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Der  Adler  ist  gelandet

画像はクラインヴェークさんのご提供です。ありがとうございました。
貨車の上の三号突撃砲はフィンランドの博物館から借りたものだそう
ですが、画面にリアリティを与えています。

    
勇気というのは、いつの世でもすたれることのない大事なものです」:クルト・シュタイナ中佐

 『鷲は舞い降りた』オリジナル版
ジャック・ヒギンズ著
 菊地光 訳 早川書房 昭和56年
同左完全版 

『鷲は舞いおりた』ジャック・ヒギンズ原作
ジョン・スタージェス監督 マイケル・ケイン主演
昭和52年公開


『鷲は舞いおりた』原作小説について:

 いわずと知れた冒険小説の最高峰かつジャック・ヒギンズの最高傑作です。スタッドリコンスタブルの墓地で謎の石碑を見つける導入部から読者をぐいぐい引込んでいくストーリー展開ももちろん上手ですが、細部がたいへん丁寧に書き込まれていて、史実と虚構が巧妙にからみあっていて物語に破綻がありません。
 
 そして多彩な登場人物が魅力的に描かれます。
 Ritter(騎士)を具現した存在である、「将校にして紳士」のシュタイナ中佐。あくまでもシュタイナに従い、「兵士の義務を果たす」リタア・ノイマン中尉と降下猟兵たち。これに本物よりもっと狡猾そうなSS国家長官ハインリヒ・ヒムラーだの、ヴァルシャウ・ゲットー殲滅中のユルゲン・シュトロープSS少将等実在の人物がからんで、更に参ったかとばかりに「英国自由軍団」の裏切り者ハーヴェイ・プレストンまで登場してドイツ軍側の多士済々ぶりが素晴らしいです。
この「敵ながら天晴れ」というのがヒギンズの書く作品を通して流れるテーマですが、本作のシュタイナ中佐が最もうまく描かれていて読者としてはしっかり感情移入してしまいます。もう一人の主人公で、私にアイルランド人について抜き難い偏見(笑)を植え付けたかのリーアム・デヴリン教授の屈折した人格など丹念な設定と描写で飽きさせるところがありません。

 これに加えて登場人物の身の回りの細部のちょっとした描写が素敵です。
 ロシアでの経験からわざわざ下士官用の規格帽を被っている主人公シュタイナ中佐。いかにも身体に悪そうなロシア煙草を吸っているラドル山岳兵中佐。そして謎の歌"Alles ist verrückt"を唄う降下猟兵たち。彼等の首に鈍く光る至高の勲章騎士鉄十字章!・・・男のどり〜む☆横溢です。その上プレストンは"Bitisches Freikorps"の袖章に三匹のライオンの襟章を付けた仕立のいいSS少尉の軍服に身を固めているのですから、これはもう軍装研究者を涙ぐませるに十分です。まさに「大きな嘘を小さな真実で固める」という、アドルフ・ヒトラーの理論を実践した作品です。

 大変残念なのですが、ヒギンズは海洋冒険小説『脱出航路』を別にしてこれを超える作品を書いておりません。作家というものの辛さです。

『鷲は舞い降りた』 を実物軍装でどり〜む☆します。

 
上に書いたように、ヒギンズは軍装の知識も水準以上で、作品中ではいろいろ楽しい仕掛けをしてくれました。
 一方ジョン・スタージェス監督の映画『鷲は舞いおりた』は考証にの"Uniform of  SS"シリーズの著者にしてマニアの間で評判の高い未公開映画、"It Happnend Here"(『イギリスは占領された』)の共同製作者である、「あの」軍装研究家の最高峰の一人、アンドリュー・モローを起用した作品でもありました。
 映画、実は間違いが多くてモローとしては不満足な考証しかできなかったのではないかと思います。彼になりかわって、原作・映画の軍装について少々書いてみたいと思います。

1.シュタイナ中佐(映画では大佐)

