体罰に関する法令・通達など

教育令46条
小学校令47条
学校教育法11条
通達「懲戒の程度」
「児童懲戒権の限界」
通達「生徒に対する体罰禁止に関する教師の心得」
通達「学校における暴力事件の根絶について」
民法822条(親の子に対する懲戒権)
刑法204条(傷害罪)
刑法205条(障害致死罪)
刑法208条(暴行罪)
刑法35条(正当行為)


教育令46条
凡学校に於ては生徒に体罰(殴ち又は縛る類)を加ふべからず。(一部現代仮名遣い)
(明治12年(1879))

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小学校令47条
小学校長及教員は教育上必要と認めたるときは児童に懲戒を加ふることを得但し体罰を加ふることを得ず(一部現代仮名遣い)
(明治33年(1900))

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学校教育法第11条
校長及び教員は、教育上必要があると認められるときは、監督庁の定めるところにより、学生、生徒および児童に懲戒を加えることができる。但し、体罰を加えることはできない。
(昭和22(1947)年3月31日 法26 施行 昭和22年4月1日)

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通達:懲戒の程度
身体に対する侵害、被罰者に肉体的苦痛を与えるような懲戒は体罰に該当する。
(昭和23(1948)年12月22日法務庁法務長官調査意見)

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児童懲戒権の限界について
本年6月16日附及び7月27日附,別紙高知県警察隊長の照会に対し,当職は左のとおり,意見を回答するから,同警察隊長に伝達方取り計られたい。

第1問
学校教育法第11条にいう「体罰」の意義如何。たとえば放課後学童を教室内に残留させることは「体罰」に該当するか。また,それは刑法の監禁罪を構成するか。

回 答
1 学校教育法第11条にいう「体罰」とは,懲戒の内容が身体的性質のものである場合を意味する。すなわち
 (1)身体に対する侵害を内容とする懲戒−なぐる・けるの類−がこれに該当することはいうまでもないが,さらに
 (2)被罰者に肉体的苦痛を与えるような懲戒もまたこれに該当する。たとえば端坐・直立等,特定の姿勢を長時間にわたって保持させるというような懲戒は体罰の一種と解せられなければならない。
2 しかし,特定の場合が右の(2)の意味の「体罰」に該当するかどうかは,機械的に制定することはできない。たとえば,同じ時間直立させるにしても,教室内の場合と炎天下または寒風中の場合とでは被罰者の身体に対する影響が全く違うからである。それ故に,当該児童の年齢,健康・場所的および時間的環境等,種々の条件を考え合わせて肉体的苦痛の有無を制定しなければならない
3 放課後教室に残留させることは,前記1の定義からいって,通常「体罰」には該当しない。ただし,用便のためにも室外に出ることを許さないとか,食事時間を過ぎて長く留めおくとかいうことがあれば,肉体的苦痛を生じさせるから,体罰に該当するであろう。
4 右の,教室に残留させる行為は,肉体的苦痛を生じさせない場合であっても,刑法の監禁罪の構成要件を充足するが,合理的な限度をこえない範囲内の行為ならば,正当な懲戒権の行使として,刑法第35条により違法性が阻却され,犯罪は成立しない。合理的な限度をこえてこのような懲戒を行えば,監禁罪の成立をまぬかれない。
  つぎに,然らば右の合理的な限度とは具体的にどの程度を意味するのか,という問題になると,あらかじめ一般的な標準を立てることは困難である。個々の具体的な場合に,当該の非行の性質,非行者の性行および年齢,留め置いた時間の長さ等,一切の条件を綜合的に考察して,通常の理性をそなえた者が当該の行為をもって懲戒権の合理的な行使と判断するであろうか否かを標準として決定する外はない。

第2問
 授業に遅刻した学童に対する懲戒として、ある時間内、この者を教室に入らせないことは許されるか。

回 答
 義務教育においては、児童に授業を受けさせないという処置は、懲戒の方法としてはこれを採ることは許されないと解すべきである。
 学校教育法第26条、第40条には小・中学校の管理機関が児童の保護者に対して児童の出席停止を命じ得る場合が規定されているが、それは当該の児童に対する懲戒の意味においててはなく、他の児童に対する健康上または教育上の悪い影響を防ぐ意味において認められているにすきない。ゆえに遅刻児童についても、これに対する懲戒の手段として、たとえ短時間でも、この者に授業を受けさせないという処置を採ることは許されない。

第3問
 授業中学習を怠り、または喧騒その他、ほかの児童の妨げになるような行為をした学童を、ある時間内、教室外に退去させ、または椅子から起立させておくことは許されるか。

回 答
1 児童を教室外に退去せしめる行為については、第2問2の回答に記したところと同様、懲戒の手段としてかかる方法をとることは許されないと解すべきである。ただし児童か喧騒その他の行為によりほかの児童の学習を妨げるような場合、他の方法によってこれを制止し得ないときは、−懲戒の意味においててはなく−教室の秩序を維持し、ほかの、一般児童の学習上の妨害を排除する意味において、そうした行為のやむまての間、教師が当該児童を教室外に退去せしめることは許される。
2 児童を起立せしめることは、それが第1問回答1(1)よび2の意味で「体罰」に該当しないかぎり、懲戒権の範囲内の行為として、適法である。

第4問 略

第5問
 ある学童が学校の施設もしくは備品、または学友の所有にかかる物品を盗み、またはこわした場合に、これに対する懲戒として、この者を放課後学校に留め置くことは許されるか。

