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世界中で愛される日本の水とお酒 (軟水・硬水、伏水・宮水、女酒・男酒) 神戸や横浜の港に接岸する外国航路の船舶は、好んで、日本の水を船腹一杯に飲み込んで出帆します。そのわけは、日本の水は世界一美味だからなのです。 第二次大戦集結直後、米軍が、バヤリース・オレンジ・ジュースのコンク、即ち濃縮原液を持ち込んで、当時、芦屋にあった、「ウイルキンソン・タンサン会社」に、米軍用に特別に美味な清涼飲料「バヤリース・オレンジ・ジュース」を瓶詰めに造るように命じました。既に、米軍は、芦屋の炭酸水は、世界一美味いと評価していたのでした。「ウイルキンソン・タンサン」の当時の社長は筆者が戦前より親しくしていたFred.Pyne氏の奥さんの兄さんに当たるお方でした。同じ形のビンに詰められたバヤリースオレンジジュースも、進駐軍用のものは、特別なレシピーでしたので、とても美味でした。一般日本国内市場に出回ったものは、水気の部分が多い様に感じました。 それにつけても、日本のコカーラなんかは、香港などで飲む、同じブランドものでも、味に格段の差がわかるほど美味なのです。やはり、日本の水は美味しいのです。 ******************** さて、硬水とは、水の中のカルシウム、マグネシウムなどミネラル分の多い水のことをいいます。 一般に全硬度(ミネラルの含有量)が14以上を硬水、8程度を中硬水、3以下を軟水とよびます。 伏見の水の硬度は、5から7程度で、中硬水です。 伏見の地層は花崗岩(かこうがん)でできており、この層からほどよい量のミネラル分(カルシウム、カリウムなど)が水に溶けだしてくるため、中硬水となります。これに対し、灘の宮水の場合、地層に貝殻層があるのでカルシウムなどの溶出量が非常に多く、硬度の高い水になります(全硬度9〜11)。地下水が通過する地層によって、水質に特徴が表われてくるわけです。 昔から伏見の酒は、この中硬水を用い、比較的長い期間をかけて発酵させています。このため酸が少なく、なめらかで、きめの細かい淡麗な風味が生まれてきました。灘の酒は、酵母の栄養源となるミネラル分が多い硬水のため発酵期間が短かく、やや酸の多い辛口の酒になりやすいといわれています。 さらに、伏見の酒は「京料理に合う酒」として洗練されていったのに対し、灘の酒は江戸の人々の嗜好に合う「江戸送りの酒」としてそのタイプが次第につくられていったようです。こうしたことから、昔は伏見の「女酒」に対し灘の「男酒」とよばれました。 伏見と言えば、「月桂冠」。 月桂冠の創業は、今から約360余年前の寛永14年(1637年)。初代大倉治右衛門が、京都・伏見に「笠置屋」を開業した時にさかのぼります。酒銘は「玉の泉」と称したそうです。東方に桃山丘陵をひかえた伏見は、昔から良質で豊富な地下水に恵まれた土地。しかも宿場町としての地の利も得て、笠置屋はおおいに栄え、伏見の酒は全国的に広まっていったのでした。 一方「沢の鶴」は、灘のお酒です。 元禄時代、赤穂の浪士、四十七士が吉良邸に討ち入るに先立って、浪士全員、酒を飲み交わしたのは辛口で有名な男酒、灘の「剣菱」でした。芦屋川の河口に近い右岸に現在酒蔵があります。参考までに、「剣菱酒造」のHPの覗くと次のことが解ります。水質も重要なれば、それ以上に酒米にもこだわりがあるようです。剣菱の酒米は「山田錦」と言う米が、あの切れのよい味を醸し出しているようです。 ●剣菱の味とは?(以下対話形式) 神戸:そうまでこだわっていらっしゃる剣菱の味と山田錦の関係 については如何お考えでしょうか。 白樫:「剣菱」というのはどういう味なのかというと、それはお米の味を全部お酒の中に溶かし込んだ、濃醇な味です。そして「こし」がある。そういうタイプのお酒です。 「こし」は水が造ってくれますので、味の部分、いつまでもべたっと甘いだらけた味ではなく、しっかりとした後味、そういうものを考えると、山田錦というお米が一番味が出ます。しかもお酒の味に邪魔になる成分が少なくて、精白度をあげる必要がなく全部お酒の中に溶かし込んでも良い味になる。そういうお米が山田錦です。 次に、吟醸酒「道灌」について少しくお話致しましょう。実は筆者は、「道灌」の酒蔵のご主人とは、幾度か拝眉の機会を得ました。 「剣菱」の直ぐ近くに、銘酒「道灌」の酒蔵もあります。道灌は、元々江戸城縁りとして、その昔、隅田川上流の水を用いて醸造されたものと承っておりますが、水質が劣るにつれて、灘に酒蔵を移したのです。 道灌の醸造元は、室町後期の武将、太田道灌の子孫が苗字帯刀を捨てて、酒造三昧に励んだのでした。現在の太田酒造は、道灌直系の末裔です。 太田道灌は、鎌倉扇谷(おおぎがやつ)の上杉定正の執事を勤め長禄元年(1457)に江戸城を築いたのです。その後、山内(やまのうち)、扇谷の両上杉家の対立が顕わになり、山内の上杉顕定は、扇谷の勢力増大を抑えにかかり、上杉定正の家臣を通じて道灌を誘き出し、相模の国、糟谷に於いて、道灌は暗殺されるに至ったのです。この事件をきっかけとして、道灌の子孫は、武士は、いつかは殺されると言って、大小をすてたのでした。 道灌の孫娘の一人は、家康の側室となり、後に仏門に入り、英勝院と称し、鎌倉「英勝寺」の初代尼主となられました。 