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 順序としては、まず部屋の空間に見合ったスクリーンのサイズを決めるのが第一である。一応目安としては6畳間だと80インチまで、8畳間だと100インチぐらいまでといわれているが、部屋の形状やシアター専用かどうかといった個々の条件もあるのでケースバイケースであろう。(一般的な6畳間の場合短辺が約2.7mで4:3 100インチスクリーンを設置すると両サイドには約30cmぐらいしか残らないのでスピーカー設置は困難を極めるし,壁面からの1次反射の問題もあり、6畳間においてバランスがよいのは80インチまでだろう)。またサウンドスクリーンにすれば部屋の短辺一杯にスクリーンが設置できさらに大画面にできると思われるかもしれないが、今度はスクリーン後方にスピーカーの設置のための空間が必要となり,結構広い空間が必要となるものである。このあたりのすり合わせはプロジェクターやスクリーンのカタログを参考にして慎重に決定されるのがよいだろう。自分の決定に自信が持てないときは様々な所から(インターネット上や専門店)情報を得るべきである。

 ついでプロジェクターの選択に移ろう。まず床置きか天吊りか、これは天吊りの場合ほとんど天井の補強工事が必要となるので、工事ができない時は床置きかラックのようなものに設置する必要があるが、この場合設置位置と視聴位置をよく検討する必要がある。視聴位置の自由度が高いのは天吊りであるが、スクリーンの選択に注意が必要である、というのはビーズ系スクリーンの場合光が入ってきた方向にそのまま反射するという特性があるため天吊りとはあまり相性がよくない。したがって天吊りのときはマット系スクリーンを選択すべきであるが、今度は画面からの反射光が天井,壁面で反射して、映像のS/Nを低下させるという問題が出てくるため、先輩諸氏が行っているように天井,壁面を黒っぽくする必要がある。これはシアター専用ルームなら可能であるが,リビング等と兼用の場合奥さんの了解を取るのは至難の技である。ここでスクリーンのゲインについて一言。最近はプロジェクターの性能が向上してきており、ハイゲインすぎると映像の階調表現を損なう可能性もあり、プロジェクターが決まったら試聴(試視か)した方がよい。これには各専門店が時々行なっているシュートアウト等に行くとよいだろう。

各種スクリーンの特徴
スクリーンの種類 マット系スクリーン パール系スクリーン ビーズ系スクリーン
ゲイン 1.0前後 両者の中間 1.8から4.0程度
光の回帰特性 均一散乱 入射方向と正反対 入射方向に反射
相性のいいプロジェクター設置法 天吊り 天吊り 床置き
相性のいいプロジェクター 3管式 3管式<液晶 液晶

 次は3管式か液晶プロジェクターどちらを選ぶかである。最近では液晶の進歩が著しいが、やはり画質においては3管式の方が優れていると思われる。またさまざまな周波数の信号が混在する最近の状態では、画素固定の液晶では画素変換(液晶パネルの画素数と表示する信号の画素数が異なる場合、パネルの画素構成に合わせて信号を作り直すこと)が必須でこの回路が画質を大きく支配する。一方3管式は走査周波数に対応していればそのまま映し出すことができる。だから現時点ではマルチメディアに親和性が高いのは3管式であろう。また液晶式は黒側の階調表現において明らかに3管式に劣っており、画質にプライオリティーをおくと3管式を選択すべきであろう。だから新規にホームシアターを作り、映画を思いっきり楽しみたい人は天吊り3管式でマット系スクリーン(できればサウンドスクリーン)を選び、天井,壁面の反射対策も万全に行なうことをお勧めする。

 実際の建築に際して特に注意すべきことは、天吊り3管式を選択した場合の天井の補強である。新築の場合は設計の段階で設計士に購入予定のプロジェクターのカタログ等を見せてよく相談すべきであるし、できればシアターインストルーラー等のいる専門店に設計段階から相談する方がよい。また既存の部屋の天井の補強とかについても相談に乗ってくれるだろう。特に初めの調整はしっかりすべきであるが、設置後しばらくは機械の自重で下がるため再調整が必要。3管式を楽しむためには面倒でも自分で調整すべきである。始めは時間がかかるが、だんだんなれてくると思うが、間違っても電源を入れた直後にしてはいけない。私の場合調整は2,3時間後にするようにしている。

