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【Wizぽん】Ro萌えスレ in LiveRo【騎士子たん】 の分岐A-1 ハッピーエンドの後日談
アルベルタの港町。 イズルードを経由して首都へとフェイヨン特産の果実やら矢、建築材などを送る貿易都市 として存在し、商人ギルドも設立された商業の中心地である。 南北へと伸びるメインストリートには露店が建ち並び、活気の良い呼び込み文句がいつも 飛び交っている。特に週に一度開かれる「蚤の市」は名物だ。大陸中からビジネスチャンス をもとめて人が集まってきて、首都顔負けの混雑にみまわれる。 「うわーすごい人だね!」 おさげのノビ。大きい町ははじめてなのだろうか、人垣に圧倒され目を白黒させている。 「それだけいっぱい物も集まるってことさ。はぐれない様にお父さんにちゃんとついて来るんだぞ」 娘の手を握ると、壮年のWIZは人を掻き分け、露店街へと歩き始めた。 明日はクリスマスイブ。妻と息子と娘にそれぞれプレゼントを探そうとルティエからはるばる蚤の 市まで出かけてきた。妻は息子と2人で剣士の転職試験に向けて猛特訓中なので、娘の世話を かねて久々の遠出である。 「さて、息子にはそろそろバスターソードかな・・・妻は欲しがっていたケインは却下して大リボン あたりを・・・」 「よっ!そこのWIZの旦那!今流行のトンガリ帽子が安いよ!みてって損はないよ!」 威勢のいい掛け声にたちまち捕まってしまう親子。
「お父さん人気者だねっ!」 年にしては頭の回転の速い娘の「皮肉」に苦笑する。 そのとき 「皆様!本日の目玉!蚤の市じゃなきゃお目にかかれないこの商品!マジェスティックゴート競売開 始だよっ!」 メインステージでの目玉商品オークションの宣伝文句がスピーカーから流れてきた。 「おいっ!マジェだってよ!」 「いこうぜ!」 周囲の人がいっきにメインステージへと向かう。その人の流れは激しく、親子は身動き取れなくなって いた。 「ちゃんとつかまってろよ!」 必死で我が子の腕を手繰り寄せるWIZ。 数分後 人の流れが去った後、一息ついて自分の掴んでいる我が子を確認しようとして彼は絶句した。 「おやまぁ。お若いの激しいですな」 顔を赤らめながら返答してきたのはりんご売りの老女だった。
「お父さん大丈夫かな〜?迷子になってないかな〜?」 メインステージ近くの緑地でノビ子は競売の様子を見ながら一人ごちた。 メインステージの競売に向かう人の流れにさらわれたフリをして、一人で散策しようとここまできたは いいが、急にお父さんが心配になってきたのだ。 「ちょっと頼りないとこあるからなぁ」 父が老女に連れ込まれそうになってるなど知るよしもない。 草をちぎってはまき、ちぎってはまきしていると、急に話し掛けられた。 「お譲ちゃんお父さんとはぐれたのかい?」 見るとそこには、ヒゲ・サンタ帽・スピングラスのブラックスミスのおじさんが立っている。 やや警戒しながら 「ん。お父さんがはぐれたの」 と返答したが、いつでも逃げ出せるよう、自然な形で立ち上がる。 「はは。お父さんがはぐれたのかぁ。そうだ!お譲ちゃん、おじさんがお父さん探すの手伝ってあげよ うか?」 人の良い笑顔でBSのおじさん。 「ええ?なんかおじさん怪しいし、自分で探すよ〜」 「まぁそんなこと言わずに、おじさんは怪しくないよ。第一君の背じゃ探しづらいだろう?」 「ん〜」 それはそうだけど・・・・となんとかいい切り返しを考える。 「キャンディもあるよ?」 「いく!」 それがサンタBSさんとのクリスマスの冒険のはじまりだった。
