以下に述べるのは私が今まで飼育してきた方法です。ここに書いてあることが正しいかの保証はありませんので、各自個体の状態をよく見て、自分のゴキブリにあった飼育法を確立してください。
飼育する生き物を入れる容器をここでは総称して「ケージ」と呼んでいます。
いずれの種類も、通常はプラケ(プラスチック・ケージ)など蓋が出来る容器で飼育します。ガラス水槽でも良いのですが、金属ネットの蓋等をして脱走されないよう注意して下さい。小型種や幼虫で壁を登る能力が低い種は、タッパウェアなどに空気穴を開けて買う事も出来ます。
幼虫の大きさなどによっては、蓋の網目の隙間から逃げ出さないように間にガーゼや防虫ネット、細かい穴を開けたビニールシートなどをはさんで蓋をして下さい。羽の無い種類はケージの上縁にワセリンを塗るなどして蓋をしない飼いかたも出来ますが、ケージを倒したりするなどの事故を考えると、お勧めできません。また、クロゴキブリやチャバネゴキブリなどケージの壁を登る事が出来、なおかつ非常に素早い種では、蓋に加えて上縁にワセリンを塗った方が良いでしょう。また、中〜大型で素早い種では、勢いをつけて登ってしまう事があるので、やや背の高いケージにワセリンを塗る幅を多めにしたほうがいいでしょう。
通常のプラケを使用する場合はほとんど問題無いのですが、タッパウェアや蓋にビニールシートを挟んでいる場合は、ケージ内の湿度が高過ぎて結露することがあります。この場合は、タッパウェアやビニールシートの通気穴を多くするなどして下さい。
ケージ内には底に床材をひいて使用します。床材は、糞が直接ケージに着くのを防いだり、湿度を調節するなどの重要な役目があります。
クロゴキブリなどあまり潜らないような種類であれば、ケージ内の床材は単に紙を敷くだけでも構いません(もちろん入れても良いですが)。
地表を徘徊するような種類や土に潜る種類は、ケージ内に土状の床材を敷いて飼育します。多湿を好む種では床材を軽く湿らせて下さい。床材としては、黒土、腐葉土、ヤシガラ土、クワガタ用の昆虫マット等保湿能力のあるものであればなんでもいいのですが、あらかじめ肥料が配合されている園芸用土や、多孔質の硬い砂等は避けてください。土に潜る種類では厚めにひいたほうがいいでしょう。
床材は糞や脱皮殻などで汚れが目立つようになったらその都度交換します。また、汚れていないように見えても定期的な交換は行ってください。特に多湿系の場合はまめに床材を交換しないとダニやカビが発生することもあるので注意してください。
上記の記述と反しますが、多湿を好む種でも、水容器を設置したり、水分の多い餌を与えていれば、床材は湿らせなくても大丈夫な場合が多いです。すぐに糞がかびたりケージ内が蒸れたりする場合は、やや乾燥気味にしてみて下さい。
食材性の種類は床材=餌になります。「餌」の項目を参照してください。
大抵の種類は、生野菜など水分を多く含む餌を毎日与えたりこまめに霧吹きをすることで水容器を設置せずに飼う事も出来ますが、乾燥餌で飼う場合は水容器を置いたほうが良いでしょう。
水容器はペットボトルの蓋などでも構いませんが、虫がおぼれたり、ひっくり返されたりしないようなものを選んでください。
小さいビンの口に綿を詰め、綿の一部をビンの中に垂らすようにして綿が常にビンの中の水を吸い上げるようにした給水器を作ってもいいでしょう。この場合、ビンに登るのが苦手な種類には、ビンの回りに足場として紙を巻いたりしてあげて下さい。
食材性種ではあまり必要はありませんが、その他の種ではケージにシェルターを設置して下さい。
レイアウト重視で比較的少数を飼育する場合には流木やコルク板などを、繁殖重視で多頭飼いの場合はボール紙をギザギザに折ったものや業務用の紙製卵ケースなどを幾つか積み重ねるようにして入れて下さい。シェルター(隠れ家)としての役割の他に、個体間の活動スペースを広げたり、脱皮の時の足場となります。
シェルターは、汚れたら洗浄や交換をして下さい。このとき、シェルターなど普段生活しているところには集合フェロモンが染み付いているので、そこに居ると落ちつくようです。一度に全部のシェルターを交換するよりは、半分づつ交互に交換するなどした方がいいでしょう。まぁ、全て交換したからといってそれほど不都合になることも無いのですが…。
熱帯や日本産でも南方の種類では、冬場の加温が必要になります。エアコンや室内温室でケージごと加温したり、ケージ別に加温する場合は爬虫類用のヒーターなどを使用してください。ケージの下に敷くタイプの赤外線ヒーターが便利です。