 次にスクリーン周りについて。最も気をつけるべきことは反射光対策である。両サイドの壁は別に黒い色にしなくてもカーテンで対応できるが、天井はできれば黒っぽい色を選択すべきであるし、既存の部屋の場合はスクリーン近辺の部分だけでも黒っぽいカーテンを貼りこむとかの対策をとるほうがよい。ここで忘れがちなのは床の対策である。最近はほとんどフローリングであるが、結構表面がピカピカして反射性の物が多く、新規建築の時は艶消しのものを選択するのがよいし、既存の部屋の場合は映画鑑賞時だけ黒い布を敷き詰めることで対応できる。またサウンドスクリーンを選択したときは、スクリーン後方にも黒いカーテンを引けるようにしておく必要がある。もう一つ気をつけることはエアコンの風がスクリーンにあたらないようにすることである。

3管式プロジェクターの際の注意
基礎等 重量によっても異なるためよく検討すること
電源 機器のすぐ近くにコンセント 結構消費電力が大きいのでできれば1回線必要 アースについては後述
ケーブル 一般的にはコンジットパイプ ケーブル変更とかのしやすさから言えばピットがお勧め 見映えは悪いが。
その他 光路をさえぎる物のないこと 放熱を妨げないよう設置すること

 ここではドルビーデジタル5.1CHで話を進めていく。前にも述べたようにホームシアターで最も大事なのはセンターCHである。というのは映画のセリフだけでなく、前方の効果音も含み、前方の左右への効果音の移動の中間となるからである。以上の点からフロント3CHは同一SPが望ましく、最低でも同じメーカーのものか、音色の似通ったものにすべきである。SPの設置法としては、雑誌等でもっともよくみるのはスクリーンの両サイドに左右SP、中央の下方にセンターSPを角度をつけて設置すると言う形があるが、この場合はよほど気をつけないとセリフが下方に引っ張られる可能性があるし、よほど小さいSPでないと同一SP3CHは不可能となる。やはり理想形はサウンドスクリーンを使い、同一SP3CHであろう。ついでリアSPについても理想はフロントと同一SPであるが、リアの場合はあまりこだわらなくてもよいと思うが、あまりに小さい場合は低音再生能力にかなり差が出るので、この点は注意が必要であろう。最後に0.1CH、つまりSWについて、昔から低音は指向性がないのでどこにおいてもよいといわれてきたが、やはり人間はその方向を敏感に感じ取ってしまうから、フロント3CHの間に置くのがよいと思う。

 次にSPの設置位置について。どのCHのSPでも基本はSP後壁、側壁からある程度離すほうがよい。というのも両壁とも接してしまうと、低音が増強されすぎてしまうからである。部屋サイズと比べて大きすぎるスクリーンを選択するとこのような状態になりやすい。この場合は、後壁から離すのはSPを前へ移動させるだけでよく、側壁の影響を少なくするにはSPを内振りにすればよいが、これでもブーミーな場合は市販の吸音グッズ(QRD、ASCなど)を利用すればよいと思う。また視聴位置からの距離は理想は同一距離であるが、プロセッサーで調整できるのであまり神経質になる必要はない。

 ホームシアターの音響設計でまず始めに問題にされるのは部屋の遮音についてであろう。ハリウッド系アクション映画を思いっきり楽しむとその最大音量は90dBを超える、つまり遮音等級がD−45の部屋だと45dBの音が外部に漏れていることになる。これだけ漏れていれば、まずマンション等では夜だと間違いなく隣家からクレームがくるはずである。最近の建築ではD-45程度の遮音性能があるはずで、これから新規に作られる場合はD-55ぐらいまでならあまりコストは上昇しないが、D-65まで望むとコストは一気に上昇する。一軒家でかつ隣の部屋にあまり気を使わなくてもよい場合はD-55前後で十分だろう。一方、都会のマンションでは条件は最悪で、特に賃貸マンションでは部屋の構造を改造することはほぼ不可能なため大音量再生はほぼ不可能であろう。