「おじさん、このキャンディ美味しいよ!」 がたんごとんと引かれるカートの上にちょこんと座り、振動でおさげを上下させているノビ子。 「そかそか。夏ならアイスもあるんだけどな」 懐から透明な布を取り出し、スティックキャンディでべたべたになったノビ子の口元をごしごしと拭くBSのおじさん。 最初はとってもぁゃιぃと思ったけど、このおじさんちょっといいひとみたい。 わざとらしい程の怪しさを醸し出しているスピングラスの奥から覗く瞳は、 優しい両親や時々お土産を持って尋ねてくれるアサシンのおじさん達と同じく、 とても優しい色をしていた。 カートからずり落ちかけたノビ子の体をもう一度カートの上に据え直し、 BSのおじさんはまたカートをゴトゴトと引き始めた。 「お嬢ちゃんのお父さんはどんな人なのかな?」 「えっとね、えっとね」 目をきらきらさせるノビ子。 「普段ぼーっとしててね、とっても気が弱いし、力も無いし、ゆうじゅうふだん?ってやつだし…」 カートを引く背中から、BSのおじさんが小さく笑った気配がした。 「でもね、いざという時にはちゃんと私たちを守ってくれるの! それにとっても優しいんだよ!」 とても自慢そうなノビ子の顔にBSのおじさんはにっこり笑うと、ノビ子の頭をくりくりと撫でた。 「とってもいいお父さんなんだね」 「うん!」 「じゃあ早くお父さんを見つけなきゃな。お父さん心配で倒れそうになってるぞ、きっと」 「うん、早く見つけなきゃ。お父さん頼り無いから」 「いえ、だからですね、…僕は…うわぁ!」 一方その頃。 奇しくもノビ子の心配通り、老女に押し倒されそうになっている頼り無い父であった。
「おじさんおじさん! あれなぁに? とってもキラキラしてる!」 カートに揺られながら興奮に頬を紅潮させて指差すノビ子。 「ああ、あれは星の砂っていうんだよ」 「きれーい!あんなの家では見たこと無いの!」  年中クリスマスの様相があるルティエで育った彼女だが、南の町での活気あるクリスマスの雰囲気は正にカルチャーショックと言ってもいい。 更に普段乗る機会の無いカートの上から見る光景は、幼い少女の心を非現実のわくわくする世界へ誘うに十分で。 ノビ子の他愛の無い問いにもBSのおじさんは丁寧に答えてくれた。 これならもうしばらくお父さんが見つからなくてもいいな…。 そんな罰当たりな事を考えるノビ子だった。 しばらく町を散策すると、怒号と歓声が聞こえた。 どうやらよく見ると、喧嘩を群集が取り囲んではやし立てているらしい。 騒ぎに巻き込まれないよう、その場を離れようとするBSのおじさんを尻目に、 ノビ子はひょいとカートを飛び降りた。 「おじさん!何か騒いでるよ!けんかなら止めなきゃ!」 言うが早いか、騒ぎの中心に向かって駆け出すノビ子。 「あ、こら!! 危ないから戻ってきなさい!!」 捕まえようとしたおじさんの腕を掻い潜り、あっという間に小さい体は騒ぎの渦の中に紛れてしまった。 BSのおじさんは舌打ちを一つすると、カートを道端に放り出しノビ子の後を追い走り出した。
