまに再編されるだけの存在になっていました。
#同時にクリスチャン・バンデ・トリオとして自らのドラムテクニックを極限までに高めることもしていました。
しかし、90年代に入りマグマを肌で感じたことのない世代がマグマの曲を演奏しているのを見て、若者にマグマを見せることに
また意味を見出したクリスチャンは、ついにマグマを完全復活させます。クリスチャンと実妹ステラ・ヴァンダー(ソプラノ・ヴォイ
ス担当)以外のメンバーを全員若者で編成された新生マグマは、R&B色を取り入れムード重視に変化してしまっていた70年代
後期〜80年代のマグマではなく、全盛期の熱情マグマでなのでした。この編成で2度の来日も果たしています。
うわ、めっちゃ普通のチョイスだよ・・・。自分って本当に根っからのプログレ好きなんだなぁと思うことしきり。
色々聴いてきてやっぱり基本の作品が素晴らしいってことがわかったんですかね。
あと、僕がよく聴いているのは
MIKE OLDFIELD 『EXPOSE』
CURVED AIR 『LIVE』
ANEKDOTEN 『NUCLEUS』
KANSAS 『LEFTOVERTURE』
RENAISANCE 『TURN OF THE CARDS』
INDIAN SUMMER 『INDIAN SUMMER』
KRAAN 『WIEDERHOREN』
GONG 『GAZEUSE!』
COLOSSEUM II 『STRANCE NEW FRESH』
TEMPEST 『TEMPEST』
CAMEL 『NEVER LET GO』
あたりですね。これもみんな名盤ですよ。KRAANとGONGは後々別に項目を作って紹介したいバンドです。