昨年(2001/05)開店の新しい店。
店内はこざっぱりとした清潔な雰囲気。最近の新規店にありがちなネオ和風の内装でないというだけで誠実さを感じてしまう。(^^;

席に座り、デジカメを取り出して置いていると、店主がをそれを見て、「撮ってくれるのは全然かまわないけど、撮るときは一言声をかけてくださいね」と。
いやあ、よくあるガンコな店主かなと思ったのだが。
「最近、勝手に撮る人が多いんですよ」
「店とかラーメンとかも、僕の顔と一緒ですから」
「ひとこと声をかけてくれたら全然OKですから。少しでもコミュニケーションとりましょうってことです」
と会話を重ねると、とても気さくで、実際に断りさえすればちゃんと撮らせてくれた。
行ったのがお盆の初め(2002/08/11)で、しかも開店直後(18:00)だったので、客は私1人。
「お盆はこのとおりですね」
じゃあ閉めればいいのに。
「ここ目指して来られるお客さんがいらっしゃるんで……。こんな立地ですから、通りがかりに入って来られるお客さんって、あんまりいらっしゃらないんですよ。みなさん来るんだったらこの店に来られるんですよ。そういうお客さんのために、やっぱり開けとかなあかんなぁ、と」
こだわりと誠実さが感じられる。
聞いてみると、7年ほどの修行期間があるという。
(関係ない話。この兄ちゃん、住田さんというのだが、この店が入ってるマンションの名前も「マンション住田」。資産家のご子息か?(^^;)
醤油そば(\600)を頼んだ。

麺はやや細めのストレート、具はほうれん草、チャーシュー。スープは豚骨鶏ガラ&魚介系。 ※煮卵は夏の間はなし。「うちは安い玉子使ってるんです。だからこの時期輸送手段とか不安で……」とのこと。
紅茶のように、あらかじめ丼を温めてからスープを注いでいた。
やや細めのストレートで茶色がかった麺は、店主曰く「高級なかけそばみたいな感覚です」。
麺の色は、黒小麦を多く使っているからだという。
これが多くなるとグルテンが少なくなってポロポロとあっさりと切れる、そばのような食感になるのだそうだ。
なるほど、「醤油そば」か。
実際、この麺はかなりそばに近い。意外にいい感じなのだ、これが。
確かにこの麺はここでしか食べられないぞ。
スープはかなり複雑。トンコツと魚介系なんだろうなぁ。→豚骨、鶏ガラ、モミジでとって、最後に昆布といりこを加えるという。9.5時間かかるとか。
派手な味ではなく塩分も抑え気味だが、だからこそ最後までちゃんと食べられる。これが普通のラーメンのスープだとこの麺はかなり違和感があるし、逆にこのスープに普通のラーメンの麺を入れたらかなり物足りないスープになっているはず。
麺がぐいぐい引っ張る全体のバランスの良さが、なんとも心地いいじゃないか。
ほうれん草はゴマ油の風味があってうまい。
9.1
2002/08/11 追記:
↑この時点ではまだ雑誌などにもあまり取り上げられておらず、ちょうど『あまから手帖』で紹介された後に『Kansai Walker』あたりが後追いで載せだした頃だった。
しかしそれも今は昔。
現在ではさまざまな媒体で紹介され、既に「定番」に近いの地位を確立しているようだ。
最近ふとコンビニで立ち読んだ『KANSAI一週間』では、(うろ覚えだが)ランキング1位になっていたと思う。
てなわけで、あああああああああ久しぶりに食いてぇぇぇえええ!!