シュタイナ中佐の象徴と言っていい柏葉付き騎士鉄十字章。ジャック・ヒギンズの小説に登場するドイツ軍人のうち必ず一人は付けている(笑)。実は大変貰うのが難しかった戦功章でそのしるしに本品もHelmut Weitzeさんのお店で16,500DMします。
←画像をクリックすると大きなサイズで見られます。

 
 原作に「シュタイナのジャンプスーツはすり切れ・・・これも下士官用の略帽をかぶっていた」とあります。東部戦線では、将校の服装は狙撃兵に狙われやすいからだろうと思います。
映画では左上の下士官兵用M43規格帽を被っていますが、「略帽」ならこの形ではない「シフヒェン」と  呼 ばれるもの(左下)かも知れません。こういう細部に凝っていた頃のヒギンズは我々を唸らせるものがありました。

  上は私の最初期のコレクション。下は何とMGCで1970年代初めに購入。当時は白黒写真が一般的でした(笑)。
 
シルムミュッツェ:勤務服用のいわゆる「制帽」です。シュタイナ中佐は上述したように原作ではこれではなく、略帽を被っています。映画のシュタイナー大佐はのように皮ジャンとシルムミュッツェ。小道具でしょうが、ちょっと形が崩れていて出来が悪いです(笑)
「ドイツ空軍」へ

  原作の文中で「航空隊の上衣」となっている降下兵少佐のフリーガーブルゼです。但し本品はバイエルン州の軍装品店、ミヒャエル・ヤンケ社 謹製の精密複製品ですが、将校用のトリコットで出来た大変気合の入ったもので す。
 原作でのシュタイナ中佐はこのフリーガーブルゼに「船形帽」すなわちこの写真にある「シフヒェン」を被っているので すね。確かに降下猟兵なら正しい服装であると思いますが、「シルムミュッツェに 皮ジャン」の方でもいいんでないかい(笑)と思わせるのは映像の魔力です。

 ←の画像はLW(ドイツ空軍)ファンのクラインヴェークさんのご提供です。布製の降下猟兵徽 章や地上戦闘章で気分を出してくださいまいした。
そしてズボンは→の降下猟兵用ズボンと書いてあります。German-MIlitaria.comで$3,600もします。

←はGerman-MIlitaria.comからいただいたパイロットの皮ジャンパーの画像。→の映画で使用されているものに色は別として最も良く似ています。
映画のような皮ジャンパーを降下猟兵が着ている写真はいまのところ未確認であくまでもパイロット専用と思います。その上実物には該当品がないようで、すなわち映画用ではないかと思われます。「日活コルト」ってとこでしょうか(笑)。初出は『脱走4万キロ』のようです。そして『空軍大戦略』1969(画像がない!)『マッケンジー脱出作戦』1970と使い廻されております。

『脱走4万キロ』

 『マッケンジー脱出作戦』 

←上はドイツ空軍のアフリカ従軍袖章です。
  『鷲は舞い降りた』を読む限りシュタイナたちはアフリカで戦った戦歴はないようですが、続編『鷲は飛び立った』の文中ではデヴリンが降下猟兵の一団を見て"Kreta  and  Afrikakorps. Do  you  know  Steiner? " という台詞を言っています。つまりアフリカ従軍歴があるということだと思います。これがかの有名な「アフリカ従軍問題」(笑)。
 映画ではハンス・ノイシュタット大尉がアンドリュー・モローの進言によると思われる二本のカフタイトルを付けていて、ヒギ  ンズ先生、これが気に入って『鷲飛』に使ったと思われます。
右の画像はクラインヴェークさんのご提供による再現写真です。こういうのがどり〜む☆なんですぜ。
 ←の画像はHelmut Weitzeさんのお店からいただきました。10万円くらいし ます。 
   Hermann Historicaのカタログよりいただいたクレタの袖章です。これを付けていたことはとりあえず間違いないです(笑)。ちなみに落札価格420DM  

              

