1st cut

「GO!GO!fanta-G」(カラー/DV→βカム/22分/ドキュメンタリー?) ●監督=清水浩之(しみづ ひろゆき) 1967年東京都出身。CMの企画と演出。一昨年からドキュメンタリーワークショップに参加。

◎我が家のお茶の間で勃発する、教科書論争。
【解説】 すべては一通の葉書から始まった。極普通のサラリーマンだった父が、世間を騒がせる教科書問題の渦中の人だったのである。新しい教科書をつくる会の会員通知の葉書を手に息子は父に追及を始める。この時、息子は父と子の政治対決という正攻法を採らなかった。むしろくすぐり戦術というゲリラ戦を選んだのである。それとは知らぬ父は、息子のくすぐり戦術の前に本音をボロボロと語る。日教組主導の間違った歴史観、ロシアの属国、『法治国家でない』アジア諸国の反発…、皆どこかで聞いた科白だ。母はこうした父に堂々と正攻法で夫婦喧嘩を挑み(といっても割れた皿についての局地戦ではあるが)、姉や姪もこの戦線に参加してやんわり戦術に出る。こうして、普通の家庭に降って湧いた「教科書問題」にキャメラはプライベートに密着していく。裸にされた父が本音で語ることは、教科書問題は結局自分の少年時代を甦生させたいという追憶と重なりあっていたことだ。国民学校で学んだ歴史観を戦後すべて否定された軍国少年特有の心の隙間に「新しい教科書をつくる会」はしっかりと巣食っていたのだ。そうした隙間を狙う空恐ろしい根深さが見事にくすぐり出されていく。

【監督の言葉】 『どうやらアメリカに騙されてたんだよ。』麻雀とテニスと映画とミステリ小説を愛する60代の父が、今年辿り着いた結論です。大東亜共栄圏。平和憲法。安保。経済大国。毎度「騙される」のが好きな父と、私たち。あとで考えると「そんなハナシに乗るか?」というモノに、平気ですぐ乗る身の軽さ。ノリの良さに、我ながら脱毛いや脱帽です。9月現在、海の向こうで「正義」と「聖戦」が対決間近と喧伝されています。この構図が、もう「教科書で習った通り」の歴史だなぁと思ったりします。

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