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ニューヨーク・WTCテロ事件
【ニューヨーク・WTC(ワールド・トレード・センター)テロ事件】(No.4)

アフガンからの手紙
2001年9月23日(日)

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 一人でも多くの方に読んでいただきたいとのことですのでご紹介します。

 国連難民高等弁務官カンダハール事務所で働いていらした方千田悦子(ちだ・えつこ)さんという方の手記です。


 千田さんは、国連難民高等弁務官カンダハール事務所で仕事をしていましたが、オサマ・ビン・ラディン氏をかくまっているとされるタリバンの本拠地へのアメリカの軍事行動などの危険性が出てくる中、一時的に勤務先をパキスタンに移転するという措置で、「避難」をしていますが、その緊急避難の最中に書かれたものです。

 以下、千田さんの手記です。

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報道機関の煽る危機感

 9月12日(水)の夜11時、カンダハールの国連のゲストハウスでアフガニスタンの人々と同じく眠れない夜を過ごしている。
 私のこの拙文を読んで、一人でも多くの人がアフガニスタンの人々が、
(ごく普通の一人一人のアフガン人達が)、どんなに不安な気持ちで、
9月11日(昨日)に起きたアメリカの4件同時の飛行機ハイジャック襲撃事件を受 け止めているか、少しでも考えていただきたいと思う。

 テレビのBBCニュースを見ていて心底感じるのは、今回の事件の報道の仕方自体が政治的駆け引きであるということである。
 特にBBCやCNNの報道の仕方自体が根拠のない不安を世界中にあおっている。
 事件の発生直後(世界貿易センターに飛行機が2機突っ込んだ時点で)
BBCは早くも、未確認の情報源よりパレスチナのテログループが犯行声明を行ったと、テレビで発表した。それ以後、事件の全貌が明らかになるにつれてオサマ・ビン・ラディンのグループの犯行を示唆する報道が急増する。

 その時点でカンダハールにいる我々はアメリカがいつ根拠のない報復襲撃をまた始めるかと不安におびえ、明らかに不必要に捏造された治安の危機にさらされる。何の捜査もしないうちから、一体何を根拠にこんなにも簡単に、パレスチナやオサマ・ビン・ラディンの名前を大々的に報道できるのだろうか。そしてこの軽率な報道がアフガンの国内に生活をを営む大多数のアフガンの普通市民、人道援助に来ているNGO(非政治組織)NPOや国連職員の生命を脅かしていることを全く考慮していない。

 1998年8月にケニヤとタンザニアの米国大使館爆破事件があった時、私は奇しくもケニヤのダダブの難民キャンプで同じくフィールドオフィサーとして働いており、ブッシュネル米国在ケニヤ大使が爆破事件の2日前ダダブのキャンプを 訪問していたという奇遇であった。その時も物的確証も無いままオサマ・ビン・ラディンの事件関与の疑いが濃厚という理由だけでアメリカ(クリントン政権)はスーダンとアフガニスタンにミサイルを発射した。
 スーダンの場合は、製薬会社、アフガンの場合は遊牧民や通りがかりの人々など大部分のミサイルがもともとのターゲットと離れた場所に落ち、罪の無い人々が生命を落としたのは周知の事実である。まして、標的であった軍部訓練所付近に落ちたミサイルも肝心のオサマ・ビン・ラディンに関与するグループの被害はほぼ皆無だった。

 タリバンやこうした組織的グループのメンバーは発達した情報網を携えているので、いち早く脱出しているからだ。前回のミサイル報復でも、結局、犠牲者の多くは、子供や女性だったと言う。

 我々国連職員の大部分は、今日緊急避難される筈だったが、天候上の理由として国連機がカンダハールに来なかった。
 ところがテレビの報道では「国連職員はアフガニスタンから避難した。」と既に報道している。
 報道のたびに「アメリカはミサイルを既に発射したのではないか。」という不安が募る。
 アフガニスタンに住む全市民は、毎夜この爆撃の不安の中で日々を過ごしていかなくてはいけないのだ。更に、現ブッシュ大統領の父、前ブッシュ大統領は、1993年の6月に同年4月に イラクが同大統領の暗殺計画を企てた、というだけで、同国へのミサイル空爆を行っている。世界史上初めて、「計画」(実際には何の行動も伴わなかった?) に対して実際に武力行使の報復を行った大統領である。

