
●マスコミが偽造した擬装科学用語に注意しよう。マスコミは正しい科学用語を曲解して科学用語に擬装した似非科学用語を創造し,あたかも科学的であるかのような議論を繰り広げている。電磁波や化学物質や有機物といった用語がこの擬装科学用語の典型で,マスコミは全く別の意味に使っている。たとえば,「化学物質」を「有害化学物質」の意味で使って議論を混乱させている。
【01/09/25作成】
電磁波問題が広まり始めた頃,文科系の知人に「電磁波とはなにか」との質問を受けたことがある。私は「光の仲間のことだ」と即答したが,ほとんど「イヌってなあに」と尋ねられて「わんわんのことだよ」と答えた気がしていた。「イヌってなあに」と訊かれて「食肉目イヌ科に属する哺乳動物で有史以前にオオカミを馴化し」と答えるわけにもいかない。
もちろん,電磁波とはマックスウェルの電磁理論を持ち出さなくとも光を波としての側面から見た表現であり,電波もマイクロ波も赤外線も可視光も紫外線もX線もγ線も電磁波である。しかし,マスコミは電波やマイクロ波領域にあり,その有害性が議論されている電磁波を電磁波といっているようである。
化学物質とは化学物質の中で有害な化学物質をいう。現在,マスコミで使われている「化学物質」を定義するならこうなる。もちろんこの定義には混乱があり,それゆえに混乱した頭脳の持ち主にしか正しく使いこなせない。「正しく使いこなす」とは,「物質を元素で構成される分子と見た場合の表現」という正しい定義と「素人が有害と推定する物質」という擬装科学用語を巧妙に使い分けて摩訶不思議な論理を展開できる特異な能力を指す。注意すべきは「有害」と「有毒」が微妙に異なる点である。フグ毒は注意すれば安全だから有害とはいえず,化学物質には該当しないことになる。しかし,フグ毒の本体であるテトロドトキシンは化学物質になる。とにかく,毒物学の知識など一欠片もない素人が有害と考える物質が化学物質なのである。
「合成洗剤は立派な化学物質なのに安易に使われている。」という不思議な議論を見かけた。これを上述の定義で解析してみよう。「合成洗剤は立派な化学物質である。」は「合成洗剤は有機合成により製造されるため分子構造が確定しており正しい意味で化学物質といえる。」と解釈される。ここで化学物質の定義を有害化学物質に無意識のうちにすり替えて,「合成製剤は有害な化学物質である。」と読み替える。そして,「有害なのに安易に使われている。」と主張しているのである。
似た例は実に多い。「農薬は化学物質だから,たとえ微量でも食品中に残留してはいけない。」なども同様に解釈される。
有機物とは有機物の中で安全な有機物をいい,たとえ無機物であっても安全と推測される場合には有機物といえる場合もある。私は有機物をこのように定義している。もちろん,擬装科学用語としての定義である。この定義を「理解」できれば以下の議論が腑に落ちる。
- ダイオキシンは山火事起源などで天然にも存在するというが,化学物質だから有機物ではない。
- 有機合成農薬は有機化合物であっても有機物ではない。
- 炭は木という有機物が変化したものだから有機物である。
- 木酢液は木という有機物が起源であるから有機物である。有機物は安全だから,木酢液が安全であることなど自明といえる。
- 有機肥料から生まれる硝酸態窒素は有機物だから安全だが,化学肥料に含まれる硝酸態窒素は無機物だから環境を汚染する。
マスコミは正しい科学用語を曲解して科学用語に擬装した似非科学用語を創造し,あたかも科学的であるかのような議論を繰り広げる。その結果,これらの似非科学用語をちりばめた「有機アイガモ無農薬太陽光波動深層水エコロジー電子イオン米」(注:著者の創造で特定の商品ではありません。)が好評を博することになる。
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