時間をかけて順応させればかなりの低温に耐える種もありますが、熱帯産の種では20℃、種の解説で「室温でも越冬可能」としている日本産の種でもなるべく10℃を下回らないようにする方が無難です。通常は25℃前後を保つ様にして下さい。逆に夏場の高温もあまり良く無いので、35℃を超えるようであれば、ケージを涼しい場所に移した方がいいでしょう。特に温度の高い時はケージ内の”蒸れ”に注意してください。
害虫として普通に見られる種を含め、ほとんどのゴキブリは基本的に高温多湿を好みます。日本中のビルにはびこっているようなチャバネゴキブリでも、関東地方の屋外でさえ越冬できない事を覚えておいて下さい。
ピンセットや霧吹きなどが日常のメンテナンスで必要になると思います。使い易い物を選んでください。また、餌を置くための小皿(プラスチック製の蓋などで十分)もあったほうが良いでしょう。
基本的に食性の幅は広いので、好みに合わせて与えてください。ただし、何でも食べるからと言って人間用に調理、加工したものや、タマネギなど刺激の強いものは避けたほうが懸命です。
リンゴなどの果物やサツマイモ、小松菜などの野菜を小さく刻んだものを中心に与えますが、共食いを避ける意味からも、削り節や熱帯魚の餌といった動物蛋白を含んだものも一緒に与えてください。うちのマダガスカルゴキブリはテトラミン(熱帯魚用のフレークフード)が大好物です。
また、ワモンゴキブリではペレット状のマウスフードと水のみで累代繁殖が可能だそうで、他の種類にも応用できると思います(なぜかうちの連中はあまり好きじゃ無いようで食いは悪いのですが)。
[1999/12/05追記]
東京の中野にある「爬虫類倶楽部」では、「コオロギ&ゴキブリ専用フード」なるものを扱っています。小粒のペレット状の餌で、1kgの袋で¥500円でした。
伺ったところ実験動物商から試しに仕入れたとのことで、そこの店長は「グラム単価だとモンキーフードより高いんですよね」と苦笑しておられましたが、熱帯魚の餌よりは遥かに割安です(笑)。現在うちでも使っていますが、比較的食いは良いようです。そうそうすぐに使いきってしまう餌じゃないのですが、今後も常備していてくれると助かります。
食材性の種では床材自体が餌になります。カブトムシやクワガタに使う昆虫マット(クヌギやナラ等の木材を砕いたもの)を軽く湿らせ、ケージ内に厚くひいて下さい。湿らせすぎは禁物です。また、クワガタ用に販売しているクヌギの丸太を昆虫マットに半分埋めるように入れても良いでしょう。
基本的に床材の中に潜って生活をています。たまに少し掘り返してみて、糞(たいてい床材と同色なので見分けが難しいですが)が目立ってきたら交換するようにして下さい。
また、リンゴやバナナなどの果物も食べるので、たまに与えてください。
マルゴキブリなどはキノコ等の菌類を食べるようです。食材性種の飼いかたを基本に、市販のキノコをたまに与えてみてください。
日常の管理としては、餌や給水、ケージ内の汚れ、健康状態のチェック等を行います。
餌は毎日〜隔日で与えて下さい。水容器を設置していればその水も交換し、清潔な状態を保つ様にして下さい。餌を食べ残すと夏場などは腐敗してしまうことがあります。必要な量を、残さないだけ与えるようにしましょう。
床材を湿らせていたり水容器が設置してあれば問題無いと思いますが、過度に乾燥していると乾燥死や脱皮不全の原因になるため冬場は注意する必要があります。ケージ内が乾燥しているようであれば、たまに霧吹きをして下さい。ただし、多湿を好む種でもケージ内が常に湿っている状態は良くありません。床材の内側は軽く湿っていても、表面は乾くくらいの感じで湿らせて下さい。
床材やシェルターとして使用したボール紙などは、糞や汚れが目立つようになる前に交換して下さい。
詰めこみ飼いや餌が少ない(餌の量が充分でも動物性蛋白が不足した時も同様)場合、共食いをすることがあります。腐敗の危険があるため、死亡した個体は取り除くようにして下さい。
餌などに問題が無くても、病気等で動きが鈍くなった個体が狙われることがあります。病気の蔓延を防ぐため、あきらかに様子がおかしい個体は念のため隔離した方がいいでしょう。まぁ、健康であっても、脱皮直後で動きが鈍いときを狙われることもあるので、多頭飼いの場合、ある程度の共食いは仕方ないかもしれません。