
1930年代のハリウッドはすごく活気がある時代で、豪華絢爛なミュージカル映画が沢山作られている。この頃のワーナーブラザーズもMGMに負けないくらいミュージカルに力をそそいでいて、Ruby Keeler主演で何本も大作を制作していた。そのKeelerと1937年[Ready,Willing and Able]で共演したのがこのLEE DIXONである。ちょっとジェームスキャグニーのような顔だちで、いかにもニューヨーカーという感じ。ダンサーとしてはけしてスマートな踊り方ではないが、俗に[All American Boy]というアメリカ人が好む好青年のタイプなのである。実際に彼はブルックリン生まれ。1937年前後にワーナーのミュージカル作品に4本出演している。このようなメジャーな会社の映画に出演しているのに、ミュージカル映画やタップについて語る時、彼のことが取り上げられる事はまずない。スターとしての強い個性がなかったからかもしれません。彼のキャリアでもう一つ大切なのは、1943年にブロードウェイの「オクラホマ」の初演の舞台でWill Parkerの役をやっている。(映画板ではGene Nelson)「オクラホマ」はバレエでストーリーと感情表現を示した最初の作品で、これ以後ミュージカルからタップを閉め出すキッカケになった。ハリウッド黄金時代の銀幕でタップを踏み、ストーリーにリアリティを求めてタップを排除した最初の作品に主演するという両極端なキャリアを持つことでもユニークな人物である。
さて、この映画のオープニングタイトルでは主演扱いで名前が出ているのに、筋書きではKeeler の恋人役はRoss Alexanderという5番目に名前が出てくる人の方で、彼は脇で二人を見守っているような友人役という変なキャスティングであった。しかしオープニングでソロ、Keelerとデュオで2曲タップを踏むシーンがある。映画の最初のシーンでクリーニングのズボンが届くのを待ちながらリハーサルをしている。上はちゃんと上着を着ているのだが下はトランクスだけ。その格好でタップを踏むのが彼の登場シーンである。なんか情けなくて笑えるのだが、ここでは映画のクライマックスであるタイプライターのシーンを紹介します。
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| シーンはまずRoss Alexanderのオフィスから始まる。秘書とたくさんの美人タイピストが並んでいる。Rossが歌いながらみんなにラブレターの内容を書き取らせている。(仕事しろ!)曲は[Too Marverlous For Wards]で、これはスタンダードにもなってる。「君は言葉で表せないくらい素晴らしい」というようなラブソングである。その場面が終わると、Ruby Keeler の部屋になる。部屋には意味もなく同じ服をきた女性たちが同居している。ラブレターを受け取ったRubyは返事を書く為タイプライターの前に座る。カメラがタイプライターにクロースアップすると、文字を打つバーが女性の足になっていてバタバタやっている。その前のアルファベットのキーの上をRuby とLee Dixonがタップを踏む。4段の階段状になった所を巧みに踊ってみせる。ウィングしながら下りてきたり、キーからキーに自由自在にのり移るのは大変だろうが、見てるとチャレンジしてみたくなる。タイプライターから降りて一くだり踊って最後に握手で終わる。恋人役だったらここでキスするのに。やっぱり変な映画だ。最近はなんでもコンピューターグラフィックで処理してしまうが、そんな技術がない時代に、こんなドデカいタイプライターをこしらえてしまうバカバカしさが素敵である。 | ||
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