歴史的なお話は、ここまでと致し、再び銘酒「道灌」のお話に戻りましょう。 太田酒造は、万一、水質が劣化するのを見越して、武州高尾山の麓から小仏峠に向かう渓流沿いの道を登ること徒歩一時間、右岸に桜の木が生い茂る敷地を広く確保しています。 更に、太田酒造の本社は滋賀県の草津にあって、吟銘酒「千代八千代」を醸造しています。この「千代八千代」こそ、伊勢神宮の内宮のご祭・天照大神の大御親、イザナギ イザナミの命をお祀りする滋賀県多賀町の「多賀大社」のご神酒として用いられています。「道灌」は辛口ですが、「千代八千代」は、癖のない端麗且つ美味な銘酒です。その味のもう一つの秘訣は、琵琶湖の東岸に広がる近江の地で収穫された特別の酒米にあると言えます。 しかし、酒造技術の発達した現在では、硬水・軟水のいずれを用いても辛口・甘口の酒を造り分けられるようになり、今日の消費者の求めるバラエティーに富んだ酒質も自由に造れるようになってきました。 京都の酒は比較的「甘口」だと思われていますが、全国的に見ると甘くはなく、やや淡麗な酒といえるでしょう。 概して、日本の自然水は他の国の自然水に比してカルシウムの含有量が少なく、その原因は、他国に比べて分水嶺から河口に至るまでの距離が短いので、カルシウムなどミネラル物質を多く運ばない所為であります。 これが、欧州や中国大陸に行くと、河川の距離が非常に長く、必然的に、川の水は、カルシウム分を大量に含みます。例えば、日本の滝を眺めると、青白く透き通った美しい白色に見えますが、欧州など大陸の滝は、白濁した様に見えるのは、如何にミネラルの含有量が多いかと言うことになります。まさしく硬水と言えます。 一方、硬水で育った植物を餌とし、硬水を飲料として摂取した牛や羊、そして鶏などを常食とした、欧米人は、親代々、カルシウムを多く摂取しているために、腎臓が日本人に比して丈夫であるために、排尿の度数が少ないのです。例えば、米国の百貨店やギャラリアなど、多くの人達が集まる処でさえ、トイレットの施設は驚くほど少ないのです。 日本人は、概して、他国に比べて、ミネラルの少ない水を摂取していますので、料理そのものは、世界一美味でありますが、体質そのものは、比較的腎臓が弱く、アルコール飲料にも弱いと言うわけです。 年を重ねるごとに、腎臓が疲弊し、循環器系統の障害も、日本人の場合は、ダントツに多いことが伺われます。 言い換えれば、日本に生活する以上、普段から意識して、カルシゥム分を多めに摂取するべきと考えます。 しかし、カルシウムは、単体ではなかなか身体に吸収されにくいもので、有機化された状態のものを摂取する必要があると聴いています。(例、燐酸カルシウムなど) 仮に、牛乳に換算すれば、毎日1000ccは、少なくとも摂取して良いのではないかと思われます。 但し、一般市販のパック牛乳は、水分が多く、通称「水割り牛乳」と罵られてもいますので、実際には、もう少し多く摂取してよいと思われます。 処で、ミネラルの内、カリウムが不足すると、神経痛や下肢のむくみや痛みを覚えるようになりがちです。また、手足のこわばり症状も引き起こすそうです。 従って、カルシウムとカリウムの摂取は日常欠かせないものとなっています。若い成長期には、比較的症状を覚えませんが、四十の坂に差し掛かると、人によって、肩こりや腰の痛み、下肢の痙攣を覚えることがあるそうです。 四十肩や五十肩などは、概して、ミネラル不足によるものだと聴いて居ります。 その昔、夏目漱石が英国に留学した際、英国人初めヨーロッパ人には、肩こりが非常に少ないことを彼は知りました。当時は、何故かまで知るよしもなかったでしょうが、今日、日本人は概して軟水で親子代々育ってきたためである事が概略解ってきました。 骨ごと食べられる小魚を常食とすれば、日本人の体質改善に効果が得られると思います。 そう言う日本人でも、ここ二百年以前の人達には結構酒豪が多かったことは否めません。やはり、腎臓が丈夫であったのか、それには二つの理由があったと推理します。 今日の様な便利な交通機関がなく、どこに行くにも徒歩、また徒歩。歩くことは、腎臓や腹筋が丈夫になり、そうした身体に色々な根菜と骨ごと食べられる魚を食していたために、ミネラルは十分に摂取できていたのだと思います。 また、歩くことは、足の五本の指先の付け根近くの甲の所に、胃の神経への経絡が走っていますので、胃腸の健康にも効果があります。 現代の日本人の食生活を、ほんの少しだけでも、ミネラル摂取に意識すれば、腎臓の人工透析などのご厄介にならずに済み、老人医療機関は閑古鳥が鳴くようになること間違いないと思います。 一度人工透析を受ければ、片足を棺桶につっこんだも同然です。皆さん、一番可愛いのは自分自身です。もっと、自分の身体の意識と、自分自身の意識との疎通をより円滑にして、両親から借り受けた自分の身体を大切に致しましょう。日々の生活態度が自分の肉体の健康を左右するのだと思います。 以上 2002年9月23日 筆者・大橋新也 zodiac9@poplar.ocn.ne.jp www3.ocn.ne.jp/~ohashi/ |
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