 「ノールウェイではナルヴィクに落下傘降下した」となっていますので、本当は←のナルヴィク従軍楯を左肩に付けていなければなりません。でも小説では「驚くほど簡素」とあって当然もらっていて付けていなければならない戦功章がずいぶん省略されています。一級鉄十字章ですら見当たりません(笑)。
本品は珍しい空軍用(台布が空軍色)でBerliner Auktionshausに出品されたものです。DM120と記録してありますが、安いのでスタートプライスでしょう。
 
                      

    2.ラドル山岳兵中佐(映画では大佐)

山岳兵大佐の勤務服です。本品は輝くドスキンの生地で作られた大変高品質な勤務服で、準礼装と言ってもよいでしょう。1970年代に私がSanta Minicaの軍装品店で見つけ、友人N氏がわざわざ買いに行って来たたものです。 記章類、ベルト等は管理者提供。ボタンホールのEhrenblatt Spange des Heeres(Honor Roll Crasp of the Army=陸軍栄誉録記章)は元々この服についていたもので、軍装品店店主Bob Reissが特筆しておりましたがオリジナルかどうかはわかりません。
右袖にエーデルヴァイスの標章がついていますが写っておりません。モール製の上等なものでした。歩兵突撃章を付けて撮らなかったのが惜しい気がします。

→ あっラドル大佐だ(笑)。・・・本当はフランツ・プファイファー山岳兵大佐(Robin Lumsden"A Collector's Guide to Third Reich Militaria")

 上:山岳兵大佐の襟章(Litzenと称する)
 下:山岳兵大佐の肩章。
 
袖のエーデルヴァイスの標章の画像です。これは深川のSTEINER棟梁からいただきました。モール製の上等なものです。服に付いていたものも同様に高級品でした 


  こちらが本物です(笑)。

     降下猟兵と山岳兵の戦歴って実はかなり重なる部分があるのです。ナルヴィク、クレタ・・・。
小説でラドルとシュタイナーが初対面ですぐにお互いを理解したようなのはこの辺の関係があるのかも知れません。
 
                      

     3.リタア・ノイマン中尉(映画ではハンス・ノイシュタット大尉!?)

空軍 降下猟兵中尉勤務服:小説、映画ではシュタイナ中佐のところで書いたようにフリーガー・ブルゼという短上衣を着ておりますが、「小生意気なベルリンっ子」時代はこんないい仕立ての勤務服で闊歩したものでしょうか。珍しく管理者コレクションです。

←画像をクリックすると「ドイツ空軍」のページに行けます。

 
 原作に「相手の二つの鉄十字章、冬季戦争従軍章、銀の戦傷章、地上戦における軍功章、落下傘兵適格章などを見て取り、その生気にみちた若者が歴戦の古強者であるのを知った」
↑の左胸の写真です。ポケットの真ん中、ボタンの下にあるのが「第一級鉄十字章」。下左が「銀の戦傷章」、ポケットの下左が「地上戦における軍功章」、下右が「落下傘兵適格章」のそれぞれ糸かがり。すなわちこの服はリタァ・ノイマンの服そのままなんです!

 
  
↑の戦功章は←こんな感じです。上二つは管理者コレクション。下二つは例によってHelmut Weitzeさんのお店からいただきました。どうかお買い上げの程御願い申し上げまする(笑)。
「地上戦における軍功章」Erdkampfabzeichenは「25」という数字の入ったヴェテランのもの。9,500DMでいかがでしょうか。
  
  奥津城:
リタァは流転の人生を送り、フランス外人部隊の落下傘兵下士官として1954年、インドシナ半島、ディエン・ビエン・フーで戦死。今も彼の地に眠っております。
このCDジャケットはそのディエン・ビエン・フーの戦いを描いたフランス映画『愛と戦火の大地』(原題どおり『ディエン・ビェン・フー』としたい・・・)。かつて「鷲は舞いおりた」作戦で乗ったダコタ輸送機。その前で迷彩服を着て並ぶパラたちの中に彼もいます。
→リタア・ノイマン中尉もきっとどこかにいる『愛と戦火の大地』を取り上げた美人管理者ちゅうい☆どののサイトへ→

         4.ハーヴェイ・プレストンSS少尉(次のページへどうぞ!)

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