NHK総合ニュース(2002年3月14日朝7時のニュース),
農薬は低濃度でもメダカに異常;(3-1)「小人,環境に託けて不善を成す。」【02/03/18】
私は日頃農薬関連の規制に対応している関係から「許可」や「基準」などの法律用語には人一倍強く耳と脳が反応してしまう。ほとんど過敏症といってよい。そのため,NHKの放送で横浜国立大学大学院環境情報研究院の浦野紘平教授が「このような試験をしっかりやってから農薬の使用の許可をするとか,水質の基準を見直したり作ったりすることが 必要である。」と話しているのを聞いて,このおっさんはなにをいいだすんじゃと感じていた。もちろん,浦野教授が何も考えておらず,考える能力もないことは承知している。
浦野教授はおそらく農薬会社に対し農薬の登録を保留するか,あるいはその使用場面を限定するよう規制せよとでもいいたかったのだろう。しかし,「使用を許可する」とは農薬会社に対する規制ではなく,使用者に対する規制である。農薬会社は農薬を使用するわけではないから対象とならない。農民が農薬の使用の許可を当局に申請し,当局が審査して問題なければ使用を許可する。これが「使用の許可」である。ここでいう当局は,水生生物の影響を評価するのだから環境省になる。浦野教授の大好きな環境省である。
もっと具体的に考えれば,個々の農民は農薬を使用する毎に「農薬使用許可申請書」を環境省に提出して許可を求めることになる。その申請書には,いつ,どこで,どのような農薬を散布するかを記載し,添付図面で付近の河川,湖沼等の水系の状況を説明しなければならない。ほとんど落語の「善哉公社」のような話になってしまう。
この議論を「ただの揚げ足取り」だと感じた方も多いだろう。私とて,普通の研究者や反農薬屋さんが「農薬の使用の許可」と言う分には聞き流す。しかし,浦野教授は環境省関連の種々の規制に関与されている著名な御仁(私は知らなかったが)である。その御仁が誤った水質基準の概念を振り回し,法律上の「許可」を論じたのである。到底,見過ごすわけにはいかない。どうして,浦野教授のような常識レベルの法律知識すらない御仁が農薬の規制を云々し,NHKがその奇矯な発言を全国に放送するのか,私には到底理解できない。
昨今の環境省には,科学的に誤りであり,しかもかえって環境を悪化させかねない規制を「研究費を浪費した言い訳」などの内輪の事情だけでごり押ししようとの傾向が認められる。ノニルフェノールがその典型である。いまだにあの悪名高い「環境ホルモンリスト」を取り消していないのも常軌を逸しており,逆に環境に悪影響を与えている。私はいままでこのような環境省の姿勢が理解できなかったが,環境省官僚のブレインが浦野教授レベルの御仁なのだと考えると妙に納得がいった。
昔,「小人(しょうじん)閑居して不善を成す。」と習ったが,今は「小人,環境に託(かこつ)けて不善を成す。」時代になったようである。
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