 現ブッシュ大統領も今年(2001年)1月に就任後ほぼ最初に行ったのが、イラク へのミサイル攻撃だった。
 これが単なる偶然でないことは、明確だ。更にCNNやBBCは、はじめからオサマ・ビン・ラディンの名を引き合いに出しているが、米国内でこれだけ高度に飛行システムを操りテロリスト事件を起こせるというのは、大変な技術である。なぜ、アメリカ国内の勢力や、日本やヨーロッパのテロリストのグループ名は一切あがらないのだろうか。
 他の団体の策略政策だという可能性は無いのか?国防長官は早々と、戦争宣言をした。アメリカが短絡な行動に走らないことをただ祈るのみである。

 それでも、逃げる場所があり明日避難の見通しの立っている我々外国人は良い。
 今回の移動は、正式には、避難(Evacuation)と呼ばずに 暫定的勤務地変更(Temporary Relocation)と呼ばれている。
 ところがアフガンの人々は一体どこに逃げられるというのだろうか?
 アメリカは隣国のパキスタンも名指しの上、イランにも矛先を向けるかも しれない。前回のミサイル攻撃の時はオサマ・ビン・ラディンが明確なターゲットであったが今回の報道はオサマ・ビン・ラデンを擁護しているタリバンそのものも槍玉にあげている。
 タリバンの本拠地カンダハールはもちろん、アフガニスタン全体が標的になることはありえないのか?

 アフガニスタンの人々もタリバンに多少不満があっても20年来の戦争に比べれば平和だと思って積極的にタリバンを支持できないが、特に反対もしないという中間派が多いのだ。

 世界が喪に服している今、思いだしてほしい。世界貿易センターやハイジャック機、ペンタゴンの中で亡くなった人々の家族が心から死を悼み、無念の想いをやり場の無い怒りと共に抱いているように、アフガニスタンにも、たくさんの一般市民が今回の事件に心を砕きながら住んでいる。
 アフガンの人々にも嘆き悲しむ家族の人々がいる。世界中で、ただテロの“疑惑”があるという理由だけで、嫌疑があるというだけで、ミサイル攻撃を行っているのは、アメリカだけだ。世界はなぜ、こんな横暴を黙認し続けるのか。
 このままではテロリスト撲滅と言う正当化のもとに、アメリカが全世界の“テロリスト”地域と称する国に攻撃を開始することも可能ではないか。
 この無差別攻撃やミサイル攻撃後に、一体何が残るというのか。
 又、新たな報復、そして、第2、第3のオサマ・ビン・ラディンが続出するだけで何の解決にもならないのではないか。
 オサマ・ビン・ラディンがテロリストだからと言って、無垢な市民まで巻き込む無差別なミサイル攻撃を国際社会は何故過去に黙認しつづけていたのか。

 これ以上世界が、危険な方向に暴走しないように、我々も、もう少し、声を大にしたほうが良いのではないか。
 アフガンから脱出できる我々国連職員はラッキーだ。不運続きのアフガンの人々のことを考えると 心が本当に痛む。
 どうかこれ以上災難が続かないように今はただ祈っている。そしてこうして募る不満をただ紙にぶつけている。

千田悦子    2001年9月13日 筆



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 この「アフガンからの手紙」は、人を経由して私の手元に届いたものです。

