●減農薬の基準を廃止して「定植時以降無農薬」の基準を作れ。現在のガイドラインの定義では,減農薬栽培とは単に農薬の使用回数を減らすだけで,環境に対する影響も残留も一切考慮されてはいない。そのため,慣行栽培より安全性の面で劣る減農薬栽培もありうる。減農薬栽培で危険になってしまったリンゴも多いのである。では,本当に良い減農薬とはなにか。それは定植時以降無農薬である。
【01/10/29作成】
減農薬栽培の定義の曖昧さはよく指摘される。「農薬の使用回数が慣行の5割以下」では,全く同じ農薬を同じように使っても地域により減農薬になったりならなかったりする。しかし,最大の問題点は減農薬栽培が「環境にやさしい」わけでも,「安全な農作物が生産される」わけでもない点にある。その理由はすでに以下の記事に記載した。
良い減農薬,悪い減農薬,普通の減農薬(1);減農薬環境にやさしい。
良い減農薬,悪い減農薬,普通の減農薬(2);減農薬栽培の安全なリンゴ
農薬を使えば,その農薬は必ず作物に残留する。では,これらを満たす「本当の減農薬」とは何か。それは定植時以降無農薬であろう。
たとえば,イネであれば馬鹿苗病やイモチ病などの予防のために種籾を農薬の薬液に浸漬処理しても,その薬液を適切に廃棄処理すれば環境に何の影響もない。農薬の使用者に対する安全性も高く,種子処理に用いた農薬が秋に収穫したコメに残留することもない。本田全体に散布するのに比べれば使用量もはるかに少なくてすむ。しかも,種子処理を行えば,下手に減農薬栽培を試みて天候不順などで「ばくちに負けて」病気を発生させ,出穂期以降に本田で農薬を散布するといった事態をある程度防ぐことができる。
つまり,早めに農薬を使った方がはるかに安全で環境にも優しいのである。これを,無農薬や減農薬という表面的なラベルだけの問題で阻害する行為が現在の減農薬や無農薬などの特別栽培制度である。
たとえば,イネであれば種子処理と箱施用と初期初中期一発処理除草剤だけを使用可能とすれば,環境面からも残留からも「無農薬」とほとんど変わらない。野菜であれば種子処理やポット苗の浸漬処理や定植時植穴植溝処理までを使用可能とすればよい。
もちろん,具体的には個々に細目が必要となる場合もある。イネであれば,箱処理剤の中にも水棲昆虫に悪影響を与える農薬もあり,水系環境に若干影響を与える初期初中期一発処理剤の成分も存在する。
しかし,定植時以降無農薬は減農薬などよりはるかに分かり易い。安全性に対する実態も伴っており,素人受けする無農薬という言葉も入っている。私は,定植時以降無農薬などの区分ができたときに,無農薬という神学論争にやっとある程度のけりがつくと考えている。
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