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障害者差別禁止法 要綱案(第二次案 2003.12.08現在
障害者政策研究全国実行委員会内 「障害者差別禁止法」作業チーム

  
赤字、下線箇所が修正、新規部分 )

【第V章】 実施及び救済機関

1 組織体制

(1) この法律を実効性あるものにするために、その実施機関として障害をもつ人への差別禁止と権利に関する委員会(仮称「障害者人権委員会」)を設置する。

(2)「障害者人権委員会」の理事会は、過半数以上の障害をもつ人、権利擁護に関する学識経験者、弁護士、検察官等から構成され、かつ行政から独立した組織とする。

(3)「障害者人権委員会」のもとに、以下の課題別専門部会を設ける。

1 地域生活
2 移 動
3 建 物
4 利 用
5 情報とコミュニケーション
6 教 育
7 就 労
8 医療とリハビリテーション
9 出生
10 性
11 政治参加
12 司法手続

(4) 専門部会は、課題ごとに問題の実態を類型化し、何が差別であるのかの解釈指針を作成し、かつ本法を具体的に実施するための細則を作成する。

2 実施機関としての役割

この委員会の実施機関としての職務および権限は、以下のとおりとする。

(1) 障害をもつ人のおかれている現状を調査して、我が国の差別の実態を明らかにすること。

(2) 本法の施行に向けて、差別の定義、配慮義務等の解釈指針を策定し、これを広報すること。

(3) 本法により策定されるべき国の施策の大綱を作成し、これに基づいて国が策定した施策の内容、実施状況について調査・監視し、定期的にその調査結果とそれに対する意見を内閣に提出すること。

(4) 本法の改正、関連法令の改廃・制定に関し、提言を内閣に提出すること。

(5) 本法の実施に関する相談窓口を開設し、情報の提供、権利擁護に関する教育を実施すること。

(6) 構造的な差別に関しては、勧告ないし、是正命令を発すること

3 救済機関としての役割

 この法律に基づく権利を侵害された場合の救済機関として障害をもつ人に対する差別禁止委員会(仮称「障害者差別禁止委員会」)を中央ならびに都道府県を一つの単位として地方に設置する。
 この委員会の救済機関としての職務および権限は、以下のとおりとする。

(1) 障害者差別禁止委員会は、複数の救済委員を任命する。

(2) 障害者差別禁止委員会は、申立てを受けると、まず、任意の調査をしなければならない。任意の調査によって事案が明らかにならない場合でかつ事案の解明が必要と思料される事件に関しては、職権による立ち入りも含めた調査を実施する。

(3) 調査の結果、差別・虐待等の行為が明らかに存在しないと思料する場合を除いて、救済委員が被害の回復に向けた調停を開く。

(4) 調停が不調に終わった場合で、かつ差別行為が認定されるときには、事案の重大性、緊急性に応じて、是正命令、警告、勧告、要望、公表等の処分をなす。

@被害者の救済に必要な場合、緊急一時保護等により、被害者を保護しなければならない。

Aまた、行為が犯罪にわたると認定したときには、告発をしなければならない。

B事案の重大性、被害の広範性に鑑み、訴訟を提起しなければ、根本的な救済にならないと思料するときには、自ら訴訟を提起し、又は、被害者が起こした訴訟に参加することができる。被害者が提起した訴訟において、証拠資料の開示を求めた場合、これに応じなければならない。

4 国の責務

 国は、司法および準司法救済に関して、裁判所および「障害者差別禁止委員会」等の準司法機関が実効性ある救済手段を持ち得るよう、事案の特性にあった調停、裁判等の所定の手続、差別を是正するために必要とされる積極的な作為命令等に関する法律を整備しなければならない。

 


 補足説明 

 障害をもつ人に対する差別は、国民個々人の心のありようで解決するものではなく、一国の社会的、政治的、経済的状況に深く根ざしたものであるため、差別をなくすには、個々人の行為を禁止するというやり方だけでは、根本的に解決しません。差別の現状を究明し、差別をなくすためのビジョンを示し、そのための政策を実行することなくしては、全体として差別をなくすことはできません。以上の必要性が、本「要綱案」において「実施機関」を設けた第一の理由です。

 次に重要なことは、障害をもつ当事者をこの機関の意思決定および「実施機関」に参画させることです。なぜならば、当事者から見た差別と、いくら専門家であっても障害のない人が見た差別には、大きな開きがあるからです。

 救済に関しては、本来、司法機関の役目であるところですが、厳格な立証を必要とし、さらに長い時間と経費等の負担を被害者に求めることは、事実上救済を拒否するに等しい場合も多く存在します。しかも障害に関して専門的な知識をもたない一般の裁判官によって、正当な事実認定を期待できない場合も存在します。

 さらに、裁判による判決では、差別の態様に応じた柔軟な解決を図るには、適しない場合も存します。以上のようなことを考慮すると、裁判手続に移る前に、柔軟で簡易な準司法的仕組みとしての解決手段を用意する必要があります。

 このような「救済機関」を考える場合の主な問題は、二点あります。

 一つは、事実の究明です。例えば、施設の中で起きた事件等は、外部から調査することは非常に困難です。従って、この救済機関に事実調査の権限が法律上保障されなければなりません。

 二つめは、救済方法です。単なる調停だけでは、ほとんど効果を期待することはできません。調査権に基づいて、一定の事実が明らかになった場合には、是正命令、警告、勧告、要望、公表、及び訴訟提起することができる権能があるということでなければ、調停も成立しないことになってしまいます。

 


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「当事者がつくる障害者差別禁止法〜保護から権利へ」 現代書館 <<【要綱案(第一次案)】掲載