融資というお仕事

 融資担当をを二回経験していますが、その時の経験をお話したいと思います。

融資も楽しかったなー
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【融資というお仕事】
    
 企業にお金を貸し出すと言うことは、個人の住宅ローンとは違い、大変な仕事です。会社の中身を詳細に財務分析を行い、適正な金利・期間・担保などを勘案して案件の可否を判断します。財務の知識、不動産登記の知識、金利マーケットの知識などが要求されることから、市中銀行ではある程度経験を積んだ社員でなければ融資担当にはなりません。しかしながらわが社は、若者を担当にするという伝統があり、地銀や都市銀行の課長クラスと亘り合って貸出を行っていました。

 配属されたばかりの時は、何をやっていいのかチンプンカンプン。「登記調査やった?」と言われてもなんのことやらですし、「来月の長期プライム上がるんだったら、今月中に借りたいな」(稟議や事務が間に合わないよー)と言ったことがしばしば。最初の半年は、毎日午前様で土日も出社ということがよくありました。本当に辛くて、会社を辞めようと思ったことが何度あったことか。

 半年ほど経ち、仕事にも慣れてくると、すごく楽しくなります。ある程度権限をもたされているので、融資先のカウンターパートナーも経理部長クラスや取締役クラスが普通で、時には社長と交渉することもありました。苦労して、50ページを超えるような稟議書を完成させ、貸出を実行した時には満足感があります。先方にも感謝されるので、「銀行員をやっていてよかったな」と思う瞬間です。


【財務分析】

 融資先から頂いた、3年分以上の貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)を元に、諸比率や変化率を計算(これはコンピュータでやってくれる)した表を使い、企業の債務返済能力を分析する。時に、粉飾決算を見抜いたりすることもあり、非常に重要な作業です。(粉飾は、どこかに必ず不自然な変化が現れるものです)

 融資は、長期貸出が多かったのですが、長期資金を貸出す際には償還年限という数字を計算します。具体的には、償還年限=要償還債務÷(税引き後当期利益+減価償却費)です。つまり今期の内部留保の何倍の借入れをしているかということです。

 バブル期の終わりごろに融資担当にいたのですが、この償還年限が100年以上という貸出も結構あって、借り換えを永遠に続けなければ倒れるという会社にずっと貸していた(どこの銀行も)ということになります。(今で言うところの、要注意先・要管理先債権ですね)


【担保評価】

 これも重要な仕事の一つです。バブル期には、担保があれば上述の償還年限など気にしないというような状況で、銀行は担保を多め(甘く)評価して、より多くの資金を貸し出そうと色々と担保を考えたりもしました。(工場財団の組成・債権譲渡予約担保など)

 ただし、上述の担保などは実際に破綻した時に評価額の半分も回収できないことが判り、現在では非常に厳しく評価されていると思われます。(これを貸し渋りと言うマスコミもあり)

 時価1億円の不動産に根抵当権を設定して、いくらぐらい借りれると思いますか?答えは5400万円程度です。まず、時価の7割が担保価額(7000万円)。ところが借入金の1.3倍この担保価額がないと原則貸出が出来ません(7000÷1.3=5385万円)。延滞利息は年利14%が一般的ですが、民法で2年分までしか担保でカバーされないということになっています。元本と2年分の延滞利息で128%、つまり約1.3倍の根抵当を付けてやっと借入れができるということになります。

 バブル期の貸出が異常であったので、原則どおりに貸出をしようとしたら(当局もその方針)、会社は今までの半分しか借りれない(でも当局は貸出を増やせという)。これを貸し渋りと言うのが妥当かどうか、個人的には債務者の甘えの部分も多いと思うのですが皆さんはどうお考えでしょうか?

 不動産を評価し、登記簿調査することで、ノウハウも蓄積されます。この頃、自己啓発で宅地建物取引主任者の資格をとったのですが、これも仕事に役立ったと思っています。CFPの不動産の試験はかなり楽でした。


【金利期間の設定】

 金利や、期間の設定も重要な仕事です。借りるほうから見れば、金利は安くて期間は長いのに越したことは無いのですが、銀行にとってはその逆ですから交渉が必要になります。

 金利は、通常TIBOR(TOKYO INTERBANK OFFERRED RATE)スプレッドで表示されます。つまり、T+150bps(bpsは0.01%)などと表現します。このスプレッドは、期間が長くなるほど、倒産リスクが増えるので高目になります。安くて不安定な短期資金を借りるか、少々高くても、長期資金を借りるかは、会社の判断です。

 もう一つは、信用リスクに対するスプレッドです。これはRAROC(RISK ADJUSTED RETURN ON CAPITAL)という概念があるのですが、ここでは書ききれないのでまた今度。これは不安定な会社ほど、倒産するリスクが高いので余分に金利を貰い、積み立てておいて貸倒れに備えるということだと覚えておけばよいでしょう。


 単に、金を貸すだけでもこれくらいの知識は必要ですし、他にも、商材斡旋や、預金・運用商品の販売等勉強は欠かせません。少しでも、銀行の一面を理解していただければ幸いです。






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