と行ってみた。
1年半ぶりかぁ。
今回はちょっと贅沢に(^^;、チャーシュー醤油そば(\800)と煮玉子(+\50)を頼む(写真なし)。
……あれ? 前は煮玉子はデフォルトだったのに(夏だったから無かったけど、メニューとしてはそうだったはず)、今は違ってるのか。あれまあ。
ウマいと思った時より有名になってるので、ありがちなラーメンマニアっぽく(^^;「味が落ちた」とか言ってやりたかったんだが、全然変わってない。いやはや、素晴らしいっす。
前回は食べられなかった煮玉子もうまいし、なんといってもこのチャーシューが。
これはチャーシューっていうよりローストビーフみたいな感覚(豚ロースだが)。噛むと口の中に「肉の味」が広がる。食感もいい。たまりませんな。
このチャーシューも、ちょっと他では食べられない。
前回との違いはほうれん草の風味が前ほどにはないかな、と思うくらい。
いやぁ、ほんとにいいバランスだなぁ。感心至極。
素晴らしいです。
ふと思ったが、洛二神もこのくらい麺に個性があればかなりウマいのに。
……但し、個性的であるということは当然別の個性と対立するってことで、この麺が気に入らない人にとっては受け入れがたいラーメンだとは思う。
9.6
2004/04/23 追記2:
結局、2004年に一番行ったラーメン屋はここでした。
といっても、まあひと月に1度くらいだけど。
一緒にラーメン屋によく行く友人たちの好みはバラバラで、もう箕面スパーガーデンに行くしかない状態なのだが(わからんよな、このネタ)、唯一みんなが「うまいッ!」と意見が一致している店が、ここ。
しかしいかんせん場所が辺鄙で交通手段はほとんどクルマしかなく、しかも駐車場がないときている。
もうちょっと交通アクセスがよければ、もっと行ってただろうな。
派手な要素はないものの、全てが丁寧に仕上げられていて、それらのバランスが絶妙なんだ。
無駄が1つもない。
地味ではあるが誠実に取られたスープ、蕎麦のような独特の歯ごたえを持つ黒小麦使用の麺、ローストビーフのような、噛めば噛むほど肉の味がするチャーシュー、あっさり感を演出する小松菜、そして客に出す寸前にサッと振られる粒コショウまでも、ないと淋しいくらいピリリと存在感がある。
どうだ、冗談じゃないんだぞこれ。(^^)
ほんと、うまいんだよ。
派手じゃないから、気に入らない人には「ふぅん」なのかもしれないけど。
いや、是非わかってほしい。(^^)
今回もチャーシュー醤油そば(\850)を頼んだ。

チャーシュー醤油そば(\850)
いつもと少し違う味がしたのはチャーシュー(肩ロース)が脂身の多い部分だったからのようで、これがいつもより少しだけ薄く切られているために脂がよく溶けだして、少し違う風味が味わえた。これはこれで面白い。

チャーシュー醤油そば(\850)
あいかわらずうまいね〜。
しかしこの店、これだけうまいのに、いつ行っても客が少ない。
今回も平日の晩飯時(19:30頃)にもかかわらず、私たちが入ってから出るまで他に客はいなかった。
場所が悪いからだと思う。
そのせいか、2004年の年末にはとうとう50円の値上げが断行された。(T-T)
まあそれでもデフォルトが650円というのは、誠実な部類だとは思う。
でもこの店ではやっぱりチャーシュー醤油そばが食いたいんだよぅ。
できれば煮玉子もつけたい。
しかしそうすると、900円(チャーシュー醤油そば\850+煮玉子\50)。
ギリギリやね。ラーメンという食べ物として。
いやほんと、この店には頑張ってもらいたい。
こんな店はちゃんと続いてもらわないと。
共有財産だからして。
店主住田氏に「がんばってください」と言ったら、「がんばってますよ」だって。(^^;
それは確かにその通りだろうが。(^O^)
いやあの、いろんな意味で、頑張って下さい。m(_ _)m
そしてみなさん、この店、一度行ってみてくださいな。m(_ _)m
