
随筆「新・人間革命」/83/法悟空/
詩情の韓国・済州島――麗しき同志の前進に栄光燦たれ!――
空が光っていた。
海が光っていた。
自然も、街も、輝いていた。
島の中央にそびえる漢拏(はるら)山の裾野は、緑のガウンに包まれ、光の詩を奏でていた。
わが憧れの済州(チェジュ)島は「麗しき宝の島」であった。
詩情の島であった。
人を詩人にする島であった。
苦難の嵐を越えて、晴れ渡る空のごとく、美しき心と心を結ぶ「平和の島」であった。◇
五月十六日、私は、済州島を初めて訪問した。
前日に、待ちに待った「韓日友好の碑」(福岡研修道場内)の除幕を見届けて、一年ぶり三度目の訪韓である。
今回、私は、お招きをいただいた国立済州大学から、栄えある「名誉文学博士号」を授与された。十七日のことである。
お元気な趙文富(チョームンブ)総長と、済州大学の、大海のごとく寛大なる友情に、改めて衷心からの感謝を記しておきたい。
しかも、ご多忙のなか、わざわざ、慶煕(キョンヒ)大学学園長の趙永植(チョーヨンシク)博士、忠清(チュンチョン)大学の鄭宗澤(チョンジュンテク)学長が祝福に駆けつけてくださったのである。
深きご厚情に、涙あふるる思いであった。
かつて、傲慢な日本は、人倫を踏み外し、この「文化の大恩人の国」「師匠の国」を蹂躙した。
その韓国から、こうした栄誉をいただくことが、どんなに重大な意味をもつものか、私はよくわかっているつもりである。◇
式典には、済州島の友をはじめ、わが韓国SGIの同志の代表も参加され、喜びをともにしてくださった。
さらに、韓国民団(在日本大韓民国民団)の大阪府地方本部等からも、三人の代表の方が参列されていた。
済州島と日本の縁は深い。
古くは、七世紀、済州島が「耽羅(タムラ)国」であった時代から、日本との交流は始まっていた。
そして今日、在日韓国人の約二割の人が済州島の出身といわれる。
なかでも、関西とのつながりは強く、わが関西文化会館にほど近い生野(いくの)区、東成(ひがしなり)区を中心として、多くの方々が大阪に住んでおられる。”常勝関西”の、偉大な同志も、大勢活躍されている。一九二二年、済州島と大阪を結ぶ、定期船の直通航路が設けられた。これが、済州島出身の方々が関西に多くおられる契機となったようだ。
もちろん、日本の植民地支配を背景にしたものであり、以来、「在日」の方々が歩んでこられた歴史は、どれほど苦渋に満ちた幾歳月であったことであろうか……。
ともあれ、私は、この度の栄誉は、言語に絶する苦労を重ねてこられた、韓国と「在日」の同志の皆様とともにお受けしたものと思っている。◇
今、済州島は、美しき緑と花の競演のなかにあった。
しかし、国花・無窮花(ムグンファ)の高貴な彩りを見るには、厳しい夏を待たねばならない。
炎暑の逆境に耐え、人びとの心を励ますがごとく、咲き誇るその姿は、あまりにも気高い。
しかも、夜明けに咲いて夕べにしおれる「一日花」でありながら、夏から秋まで、日々新たに咲き続ける。
ゆえに、無窮花には、不屈の韓民族の魂が込められ、「生命力の強さ」「根気強さ」「勤勉さ・進取性」等を象徴しているともいわれる(李相煕著『花から見た韓国文化』より)。◇
無窮花のごとく――それは、愛する韓国の友の、忍難と勝利の歴史と二重写しになる。
皆様が、どれほど厳しき冬を耐え抜いてこられたか!
歯を食いしばり、社会に根を張り、信頼と幸福の種を蒔き続けてこられたか!「永い冬を耐えたわたしは/草のように甦える。
愉しげなひばりよ/どの畝(うね)からも歓喜に舞いあがれ」
(「春」伊吹郷訳)”青春詩人”尹東柱(ユンドンジュ)、この詩のごとく、韓国の同志は、堂々と勝ってきた。
不屈の魂で、世界のSGIの希望の花園となった。◇
現在、韓国SGIの本部には、”非暴力の勇者”ガンジーの像が設置されているが、「韓国のガンジー」といえば、独立運動の父・安昌浩(アンチャンホ)先生である。
その先生が、一九一三年に、独立の担い手となる人格修養団体「興士団」をつくられた時、最も重視されたことの一つが「団結」であった。
しかも、正義を目的とした、不変にして不壊(ふえ)の団結を謳い、それを「神聖団結」と呼んだのは有名である。
我らの立場でいえば、「異体同心」である。広宣流布という大目的への、金剛不壊なる信心の団結である。◇
さらに、安昌浩先生は、常に教えておられた。
「百回話すことよりも一回示すことがもっと有効でしょう。『務実力行(むじつりきぎょう)』する一人の人が『務実力行』を話す百人よりももっと強い感化力があります」(李光洙著・具末謨訳『至誠、天を動かす』より)
「務実力行」とは、”真実(まこと)に努めよう””行(おこない)に力(つと)めよう”という意味である。
口では立派そうなことを言いながら、人にやらせるだけで、自分は何もしない。何も行動しない。そんなリーダーの「嘘」ほど、皆の信頼を破壊し、団結を破壊するものはない。
反対に、率先垂範の一人立つ賢者があるところ、必ず、広宣流布の大波が起こっていく。
これが「人間革命」の原理である。
その雄々しき獅子と獅子のスクラムゆえに、学会は断固として強いのである。
韓国の大発展は、朴在一(パクチェイル)理事長をはじめ、誠実を貫き、苦難の嵐を耐え抜いてこられた勇将たちの栄冠なのである。
これこそ「世界の模範」であると、心から称えたい。◇
御聖訓には「心清ければ土も清し」(御書384p)と仰せである。
日々、勝利の笑顔にも似た、済州島の晴れやかな空を見上げつつ、私は、心で合掌せずにはいられなかった。
わが愛する同志に幸福あれ、栄光あれ、無限の前進あれ!
いかなる波浪があろうとも、韓国と日本の、平和と友情の不滅の虹の橋よ、二十一世紀の大空に、満面に笑みをたたえながら架かりゆけ!
1999年5月24日(月)掲載