排泄・尿失禁の介護
排泄の介護を受ける被介護者の心理
人間にとって排泄は、生命を維持する上で欠かせないものです。日本人の排泄に対する見方として「汚いもの・不潔・話題にするのは下品である」などがあります。排泄機能は生殖器と近い部分にあり、男女差も大きいことから羞恥心をともなうのです。そのため、誰もがひとりひとりの習慣化した方法で「人知れず」自然な形ですますことを望んでいます。しかし、何らかの理由によって、排泄を他者に委ねなければならない状況が生じた時、「情けない」「自分は生きている価値のない人間になってしまった」などの思いを抱くことが多いのです。また、介護者に「遠慮」や「気兼ね」をし、尿意や便意があってもおむつを使用し、できるだけ迷惑をかけないようにする場合があります。さらに排尿の失敗が心配で外出を控え、家の中に閉じこもり、寝たきり・ひきこもり状態を引き起こす原因となりかねません。このように排泄の介助を受けることは被介護者に心理的にも社会的にもさまざまな苦痛を与え、人間の尊厳そのものにかかわる問題となる場合が多いのです。このような心理を理解し人格を尊重しそれらを損なうような言動に注意しなければなりません。そしてできるということが自信へもつながっていくということを大切に取り組んでいく心構えが大切です。
排泄介助における観察・留意点
排泄リズムや習慣を活かし、また排泄時の体位は自然の体位を保ち排泄できるよう目指し、環境を整えていることも大切です。
尿意・便意の把握:まず、尿意・便意の訴えに応じた介護をする必要があります。
プライバシーが守られること。 清潔が保たれること。
【尿意・便意の訴え方】ひとりひとり訴え方は異なり常日頃の観察が必要です。
○自発的に排泄行動を起こす
○言葉で表現する
○行動で表現する(落ち着きがなくなる、腰をあげたり動かすなど)
○尿意・便意なく、行動でも示さない
排泄動作の自立度の把握
排泄の一連の動作が、どの程度自分で安全かつ確実に出来るかを把握します。また、ゆっくりであれば自分で可能であっても、間に合わない場合があるかどうかなども確認しましょう。同時に、本人の意欲や希望もふまえて取り組みましょう。
【排泄動作】
○ベッドから起きて座る
○トイレまで歩行する。または車椅子に移乗する。ベッドからポータブルトイレに移乗する。
○座る姿勢を保つ(10分程度)
○便座より立ち上がる
○腰より下の衣類の着脱ができる
○排泄後の清潔動作(陰部、肛門周囲の清拭、手洗い、トイレの水を流すなど)ができる
【評価基準】
3:手伝いなしで自分でできる。 2:補助具や少しの手伝いがあれば自分でできる。 1:大部分手伝いが必要である。 0:手伝ってもできない。
排泄量の観察
1日尿量、回数、排泄時間、性状(色や混入物の有無など)や、食事量や水分量や運動との関連などを観察します。下痢が続いている高齢者の場合は、脱水症状の観察や予防に努めます。その他、残尿(便)感の有無、排尿(便)前後の痛みの有無、排泄中の不快感・違和感の有無、排尿(便)困難の有無、下腹部の膨満、排泄に対する不安感など把握・観察が大切です。
トイレでの介助
介助の内容としては、排泄の一連の動作である歩行、車椅子への移乗、移送、便器からの立ち上がりの介助、衣類の上げ下げ、清潔動作の介助などがあります。排泄は「トイレでしたい」という被介護者の思いや意欲を支えられるように介助する必要があります。また、転倒などの危険を予防するため履物は滑りにくいものを使用すると良いでしょう。
ポータブルトイレ
ベッドからポータブルトイレへの移乗は自力または介助で可能だがトイレまでの歩行や座位保持が短時間しか出来ない場合に主に用いられ、また夜間のみ危険をさけて利用し昼間はトイレに行く場合もある。ポータブルトイレは椅子式のものと移乗式のものがあり、家具調で一見すると便器とはわかりにくいものもあります。