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●環境ホルモン学会退会の勧め(1) 環境ホルモン学会は環境省の学会である。

環境庁が環境ホルモン学会を作らせた目的は,「内分泌撹乱物質取締法」の施行とその審査実務を担う「独立行政法人化学物質環境安全性評価機構」の設立にあった。しかし,環境省は,既に「内分泌撹乱物質取締法」の根本的な誤りに気付いており,環境ホルモン学会は当初の役割を終えている。

【06/08/19作成】

環境ホルモン学会は会則第1条に以下のように定めている。

第1条 本会は環境ホルモン学会(正式名 日本内分泌撹乱化学物質学会)と称する。

ホームページに「環境ホルモン学会(正式名 日本内分泌撹乱化学物質学会)」と記載するのはまだ許せるが,会則には「本会は日本内分泌撹乱化学物質学会(通称 環境ホルモン学会)と称する。」と書くのが常識だろう。環境ホルモン学会には「環境ホルモン」という用語に異常なほどのこだわりのあることが分かる。

私は,これを環境ホルモン学会発足時の環境庁(当時;以下同様)と通産省,厚生省との確執に由来すると考えている。本来,化学物質の製造や使用の規制は通産省の管轄だが,内分泌撹乱化学物質は環境ホルモンだから環境庁が主導権をとるべきだとの言葉遊びのような屁理屈から環境ホルモン学会という学会名に固執した。

環境ホルモン学会が環境省の学会であることは,会則第2条にも現れている。

第2条 本会は、外因性内分泌撹乱物質(環境ホルモン)とその影響についての学問・技術の進歩発展及び環境の改善に寄与することを目的とする。

この条文には,環境庁の管轄である「環境の改善に寄与」だけが記載されており,厚生省の管轄である「国民の健康,安全」や,通産省の管轄である「化学物質の規制」などの文言はない。

なぜNHKは環境ホルモンの報道開始を1年間も延ばしたのか。」に記載したが,この問題の重要性に早くから気付き,対応策を講じていたのは通産省であった。私は,NHKの報道での大騒ぎが始まったころ,通産省が「エンドクリン問題研究会」を発展させて学会にするのではないか考えていた。しかし,環境庁は唐突に環境ホルモン学会を設立してしまった。

これには,環境庁なりの「正義感」があったと考えられる。即ち,「企業寄りの通産省に主導権をとらせたのでは国民の安全は確保できない。市民のための官庁である環境庁が主導権をとるべきだ。」との考えである。環境庁には,公害時代に醸成した企業は全て悪で,「化学物質」は原則的に全て禁止すべきであるとの潜在意識があり,SF映画の黄金パターンを盲信している。

そのパターンとは,以下のようなものである。

  • 世間からは変わり者と疎まれている正義の科学者問題に気付く
  • 正義の科学者は,問題の存在を主張するが一顧だにされず,逆に,企業側の科学者から攻撃を受け,ときには企業側から裁判に訴えられる。
  • 正義の科学者は妨害に屈することなく主張を続け,次第に賛同者を増やしていく。
  • 決定的な事実が明らかとなり,正義の科学者の主張の正しさが一般に認識される。
  • 正義の科学者は先頭にたって解決につとめ,使命を全うする。

環境庁の考えた正義の科学者の典型は松井三郎教授であったのだろう。しかし,真の正義の科学者が中西準子先生であることは現時点では明確であろう。

環境ホルモン学会最大の問題は,環境省の「企業は悪である」との思想を色濃く反映している点にある。これは松井教授が第7回内分泌撹乱化学物質問題に関する国際シンポジウム(内容は「環境ホルモン濫訴事件:中西応援団」参照)において行った講演の内容を解析すると理解できる。「企業性悪説」で解釈すると説明できる部分が実に多い。

企業性悪説や「化学物質」原則禁止論からはリスクアセスメントという概念は生まれず,何らかの手法で環境ホルモンに該当するか,該当しないかを判別し,環境ホルモンに該当する化学物質は代替え物質に切り替えるか,大幅な規制を設けるという幼稚な1ビットの発想しか生まれない。

そして,環境庁が環境ホルモン学会を作らせた目的は,「内分泌撹乱物質取締法」の施行とその審査実務を担う「独立行政法人化学物質環境安全性評価機構(現時点での表現)」の設立にあり,審査基準を環境ホルモン学会の分科会に設定させることにあった。そう私は考えている。

しかし,ExTEND2005を見ると頑迷固陋な環境省も「内分泌撹乱物質取締法」の根本的な誤りに気付いたように思える。そして,その時点で環境ホルモン学会は当初の役割を終えた。環境ホルモン学会が今後も「内分泌撹乱物質取締法」の成立を目指すような活動を続けるとすれば,この学会は反社会的団体に堕したといえるだろう。

著者注1)環境ホルモン学会会則第1条に以下のように改訂されている。
  第1条 本会は日本内分泌撹乱化学物質学会(環境ホルモン学会)と称する。
附則をみると,第2回修正(平成20年6月10日)で改訂されたようだ。もちろん,第2条に改訂はない。【09/10/05】

 

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