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●有機農産物に使える農薬;質問編

最近,「有機農産物及び有機農産物加工食品の特定JAS規格」が定められ,有機栽培でも使える農薬が明確にリストアップされた。このリストについて考察する。

【00/07/09作成】

最近,「有機農産物及び有機農産物加工食品の特定JAS規格」が定められ,いままでの「有機農産物及び特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」が廃止された。これにより有機農産物に使える農薬が旧ガイドラインに比べ明確化されたことは,その是非を別にして1つの進歩といえる。

さて,以下に述べる農薬の使い方の中で有機農産物にも適用可能なもの(以下,有機栽培という)はどれか。なお,この設定には「思考実験」の部分があり,実際にはありえないものも含まれているのでその旨留意されたい。

  1. 畑にモグラが出没し農作物を荒らすので,巣穴に液化窒素を流し込みモグラを酸欠死させた。液化窒素は農薬の活性物質として登録されており,この用い方は明らかに農薬の使用に該当するが,窒素が無害であることは明らかであり,この場合はたとえ農薬取締法でいう農薬の使用に該当しても有機栽培にあたる。

  2. 野菜の灰色カビの防除のため,炭酸水素ナトリウム剤(重曹)を散布した。重曹は日本薬局方に記載があり食品添加物としても認められているほどその安全性が高く評価されている。そのため,農薬の活性物質として登録されているが使用しても有機栽培といえる。

  3. リンゴの病害の防除のため石灰ボルドー液を用いた。石灰ボルドー液は生石灰と硫酸銅から調製される無機物であり,有機合成農薬ではないため使用しても無農薬栽培にあたる。

  4. 野菜の害虫を防除するため砒酸鉛を用いた。砒酸鉛は戦後は殺虫剤として用いられた実績もあり,しかも,無機物であり有機合成農薬ではないため使用しても有機栽培といえる。

  5. 野菜の害虫を防除するため除虫菊の粉末製剤を用いた。除虫菊製剤とはシロバナムシヨケギクの茎葉部を乾燥した粉末であり,その活性物質はピリトリンである。除虫菊は天然物であるため使用しても有機栽培といえる。

  6. 野菜の害虫を防除するためピレスロイド剤を用いた。ピレスロイドは天然物であるピリトリンをもとにその化学構造の一部を変換して合成した化合物であるが,本来天然物系の化合物であるため,使用しても有機栽培といえる。

  7. 果樹の害虫を防除するため硫酸ニコチン剤を用いた。この剤の活性成分であるニコチンは化学的に合成された化合物ではあるが,ニコチンが天然物としてタバコに多く含まれることは広く知られている。したがって,硫酸ニコチン剤は安全な天然物系の農薬であり使用しても有機栽培といえる。

  8. 野菜の病気を直すため抗生物質カスガマイシンを用いた。カスガマイシンは春日神社の土より単離された微生物の産生する抗生物質であり,タンク培養により作られる天然物である。したがって,使用しても有機栽培といえる。

  9. 野菜の害虫を防除するためその害虫に寄生し殺す蜂(寄生蜂)を用いた。寄生蜂は農薬取締法では農薬として扱われるが,その使用が作物に危険をもたらすとは考えられないため使用しても有機栽培といえる。

  10. 野菜の害虫を防除するためBT剤を用いた。BT剤は殺虫活性物質を産生する微生物(生菌と死菌があるが)であり,安全な生物農薬であるため使用しても有機栽培といえる。

  11. 野菜のアブラムシを防除するため市販の家庭用中性洗剤を水で薄め散布した。中性洗剤は農薬ではないから使用しても有機栽培といえる。なお,この場合アブラムシは散布された中性洗剤が体表に付着し,気門が封鎖されるため死に至る。

  12. ビニールハウス内に害虫が発生したため,市販の「バルサン」を用いた。バルサンは家庭用殺虫剤であり,農薬ではないから使用しても有機栽培といえる。

回答編は近日中にアップロードする。

 

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