回 答
 盗取、毀損等の行為は刑法上の犯罪にも該当し、したがって刑罰の対象となり得べき行為でもあるか、同時にまた、懲戒の対象となり得べき行為でもある・刑罰は、もちろん、私人がこれを課することはできないが、懲戒を行なうことは、懲戒権者の権限に属する。ゆえに懲戒のために所間のごとき処置をとることは、懲戒権の範囲を逸脱しないかぎり、差し支えなく、これについては第1問回答の3,4と同様に解してよい。

第6問
 間5のような事故があった場合に、誰がしたのかをしらべ出すために容疑者および関係者たる学童を教職員が訊問することは許されるか。また、そのために、放課後、これらの者を学校に留め置くことは許されるか。

回 答
1 所問のような、学校内の秩序を破壊する行為があった場合に、これをそのまま見のがすことなく、行為者を探し出してこれに適度の制裁を課することにより、本人ならびに他の学童を戒めてその道徳心の向上を期することは、それ自体、教育活動の一部であり、したがって、合理的な範囲内においては、当然、教師がこれを行なう権限を有している.したがって教師は所問のような訊問を行なっても差し支えない。ただし、訊問にあたって威力を用いたり、自白や供述を強制したりしてはならないことはいうまでもない。そのような行為は強制捜査権を有する司法機閥にさえも禁止されているのであり(憲法第38条一項、第26条参照)、いわんや教職員にとってそのような行為が許されると解すべき根拠はないからである。。
2 前記のような訊問のために放課後児童を学校に留めることは、それが非行者ないし非行の内容を明らかにするために必要であるかぎり、合理的な範囲内において許されるもっとも、これは懲戒権の行使としてではなく、前記のごとき教育上の目的および秩序維持の目的を達成する手段として許されるのである。どのくらいの時間の留め置きが許されるかは、第1問回答の4に準じて考えられるべきである。

第7問
 学童に対する懲戒の方法として、その者に対して学校当番を特に多く割当てることは許されるか。

回 答
 懲戒として学校当番を多く割当てることは、差し支えない。ただし、この場合にも、懲戒権の行使としての合理的な限度をこえてはならないのであって、その限度をこえて、不当な差別待遇、または児童の酷使にわたるようなことはもちろん、許されない。

第8問
 遅刻児童を防止するため、遅刻者を出した部落等の区域内の学童に誘い合わせの上、隊伍を組んで登校することを命じることは許されるか。

回 答  遅刻防止のため一定の区域内の児童に対し、誘い合わせて一緒に登校するように指示することは、差し支えない。もっとも、軍事教練的色彩をおびないよう注意すべきである(文部省体育局長発通牒昭20・12・26発体100「学校体練科関係事項ノ処理徹底二関スル件」参照)。

(昭23(1948).12.22 調査2発18 国家地方警察本部長官・厚生省社会局・文部省学校教育局あて 法務庁法務調査意見長官回答)

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通達:生徒に対する体罰禁止に関する教師の心得
1.用便に行かせなかったり、食事時間が過ぎても教室に留めておくことは肉体的苦痛を伴うから体罰となり、学校教育法に違反する。
2.遅刻した生徒を教室に入れず、授業を受けさせないことはたとえ短時間でも義務教育では許されない。
3.授業時間中、怠けたり、騒いだからといって生徒を教室外に出すことは許されない。教室内に立たせる場合には体罰にならない限り懲戒権内として認めてよい。
4.人の物を盗んだり、壊したりした場合など、こらしめる意味で、体罰にならない程度に、放課後残したりしても差し支えない。
5.盗みの場合などその生徒や証人を訊問することはよいが、自白や供述を強制してはならない。
6.遅刻や怠けたことによって掃除当番などの回数を多くするのは差し支えないが、不当な差別待遇や酷使はいけない。
7.遅刻防止のための合同登校はかまわないが軍事教練的色彩を帯びないように注意すること。
(昭和24(1949)年8月2日法務庁発表)

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通達「学校における暴力事件の根絶について」
 最近,教職員の児童生徒に対する体罰事件,生徒の暴行事件等があいついで発 生していることは,まことに遺憾であります。
 このことは,学校における規律の弛緩,指導の不徹底に起因する点があると思 われるので,学校は特に下記事項に留意し,いっさいの暴力行為の根絶に努める よう貴職におかれては格段の配慮をされるよう願います。


1.教職員は,つねに自らの人格の向上に努め,愛情をもって適切な指導を行う  とともに,厳正な態度をもって学校秩序の維持を図らなければならない。

2 児童生徒に対する懲戒は,教育上の必要に基いてなされるものであって,真  に教育的な配慮をもって慎重適確にすべきである。いやしくも一時の感情に支  配されて軽率な処分をするようなことがあってはならない。

3 体罰は,法律により厳に禁止されているところである。教職員は児童生徒の  指導にあたり,いかなる場合においても体罰を用いてはならない。


(昭和32(1957)年7月6日 文初中393 各都道府県教育委員会教育長・各都道府県知事・附属学校を置く各国立大学長・各国立高等学校長あて 文部省初等中等教育局長通達)

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民法第822条
親権を行う者は、必要な範囲内で自らその子を懲戒し、又は家庭裁判所の許可を得て、これを懲戒場に入れることができる。

刑法第204条
人の身体を傷害した者は、10年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

第205条
身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、2年以上の有期懲役に処する。

第208条
暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、2年以下の懲役若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

刑法第35条
法令又は正当な業務による行為は、罰しない。

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