 経由してきた方に、このサイトに掲載しても良いか尋ねたところ、お返事を戴きました。


 (前略)
 「HPへの掲載」

 多くの方々に読んでいただきたいという趣旨からは、HPへの掲載も効果的だと思います。
 ただし,この場合,結果的に不特定多数の人が対象となってしまいます。
 多くの場合,問題は生じないと思うのですが、この時代、それを悪用する輩がいるのも事実です。
 HPへの掲載については、やはり,***さん本人(「アフガンからの手紙」の著者)の了解が取れたほうが良いと思います。
 ただし,現状では無理ですので、現在のところ、全文のHPへの掲載は控えていただければと思います。
 ただし、***さんのメッセージをベースに(一部の引用も含め)、HPを開いている方が、じぶんの著作物として書かれたものを掲載することには,問題はないと思います。
(後略)


 この「アフガンからの手紙」の趣旨を鑑みると、不特定であろうとなかろうと、出来る限り多くの方々に読んでもらいたいはずだと、私は考えます。ですから、HPに掲載することは、著者の望むところだと考えます。

 そこで、中庸を取って、あえて著者の名前を伏せるなど、一部、手を加えて掲載しようと思います。

 上述の****さんご本人(「アフガンからの手紙」の著者)に連絡がつき、掲載の了解を得られれば、お名前も明記できると思います


松田 哲

2001年9月25日(火)加筆



 別のルートでも、「アフガンからの手紙」が回って来ました。
 そちらは、「アフガニスタンからの手紙」のタイトルでした。
 このことを考えると、かなりの人達の間で、このメールが転送されているということでしょう
 そこで、手を加えずに、そのままの文章で掲載することにします。


2001年10月4日(木)加筆


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 こういった「著作物」の取り扱いは、難しいところがあると思います。
 ただ、著者の訴えたかったことは、【戦争の回避】であり、米国内、及び、国際的な世論が、【報復肯定】に向かう中、今一度、考えてほしい、アフガンにも無実の人々がいるのだ、そういった人達が犠牲になって良いのか、といったことなのだと思います。
 今、この時期を外すと、訴えても遅きに失する内容ですし、掲載は早い方が良いはずです。


 この文章からは、現地からの、現場からの悲痛な叫びが、聞こえてくるようです。この「アフガンからの手紙」の著者ご自身は、名前を公表することなど恐れていないでしょうし、むしろ、望むところだと、きっと、お答えになると、私は確信しています。

 そこで、万が一、お叱りがある場合には、私が独断で発表したので、私が陳謝するつもりでいます。

 9月25日に、掲載内容を書き加えましたが、9月23日から9月26日までの3日間で、アクセスは40弱です。私自身がアクセスしていることや、読者が重複することを考えれば、1日10人程度のアクセスです。
 残念ながら、この程度のアクセスでは、影響・反響も知れていることと思います。

 加えて、誤解なきように説明しておきますが、今回のWTC(ワールド・トレードセンター)テロ事件で、以前に一緒に働いていた仲間が殺されたので、私自身は、少々感情的になっていると思います。
 正直なところ、私は、報復活動に賛成です。
 その考え方は、「報復は、さらなる報復と、憎しみしか生まない」といった批判を受けることも充分に理解しています。それでも、自分の素直な感情に従うならば、今回のテロ事件の首謀者を、断固として、糾明し、その罪を償わせるべきだ、と考えています。
 そう考えたのは、私自身ですので、あえて、文章の中に、自己責任を明記する意味で、私の名前と日付を掲載しました。 (→ こちら


(インパクに参加する以前は、あまり、私自身の名前はHP上には掲載していませんでした。ネット上の情報は、誰が発信源であろうと、たいした問題ではないからです。 それは、無責任とは違います。−−−悪意の無責任者がネット上に存在することも事実だと思いますが。
 インパクは、政府主導なので、住民票や誓約書の提出から、インパク会場内ページには、それぞれ、設営者名を明記するなど、細かいルールがあります。)


 何はともあれ、この文章からは、現地で難民救助活動をしている方の悲痛な思いが伝わってきます。
 この【アフガンからの手紙】を掲載して、ひとりでも多くの人に、著者の声を、私自身が、伝えたいのです。


松田 哲

2001年9月30日(日)



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