「もういっぺん言ってみろ!このクソガキ!!」 「うるさい!!お前なんか騎士じゃない!!」 野卑な男の怒声と少年の返す若い声が、無責任な観衆の野次に混じって町に響く。 ノビ子が観衆の足元を潜って最前にたどり着くと、 ノビ子よりやや年上の剣士らしき少年が地面にうずくまっている姿と、 その前に立ちはだかる騎士と言うには崩れた武装をした男が目に飛び込んできた。 「騎士ってのは弱い人を守るもんなんだ!! どんなに強くたってお前等みたいに無駄に剣を振りかざすのは、只のごろつきだ!!」 「てめえ…言わせておけば!!」 「ぐっ…!!」 騎士が固いブーツで少年の鳩尾を蹴り上げる。 少年の口元から赤い血が飛び散るのを見たノビ子は、 反射的に少年と男の間に割って入った。 「やめなさいよ!!」 小さい体で両手を広げ、立ちはだかるノビ子の姿に観衆がどよめく。 「動けない人をけるなんて、男のすることじゃないわ!!」 闖入者というにはあまりにも小さいその姿に、男は一瞬気勢を削がれかけたが、 一瞬後その反動で更に大きな怒声を上げた。 「ふざけるんじゃねぇ!!引っ込んでろガキ!!」 「そうだ、君には関係無い!!下がっててくれ!!」
口元の血をこすりながら、少年も起き上がって言う。 「これは僕の問題なんだ!!」 ノビ子は後ろの少年をちらっと見たが、すぐに前を向き男をきっと睨み付けた。 「こんな事は見のがせない!!これもわたしの問題だわ!!」 「テメェ…!!」 騎士の目に殺気が宿る。 割って入ったものの、本当はノビ子は怖かった。 ルティエでは野生のモンスターによる命の危険は経験した事があったものの、 今のように人間相手の憎悪や悪意には晒された事が無かったのだ。 本質的に別種の恐怖がノビ子を縛っていた。 だが、その恐怖以上にノビ子を突き動かしたのは 今ここで見て見ぬ振りをしたら、ずっと後悔する事になるだろうという確信だった。 『何かを守るっていうのはね、とっても大変な事なのよ…?  でもお父さんは、誰にも負けないくらいそれをしてくれたの。  貴方も人を守る強さを持った人間になりなさい…』 振り上げられた拳に、ノビ子はぎゅっと目をつぶる。 ……お父さん、お母さん……!!!
「おいおいにーさん、子供相手にムキになっちゃいかんよ」 手を上げ掛けた騎士の背後から、場違いなほどのほほんとした声が掛かった。 「なんだテメェは!!」 「見ての通り、通りすがりの怪しいサンタです」 そう言うと、群集の中から割って出てきたBSのおじさんは、スピングラスを中指でずり上げた。 群集が再びどよめく。 続く騒ぎに観衆の数は増える一方だった。 「おじさん!!」 目を見開いたノビ子に、BSのおじさんはぱちんとグラスの奥でウインクする。 「こんな観衆の面前で殺人犯になる気かい?もう気が済んだだろ。  そろそろ剣を納めようや」 にこにこと笑いながら騎士の肩を叩くBSのおじさん。 「うるせえ!!そいつは騎士である俺を侮辱したんだよ!!  腕の一本や二本折ってやらなきゃ収まりがつくか!!」 顔を赤くして喚く騎士。 頭に血が昇っているというより、膨れ上がった観衆の前で引っ込みがつかなくなっている様だ。
「先に侮辱したのはそっちじゃないか!!」 「やかましい!!」 怒鳴り返す少年の言葉に、騎士は反射的に剣を振り上げた。 群集の間から悲鳴が上がる。 「…しょうがねぇなぁ…」 BSのおじさんはぼそりと呟くと、、 凄まじい速さで旋回した裏拳で騎士の鼻先を殴りつけた。 「がっ…!」 鍛冶屋の力の本気の一撃を喰らった騎士は鼻血を吹き上げたまま あえなく地面とお友達になったのだった。 「子供を怖がらせるんじゃねぇよ、バカが」 そういうと懐から100ゼニー硬貨を何枚か取り出し、気絶している騎士の上にバラ撒いた。 「治療代だ。こういう事はちゃんとしておかなきゃな」 一拍置いて、ぽかんとしていた群集から歓声が上がる。 「やべっ」 我に返ったBSのおじさんは、慌ててノビ子と少年の襟首を掴むと 慌てて群集の輪の中から抜け出したのだった。