【第U章】 障害をもつ人への差別禁止と権利に関する基本事項

U−4 アクセシビリティ
4−1 居住  4−2 移動  4−3 建築物

4−1 居住
4−1−(1) 居住に関する定義
どのような障害を持つ人でも、自由に居住の場や形態を選ぶ権利があり、選んだ場で住みつづける権利がある。したがって、何人も障害を持つ人の入居および居住に不当な制限を加えてはならない。

4−1−(2) 国及び地方公共団体の責務
国および地方公共団体は、障害をもつ人の居住にかかわる権利を保障するため、住居の障壁の除去・改修等に必要な措置を講じなければならない。また家主・あっせん業者が障害を理由とした差別・偏見に基づく入居制限を行わないようにするために、適切な監督および指導を行わなければならない。

4−1−(3) 事業者の責務
家主及び住宅あっせん業者は、入居にあたって、障害をもつ人を不当に選別したり、拒否したりしないよう適切な対応をする義務がある。また、入居後も障害のない人と同等な居住環境が可能なるよう適切に配慮しなければならない。

4−1−(4) 配慮義務
(ア)国及び地方公共団体の配慮義務
@国及び地方公共団体は、公的な保証人制度や既存住宅への改造費助成など、障害をもつ人の居住権を保障する施策を確立しなければならない。
A国及び地方公共団体は、公営住宅の供給に当たっては民間における住宅供給の状況査し、必要に応じて障害をもつ人の住宅取得機会が均等化するような制度を定めなければならない。
B国は、障害があるために所得が充分でなく、家賃支払いのために国が保障すべき生活レベル(所得保障の項参照)を下回る人たちに対し、家賃を補助する制度を整備しなければならない。
(イ)事業者の配慮義務
@家主及び住宅業者は、住宅の賃貸や販売に当たって、障害をもつ人の必要に応じて適切な情報を提供しなければならない。
A家主及び住宅業者は、交渉や契約に当たって、障害をもつ人が指定する第三者の同
席、助言を拒否することはできない。

4−2 移動
4−2−(1) 移動に関する定義
(ア)障害をもつ人は、障害のない人と平等な移動経路および手段を得る権利を有すると共に、個別ニーズに応じた適切な配慮を受ける権利を有する。(イ)ここでいう平等とは、以下のものを指す。
@障害があることを理由にして、障害のない人とは違う扱いを不当に受けないこと。
A環境を利用するために個人の能力を超える動作を要求される場合は、状況に応じた適切な援助を受けられること。
B個人の主体性を無視した援助を受けなければ移動できないような状況に置かれないこと。
C状況に応じた適切な情報を、理解しやすい形で入手できること。
(ウ)ここでいう公共交通機関とは、大量輸送手段だけではなく、タクシーのように個別のサービス提供がなされていても、不特定多数の顧客を対象にする事業も指す。
(エ)前項の代替的な移動手段の提供については、それをもって一般的な公共交通手段の整備が不充分であることの言い訳としてはならない。

4−2−(2)国および地方公共団体の責務 
(ア)国及び地方公共団体は、移動が障害をもつ人の社会参加保障において必要かつ不可欠であることを認識し、その認識に沿った移動経路および手段の確保・維持を目的とした施策をおこなわなければならない。
(イ)国及び地方公共団体は、交通事業者や道路管理者等に対して、障害をもつ人の平等な移動経路や移動手段を保障するよう適切な指導・監督を行わなければならない。

4−2−(3) 事業者の責務
交通事業者や道路管理者等は、障害をもつ人に対して平等な移動経路や移動手段を保障するよう事業を行わなければならない。

4−2−(4)配慮義務
(ア)国および地方公共団体は、障害をもつ人の個別ニーズに対しては、恣意的に利用の対象を選別することなく迅速かつ適切に対応しなければならない。ただし、これは、一般に提供される移動経路および手段では技術的、実際的にニーズの充足が不可能な場合に限って考慮される。
(イ)交通事業者や道路管理者等は、公共・民間を問わず、障害をもつ人の個別ニーズに対しては、恣意的に利用の対象を選別することなく迅速かつ適切に対応しなければならない。
(ウ)一般的な公共交通手段では移動のニーズを充足できない人には、そのニーズを充足するための代替的な移動手段が、一般的な公共交通手段と同等の料金、待ち時間で提供されなければならない