場所悪いけどね。(^^;;
2005/01
9.5 追記3:
前回書いてから長い間書いていないが、そこそこ行っているので、追記しておこう。
私はラーメンをたくさん食べていると思われているらしく、
「一番おいしい店どこ?」
と聞かれることがよくある。これはなかなか答えるのが難しいということは解っていただけると思うけども、かといって向こうは「一番なんて決められないよ」というような答えは求めてないわけで、そこそこカドを端折ってでも、端的な答えが欲しいわけだ。
というわけで、私は
「今のところ一信かな」
と答えることにしている。ラーメンならここを一番最初に挙げる。(つけ麺なら弥七か純情屋かな) ただまあ、相手の求めるものが違うと失望させるだけだから、
「豚骨コテコテのラーメンが好きなら物足りないだろうけど」
とか
「麺が少し変わってて、好みに合うかどうかな」
とか
「ちょっとアクセスが悪くてね」
などといろいろ言い訳じみたことをゴニョゴニョと続けるのだけれど。
#とはいえ一信と他の店の差はかなり縮まってきている。一信が落ちてきたのではなく、他の店がどんどん頑張ってきてるのだ。
私の家から遠く、しかもアクセスが悪いのは事実なのでなかなか足を運べないのが残念。
かなり久しぶりだ。前回行ったのが4月だから、もう8ヶ月ぶりくらいか。このくらい行かないと普通のラーメン屋は味とかいろいろ変わってそうとか不安になるんだけどね。(あるいは店によってはまだあるかどうか (^^;; )
この店はそういう心配はほとんどない。
まあ客が少ないのも相変わらずなんだけども。(^^; (日曜日の開店直後(18:00)に入った)
できあがるのを待っている間、作業を見ながらふと気がついた。
店内がとても綺麗だ。昔と全然変わってない。
2001年5月開店だそうだからもうすぐ開店7周年だ。なのに壁のステンレスは今でも客の姿が映るほど磨かれている。コンロとかの火まわりもまるで新品のようだ。テーブルも綺麗。(もちろん禁煙(^O^) )
これは素晴らしい。毎日の掃除を怠っていない証拠だ。
油というエサがなければゴキブリも発生しない(しにくい)し、もちろん綺麗なら客も気持ちいい。
結局、こういうところに店の姿勢が現れるわけだね。
「毎日、掃除にどのくらい時間をかけるんですか?」
と聞いてみたら、
「いや、毎日やってるんでそんなに時間かからないですよ。これがちょっとサポったら逆にやりたくなくなると思います」
と。なるほど。油汚れは層になってしまうと「ちょっと掃除しましょ」ではなく大掃除の部類に入ってしまうかもしれない。
店主住田氏の几帳面さというか自律だろうか、それがこういうところにも感じられる。
7年もこれだけ綺麗に保てることは、それだけで敬意に値すると思う。
久しぶりだからチャーシュー醤油そば(¥850)でちょいと贅沢。
 チャーシュー醤油そば(¥850)@一信
具はチャーシュー、ネギ、小松菜(少しゴマ油で香りづけしてる)。
麺はやや細めのほんの少し縮れたストレート。黒小麦を使っていて色が黒みがかっている。
スープは豚骨と魚系。いわゆる「Wスープ」というのは動物系と魚系のダシを別々に取って後で合わせるものだから、ここのはWスープとは呼ばない。
相変わらずうまいなあ。(^O^)
豚骨と魚系スープのバランスは絶妙。
粘りの少ないポソポソしたソバっぽい食感の麺もこの店でしか味わえないもの。これがスープととても相性がいい。
そして肉の味がするチャーシュー。
小松菜を少しだけ和えてあるゴマ油の香りも、控えめながら上品に存在感がある。
 チャーシュー醤油そば(¥850)@一信
いいねえ。
8ヶ月ぶりに行っても安心して変わらぬ味が楽しめる。
嬉しい限りだ。
しかしもうちょっと食べたいな。
この店は大盛もサブメニューもないので、できればもう少し麺の量を増やしてほしい。
 大盛りは出来ません。
あ、サブメニューはあることはある。白飯(¥200)。(^O^)