 ついで新築の場合について思ったことについて。以下はまったくの私見です(建築の際は自己責任でお願いします。)誤解している人も多いが、遮音と吸音は全く違うもので、グラスウール単独の吸音特性は15mmで125Hzで0.05、1500Hzで約0.6で低音域はほとんど吸収しないため、グラスウールの表面仕上げにクロスを貼っただけの構造では、中高域は吸音過多となり低域は吸音不足のブーミーなうるおいのない音になると思われる。そこで最も遮音性能がよい建築方法は鉄筋コンクリートであるが、全面コンクリートにすると(コンクリートは音響的に全ての周波数帯を全反射するため)、かなり低音のこもった感じになりやすいと思われる(中高域は家具、カーテン等でかなり吸音される)。ここで低域まで吸音したい場合は、一般的に用いられるグラスウール単独では不可能で、グラスウール50mmで吸音率0.2程度(125Hz)、背後空気層100mmで0.5前後となる。つまり遮音に完璧を求めると吸音、特に低域の吸音が困難になるし、部屋サイズもかなり小さくなる。だからあまりまわりに気を使わなくてもよい場合は(地方都市では多い)、そこそこの遮音性能でよいと思う(外からの音が気になるような環境も少ないし、D-55程度で十分と思う)。低域の吸音に有効な方法は板状材料を利用することである。板状材料とは木材の合板、石膏ボード等である。これらは中高域は反射するが、共振周波数周辺の低音域を吸収する。吸音率は板の材質、空気層のほかに、空気層にグラスウールを充填するかによっても異なるが、だいたい周波数100から200Hz、吸音率の最大値として0.30から0.50ぐらいである。しかしそれでも最低域周辺の周波数の吸音は困難であるため全周がコンクリート構造体の場合天井だけでも音が少しぬけるようにして、その外側の構造体で遮音するといったほうがよい結果が得られると思う。何回も言っているが、周りにあまり気を使わなくてもよい場合は適度に音が抜けていくのがよいように思われる。

 構造体の話はここまでにして部屋の内装に話を移そう。昔からのオーディオファンなら部屋がライブかデッドか、定在波等についてよく知っておられると思うが、一応述べておこう。響きがよい状態がライブで、響きの少ない状態がデッドと言われているが、一般的に昔からクラシックファンはライブを、ロックファンはデッドを好むといわれている。またホームシアターはせりふの定位やサラウンド効果を明瞭に感じるにはややデッドの方がよいとも言われている。しかしここでライブ状態をデッドにするのは比較的容易であるのに対して、デッド状態をライブにするのはかなり困難を伴うため、新規に建築、改造される場合は必要以上の吸音には注意されたい。(デッド気味にしてしまうと家具、人が入るとさらにデッドになってしまう。映画のみでCDとかを聞かないのならそれでもよいが、、、)次に定在波について。一般的に長方形など矩形の部屋では、壁面同士が平行であることが多いので、この間に入った音は反射を繰り返し定在波を生じる。音響の教科書的には壁面同士が平行にならない5角形の部屋がよいとされているが現実的ではないと思う。しかしこのような考えは部屋全体の音響効果をよくしようとする考えでコンサートホール等にはよいであろうが、ホームシアターでは視聴位置で音がよければよいのであまり形は気にしなくてもよいように思う。前後壁の反射は家具、スクリーンなどが入るので、極論すればあまり気にせず、床天井間の定在波はあまり取らないほうがよいとかいてあったし(これはどこに書いてあったかは忘れた)。最も注意すべきは左右側壁間の反射による定在波であろう。(これについては後述)

 ホームシアターで最も強固にするべきは床であろう。特にSP設置位置の床は強固にしておくべきである。和室などでは市販のサウンドボードを利用するべきである。



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