4−3 建築物アクセス
4−3−(1) 建築物アクセスに関する定義

(ア)障害をもった人は、障害のない人と同等に、建築物にアクセスする権利を有している。 
(イ)ここでいう建築物とは、公共の利用を目的とした交通機関のための施設やその他の建築物、公共・民間を問わず多数の顧客に対して開かれている企業、集合住宅の共用部分などを指す。建築物の所有主が公共であるか民間であるかは問わない。
(ウ)建築物アクセスとは、建築物およびその建築物と外部をつなぐ敷地内通路において、多様な行動手段を持つ障害者が、単独で自由に行動できる環境を整備することを意味し、その環境は物理的に整備されていると共に、その整備されたものや部分がその機能を発揮できるよう、常に維持管理されていなければならない

4−3−(2) 国及び地方公共団体の責務
 国及び地方公共団体は、公共及び民間の新築建設物と既存建築物の両方に関して、あらゆる障害をもつ人の建築物アクセスの権利が保障されるように措置を講じる義務がある。

4−3−(3) 建築物所有者及び事業者の責務
建築物所有者および事業者は、あらゆる障害をもつ人の建築物アクセスの権利が保障されるように可能な限り最大限に措置を講じる義務がある。

4−3−(4)配慮義務
 国および地方公共団体、民間建築物所有者および事業者は、以下の配慮義務を有する。

(ア)国および地方公共団体の配慮義務
@新築建築物の整備のレベル
a)国は建築物が備えるべきアクセス環境のレベルについてガイドラインを定め、建築確認の要件とする。このアクセス環境のガイドラインには、障害を持っていることによって不利になる可能性のある非常時の安全性や従業員やサービス提供側として障害をもつ人が使用する場合の環境も含まれる。
b)前項a)アクセス環境のレベルに関するガイドラインの策定、見直し作業には、利用者からのニーズを反映する仕組みの構築と、障害をもつ当事者の参画を必須としなければならない。
A既存建築物の整備のレベル
a)既存建築物に関しても、前項@に準じて定める
b)国および地方公共団体の建築物を所有する者は、既存建築物のアクセス環境について、建築物所有者が経済的に負担できる範囲で最大限の整備を行わなければならない。この整備は増築、改築などの建築工事計画のあるなしに関わらず、正当な理由がある場合を除いて全ての既存建築物になされなければならない。
c)国は、前項b)で述べた最大限の整備を具体的に実現する方策を確立し、本整備を含む工事が建築確認申請の対象である場合は建築確認の要件としなければならない。
d)整備方策の策定、見直し作業には、利用者からのニーズを反映する仕組みの構築と、障害をもつ当事者の参画を必須としなければならない。e)既存建築物のアクセス環境の整備については、前項c)で定める方策に従って、建築物ごとに個別に検討される
f)国は、既存建築物の所有者に対し、国が定める期間内にアクセス整備計画を策定し、国または国が定める機関に提出させる義務を負う。国および地方公共団体もその例外ではない。B教育プログラム
a)国および地方公共団体は、建築物アクセスの実現を拡大し、アクセスの整った建築物を担保するために教育プログラムを提供しなければならない。
b)前項a)の教育プログラムの実行機関は、国からの干渉を受けず、利用者の立場に立って行動する独立した存在の、非営利公益の第三者機関でなければならない。
(イ)建築物所有者および事業者の配慮義務
@新築建築物の整備のレベル
民間の建築物所有者は上記の規定にある、国が定めたアクセス環境整備レベルに従って建築物を新築しなければならない。
A既存建築物の整備のレベル
a)民間の既存建築物所有者は、国が定めたアクセス環境整備レベルにしたがって、可能な限り、経済的負担が過重でない範囲内においてアクセス環境を整備しなければならない。
b)民間の既存建築物所有は、国の方策で定めた期間以内にその整備を行わなければならない。
c)民間の既存建築物所有者は、国が定めたアクセス環境整備レベルにしたがってアクセス整備計画を策定し、国または国が定める機関に提出しなければならない。
B教育プログラム
  建築物所有者、事業主、および建築設計者は、現存する環境が持つ問題点について学習を行い、アクセス環境の改善の方策を追求する継続的な努力を行わなければならない。

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