「醤油そば」「チャーシュー醤油そば」「白飯」。
これしかないのよ、この店は。(^^;
これもなかなか凄いねえ。
いやしかし、麺をもう少し食わせてくれ。
お願いだ。m(_ _)m
そしてこれからも頑張っておくれ。
2007/12
追記3:
つけそば(夜限定)(¥800)
2008/03/01より、つけそばを出すようになったとのこと。
喜び勇んで頼んだのだが、専用の太麺が既になくなってしまったとのことで、醤油そば用の細麺で作ってもらった。(普通の醤油そば用の麺は22番の麺だが、つけそばは16番の平打ち麺)
 つけそば(¥800)@一信
具は肉味噌(沈んでる)、チャーシュー、ネギ、小松菜。
麺は細めのストレート。黒小麦入りですこし黒茶色っぽい。
スープは豚骨・鶏ガラ・イリコなど魚系。
 つけそば(¥800)@一信
残念ながら本来使う麺と違っていたが、それにしてもこの麺はやっぱり面白いね。
最近の関西ラーメン界の麺ブームとは一線を画した、我が道を行く麺。
黒小麦の入った麺は独特の香りがあるが、それ以上に印象に残るのはこの食感。中華麺の特徴である粘りが小さく、むしろそばのようにポツポツと切れる印象なのだが、これがスープとの相性がよく何とも心地いい。
この店をオープンする時、店主の住田氏はこの麺がほしくて何軒も製麺所を回ってやっと作ってくれるところを探したそうだが、やっと見つけた仕入先も今では辞めてしまい、今は別のところに作ってもらっているとか。まず需要がなく、手間がかかり高いのだそうだ。そしてすぐに香りが飛んでしまうという。
なるほどねえ。
 つけそば(¥800)@一信
スープは基本的に醤油そばと同じだが、アクセントをつけるために肉味噌がつけだれに沈めてある。食べ進んでいってこれが段々ほぐれていくと味に変化が出るという仕掛け。この肉味噌が、なかなかうまい。
というわけで本来ならばここで満点が出るような感じなのだけれど、うーん、これがなかなか難しい。
ここのラーメンの素晴らしさは個々のパーツの出来の良さ以上に、全体のバランスにある。
このスープだけではダメで、この麺だけでもダメで、この具でなければダメで。
全部があって初めてうまいラーメンなのだ。
しかし正直、つけ麺はまだこの絶妙のバランスには到達していないように思う。
まあ本来とは違う麺で食べているから、これで評価してはいけないんだろうなあ、ということで、あえて評価は示さないでおこう。
ただ、次行った時に、醤油そばの誘惑を押しのけてつけそばを注文するかどうかは五分五分といったところか。
P.S.
この日はなかなか興味深い話を聞くことができた。
店主の住田さんは、「単品で勝負して、客の回転率が悪くて……」という店を目指したのだそうだ。
単品で勝負というのはわかるにしても、回転率が低いというのは……。まあその分丁寧に作ることができるからなのかな。
しかし確かにこの場所でやると決めたということは、きっとそういうことなんだろうという説得力はある。(^O^)
客の回転率が悪くても何とかやっていけるように、という準備をしたそうだ。
住田さんは修業時代、ラーメン屋の他に市場でも働いていたそうだが、それは将来自分で店を持った時に安くていい品を仕入れるため。そこで培った人脈によって、今でも市場に自分の冷蔵庫を置かせてもらっている。そしてその週のうちで一番安値の時に買って、その冷蔵庫に保存してもらうそうだ。そういうやり方で仕入れ値は「大手チェーン並み」に抑えられているのだという。
「だから、これからラーメン屋を始めたいっていう人に相談受けても、紹介できないんですよ」
だと。
味の構想もいろいろしたそうだ。
単品で勝負するのではなく他にサイドメニューも出すのなら鶏ガラ、単品で勝負するなら豚骨・鶏ガラ・魚系、そして脂を使うラーメンにしようと(←だから今はこれになってる)。
単品でバランスを保とうと思えばそうなる、という判断だそうだ。
2008/03 |