■第一回■ ラジオコメディ『みんな大好き』(NHKラジオ第一放送 毎週日曜日 19:15〜19:55)
『みんな大好き』との出会いは二年前の車の中だった…(なんじゃこりゃ)。
当時(今でもだが)、私は道路キチガイの彼氏に拉致監禁の如く車に押し込まれ、「何とかトンネル」やら、「電車廃線跡の道路」やら、「昔は有名な街道であったローカル国道」やらをひたすら訪ねるとゆー、一般人には耐え難い「レジャー」に付き合わされていた。北関東やら中部地方やら、いろいろな所に行ったが、学習したものは結局、“ラジ再トンネル”という用語だけである(=トンネルに入ってもラジオ電波が途切れないようにしてあるトンネル、のことらしい)。
マニアにとっては、今走るそこは確かに意味を持つものであるが、私にとっては「ただの道」である。退屈である。
彼氏が(嬉々として)持ってくる車中のCD類は、渡辺美里など懐かしきEpic Sony系やゴダイゴなどの類で、70〜80年代ソウルとJazzを愛する私の趣味とは遠くかけ離れたものばかりである。なので、自然ラジオに手が伸びる。
そこで、ラジオコメディ『みんな大好き』に出会った。NHKの夜7時のニュース後、何気なくこれを聞いていたいたら、しっかりした脚本と声優陣の豪華さに驚愕した。すごいのである。
話はいわゆる『サザエさん』系ホームドラマである。「花咲家」が舞台となり、日常に起きるさまざま出来事を通じて一話完結型の人情話を繰り広げる。
一家の当主・花咲大吉に小松政夫▽妻の花江に中村メイ子▽娘あずさに小山茉美▽あずさのムコでマスオさん状態(要するに同居)の祐一郎に堀秀行▽あずさと祐一郎の娘マミに(話芸が爆発しついに二役の)中村メイ子▽大吉の親友で釣り堀→コンビニ経営の伝助(伝ちゃん)に藤村俊二 ▽大吉の母通称“成田のばぁば”に丹阿弥谷津子。これがレギュラーで、毎回、大滝秀治とか川中美幸とか、いつも「すげー」と唸らせるゲストを用意するのである。さっすがNHKである。国の力はやっぱ巨大なのである。
知ってるヒトなら知ってると思うが、小山茉美さんと堀秀行さんといえば声優の中でも大物クラスである。しかし、最もビビるのは中村メイ子であろう。花江バァバと保育園に通う孫のマミを、あきれるほど器用に使い分けて演じている(孫の声は多少ムリはあるが…)。
脚本もよくできているなと思う。今時古くさく感じるくらいにしっかりと構築されているのだ。単発ストーリーなので、その都度ホンの作者は違うのだが、よく耳にするのは坂田俊子さん作とか雪室俊一さんだ。
坂田俊子さんについてはよく存じ上げないが、雪室俊一さんについては調べてみてビックラこいた。なんとあの名作アニメ『Theかぼちゃワイン』(1982〜1984)の脚本を書いていたのである!
雪室氏は超がつくほどベテラン作家で、古くは1965年の『ジャングル大帝』から、最近の代表作ではNHKアニメ『あずきちゃん』(1995〜1998)、現在でも放映中の『サザエさん』を手掛けている(このデータについてはWebサイト「あずき残雪」を参照させていただきました)。
『Theかぼちゃワイン』も『あずきちゃん』も、「いいなぁ〜コレ」と何気に思っていた私にとっては、『みんな大好き』のリスナーになることも、また当然の帰着であったのだ…アハ。
なんつーか、『みんな大好き』は「目線」がいいのだ。どこにでも転がっていそうな話を、うまく話に仕立て上げてほんわかしたりジンワリしたりさせる。
最近のドラマは「んなことあるわけねーだろ」的な、非現実的ストーリーが多く、また視聴者も「ま、ドラマだし」と許しているところがあるが、しかしだな、要するに、こういった普通の話をうまくドラマ化できる脚本家がいなくなっただけじゃねーか、とも思う。
それはともかく、『みんな大好き』は脚本と、それを生かす芸達者の声優陣によって楽しいドラマになっている。だが、例えば『サザエさん』を「家父長制の権化だ!」とか言う人は聞かない方がよい。しかし、私は、家父長制がどーこーなど小難しい話を抜きにしても、声優陣の話芸と脚本の構築度の高さに目を(耳をか)みはる価値は十分にあるドラマだと思う。
とゆーわけで、みんな聞いてね♪聞いてるお方はゼヒBBSまでご一報ちょうだい。友達になりましょう。
ちなみに、『みんな大好き』の音楽は(共同ではあるが)神津善行氏である。娘のカンナ氏も、たまに街の獣医さん役で出演している。
骨の髄までNHK的である。家族と家庭を単位としてとらえる、日本をまさに具現化したラジオ番組である。