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作品を作る時、アカペラでない限りは、曲を決めることになる。あとは生演奏でやらない限りは、録音された音楽(CD、レコードなど)を使う。この「既製の音楽を使って作品を作る」というパターンがもっとも一般的であると思う。舞台やクラスの為に普段から振付をしなくてはならない先生方は、いつも音探しをしている。公演や発表会の前は山のようにCDを買い込んで曲選びをする。これが結構大変な作業なのである。まず曲を聞いて、その曲からイメージが浮かんでくる時は、それほど苦労せずに済む。しかし作品の構成やイメージが先にあって、後からそれに合う音を探すのはとても困難である。作品の善し悪しの半分は選曲で決まると僕は思います。あと選曲にはその人のセンスがすごく出ますね。
その選曲には、いくつかのポイントがあります。その音が、大人数で踊るイメージか、デュエットか、ソロか?タップの音とのバランスはどうか?曲の終わりはカットアウトか、フェイドアウトか?踊れるテンポか?曲の構成が気に入らなかったり、長すぎる時は、編集もする。それともう一つ、僕が気にすることは、その音が、踊る場所に適しているかどうかである。たとえば小劇場なのに、フルオーケストラの曲が流れると、僕は興醒めしてしまう。実際にその小さな舞台で、オーケストラの演奏が行われることがあると信じられないからである。あと僕は、レッスン以外では、ボーカルの入った曲は絶対使わないです。歌というパフォーマンスは、とても強いので、その音楽が実際今そこで行われていないことを気付かせてしまうからである。(逆を言えば、映画などは、音も映像も過去に起こったことなので、そういう違和感はない)
そもそも、録音された音は、過去のパフォーマンスである。そこに、現在舞台で進行しているパフォーマンスを融合しなくてはならない。見ている人に、音とパフォーマンスが同時に起こっているように信じさせなければならない。もっとも普通のお客さんがそんなこと気にして観ていることはないのですが、僕は、生演奏で踊ってた知人の舞台を観て、ハッと気が付いてしまいました。その時、演奏とパフォーマンスの空気が、一緒に伝わってきたんです。再生した空気とちがうんですよ。この空気の一体感を知ってしまうと、CDなどで踊ることがウソに感じてしまいました。
たとえば、どんなに良い作品を作って、周りから「良かった」と言われても、それは、その曲に合った良い振付をしたという評価だけで、半分は曲の力である。だから「よそ様のパフォーマンスの再生」であるCDを使用して出来た作品、公演は、本当の意味でオリジナルとは言えないんでしょうね。
それではCDなどの録音物の長所はと言うと、僕のような振付で踊る人間にとって、同じ演奏をしてくれるCDのが作りやすい。特にジャズの場合は、2度と同じ演奏はないので、インプロ(即興で踊る)なら、そこが面白いところだが、振付の場合は、ミュージシャンとちゃんと打ち合わせをしておかないとエライことになる。それとCDだと曲を聞き込むことができるので、音に合った振付ができる。それに下手なミュージシャンの生演奏よりは、一流のミュージジャンのCDの方が良い場合がある。オスカーピーターソンやカウントベーシーなど、それらのレコーディングの完成度は高い。聞いていて、踊りたくなる。
アメリカにJAZZ TAP EMSEMBLEというグループがあります。それはダンサーが毎回パフォーマンスに必要なミュージシャンを雇うのではなく、ミュジシャンもグループのメンバーで、いっしょに作品を作っていくという感じの集団です。ミュージシャンといっしょに話し合いながら、曲作り、振付ができる、夢のような環境であると思う。いつもいっしょに活動しているから、ミュージシャンもタップを理解しているし、ダンサーも安心して踊れるのであろう。自分のパフォーマンスの為の演奏で踊って、初めて本当に「オリジナル」といえる作品が作れるのであろう。
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